WHO(世界保健機構)は、健康のために1日あたりの塩分摂取量は、5g以内に控えることを推奨しており、これにより、血圧を下げ、心血管疾患、脳卒中、心筋梗塞のリスクを下げる効果が期待できるとしています。
しかし、現状、フランス人の一般的な塩分摂取量は、これを約2~3g超えていると言われています。
そこで、注目されたのが、フランス人の主食とも言えるバゲットの塩分量で、フランス パン・パティスリー全国連盟は、すでに2022年の段階で、それまでバゲット100gあたり1.7gであった塩分量を1.5gにすると発表していましたが、2023年10月から、この1.5gからさらに下げて、1.3gにすることを発表しています。
このバゲットの塩分制限については、フランス パン・パティスリー全国連盟と農業省が関わっているもので、本来ならば、厚生省あたりが関わっていそうなところを、農業省というところが生産者側の立場自らが動いている感じがします。
また、公式にこれらの塩分量を定めるあたり、無形文化遺産として登録されているフランスのバゲットというものをフランスに正しく継承していこうとしている姿勢も感じられます。
100gあたり0.2gの差が、バゲットの味にどの程度影響するものか?両方を同時に試したことがないので、わかりませんが、たしかにフランス人のバゲット消費量は、侮れないものがあり、フランスでは、年間100億本のバゲットが消費されていると言われており、これは、1秒あたり320本に相当するそうです。なので、少しずつの積み重ねを考える場合、きっと、少なくない塩分摂取量低減につながるのかもしれません。
つまり、バゲットは、フランス人の1日あたりの塩分摂取量の20%が占められていると言われており、この分の塩分を下げることは、かなり確実な塩分摂取量の低減に繋がることになるというわけです。
とはいえ、このことで、バゲットの味に変化があらわれることは必須で、減塩による味の低下を補うために、酵母に加えて活性サワー種や酵母エキスなどの代替物を取り入れるなどの工夫を加えていくと見られています。
そこまで厳密なバゲットの味の変化をフランス人がどの程度、感じ取ることができるのかどうかはわかりませんが、知らず知らずのうちに減塩できていたら、それは、ありがたいことかもしれません。
しかし、バゲット以上に気になるのは、フランス人の食卓に上ることが多い、ハム・サラミ・ソーセージ・パテ・テリーヌなどのいわゆるシャルキュトリーと呼ばれる食肉加工品。
これらの食品の塩分は、ちょっと知るのも怖いほどの塩分が含まれていることは間違いなく、塩分摂取量を低減するためには、こっちを何とかする方が大幅に削減できそうな気もしないではありません。
だいたい、一般的なフランス料理を思い浮かべるに、脂肪分の塊のようなバターやチーズ、生クリームたっぷりのフランス料理に使われるソース類など、決して身体によいイメージはなく、フランス料理で体調を整えるのは、大変な話ではないか?と思わないでもありません。
しかし、実際には、フランス人は、結構、長寿で、逆にこれだけ、あんまり身体によくないと思われる食品を食べ続けているにもかかわらず、寿命が結構長いのには、この塩分云々以外に何か理由があるのではないか?と思ったりすることもあるくらいです。
バゲット塩分量制限
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