鹿児島県の霧島温泉に来て、2日目。私がロンドンにいた頃からの30年来の友人が霧島を案内してくれました。私たちには、土地勘が全く無いなか、彼のおかげで効率よく色々な場所を訪れることができました。
私は東京生まれ、東京育ちで、両親も東京の人間であったために、自分の故郷というものは、やはり、東京ではあるのですが、こうして彼のような郷土愛といったものは、それほど強く感じることはなく育ってきたので、彼のような溢れる郷土愛を持つ人が少々、羨ましい気もしました。
霧島神宮をはじめ、車でかなり広範囲にわたって、あっちへ行きたい、こっちも行きたいという私たちに、彼は上手にスケジュールを組んで、色々なところを案内してくれたのですが、現在の彼は、地元の色々な機関の重鎮になっており、本当にびっくりするほどに、かなりの広範囲にわたって、どこへ行っても知り合いがおり、気さくに声をかけつつ、知人に会うたびに、「パリから来てくれた友人で・・」と紹介してくれて、少々、照れ臭い気もしました。
この鹿児島県という、私にとって初めての土地の偉大さ、自然の美しさに触れて、「鹿児島って、こんなに良いところだったんだ!」とその魅力に惹きつけられたとともに、彼がロンドンから日本に戻ってからの地道な道のりと、まさに地に足がついた彼らしい生活ぶりにとても感心しました。
彼は私がロンドンから日本に戻ったあとも、そのまま、ロンドンに残って生活を続けていて、一時は、このままずっとロンドンにい続けるんじゃないだろうか?と感じていた時もあったのですが、結局、彼は、父親の体調悪化のために、5年ほどのロンドン生活に終止符を打ち、故郷である鹿児島に戻って、日本での再スタートを切っていたのでした。
彼は、決してイケメンという感じではなく、若い頃からどこか、おっさんぽい人で、よく言えば、彼のキャラはどこか人を安心させるような、温かい人柄で、ひょんなところから、人と人とのつながりが広がっていくような人で、現在は、大学で英語を教えたり、子供から老人に至るまでの小さいグループで英語を教えたり、また外国人に日本語を教えたり、霧島市観光協会の副会長をしていたり、霧島国際音楽祭の会長をしていたり、その他、お金になることばかりではなく、さまざまな集まりに参加して地域活動に貢献をしていて、その様子が一日、彼に霧島温泉界隈を案内してもらっている間に、彼が地域でどのような存在であるかが手に取るようにわかり、今まで、話には聞いていたものの、こうして実際にその土地での彼をみて、なんか、彼らしく、上手に歳を重ねてきたんだな・・ということを目の当たりにできて、これまでよりも、ちょっと頼もしいような、また、彼の持ち味を活かせている素敵な生き方をしているな・・ととても嬉しく思いました。
彼の生き方は、あまり一般的なわかりやすいものではないかもしれませんが、個性的でオリジナルで、無理なく、彼らしい生き方を貫いているようで、なんだかとても良いな・・と思いました。
何より、こんな私が突然、「行くよ!」と勝手にやってきたにもかかわらず、一日潰して、地元を案内してくれるような人の良さ、温かさ、そして彼なりの信念の強さ。
びっちりと一緒に過ごしてきたわけではありませんが、住んでいる国も生活も全く違っているのにもかかわらず、なんとなく、つながりが途絶えずにいると思っていたら、いつのまにかこんなに年月が経っていたという感じ。
それでも、長く付き合いが続いてきたのには、意識している部分だけでなく、たとえ、それが無意識の部分であっても、それなりに共感できる部分がどこかにあったのだということをあらためて、感じさせられるのでした。
何より、私が言いたい放題言っても、「相変わらずだなぁ〜」とゆる〜く受け止めてくれる優しさが私にはとっても心地よく、基本的に私たちの関係性は、出会った頃のまま、ほとんど変わっていません。
鹿児島というところに関する私の知識は、これまでほぼゼロに近いものでしたが、今回、この地を訪れてみて、「なんで、もっと世間の人にこの良さが伝わっていないだろうか?」と不思議に思ったほどです。
現在は、深い緑の中の紅葉のグラデーションがちょっと目を見張るほど美しく、遠くに、そして、近くに見える山の稜線の向こうに見える海と桜島。いたるところから湧き出ている温泉、滝などの自然の美しさとパワーに圧倒されました。
最近は、日本政府の体たらくにうんざりして、「もう、日本はダメなんじゃないの?」とウンザリもしていたのですが、こうして、これまで訪れたことのなかった場所に行くたびに、「日本もまだまだすてたものじゃない!」「こんなに素晴らしいところがたくさんあるんだ!」、「いやいや、日本には、こんな素晴らしい自然の美しさがあるではないか!」と日本の観光業界に期待したい気持ちになりました。
鹿児島県 霧島温泉郷
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