2023年10月13日金曜日

繋がりを絶った友人

  


 私は、もともと、そんなに友達が多い方ではないのですが、よく言えば、どちらかというと、本当に心の許せる人と深く付き合うタイプです。

 たくさんの友達が欲しいとも、あまり思いません。そうそう気の合う人というのも、そんなにいるわけでもなく、なんとなく、いつの間にか友達になって、だんだんとその友人関係が凝縮されていく感じで、離れていても、付き合いが続いている人とでも友人関係が続く場合もあるし、意図的ではなくとも、なんとなく、知らず知らずのうちに疎遠になっているという場合も少なくありません。

 もういい加減、いい歳になって、無理して付き合うのは友達ではないし、私は、一人の時間もとても好きなので、仕事上などならば、仕方ないとしても、それ以外で、無理をするつもりもありません。

 ましてや海外にいれば、日本の友人とは疎遠になりがちになってしまいますが、それでも、今はネットがあるので、繋がり続けて、時々、思い出したように連絡を取り続け、日本に一時帰国した際には久しぶりに会って、一緒の時間を過ごしたりもします。

 そんな日本の友人は、学生時代の友人や、職場で知り合った人、また、留学中に知り合った人やフランスに来てから知り合った人もいます。

 いつも日本にいるわけでもないこともあって、私は同窓会のようなものには、行ったことがないし、特に行きたいとも思いません。

 いくら友人が多くはないとはいえ、限られた一時帰国の期間に友人や親戚など、会える人も限られてしまい、あっという間に予定がギチギチに詰まってしまうのも、楽しい反面、ちょっとしんどかったりもします。

 先日、同い年の従妹から、連絡があって、高校の同窓会に行ったら(彼女とは同じ高校に通っていました)、私が仲良くしていた友人に会って、連絡をとりたいって、言ってたよ!よかったら、連絡してあげて!と言われて、気が重くなりました。

 彼女(高校の時の同級生)とは高校を卒業して、お互い別々の大学に進み、別々の会社に就職してからも、付き合いは続いていて、時折、一緒に飲みに行ったりしていて、フランスに来てからも、たまにメールをしたりもしていて、ある時期までは、一応、付き合いは途絶えずにいました。

 しかし、夫が突然亡くなってしまった時、その直後は、もう呆然自失というか、悲しみのどん底にいた私は、とりあえず、日本で付き合いが続いている友人たちにもメールで連絡をしました。

 本当に、あの時ほど気持ちが落ち込んだことは、なかなかなく、まだ小さい子供を抱えて、海外でどうやって暮らして行こうか?と途方に暮れてもいました。

 そんな時、今では、もうはっきり覚えていないのですが、突然の訃報に彼女から、一応、お悔やみのようなメールが来て、お悔やみの言葉とともに「足るを知る・・」というような説教じみたことが、書かれていて、私はその瞬間に彼女との間に大きな鉄の扉が降りるような気がしたのでした。

 夫を亡くした直後の人間に「足るを知る」ってどういうこと?と。もう怒りという気持ちよりも、心が反応しない感じでした。しかし、とりあえずは、「このような状況に、この内容は私には、受け入れられない・・もう、連絡しないでください・・」というような返事を送り、彼女からのメールの履歴もアドレスも全て消し去り、繋がりを絶ったのでした。

 その後は、こちらでの生活も仕事と子育てと忙しく、日本に一時帰国する際にも、期間限定であれこれと用事をこなしたり、他の友人や親戚と会うのにいっぱいいっぱいで、正直、彼女のことを思い出すこともありませんでした。

 もう、あれから、ずいぶんと時間が経ったので、もうどうでもいい・・という気持ちもあるものの、今でもあの時のヒリヒリした気持ちを忘れることができません。

 トラウマというほどのことでもないかもしれませんが、あの時の気持ちが蘇えると未だに心がヒリヒリしてしまうので、今さら、繋がりを再開する気持ちにもなりません。今後、日本に住むことがあって、時間が有り余るほどあったらば、また、違うのかもしれませんが、私の気持ちは解けずにいるのです。

 間に入らせられてしまった従妹には、申し訳なく、事情を話して、ごめんね・・と謝ったのですが、「どおりで、彼女、やけに必死だった・・」と言っていました。

 今さら、彼女を恨む気持ちもありませんが、一時期、一緒の時間を過ごした時があったというだけで、もういいじゃないか・・と思いつつ、久しぶりに浮上した彼女の話にちょっとモヤモヤしたのでした。


学生時代の友人


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