ローヌ地方(フランス南東部)でモルビエ(生乳チーズ)を食べた2人の少女(1人は7歳、もう1人は生後18ヶ月)が大腸菌による感染症を引き起こし重篤な状態に陥っていることがわかりました。
この感染症は成人にとっては重篤になることはほとんどありませんが、小児では重篤な症状を引き起こし、死に至る可能性もあると言われています。
この事件を受けて、当局は子供の食事に関して予防策を講じることを推奨しています。
この細菌は反芻動物の消化管に存在し、その肉や牛乳を汚染する可能性があり、溶結性尿毒症症候群(HUS)を引き起こす可能性があります。
溶血性尿毒症症候群(HUS)は、成人にとってはそれほど危険ではありませんが、虚弱体質の人、特に高齢者や5歳未満の子供にとっては危険であり、場合によっては死に至る可能性があります。 フランスでは年間約160件の症例が記録されており、主に不十分に調理された肉や低温殺菌されていない乳製品が原因となっています。
これを聞いて、チーズにそんな危険があったことに、今さらながら、身が震え上がる思いがしたのです。
というのも、フランス人の夫は、大のチーズ好きで、「フランスには、何百、何千種類のチーズがあるんだ!この素晴らしい食文化をどうしても子供には教えなければならない!」と娘が小さい頃には定期的に違うチーズを何種類か買ってきては、娘に食べさせていました。
残念ながら?娘はチーズが嫌いで、むしろ、小さい頃に様々なクセのあるチーズを無理矢理食べさせられたために、余計に嫌いになったきらいがあります。「嫌いかどうかは食べてみなければわからない!」と夫はひとくちでも食べてみろと娘に食べさせていました。その中に、モルビエも入っていたことは間違いありません。
そのたびに、娘はひとくち食べるだけで、「ノン、ノン、ジェムパ・・」(嫌い)と言って、結局は、ほとんどは夫が食べていたので、そのうち私たちは、「チーズを食べたいパパが口実をつけて、チーズを買ってきているだけじゃん!」などと、冷たくあしらっていたために、しばらくして、夫はそんな娘へのチーズ教育をやめてしまいましたが、それでも、娘が小さい頃に食べたフランスのチーズの種類は相当数に及ぶと思います。
しかし、結果的に、それでわかったことは、娘がチーズはあまり好きではないということで、今でも、娘が食べるチーズは、ほんの限られた種類のみです。
今回のモルビエ事件を受けて、パリのトルソー病院(小児病院)の医長は、子供に食べさせてはいけない食品を説明しています。
生乳から作られているルブロション、サレール、ブリー、ピコドン、ぺラドン、特定のカマンベール、モルビエ、モンドゴールドなどはNG。
子供に食べさせてよいのは、エメンタール、コンテ、アボンダンス、グリュイエールなどの調理済みのプレスチーズ、スプレッド加工されたプロセスチーズ」や低温殺菌牛乳から作られたチーズであると例示しています。
肉、特に牛ひき肉はよく火を通しておかなければならず、生乳、生乳から作られたチーズなどの乳製品は5歳未満の子供にたべさせてはいけないと説明しています。
また、子供たちには、ピザ、ケーキ、パイ生地などの小麦粉を使った調理品を生または調理が不十分なものを与えないように勧告しています。
そういえば、何年か前にブイトーニの冷凍ピザで食中毒事件があり、子供が数名死亡したことがありました。あの時も溶血性尿毒症症候群(HUS)と毒素産生性大腸菌(STEC)の感染症が原因でした。
しかし、あの時は、むしろ、あの冷凍ピザ工場の衛生状態のあまりの酷さがクローズアップされていたのですが、考えてみれば、ピザ生地の調理具合は問題にはされていませんでした。
いずれにしても、子供の食事には気をつけなければいけないことが多々あったにもかかわらず、私には、一応、常識的な、なんとなくの感覚があったのみで、詳しい知識はなく、大病をすることもなく娘が無事に育ったのは奇跡的なことだった・・と今さらながら、胸をなでおろす気持ちです。
生乳チーズ モルビエ食中毒
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