フランスのスーパーマーケットで食品を選ぼうとする時、パッケージの前面に、緑、薄緑、黄色、オレンジ、赤に色分けされたA~EまでのNUTRI-SCOREなる食品表示を目にすることが多くなりました。
この食品表示は、消費者が栄養の観点からより健康的な製品の選択を奨励するために、医療制度近代化法の一環として施行されているもので、2016年にフランス政府主導で進められ、その後、ベルギー、スペイン、ドイツ、オランダ、スイスなどの国でも導入され、国際ガン研究機関や世界保健機構(WHO)などの支援を受けながら、どんどん広まっています。
私の場合、この表示には、ちょっと首をかしげることも少なくなく、今一つ、納得いかないこともありますが、このおかげで、手を引っ込めることになる機会が多いです。
例えば、お菓子売り場などを歩くと、軒並み<E>の表示が並んでいて、ちょっと恐ろしくなるくらいで、この表示のために思わず伸ばした手を引っ込めることも少なくありません。
これが表示されていることで、買うのをやめることはあっても、買うことにすることは、ほとんどありません。
このシステムが導入されるにあたって、案の定、食品業界からは、大反対の声があがったと言われていますが、逆に消費者団体がこれを強く支持し、このシステムを推進するためのイニシアチブをとりました。
生産者側の立場に立てば、明らかに不利だと思われる表示をメーカー側が自ら表示することは、大変、抵抗のあることは当然のことですが、同時に良心的である印象もあり、また、この表示を少しでも、良いものにしようとする開発努力が生産者側にも生まれる傾向にもあるかもしれません。
現段階では、この表示は絶対的に義務付けられているものではなく、欧州連合の規制により、あくまでも、これを表示することが推奨されるというものに留まっていますが、ここ数年で、ずいぶんとこの表示が増えたような気がしています。
子供に食べさせるにしても、大人が食べるにしても、<E>と表示されている商品に手をのばすのは、なかなか勇気がいるものです。
しかし、この食品表示で、健康状態改善には一定の成果が見られていると評価されており、また、これを販売する側の大手スーパーマーケットチェーン(ルクレール、オーシャン、インターマルシェなど)は、自社ブランド製品には、全てこのニュートリスコアを表示することを宣言しています。
肝心なのは、これがどの程度、正当性があるのかということで、この採点にあたっては、100gあたりのカロリー、糖度、飽和脂肪含有量、塩分含有量などがマイナスポイントとして換算され、逆に、果物、野菜、豆類、菜種油、オリーブオイル、食物繊維、タンパク質などの含有量はプラスに換算されるようです。
しかし、チーズは、タンパク質、カルシウム含有量に重きを置いて考慮が加えられているようなところは、少々、都合のよい解釈のような気もします。
私は、自分なりの食品についての知識と見解を持っているつもりでも、最近は、やたらと、この食品表示が気になって仕方なく、明らかに<E>・・そうだよな・・と思うことはともかくとして、予想外によかったり、悪かったりする場合に出くわして、モヤモヤします。
たとえば、フランスの冷凍食品のお店 PICARD(ピカール)で見かけた鯖の切り身とゴルゴンゾーラとマッシュルームのタルトが同じ<C>! この鯖は私の大のお気に入りの商品で、私は、このためにピカールに行くといっても過言ではないほどで、しかも、これは、調理されたものではないため、素材そのもので油や塩分、糖分は加えられていません。日本人の私としては、青魚は身体に良いという認識が高いため、自分の中でのこの鯖の評価は間違いなく<A>で、思わず、「鯖を<C>扱いするとは、鯖への冒涜!」と大いに憤慨したのです。
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