2021年2月9日火曜日

パリで、たまに見かける子供に日本語を教えようとしない日本人の親 バイリンガル教育

  



 娘が生まれて以来、私は、何の疑問もなく、娘に日本語を教えることを自分の使命のように思っていました。日常では、私以外には、日本語を使う人がいない環境で、私が娘に日本語を教えることを諦めてしまえば、絶対に娘は日本語を話すことはできなくなってしまいます。

 日本語ができないということは、日本の私の家族や親戚、友人たちとも関わりを持てない、日本人でありながら、日本人ではないような、日本から一枚の壁を隔てた存在になってしまうということです。

 そして、私が娘にできる教育の中で、日本語を教えるということは、とりあえずは、私にしかできない、私ができることの中で、最も有意義な教育だとも思っていたのです。

 私自身は、やはり日本が大好きですし、海外に出てみれば、余計に、日本の良いところも優れているところも実感し、日本人であることを誇りに思っています。

 言語の習得には、適した年齢というものもあり、言葉を覚えていくときに、それを日常の言語として、自然に覚えていくことができれば、本人にとっては、こんなに楽に言語を習得する機会は、なかなかありません。

 そんな機会をみすみす逃す手はありません。

 それでも、一歩、家を出れば、100%フランス語の世界で、日本語を自然に話すことができるようにするのは、親の側からすると、なかなか根気のいることでもあります。

 私との会話は、日本語のみ、娘が小さい時は、家でのテレビは、ビデオやDVDでの日本の番組のみ、2歳になった頃から公文に通い、フランスの学校に行って、フランス語の読み書きを始める前から日本語の読み書きを始めました。

 毎日、仕事が終わって娘を迎えに行って、帰宅してから、食事の支度をしながら、公文の宿題を5枚ずつやらせるのが、日課でした。大変でしたが、公文をやらない子は日本には、行けない・・と、日本行きを餌にして、ずっと続けてさせてきました。

 そんな娘への日本語教育は、ほとんど私の執念に近いものでもありました。

 娘自身は、日本語を苦労して覚えたという感覚は全くなく、今では、ほぼ普通の日本人と遜色ないほどに日本語を話し、読み書きもできるようになりました。

 結果から見れば、当たり前のことが当たり前にできるようになっただけなのですが、海外在住の場合、子供を放置しておいては、あっさりと日本語ができない子になってしまいます。だって、日常生活には、必要ないのですから・・。

 それでも私は、自分の子供に日本語を教えることは、当然のことだし、私の義務であると思っていました。

 ところが、パリの街中では、たまに、小さい子供連れの日本人で、子供にフランス語で話している人を見かけます。日本語は、教えないとはっきりと言い切る人もいてびっくりすることもあります。

 自分の家族が日本にいながら、子供と自分の家族との繋がりを断ち切ってしまうのでしょうか? それぞれに事情はあるので、一概に否定もできませんが、子供の可能性を奪ってしまっているようで、どうにも残念に思います。

 子供が自然に言語を覚えるには、ある一定の期間しかないのです。もちろん、ある程度の年齢になってから、自分で勉強して語学を習得することはできますが、より楽に確実にできる機会を逃してしまっているのです。

 パリには、日本人でありながら、日本が嫌いな人もいるのも確かですが、海外で生まれ育った自分の子供を自ら、日本から隔離してしまうような状況に追い込むことには、不自然な気もします。何より、自分の生まれ育った国をそこまで嫌うのは、気の毒な気さえしてしまいます。

 また、科学的なデータに基づくものではありませんが、日本語のみに関わらず、複数言語を話す子供には、優秀な子供が多い気もします。これは、私の周りの外国人とその子供を見ていて感じることです。

 それだけ、親が子供の教育に対して熱心であるということもあるかもしれませんが、かなりの割合で概して学校の成績も良い子が多いのです。脳の発達などとも関係があるのかもしれません。

 パリの街中で、自分の子供にフランス語で話しかけている日本人を見かけるたびに、私は、もったいないなぁ〜と思ってしまうのです。


バイリンガル教育

<関連>

「バイリンガルに育てる方法」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_24.html

「フランスの教育・学校・バイリンガル教育 ①」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_7.html

「フランスの教育・学校・バイリンガル教育 ②」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_8.html

「バイリンガルになった娘の日本語 複数言語を使う生活」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_30.html

「夏の帰国時の日本の学校への編入体験 バイリンガル教育の生体験」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_15.html

0 コメント: