2024年1月22日月曜日

海外から見る日本に足りない教育

  


 フランスでは、新しく教育相に就任した大臣が子供を名門と呼ばれる私立校に転校させたとかで大バッシングを受けていますが、私としては、むしろ、大臣だって、やっぱり子供の教育を考えるなら、フランスだったら私立に入れるよね・・とこっそり思っています。子供の教育については、個人的なこと、教育相とて、選択の自由はあるはずです。

 我が家の場合は、子供の就学前から、周囲にいた先輩方から、「子供は絶対、私立に行かせた方がいい・・特に小・中学校はマストだ!公立の学校は地域にもよるけど、大方、ヤバい子供たちもいて、ロクなことにならないから、絶対!私立に入れた方がいいよ!」と強い助言があり、また、公立校のあまりの学校のストライキの多さにウンザリもしていたので、「子供の教育は、後からでは取り返しがつかない・・」と近所の私立の学校になんとか入れるように、夫に奔走してもらい、なんとか小学校から私立の学校に入れたのです。

 なので、実際にフランスの公立の学校の現状は、外から見ているだけで、やはりストライキが多いな~くらいしかわからないのですが、娘がその後、高校まで通った学校は、良い学校であったことだけは、確かにわかります。だいたい、たまに行く、保護者会のようなものでも、親の教育に対する姿勢から、真剣身が全然、違い、それは来ている子供たちも違うわけだよな・・と思わされた記憶があります。

 また、やっぱり娘が学校に通っている様子から、日本の学校とは教育の仕方が違うんだな・・と感じることも多々ありました。

 なによりも、よく言えば、理論立てて考えて語る訓練というか、テストなども論文形式のものが多いことです。それも高校くらいになると、その論文の長いこと・・。

 当時は、だから、フランス人は口が達者で、良い意味でも悪い意味でも、理屈をこねくり回してモノ申す人が多いのだな・・と思ったりもしました。

 その理論をどう構築していくかは別として、だから、デモなども頻繁に起こるし、フランス人は黙って受け入れることがない・・やることやってから言えよ!などと思うことも多かったのですが、逆に今の日本を見ていれば、自分の頭で理論立てて考えて、それを話す、話し合うということは、とても大事なことだと思うのです。

 つい先日、日本のニュースを見ていて、ある政治家が「派閥を解散する」というほんの短い案件を発表する際のほんの1分ほどの内容に、なにやら、メモを読み上げている様子を見て、「それくらい、自分の口で言えないのかよ!」と本当に情けない気持ちになりました。

 日本の教育は、どちらかといえば、おとなしく従うことが基本で、議論を戦わせたり、自分の言葉で意見を言ったりする教育が足りないように思います。特に多くの政治家の話の説得力のなさには、言葉がありません。

 また、日本では、政治や宗教の話題はタブーといった印象がありますが、この政治や宗教の教育こそが日本に足りない教育のようにも感じます。フランス人は政治の話題を好み、家庭内でも政治の話をしたり、子供をデモに連れて行ったりすることも珍しくはありません。

 宗教についても、娘の行っていた学校はカトリックの学校ではありましたが、カトリックに偏ることなく、宗教全般に関する授業があり、宗教というものについて、様々な宗教の成り立ちや概要、そして、カルトの危険性などについての授業までありました。

 今では、他のことで、立ち消えになってしまったかに見える旧統一教会の問題なども、宗教とはどういうものであるか?がわかっていれば、予備知識として、「これは、おかしいのではないか?」とストッパーになり得たかもしれません。

 一般的に見て、日本人のポテンシャルは高いと思われるので、足りないところを補う教育を取り入れていけば、もっと力を発揮できるだろうし、何より、今は政治が最悪・・政治に対して、国民は、もっともっと、モノ申さなければ、このままでは日本は潰れてしまいます。

 日本には、もっと議論する、反対意見を臆することなく発表し、話し合う、討論する教育が必用なのでは・・と思います。フランスに来たばかりの頃は、やたら議論をたたかわせて、話し続けるフランス人をどうか?と思うこともあったのですが、この議論するということは、実はとても大切なことなのに、日本に足りない教育なのでは?と最近は思うようになりました。黙ってガマンするだけではなく、日本人はもっともっと、モノ申し、意見を述べなければなりません。

 最近は、失われた30年などと言われる日本ですが、日本は戦後復興から30年で高度経済成長を遂げた国でもあります。今後30年で、教育も含めて日本は新たな復活の可能性だってあるとも思うのです。


日本に足りない教育


<関連記事>

「フランスの小・中学校(高校) 私立進学へのススメ」

「学校選びは人生の岐路 娘の通ったフランスの学校はなかなか厳しい学校だった」

「宗教の教育」

「実践よりも、まず、理論のフランスの教育」

「娘の卒業式」





0 コメント: