2023年2月15日水曜日

欧州議会 2035年から内燃機関搭載の新車販売禁止を採択 100%電気自動車を目指す

  


 欧州議会は2035年から内燃機関搭載の新車販売を禁止にする規制案を採択しました。つまり、EU圏内のガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売を事実上停止し、欧州全体で、本格的に電気自動車に切り替えていくという方向に大きく舵を切ったことになります。

 2035年というと、12年後、つまり次のウサギ年が回ってくる頃まで、自動車業界には、激動の12年間となりそうです。

 欧州議会・運輸議会議長は、この決定を「我々は、自動車と気候という敵対する2つの兄弟を和解させる歴史的な合意に達した」と誇らしく語っています。

 賛成340票、反対279票、棄権21票で採択されたこの規制案は、欧州における新車のCO2排出量を2035年からゼロにすることを定めたものです。

 この票数を見れば、これに反対する票もかなりあったことがわかります。

 これまでにもフランスでは、すでに、かなり排ガス規制が厳しくなり、特にパリ市内は規制がややこしく、私が時々、お世話になっている運転手さんによると、「車の車検は年々、厳しくなり、結局は、今までよりも、かなり頻繁に車を買い替えなければならないようにできている・・」とのことで、彼曰く、車は自分で持たないのが一番だそうで、私自身もあまり必要性を感じることもなく、車は手放してしまっています。

 また、この中間地点の2030年以降に販売される新車のCO2排出量を2021年比で55%削減することが定められており、現在の目標値37.5%を大きく上回っています。それだけ環境対策が急がれていることは、ここ近年の異常気象などからも理解できるのですが、言うほど簡単なことではありません。

 現在、トータルエナジーズのストライキなどで、ガソリン供給がままならなくなって、ガソリンスタンドに行列している車なども劇的に減少するということにはなりますが、新車の販売を中止したところで、フランス人が乗る車(買う車、探す車)は、ほぼ中古車で、正確な数字はわかりませんが、フランスの中古車率はかなり高いと思われるため、2035年に、ガソリン車の販売がストップしたところで、すぐにすべてが電気自動車になるわけではありません。

 ただし、新車の販売がストップするということは、部品などの生産もストップするわけで、修理などが不可能になっていく可能性もあります。

 また、これにより、現在1250万人の雇用を生み出している欧州の自動車産業に大変な影響を及ぼすであろうことも危惧されています。雇用問題までが関わってくれば、その過程でまた大変な騒動が起こることが予想されます。

 そして、同時に、電気自動車充電のための電力供給と電力生産の方法なども問題が積み重なります。そして、この規制案に反対するグループによれば、電気自動車の生産は、これまでの内燃機関搭載車に比べて生産自体が公害を排出するものであるという声もあり、また、電気自動車の寿命はこれまでの車よりも3~4倍寿命が短いという調査結果も提出されています。

 これに対抗して、電気自動車の電池リサイクルも検討されていますが、現在のところ、電池リサイクルはわずか5%にとどまっている状態だそうで、これからさらなる開発が求められるところです。

 また、この種の規制案にはつきものの、付け加えられている例外条項についてですが、年間生産台数1万台未満のメーカーには、他の業界より1年長い2035年末まで内燃機関を搭載することを認める猶予が与えられています。この条項は、時に「フェラーリ修正条項」とも呼ばれ、特に高級ブランドに恩恵をもたらすもののようです。

 また、富裕層優遇??とちょっとイラっとしないでもありませんが、このくらいの高級ブランドとなれば、ただでさえ、減価償却しないイメージのある車、かえって今後、生産されなくなるとすれば、コレクターにとっては、まさに価値は激上がりしそうで、また別のマーケットが生まれそうな気もしています。

 いずれにせよ、色々なもの、色々なことがどんどん変わっていく世界。変化を柔軟に受け入れる姿勢を持ち続けなければならないのかもしれません。


欧州議会2035年内燃機関搭載の新車販売禁止


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