フランス人にとって、やはりなくてはならない食品はパンだと思うし、それだけ、こだわりのある食品であると同時に、もうあまりに身近すぎて、空気のように、そこにあるのが当然というものかもしれません。
今や、かなり浸透している食品廃棄物防止対策用のお得なアプリ「Too Good To Go」(通称トゥグトゥゴ)(その日に売れ残りの商品を格安で買える)が行った調査によれば、「フランス人の10人に6人はパンを捨てている」といい、パンはあまりにも無駄になっている商品の一つだといっています。
ユネスコの無形文化遺産に登録されたフランス料理の象徴であるパン(ここで言っているのは恐らく主にはバゲットについてだと思いますが・・)はフランス人の96%が少なくとも週に1回は消費しているが(私が思っていたよりも少なかった)、回答者の41%は月にバゲットの半分以上を捨てていると答え、パンを捨てる理由はパンが乾燥したり、古くなったりするためと説明しています。
たしかに、バゲットというものは、すぐに固くなってしまうので、そのまま放置しておくと、もう翌日には、アウトで、かといって、ビニール袋などに入れておくと、固くはならないものの、今度はグニョッとした感じになってしまうので、たしかに始末が悪いといえば、悪いのです。
バゲットはやはりその日のうちに食べるのが一番美味しいし、もってせいぜい翌日の朝までがいいところです。
私などは、一人暮らしなので、もともと買うときに、ドゥミ・バゲット・・と頼んで、半分だけ買うか?もしくは、買ってきて、その時に食べない分はさっさと冷凍してしいまいます。
ただし、バゲットは、けっこう場所を取るので、冷凍庫の中には、あんまり歓迎されるものでもありません。
それでも、私は、バゲットというものは、フランスの中でも最も美味しいもののひとつだと思っているので、美味しいパン屋さんの近くへ行けば、たいてい買ってしまいます。
その時にちょうど焼き立てだったりすれば、なんだか今日は当たり!みたいな気分になります。
しかし、私は、一度もバゲットを捨てたことはありません。うっかり固くなってしまえば、ちょっと霧吹きで水をかけ、ちょっとオーブンであぶれば、復活するし、どうしようもない時には、フレンチトーストにします。
たしかに、夫が存命中は、彼はやたらとバゲットを買ってきていた(3人家族なのに、一度に2本買い、1本目は家につく頃には、ほぼない状態で車の中はいつもパンくずが散らばっていました)ので、そういえば、パン袋(布製のバゲットを入れておく袋がある)の底に固くなったパンがしばしば発見された記憶があります。
つまり、彼はバゲットが大好きなのに、結局は無駄にして捨ててしまうこともあるというスタンダードなフランス人だったのです。
また、バゲットといえば、忘れられないのがパンが大好きな彼の友人で、とにかくパンが大好きで、ピザを食べても一緒にパンを食べたいという人がいました。
ある時、彼は「日本食のレストランはあんまり好きじゃないんだ・・」というので、「なんで?」と聞いたら、「だって、パンが一緒に出てこないから・・」というので、妙に納得してしまったことを思い出します。
このうえ、店舗に出ているパンのことを考えたら、本当に廃棄されているであろうパンの量といったら、莫大な量なのではないかと思われます。
絶対的に生産されている量が多いわけですから、廃棄されている量も自ずと多くなるわけです。
この調査によると、回答者の80%が割引価格で1日前のパンを買う意思があると答えているそうで、そうして、安くしてでも売っていけば、買う人はいるんだろうに・・なぜ?売らないんだろう?と思います。
こうして考えてみると、好きだからこそ、やたら買う・・でも無駄にしてしまう・・そんなものは、パンだけじゃなくて、けっこうあるかもしれないな・・とも思うのです。
フランス人はパンを無駄にしている
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