フランスの学校のキャンティーン(給食)のメニューは、たいてい、少なくとも2種類以上のメニューから選べるようになっています。これは、宗教上の理由や、ベジタリアンやアレルギーに対応するために、長いこと行われてきたフランスの学校のキャンティーンの方式です。
メニューだけ見ると、前菜、メイン、デザートのコースになっていて、栄養のバランス等が一応考えられた立派なメニューになっています。
フランスの学校は、日本のように教室で給食を食べることはなく、キャンティーン・食事の場に移動して、食事をするので、キャンティーンの混乱を避けるために、学年ごとに食事の時間がずらされて設定されています。
フランスの学校の先生は、授業を教えることだけが仕事なので、子供たちの食事の世話をしたりすることもありません。(保育園などは別) キャンティーンには、キャンティーンで働く人がいるので、子供の食事を監督する人は、別にいるのです。
しかし、当然、場所を移動して、それぞれにメニューを選んで食事をするのですから、時間もかかりますが、日本のように給食当番があったりして、子供たちが、食事を配ったりすることもないので、その分、時間的には、差し引きゼロというところでしょうか?
ここに来て、リヨン市長が、コロナウィルスの感染対策のために、キャンティーンのサービスをスピードアップして、混雑状態を緩和するために、学校のキャンティーンのメニューから肉を排除し、単一メニューにすることを発表し、大きな波紋を呼んでいます。
感染対策のために、キャンティーンのサービスのスピードアップをして、混雑を防ぐために単一メニューにする・・そこまでは、わかるのですが、それが肉排除のメニューに直結するところに不自然さを感じるのです。
これがよりによって、フランス国内でも「美食の街」とされているリヨンでのことなので、特に波紋も大きいことなのかもしれません。
このメニューには、卵や魚まで排除するわけではないので、ベジタリアンメニューではないことや、通常からも肉のメニューよりもより多くの子供たちに受け入れられることで、肉を排除したメニューを選択したなど、理由を連ねていますが、エコロジストのリヨン市長は、かねてより、地球温暖化の原因の一つに肉消費が重く占めていることを主張し続けており、「美食の街で、エコロジストが健康危機を利用して、協議なしにイデオロギー的措置を押し通そうとしている」と、この対応に多くの避難の声が上がっています。
また、この「学校キャンティーンの肉排除メニュー」導入には、さっそく生産者・ブリーダーのデモも起こっており、ジェラルドダルマニン内務大臣は、ツイッターで「スキャンダラスなイデオロギー」とこの対策を非難。
「フランスの農民や肉屋に対する容認できない侮辱に加えて、 『緑の党』の道徳的およびエリート主義的政策が下層階級を排除していることは明らかである。下層階級の多くの子供たちは肉を食べる機会はキャンティーンしかない」と抗議しています。
少なくとも日頃、スーパーマーケットでフランス人の買い物を見ていると、どう見ても肉食の人たち、コロナ対策とはいえ、急に「肉排除のメニュー」を強引に押し通すやり方は、反発を買うのも当然です。
たしかに、生産者からの反発もあるでしょうし、エコだのビオだのというのは、お金のかかることでもあり、ある程度の階層以上での話で、下層階級で家庭で満足な食事の取れない子供にとってのキャンティーンの食事は、理想ばかりも言っていられない現実もあります。
少なくとも、肉を排除するか否かの問題以前に、このコロナウィルス対策に乗じて、議論もせずに市が無理矢理に押し通してしまったことが、波紋を呼んでいる原因になっている気がします。
しかし、これは、少なくとも4月のイースターのバカンスまで続けられるということです。
<関連>
「フランスの学校のキャンティーン・給食」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_11.html
「やっぱりフランス人は、肉食だなと思わされるパリのスーパーの魚売場」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_74.html
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