2023年7月5日水曜日

未成年を射殺した警察官の家族へのクラウドファンディングに150万ユーロ

  


 今回のフランスでの暴動の引き金を引いた結果となった検問拒否による警察官の未成年射殺事件の家族を支援するためのクラウドファンディングを募っているというので、私はてっきり、被害者の少年の家族へのクラウドファンディングだとばかり思っていました。

 しかし、それは、加害者となった警察官の家族を支援するクラウドファンディングで、しかも、7万5千人の寄付者を集め、しかも、それが150万ユーロにも達したというので、2度びっくりしました。

 たしかに、加害者となり、起訴された警察官の家族は、それこそ、事件以来、生きた心地がしないほどに苦しんでいるであろうし、その家族に罪はありませんが、一瞬、「えっ?そっち?」と思ってしまったことも事実です。

 また、150万ユーロという金額も、まったく普段、縁のない金額なので、まるで子供の金銭感覚と一緒で、漠然と「たくさんだな・・」と思うだけで、正直、あまりピンと来なかったのですが、日本円に換算すると、約2億3575万円にもなります。

 一方、亡くなった少年の遺族へのクラウドファンディングも存在していますが、こちらは、17万ユーロ(約2670万円)で、この金額とも比較されています。

 このクラウドファンディング(警察官の家族のための)を立ち上げたのは極右の立場をとる人物で、「任務を遂行し、高い代償を払った警察官の家族のために」と説明しています。

 その家族のために・・という意味ではわからないこともないとはいえ、コトはそんなに単純な話でもないようで、「これを支援することで、警察の連帯を示し、これだけの結果を得たということは、フランス人が警察を支持しているということである!」と警察の力を誇示し、イデオロギーの勝利のような意味の解釈に利用しているような気もします。

 このクラウドファンディングを立ち上げて以来、極右はそのアカウントを使って中継を行い、これだけの金額を集めることで、意図的殺人の罪で起訴されている警察官を「任務を遂行した(だけ)」と正当化している気がしてなりません。

 同時にこのクラウドファンディングに関しては、Twitter上で、論争が拡大しており、数万人が「#GofundmeComplice」というハッシュタグを使ってこのプラットフォームの閉鎖を呼び掛けています。

 当のプラットフォーム側は、この資金は直接、家族へと直接支払われるため、この取り組みは、利用条件に準拠していると回答していますが、同時に権力乱用とみなされる行為を扇動または助長するコンテンツを禁止するという規定もありますがこれには該当しないのでしょうか?

 しかし、被害者の家族や、被害者側の立場に立っている人々にとっては、加害者である警察官を擁護するような盛り上がりは許しがたいこと、一部の政治家たちからは、暴徒の怒りをさらに煽る行為、暴動の残り火に向かって息を吹きかけ、さらに炎の勢いを増す行為であると非難の声が上がっています。

 実際に、被害者家族の弁護士は、このクラウドファンディングを立ち上げた人物を告訴したと発表しています。


フランスの暴動とクラウドファンディング


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