2023年7月4日火曜日

子育ての恐ろしさ やっぱり親の責任は大きい

  


 このところのフランスの若者たちの暴動を見ていると、あらためて、子育ての恐ろしさと親の責任の重さを感じています。

 私はそんなに強い志を持って、子供を持ったわけではなく、漠然と、「やっぱり一度くらいは、自分の子供というものがほしいし、子育てというものをしてみたい・・」と思っていただけなのです。

 ただ、私の場合の子育ては、結果的には、さんざん自分のやりたいことをやってからのことになったので、もう、しばらくの間は子供に縛られる生活になっても、やりたいことをやってきたので、まあ、子育て期間は子供中心の生活でもいいかな?という、ある程度の覚悟はありました。

 ただ、娘が生まれた瞬間に、実際の子供をて最初に思ったのは、「これは大変なことをしてしまった!」「この子がどうにか、まともに育てるというのは大変な責任だ!」ということでした。

 もちろん、その子どもの性格や素質などもあるでしょうが、親の育て方、どんな環境で育てるかによって、その子は大きく変わっていくわけで、優秀な子供に・・とかいう以前に、「ひと様に迷惑をかけたり、犯罪者になってしまったら、大変なことだ・・」と思ったのです。

 その当時、日本でも金属バット事件とか、少年犯罪も増えている時期でもあったので、親戚の教育に携わる仕事をしている叔母などに「どうしたら、そういうことを避けられる?」などと相談してみたこともあり、その時は、「とにかく、身体を動かすこと、スポーツなどをさせて、発散させることよ!・・」などと言われて、常に娘にはスポーツをする習慣をつけさせたりもしました。

 今、フランスで起こっている若者による非道極まりない暴力、破壊、略奪、放火などの暴動を見ていると、やっぱりこの子たちの親は何をしているんだろう?と思ってしまいます。

 実際に破壊・略奪・放火などが行われている時間帯が夜中の2時3時だったり、そんな状況の中、最も被害の大きい地域などは、夜間〇〇時以降は外出禁止・・特に未成年は・・などというのも、考えてみればおかしな話だとも思うのです。

 そんなこと、別に市町村に決められるまでもなく、子供がそんな時間に出歩くことを放置しているというのも、正直言って、私には意味のわからない話。でも、子供が勝手に夜中に出歩くことが、その子たち(や家族)の間では、不思議なことではない生活をしているのかもしれません。

 フランスで子育てを始めたばかりの頃、周囲にいた先輩ママさんたちから、「フランスは、クズは限りなくクズ・・学校はちゃんと選ばなければダメよ! そういう仲間ができたらおしまいよ!」、「朱に交われば赤くなる・・」、とか、「水は低い方に流れる・・」などと、さんざん、脅かされ、事実、職場の近くにあった学校のどうしようもない生徒たちの行動を見ていると、うなずけることも多く、娘は小学校から私立の学校に入れたのでした。

 子供たち同志の関係、またその学校の教育方針、しいては、その家族の子供に対する向き合い方で、なにが、あたりまえなのか?ということは、自然と身についていくもので、また、娘が通っていた学校(小学校から高校まで)というのが、「これ?フランス?」と思うくらい、なかなか厳しい学校で、学業はもちろんのこと、言葉遣いから、先生に対する態度、目上の人に対する態度など、特に小・中学校はかなり厳しかったような気がします。

 しかし、実際には、この「自由」と「権利」をやたらと主張する国で、かなり厳しめに正しいことを教えようとする姿勢は大切なことだと思ったのも事実です。

 でも、そんなことを思ったのは、娘を学校に入れて、しばらくの間だけのことで、そんな学校が私たちにとっては、「あたりまえのこと」になってしまっていて、そのあとは、それこそ、「こんなにしっかりした教育をしているのにフランスってどうしてこうなんだろう?」と思ってしまったりもしたのですが、どちらかと言えば、娘の通っていた学校の方が例外的で、ごくごく一般的な公立の学校は全く違うのだということに気が付いた瞬間もありました。

 どんな環境にあっても、頑張れる子はいるのでしょうが、その環境によって、流されてしまうことは多いのです。結局は、ここでも分断とか、格差とかいう話になってしまうのですが、フランスの場合、私立といえども、そこまで極端にお金がかかるわけでもなく、我が家とて、それほど余裕のある家庭でもなかったので、親が子供をどのような環境におくのか? 親がどのように子供を見守るのか?ということを考えれば、さほど無理難題でもないような気もするのです。

 今回の暴動を起こしている子供たち、若者たちの詳しい背景は知りませんが、親、保護者の責任は大きいと思います。若者ゆえ、暴走することもあるとはいえ、今、彼らがやっていることは、立派な犯罪です。やってよいことと悪いことの区別もつかないように育てたのは、社会というよりも、親なのです。

 これまでも、私はかなりしつこく書いてきましたが、娘に関しては、本当に学校に助けられてきたし、あの学校に入れたことは、彼女にとって、大きな人生の分岐点だったような気がしています。

 こんなことが起こる国で、一歩、間違っていたら、もしかしたら、こんなことをする子になってしまったかもしれないと思うと、今になってから、よくも無事に育ってくれた・・と、今さらのようにヒヤヒヤする思いがしているのです。


子育てと親の責任


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