2023年12月15日金曜日

極上の温泉と最高のお料理とおもてなし 鹿児島県霧島温泉 石原荘

 


 ごくごく若い頃には、海外ばかりに目が向いて、温泉に行きたいなどとはあまり思わなかったのですが、海外生活も長くなり、歳も重ねていくうちに、日本の温泉は、ことさら憧れの場所になり、ずっと、「日本の温泉に行きたい!」と、ゆっくりお湯につかって、のんびりして、美味しいお料理を食べることに憧れてきました。

 今回の日本への一時帰国では、かねてから従姉妹に「すっごくいいよ~!」と教えてもらっていた鹿児島県霧島温泉にある石原荘という宿にどうしても行ってみたくて、その宿の予約を軸にして、日本行きのスケジュールを立て始めました。

 前日に泊まった宿を出て、ひととおり観光をして、宿に着いたのは、4時ごろだったと思ういます。渓谷の中にあるような、ちょっと、ともすると通り過ぎてしまうような場所でもあるのですが、ようやく宿に辿り着いて、車を宿の前に停めると、すぐに宿の人が荷物を運んでくれて、車は、このままでどうぞ・・と宿の中に案内してくれました。

 宿の中のひとつひとつのインテリア、調度品、花、デコレーションなどは、しっとりと上質で、どれも落ち着いていて、センスよく、心地よい空間です。


 通されたラウンジでは、チェックインの間にお菓子とお茶が出てきて、その時に、別棟にある貸し切り露店風呂の予約をし、しばらくすると、お部屋に案内してくれました。



 私たちが泊まったお部屋は奥まった露天風呂がついたお部屋で、居間に寝室にお茶室までついていて、もちろん、お部屋のお風呂は24時間、好きな時に入ることができます。

 お部屋の担当の人が案内してくれたのですが、なんと上品な感じの若い外国人の男性で、流暢な日本語で、お部屋の中を色々と説明してくれました。私は、あまり意にも留めずにいたのですが、同行の友人がその方に向かって、「日本語お上手ですね‥どちらの国からいらしているのですか?」などと尋ねるので、私は「また~そんなこと聞かなくても・・」と内心、思っていたら、なんと、その男性はフランス人で、「あらまぁ~!こんなところにフランス人!」と私もビックリして、また、友人が「この人もフランスから来ているんですよ!」などと私の方を振り返ると、その方は、一瞬、嬉しそうにフランス語で挨拶してくれました。

 なにしろ、相手は日本語もフランス語もわかっているのですから、一緒にいた友人の手前、フランス語で長々と話すのも躊躇われ、少々、こちらの方がとまどっていると、よほど、厳しく躾られているのか、その男性は、そのまま勢いに乗って、フランス語で話しつづけることはなく、ひととおりの説明を終えると部屋から下がっていきました。

 もう長年の憧れであったお宿に興奮している私は、さっそく温泉へと、まずは部屋のお風呂ではなく、お宿の中の一番大きなお風呂にでかけ、次に予約していた貸し切りの露天風呂へ直行。

 そもそも宿泊客は、満室とはいえ、そんなに人数が多いわけでもなく、しかも時間帯が食事の時間帯にかかりかけていたこともあって、大きなお風呂も貸し切り状態。大きなお風呂には私たち2人だけ。サウナも水風呂もついていたのですが、とりあえずは、「これなら、泳げちゃうね・・」などと言いながら、温泉につかりました。

 同じ霧島温泉でも、前日に泊まった温泉とは泉質も違い、その違いを楽しみました。


 いくつものお風呂がある中央にあるラウンジのようなところでは、飲み物のサービスやアイスキャンディーまであって、なんなら、観光などせずに、一日中、宿にいればよかったかも?と思ったほどでした。

 そして、念願の夕食は噂どおりの絶品の連続で、季節のもの、地のものを中心としたお料理が絶妙のタイミングで出てきて、最初の食前酒として出てきたのが、地物の市販されていない蔵出しの焼酎のお湯割りで、香りが抜群によく、最近はお酒を飲まなくなっていた私も、これは、お料理にもバッチリあう調味料の役割だ・・と感じて、少しずつ頂きました。










 また、給仕してくれる方も行き届いていて、どんな質問にも適切な答えが返ってきて、本当に心地よい、まさに日本ならではの「おもてなし」、尋ねたことに対しても、決していい加減な返答をすることはなく、不確かなことは、「ちょっと確認いたしますね・・」と、その応対もとても自然で固さもなく、本当に素敵な応対でした。

 煮物、焼き物、揚げ物からご飯の炊きあがりまで、お客様の食べる時間や速度にあわせられていて、本当に見事なお食事で、ふっくらと釜で炊かれた新米など、「余った分は、おにぎりにして、お部屋にお持ちいたしましょうか?」と、後でお部屋の方に持ってきてくれました。

 これは、翌日の朝食の時も同じでした。




 しかし、優雅な温泉宿に泊まって、ゆったりとくつろげばいいものの、私は、せっかくだからと、お部屋の温泉を出たり入ったりと、忙しくしてしまう貧乏性。ちっとも、ゆっくりしていないことに気付いたのですが、だからといって、せっかくの温泉、じっとしているわけにはいきません。

 朝食の後に、フロントで、この宿の近くにある魚屋さん(東京よりもずっと安くて美味しい鰻があるという話を聞いていたので・・)の所在を尋ねたら、電話で問い合わせてくれて、持ち帰りの鰻を予約してくれました。

 こんな風に極上の温泉での一日には大満足でしたが、あっという間に過ぎてしまいました。

 帰りのチェックアウトのために、フロントにいたら、昨日のフランス人の男性がいて、もうこれで帰ってしまうからと思ったのか? いきなりフランス語でおしゃべりを始めて、とっても嬉しそうにお話してくれました。

 こんな秘境?で、フランス人もあんまりいないだろうし、フランス語を話す機会もあまりないだろうし、フランス語を話せることは嬉しいんだろうな・・と、逆バージョンではありますが、海外で生活している者どおし、なんとなく、気持ちがわかるような気がしました。

 とはいえ、私が住んでいるのはパリで日本人に会おうと思えばいくらでもいるので、全然違うとは思いますが・・。

 もう、今は、そのお宿で働き始めて8年目だとおっしゃっていましたが、ふつうの日本人としても、厳しいだろうと思われるそのお宿の礼儀作法など、ふだんのフランス人の生活を見ている私には、さぞ、彼も苦しかろうと思うのですが、奥様がその土地の方とのことで、頑張っておられます。

 日本の憧れの温泉に行って、頑張っているフランス人にも会えるというおまけつき、ぜひぜひ、また、いつか、あのお宿に行きたいと思っています。


鹿児島県 霧島温泉 石原荘

🌟妙見石原荘 鹿児島県霧島市隼人町嘉例川4376


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