2023年10月8日日曜日

日本への一時帰国の移り変わり

  



 私が海外生活を始めて以来、といってもフランスに来て以来のことですが、日本へは、定期的に一時帰国をしていますが、考えてみれば、その一時帰国もずいぶん、移り変わってきたものだと、思い返します。

 イギリスに留学中だった頃は、期間限定ということもあり、この限られた期間中にわざわざ日本に帰国するのはもったいないと思い、日本ではなく、その分、ヨーロッパを旅行して歩きました。

 日本に定期的に一時帰国をするようになったのは、本格的にフランスに落ち着いて生活を始めてからのことです。

 最初の頃は、子供に少しでも日本に触れる機会をもたせたい、孫の存在をことのほか喜んでくれていた両親に孫を合わせたい、ほんの短い期間でも、子供に日本の学校生活を体験させたいなどというものでした。

 そんな子供のためという理由とともに、特に最初に母の体調が悪くなり始めてからは、日頃は、両親のために何もできないから、日本にいるうちにできるだけのことはやっていかなければ・・と、介護手続きに奔走したり、家の中を生活しやすいように整えたり、その合間を縫って、友達に会ったり、買い物をしたりと超絶忙しい日本滞在でしたが、両親と過ごす時間はかけがえのないものでした。

 両親ともに他界してしまった今では、日本に待っていてくれる人がいるというのは、どんなにか嬉しく、温かい気持ちにさせてくれるものだったか?と思い知らされます。

 その後は、母が急に入院した際とか、危篤状態になって、急に帰国したこともありました。連絡が来て、すぐにチケットをとって、翌日には日本へ・・なんてことも、何回かありました。

 その後、今度は夫が急に亡くなったりして、やたらと多いフランスの学校のバカンスと私のバカンスを調整して、この学校のバカンスをどうにか乗り切っていくために、しばらくは、日本に全く行けなかった数年間もありました。

 その後、しばらくしてから、日本への一時帰国は再開しましたが、それからまもなくして、今度は、父の具合が悪くなり、その介護施設の下見をしに行ったりしたこともあったし、とうとう、父が亡くなった際には、お葬式のために帰国、それからしばらくして、父の死後の手続きのための帰国、その後は、空き家となった実家の片付けに定期的に日本に帰国していましたが、パンデミックのために、2年近く中断していました。

 日本への入国もそろそろ厄介なこともなくなりつつあるかな~?と思っていた頃に、今度はウクライナの戦争が勃発し、一時は日本への直行便もなくなってしまいました。

 その後、娘が日本で就職することになり、しばらく、空き家にしていた家のこともあり、最初ぐらいは・・と思い、娘が日本へ行くときに一緒に同行し、私一人で帰仏しました。

 当時は、直行便がなく、迂回運行で、長距離フライトもずっとマスクをしたままというキツいフライトに思いっきりウンザリして、本当に身体が本当にキツくて足が遠のいていました。

 こうして、考えてみると、これまでは、日本への一時帰国はバカンス感はほとんどなく、ゆっくり過ごすということは全くできず、おまけに、その短期間に会う友人や親戚へのお土産探しだけでも、はっきりいって、大変なストレスで、もう20年以上、度々、フランスから日本へ持っていくお土産には、もう、ありとあらゆるものを持っていき尽くした感もあり、また、数も半端な数ではないため、これを買い集めるだけでも大変なのです。

 そんなわけで、だんだんと日本への一時帰国は楽しい反面、大変、気が重くなりつつあるのも事実なのです。

 若い頃(日本に住んでいた頃)は、海外旅行ばかりしていて、国内旅行は歳をとって、長距離の旅行がきつくなってからにしようなどと思っていたため、ほとんど日本国内を知らずに結局、年齢を重ねつつある今、そろそろ国内旅行にシフトするつもりであったのに、日本の国内旅行は遠いものになってしまったままです。

 今年は、年内には、一度、帰国する予定にしていますが、今は、介護する親もなく、空き家だった家には、娘が住んでいるので、片付ける必要も今のところはなくなり、日本へ帰っての特命事項はあまりなく、運転免許の書き換えや銀行などの用事が多少あるくらいで、自分の好きに過ごすことがようやくできるようになったので、今度は、念願の日本国内を少し旅行しようと思っています。

 そうなってくると、現金なもので、億劫だった日本行きも俄然楽しみになってきて、あそこに行ったら、あれを食べたい、ここも行ってみたい、あそこのあれも食べてみたいと思い始め、一人で夜中に興奮状態になり、眠れなくなるほどです。

 また、そんなことを考えていると、普段はパリで美味しそうなレストランなどを探しては、行ってみたりしているものの、全く興味が失せてしまう自分の変わりようにもびっくりするほどです。

 本来ならば、フランスと日本で半々くらいの生活をするのが理想ではあるのですが、実際に生活していれば、そんなに長く家を空けるわけにもいかず、また、こう航空運賃が爆上がりしてしまえば、そうたびたび、行き来するのも大変なことで、長距離フライトでは体力的にもキツいです。

 また、以前は、「フランスに住んでいるなんていいなぁ・・」などと言う人に対して、「フランスなんて、たまに来るくらいがちょうどいいよ・・」と答えていたのですが、なんとなく、今の自分は、「日本の方がたまに行くくらいがちょうどいいかな?」と思い始めてもいるのです。

 しかし、今回の一時帰国で、少し日本を観光することをとても楽しみにしています。


日本への一時帰国


<関連記事>

「夏の一時帰国時の日本の学校への編入体験 バイリンガル教育の生体験」

「海外生活と日本の家族 母からの最期の手紙」

「海外在住者の本人確認はパスポートではできない不思議」

「コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査」

「死ぬ覚悟と死なせる覚悟」



 

 





 

0 コメント: