2023年10月1日日曜日

インフレと食餌制限と商品価格の感覚の麻痺

  


 今年に入って、具体的に症状が何かあるわけではないのですが、たまたま、かかりつけのお医者さんに、「あなたは、ここ数年、心臓専門医の診察を受けていないから、そろそろ行っておいた方がいいわよ・・」と言われて、心臓専門医にかかる時に持参するために、今年の初め頃に受けた血液検査から、心臓だけでなく、肝臓にも問題があるかもしれないなどと言われて、肝臓の検査まで受けるハメになり、結果、現在のところ、深刻な状態ではないとはいえ、アルコールや糖分は控えるようにと言われて、食餌療法というほどではないにせよ、少々、食事には気を付けるようになりました。

 若い頃は、身体にいい食べ物・・などと言われると、それだけで、なんだかマズそうな気分になる、あまのじゃくな私でしたが、年齢を重ね、実際に、身体に異常が見られ始めたりすれば、気弱にもなり、少々、食べ物には気を付けるようになったのです。

 アルコールに関しては、若い頃から、もう酒瓶を見るだけでワクワクするほどのお酒好きで、ふつうの人の一生分の消費量をとうに上回っている量を消費してきたと思うのですが、どういうわけか、昨年末頃から、全くお酒が飲みたくなくなり、「飲みたいと思わないんだから、無理して飲むこともないな・・」と思って、全然、飲んでいないのですが、「この私がお酒を飲みたくないなんて、私、死ぬんじゃないかな?」と、ちょっと不気味でもあったのです。

 そんなわけで、「肝臓に異常があったから、飲みたくなくなっていたのか・・身体はうまくできてるもんだ・・」と妙に納得したりもしました。

 しかし、お酒を飲まなくなった代わりに、甘いものが食べたくなり、若い頃は見向きもしなかったスイーツ類をやたらと食べるようになり、ワインを買いだめするかわりに、家には、なんらかのスイーツがストックされるようになっていたのです。

 それを「糖分は控えなさい」などと言われて、全く、ゼロにしてしまうのも、あまりに寂しいので、スーパーマーケットで買えるような袋菓子のようなスイーツは一切、買わないことにして、たまに、特別に食べてみたいと思う特別なお店のものなら、まあ良しとしようとすることにしたのです。

 結果、お値段は、ケーキやタルト1個の値段が平均17ユーロとか、ヴィエノワズリーでさえも、1個5ユーロから10ユーロあたりという驚異的な価格で、まあ、それなりの有名どころのパティスリーなどでも、ケーキ1個10ユーロは当たり前の感じで、一度にそんなにたくさん買うわけではないにせよ、かなりのお値段で、値段的にも制限せざるを得ないような感じなのですが、同時に、だんだん、その値段にも麻痺してきてしまいました。

 ある日、あれ?こんな場所にブーランジェリーがあったっけ?と思って入ったお店で並んでいたケーキを覗いてみたところ、お値段が、半分どころか、3分の一くらいのお値段で、あれあれ?ケーキって、一体、いくらくらいのものだったんだっけ? と少なからず、自分でも動揺し、わけがわからなくなってしまいました。

 つまり、私の生活は、非常に偏っていて、日常の買い物は必要最低限のもので、特に夏の間などは、ベランダで野菜を育てて自分で作る質素な食事をし、ごくごく、たまに常識を超えた値段の贅沢なスイーツなどを食べてみるという奇妙なもので、インフレを感じつつも、もう物の値段がわからなくなりかけている奇妙な状態なのです。

 止まらないインフレで、スーパーマーケットに行って、「何でも高くなったなぁ~」と思うことにも慣れてしまっている今、「値上がりしている分だけ、消費を控えればいい・・」などと気安く考えていたのですが、そんな単純なことさえ、商品価格の感覚が麻痺してきていて、わけがわからなくなっているということは、さらに始末に負えないことになってしまっているということなのです。


インフレ 商品価格の感覚麻痺


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