2021年2月15日月曜日

フランス保健省 各病院に危機管理体制通告

  


 年が明けて、クリスマス・年末年始の人が集まった結果を警戒していたフランスは、ビクビク怯えながら、年明け早々には、ワクチン接種が周囲の国々に比べて極端に遅れていることが発覚して以来、ワクチン問題で大騒ぎになっていました。

 ワクチン問題とともに、感染の爆発状態には、ならないものの、毎日毎日の新規感染者は、25,000人前後、集中治療室の患者数は、3,300人前後とジワジワと増加を続け、政府からの会見があるたびに、いよいよ3度目のロックダウンか?とドキドキしながら過ごしてきました。

 実際に感染症の専門家達は、ロックダウンの必要性を叫び続ける中、フランス政府は、頑として「あくまでもロックダウンは最後の手段」「ロックダウンをせずにできることは全てやる」という姿勢を崩さないまま、夜間外出制限を18時に前倒しにしたり、コマーシャルセンター内の生活必需品以外の店舗を営業停止にしたり、それらの取り締まりを強化することで、爆発的な感染拡大を現在までは、何とか回避してきました。

 2月に入ったあたりから、イギリス変異種を始めとする南アフリカやブラジル変異種の拡大が顕著になり始め、綱渡り状態の綱がだんだん細く、貧弱になっている感があります。

 ここへきて、今のところ、すぐにロックダウンには、ならないものの、フランス保健省が全国の各病院、クリニック宛に、「危機管理体制」への準備を2月18日(木)までにするようにという通達を出したことが明らかになっています。

 「危機管理体制」とは、具体的には、病院においての急激なコロナウィルスによる患者の増加に備えて、病床を増やすことや、以前から予定している緊急を要する手術以外の手術予定の組み直しをして、感染爆発状態の病院受け入れ体制を取り始めたということです。

 このところ、毎週木曜日に行われる政府からの会見では、依然として大変深刻な状態であることが発表され続けていますが、いつでもロックダウンする準備はあるとしつつも、制限が少しずつ強化されたり、検査を拡大したり、ワクチン接種をさらに急ぐというような対応策の発表のみで、最近は、世間も一時のように今すぐにでもロックダウンになるかもしれないといった気配が薄れつつありました。

 しかし、政府が病院宛に具体的な日付指定でこのような通達を出すということは、この綱渡りの状況が、さらに深刻な状態に陥っているということに他ならない事実です。

 私の母は拡張型心筋症という病気で亡くなりましたが、死後、解剖した結果、想像以上に心臓が肥大しており、「普通の人がいきなりこの心臓の状態になった場合は窒息するほどの苦しさであったでしょう」と言われて、驚いたことを思い出しました。

 母の場合は、病気が発症してから10年をかけて、徐々に悪化していったので、心臓の苦しさに少しずつ慣れていったので、恐らく母はその窒息するような苦しさにも慣れながら生活してきたのであろう・・と。

 今のフランスの状態は、それと似たような状況ではないかと、ふと思ったのです。爆発的ではないとはいえ、徐々に悪化している感染状況も、考えてみれば1日2万5千人の感染者が出て、一週間に2,500人近くの人が亡くなっている状況は、すでに、充分に爆発状態であるのです。

 具体的な危機的な状況全てが、公になることはありませんが、政府が分析している数字は、病人の大量増加に備えての病院の体制を組み替えることを通達するほどの状況になっているのです。

 ロックダウンにならずとも、今のフランスは、綱渡りの綱が切れそうな状況であることを自覚しておかなければなりません。

 昨年3月、4月の悲劇が、同じ時期に、繰り返されるかもしれません。


<関連>

「コロナウィルスによる医療崩壊の事実と社会の崩壊の危機に直面するフランス」

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