2023年2月1日水曜日

2回目の年金改革反対の大規模デモとストライキ 

 


 かねてからの予告どおりに、年金改革反対デモが、前回の規模を上回り、大規模に行われました。CGT(労働組合連合)の発表では、フランス全土で280万人を動員したとありましたが、当局の発表では、127万人との発表でかなりの誤差があり、正確な数字は不明ですが、いずれにしても、前回の動員数を上回る大規模なものとなりました。

 この手のデモには、公共交通機関等のストライキがセットのようになっていますが、誰もが大迷惑を被っているには変わりありませんが、かなり前から日程が予告されているために、リモートワークに切り替えたりする選択肢ができたために、昔ほどには、混乱していないような気もします。

 しかし、個人的には、小さい子供を持つ親たちにとっては、学校のストライキがどうにも辛いような気がします。

 前日には、「このデモには、200人から400人のブラックブロック(黒い服に身を包んだ破壊行動に及ぶ集団)の出没が見込まれている」などという報道もあったので、デモ自体が規模を大きくするうえに、また、パリの街が破壊される!と危惧もあったのですが、どうやら、このブラックブロックは警察や憲兵隊によってブロックされたようで、一部、催涙ガスで応戦したりする場面もあったようですが、大きな破壊行動は見られなかったようです。



 もはやデモで催涙ガスで応戦などという状況には驚かなくなっている自分もちょっとどうかとも思うのですが、これまで、車やゴミ箱、店舗や銀行などが燃やされるような、さらに深刻な破壊行動を目にしてきたために、これならまだマシ・・と思ってしまうのです。

 しかし、おそらく、今回のような大規模なデモを暴力的な破壊行動に発展していくことを防ぐためには、相当な警備で固めているものと思われます。一度、デモ隊を警備する憲兵隊の一団に遭遇したことがありましたが、かなりの厳つい重装備で、固まって歩いているだけでも、ちょっと怖いような感じで、しかも、かなりの大人数で、威圧感がハンパない感じでした。

 このデモの一日が終わるか終わらないかのうちに、早々に次回のデモは2月7日と11日の2日間にわたり行われるという発表があり、こんなことばかりは、素早い決定と発表だ・・と、ため息が出てしまいました。

 前回に比べて、次回のデモまでの予定が1週間後と、期間が狭まったことや2日間にわたるということには、このまま勢いをつけて加速させていく試みが感じられますが、逆に動員が2日間に分散されてしまうことも考えられます。

 この勢いを増していく国民のデモに対して、政府はかなり泰然と構えている印象で、なにがあっても応じない姿勢が感じられます。政府報道官は、「デモを続ける行為は尊重されるべきものであり、続けたい者は続ければよいが、働く人々を尊重してほしい」と述べ、内務相などは、「概ね安全にデモを保護することができた警察の働きに感謝したい」などと余裕のツイートをしたり、首相にいたっては、年金改革に対する疑念は受け止めるが、軌道修正するつもりはないと発表したり・・これだけ大勢の人が声を上げているデモにもかかわらず、びくともしていない感じがあります。

 今回のデモ・ストライキでは、ストライキの方に関しては、総合的には、若干前回の勢いを下回っていたようで、ストライキを行えば、当然ながら、その日の分の給与は支払われないわけで、このインフレの中、そうそうストライキもしていられない苦しい懐事情も関係しているような気がします。

 政府からしてみれば、このような大規模なデモにもかかわらず、「騒ぎたい奴らは騒いでおけ・・」ということで、これが破壊行動を伴ってさらに悲惨な状況にならないように厳重な警備で固めておくことで、発散させるところは発散させておくという態度で、この先、どこまで国民が根気よくこの叫びを上げ続けるのか?は、政府対国民の闘いはまだまだ続きそうです。

 いずれにしても、細かいことは色々あるにせよ、大きくは2年間定年の年齢が延長されるという話。しかも62歳から64歳へ。

 日本をはじめ、もうとっくに定年は65歳あるいは、それ以上になっている国も少なくないところ、64歳でここまで大騒ぎするフランス人のエネルギーにある意味、すごいな・・逆に、「こんなに元気なら、もう少し働けるのでは・・」などと、うっかりフランス人の前では呟けないようなことをこっそり思っているのです。


フランス年金改革反対デモ 2回目 


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