2月5日は国が定めた自殺予防デーであることをこのニュースで知りました。フランス公衆衛生局がこの日を記念して発表したデータから、「過去 10 年間に見られた18歳から24歳の生涯にわたる自殺念慮と自殺未遂の大幅な増加」が注目されています。
フランスは「ヨーロッパ諸国の中で自殺率が最も高い国の一つ」であるとも言われています。
今回フランス公衆衛生局が発表したデータの中で、最も顕著は変動が認められたのはこの18歳から24歳の若い女性の自殺、あるいは自殺未遂の大幅な増加で、+32%増という驚異的な数字を記録しています。
この若者の自殺・自殺未遂件数の増加は、そもそも不安定な年頃で、潜在的な危険をはらんでいたところに、後から思い返せば一時的ではあったものの、この数年間に人との関わりが途絶えたパンデミックの期間が影響していると言われていますが、その人口動態、家庭環境などを見ると、明らかに格差社会が影響していることもわかります。
例えば2022年には、10歳以上の75,803人が自殺未遂や自傷行為により入院。そのうち64%が女性であり、また、その内訳は、圧倒的に貧しい家庭の子供に偏っているというのも、社会的に生きづらいことを浮き彫りにしているとも言えます。
裕福な家庭の子供が自殺しないというわけではありませんが、この両カテゴリーを比較すると、貧しい家庭の子供の自殺願望は裕福な家庭の子供のほぼ2倍であったようです。
また、この社会的格差がより顕著に表れているのは、45歳から49歳の女性にも見えることでもあり、この年代の貧因層は、そうでない女性の3.5倍とさらに、その差は広がります。
これらのデータは、男性、女性の差に加えて、「非常に顕著な社会的勾配」をも示しているという、ある意味、社会の生きづらさの縮図のような気もします。
一般的にフランスなどは、女性が強いイメージがあり、閣僚などにも相当数の女性の顔が並んではいるものの、その実、社会的立場は一般的には、女性が弱い立場に立たされているということが見えます。
このような社会だからこそ、政府は敢えて、女性を大臣に据えて、いかにも差別がないように取り繕っているのではないか?と懐疑的にさえ思ってしまいます。
また、さらに驚くことには、18歳から24歳の間で、生涯を通して行われた自殺企図は、前回のデータに比べて50%増、生涯の自殺未遂率は12.8%と10人に1人以上が自殺未遂を起こすということで、これは大変な話です。
若いこの年頃は少なからずデリケートで繊細で、傷つくことも多い年頃で「死んでしまおうか?」、「死にたい・・」などと思ってしまうこともあり得るのだとは思いますが、しかし、自殺未遂とはいえ、実際に行動を起こすまでには、なかなか至らないのが普通だと思っていましたが、そうでもなくなっているようです。
10人に1人が自殺を企てるって、どう考えても正常とは思えません。
親にとって、子供に先立たれることは何より辛いこと、ましてやそれが自殺となれば、なおさらのことです。しかし、前述したデータから見るに、この急激に増加したと言われる18歳から24歳と45歳から49歳の女性はの層は、だぶる気もして、もしかしたら、同じ家庭に帰属しているのかもしれない・・、あるいは、同時に同家庭から犠牲者が出なくても、この年齢層の貧しい家庭が最も危険をはらんでいると見えるような気もします。
どちらにしても、社会の歪のようなものが、この最も弱い立場の人々に表れてくることが残酷な現実でもあります。
若者の自殺
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