一昨日の夜、テレビのニュースを見ていたら、速報が表示され、「パリオリンピックのセキュリティ情報が盗まれた」と書いてあったので、「なんで?ハッキングにでもあったの?」と思いました。
そのうち、詳細が報道されると思っていましたが、その日の夜は、そのニュースに関しては、それ以上は、報道されることはありませんでした。
翌日になって、この「オリンピックのセキュリティ情報盗難」については、それがその情報が入ったパソコンと2本のUSBキー入りのバッグが盗まれたということであったということがわかりました。
このバッグの持ち主はパリ市役所に勤める56歳のエンジニアで、彼はパリ北駅からクレイユ(オワーズ県パリ北部)行きの電車に乗りましたが、彼の乗っていた電車が遅れたために、電車を乗り換えようとした時に、車内上部の棚においていた彼のバッグが盗まれていることに気付いたと言います。要は彼は置き引きに遭ったのです。
そもそも、そんな重要な情報が入ったものを電車の棚に置くなど、信じられないことではありますが、人間、ふと気が緩むということはあり得ることではあります。しかし、そのような重要なセキュリティ情報を外部に持ち出せるということ自体が、セキュリティの甘さのような気もします。
私は、あまり郊外電車に乗る機会がないので、電車の棚というものは、ふつうパリのメトロ内にはないので、荷物を置いてしまう誘惑?はないし、やはり、パリで自分の手から荷物を放すということは、ちょっと怖くて想像がつきません。
このバッグを盗んだ人が、単なる置き引きで、パソコンが入っている感じのバッグとして盗んだだけであったのか?そのような重要情報が入ったことを狙って盗んだのであるかは不明ですが、この報道がされた時点で、自分が盗んだパソコンとUSBキーには、重要な情報が入ったものであったことは、わかったはずです。
悪く考えれば、パリオリンピックの安全を脅かそうと企てている輩には、高く売れる情報だと考えるかもしれません。
パリオリンピックに際しては、パリ市はこのために2,000人の市警察官を動員する予定にしており、オリンピックの交通に関するセキュリティ情報が含まれていると言われています。
翌朝、パリオリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長は、これらの文書の盗難について慎重な姿勢を示し、「パリ市からの確認は得られていないので、自分の意見を表明する前にこの情報が確認されるのを待ちたい」としながらも、「情報はオリンピック期間中のパリの交通に関する注意事項であり、機密性の高いセキュリティ情報に関するものではない」としていますが、言い訳じみている気もします。
このオリンピック組織委員会会長の「機密性の高い情報ではない」という発言に対し、サイバーセキュリティの専門家は、そのようなデータの盗難に伴うリスクを説明しています。
「盗難の被害者になることは誰にでも起こり得ることで、その人を責めるつもりはありませんが、これは非常に深刻なことです。盗難の背後に誰がいるのかはわからないので、標的型攻撃であると言い切ることはできません。しかし、この事態に接し、私たちは、すべての計画の見直しプランを確認する必要があります」
「このような事態には、最悪のシナリオを想定する必要があり、これを盗んだのが、犯罪ネットワークのメンバーであれば、それを売ろうとするであろうし、現在、戦争を起こしている国がオリンピック期間中に攻撃をしかけよう必死になっていることは、公然の秘密です」
「この場合の問題は、USBキーだけでなくパソコンも盗まれたことです。 ただし、PC では、起動時から暗号化が行われることは非常にまれです。 その後、ハッカーはコンピュータ上のシステムを再構築し、何が入力されたのか、いつキーが接続されたのかを確認し、記録されたパスワードの履歴を追跡する可能性があります。すべての要素が揃っておらず、誰が誰であるかわからないため、不確実性がありますが、これをすべて入手したら、すべての計画、いずれにしても盗まれた計画を確認する必要があります。 悪意のある誰かがそれらを持っていると考えたほうがよいでしょう」と説明しています。
この盗難事件がなかったとしても、オリンピック期間中は、常に大規模なサイバー攻撃合戦のイベントのようなもので、ハッカーフォーラムやダークウェブにおいて、この攻撃の成功は、「悪名」という点において、彼らの聖杯となるのです。
しかし、現段階では、それがハッキングとか、そんなレベルではなく、物理的にパソコンとUSBキーを盗まれるという思いもしないレベルの問題に、なんだか、拍子抜けする気もするのです。
パリ検察当局は、公共交通機関での盗難の捜査として、この事件は、運輸ネットワーク保安局に委託されたと発表しています。
パリオリンピック セキュリティ情報盗難
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