2021年1月1日金曜日

2020年〜2021年 年越しのフランスの夜

  

大晦日のシャンゼリゼ 夜間外出禁止の厳重な警戒体制


 2020年は、思っても見なかった大変な年になりました。たまたま、用事で2月に日本に帰国した際の飛行機に乗った時に、ここ数年、日本行きの飛行機の9割方の乗客がフランス人になっていたはずの、そのフランス人の乗客が消えていました。

 2月の時点では、フランスでは、まだまだコロナウィルスは、アジアで起こっている感染症という認識で、ダイヤモンドプリンセスでの感染が盛んに騒がれていた頃です。

 私が日本から帰国した2月末には、フランスに無事に入国させてもらえるかどうかを心配していたくらいです。しかし、フランス入国に際しては、ノーチェック、いつもと何ら変わりはありませんでした。

 そのフランスの水際対策の甘さは、現在は、一応、検査場などは用意されてはいるものの、あまり進展は、ありません。(現在は、イギリスからの入国は厳しいようですが・・)

 それが3月に入った頃から、あっという間に立場は逆転し、3月半ばには、フランスは、ロックダウンになりました。街には、警察や憲兵隊が控え、「家から出てはいけない」などという状況が、自分の人生のうちに起こるなどとは、夢にも思ってはいませんでした。

 長年生活しているとはいえ、異国の地で、よく正体のわからない恐ろしいウィルスが蔓延している状況で、不安でニュースをテレビで毎日、一生懸命見る習慣ができました。当初、フランスでは、マスクが圧倒的に不足しており、日常生活を普通に送る分には、一般人(医療従事者等以外)は、マスクは必要ないなどと言われていました。

 実際に一般人がマスクを買うこともできませんでした。

 しかし、そんなことはあり得ない!しないよりはした方が良いに決まっています。私は、家の中のどこかにはあるはずのマスクを探し出し、政府が何と言おうとマスクはすることにしていました。情報は得つつも、その情報を元に自分で判断することが必要だと実感しました。

 といっても、最初のロックダウン中は、買い物に2回出たのみで、それ以外は外出することはありませんでした。5月に1度目のロックダウンが解除される頃になって、どうやらマスクは必要だということになり、市役所からマスクが配布され、高価ではありましたが、一般人もマスクが買えるようになりました。

 5月から徐々に感染は、減少しましたが、ウィルスが消えることはなく、人々は日常のデモを再開し、多くの人が夏のバカンスに出かけるのをハラハラする思いで見ていました。案の定、フランス人がバカンスから戻り、気温が低下するとともに、フランスには、第2波がやってきて、10月には、1日の感染者が6万人までにも膨れ上がり、10月末には、再びロックダウンになりました。

 ノエルを目前に控えたロックダウン、しかし、その頃の感染状況には、さすがのフランス人も「この状況では、ロックダウンも仕方ない、今、我慢して、何とかノエルを家族とともに祝いたい・・」との思いから、約1ヶ月のロックダウンで、奇跡的に1日の感染者は、1万人台までに減少しました。

 とはいえ、それでも1日1万人以上の感染者が出ている状況で、ロックダウンを解除し、ノエルを家族と過ごすことを禁じきれないフランスを遺憾に思っていましたが、年越しに関しては、20時以降の夜間外出禁止が敷かれました。

 いつもは、大晦日には、人で溢れかえるシャンゼリゼも人影がなく、街路樹の赤いイルミネーションと警備にあたる警察官のみの静かで、しかし異様な光景が広がっていました。

  

街路樹のイルミネーションがなければシャンゼリゼに見えない

 大晦日の夜は、フランス国内では、10万人の警察官が動員され、この夜間外出禁止を取り締まりにあたりました。

 しかし、外出さえしなければ良いと考えている若者は多く、夜20時までに友人宅に集まり、一晩中、皆で家で過ごせば良いのです。この日に備えて、寝袋や簡易ベッドがあっという間に完売状態、若者は、外出しない、年越しのパーティーの準備をしていました。

 地域によっては、31日の16時からアルコール販売禁止などの措置をとったところもあるようですが、焼石に水です。

 街の中が静かな分、屋内では、どれだけの人がパーティーを開いているかと思うとその皮肉な状況が恨めしく思えてならないのです。実際に、リヨンやレンヌでは、1000人、2000人規模の違法パーティーが行われていた模様です。

 2020年のフランスのコロナウィルスによる死亡者は、64,632人でした。これだけの犠牲者を出してもなお、今の状況が理解できていない人がいることを悲しく思います。

 それでも、2021年はノエルも年越しも心おきなく過ごせるようになるように・・というよりも、普通の生活が普通に送れるようになるといいなと祈るような気持ちでいます。

 もはやフランスを救うのは、ワクチンだけなのでしょうか? ワクチンを一般人が受けられるようになるのは、春以降になるようです。

 今年は、シャンゼリゼもエッフェル塔も花火はなし。ベルサイユ宮殿の庭園で花火が上がりました。


 

 

<関連>

「心配の種は尽きないフランス ノエルの後は、年越し」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_27.html

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