2024年1月27日土曜日

長年の夢だったことをちょっとだけやってみた・・

 

 私が初めて、海外生活を送ったのは、イギリスのロンドンで、それも、もうかなり昔の話になりますが、最初の頃は、様々な文化の違いにいちいち、「は~~っ!は~~っ?」と驚くことがたくさんありました。

 ロンドンの後は、しばらく、日本に帰国して、日本で働いていたのですが、その後、パートナーの都合から、なんとアフリカ(コートジボアール)で生活することになり、まあ、アフリカは、想像どおりにロンドン以上に驚くことばかり、まるで別世界で、以前の日本の人気番組であった「なるほどザ・ワールド」をライブで見ているみたいだ・・と思いました。

 その後、夫の転勤のために、パリでの生活が始まったわけですが、その時は、もう子供もいて、初めての子育て、しかも、海外で・・ということで、国の文化がどうこう以前に、もう必死な毎日でした。

 イギリスとフランスを一緒にすることはできませんが、それでもアフリカや日本と比べれば、似ているところも多いのです。

 最初にロンドンで「ほ~っ!」と思ったことの一つは、人々が公園に寝転がったり、散歩したり、本を読んだり、ピクニックをしたりと、気楽にとてもくつろいでいて、彼らにとって公園がとても楽しそうな場所であることでした。

 東京で、忙しく暮らしていた私にとっては、公園というものは、ほとんど無縁の場所で、公園で楽しそうに過ごしている彼らが、理解できないような、でも、反面は羨ましいような、不思議な気持ちでした。

 ロンドン市内には、ハイドパークとかリージェンツパークとかグリーンパークとか、けっこう大きな公園がありますが、そんな公園を人々はけっこう憩いの場にしていて、冬でも芝生が緑だったり、ちょっとした噴水や池などにも、いい大人が水遊びしていたり、時には行水までしていて、ちょっとしたカルチャーショックでもありました。

 パリに来てからは、たまにヴァンセンヌの森に行ってボートに乗ったり、チュイルリー公園などを散歩したりもしましたが、それは、子連れということもあって、とにかく娘の有り余るエネルギーを発散させるためで、私にとっては、思い起こせば楽しい思い出ではありますが、とてもリラックスして・・いう感じではありませんでした。

 一度、チュイルリー公園に行った時に、勢いよく走りだした娘について行けずに、遠くから、「気をつけてよ~~!」と叫びながら、娘の姿を追いかけていたら、高い石垣の上から娘が落っこちて、ギャ~~~ッ!もうダメだ!と思って、全速力で駆け寄って下を覗いたら、危機一髪、娘はその下に生えていた木にひっかかってぶら下がっており、その下に居合わせた男性が助けてくれて、「ほんとにラッキーでしたね・・」と言われ、肝を冷やしたことがありました。

 そんなわけで、公園といえども、私にとっては、たとえパリであっても、全くリラックスできる場所ではなく、また、娘が学校に行きはじめてからは、仕事と休みの日には、日常の買い物やお稽古事の送り迎えに追われ、公園どころではなく、バカンス期間は、どこか別の場所に旅行に出てしまうという公園とは無縁の生活を送っていました。

 最近になって、娘も独立し、たまに散歩がてらに大きな公園を歩いてみたりもするのですが、公園の様子は相変わらずで、休日はもちろんのこと、平日でさえも、そこそこ大勢の人が楽しそうにゆったりと時間を過ごしていて、私もたまには、天気のいい日に本でも持って、オープンエアの空間でゆっくりしてみよう・・とずっと思っていました。

 今回は、わざわざ読書するために行ったわけではなかったのですが、たまたま近くに行くついでがあって、リュクサンブール公園の近くを通ったので、ふと思いついて、ちょっと歩いて、ベンチに座って持ってる本でも読んでゆっくりしよう!と公園に入っていったのです。

 天気はよかったものの、やっぱり冬真っ盛りで、春や夏には緑に覆われている木々の葉っぱもなくなっていて、少々寂しい気もするのですが、その枝の張り方やその隙間から見えるパリの建築がまた、この季節ならではな感じでそれはそれで美しく、ゆっくり空いているベンチを探しました。

 備え付けのベンチと移動可能な椅子2種類があり(一つは座る用、もう一つは、背もたれがちょっと斜めになっていて、ちょっとうたた寝ができそうなもの)、そのうちの一つを見つけて座って、本を開きました。

 平日とはいえ、椅子はほぼ満席です。おしゃべりをしている人も多いのですが、昼寝をしている人もいれば、本を読んでいる人も絵を描いている人もひたすらボーっとしている人もいます。

 私はとても本が好きで、若い頃は常に本を1~2冊持っていないと不安なくらいでした。フランスに来たばかりの頃は、住まいがパリ郊外で通勤にも時間がかかっていたのですが、電車の中ではもっぱら本を読んでいましたが、パリに引っ越してきてからは、通勤時間が短くなったものの、逆に電車に乗っている時間が減ったために、読書量ももっぱら減ってしまいました。

 家に早く帰れるようになったので、その分、時間ができたわけですが、家に帰ったら帰ったで、じっくりと落ち着いて本を読む時間がとりにくくなるのも皮肉なものです。

 そんなことを思いながら、お天気の日に公園で暑くもなく、寒くもない時期に、ほどよい雑音の中に身をおいて、本を読むのは、想像以上に気分のよいものです。

 久しぶりにリラックスして本を読んでいると、やっぱり心が落ち着いてくるような・・そういえば、長い間、本は私にとって精神安定剤のような役割を果たしてきたんだったな・・と思いだした気分にもなりました。

 聞こえてくる言語を聞いていると、けっこう外国人も多いみたいで、なるほど観光客も来るところなんだな~と思いながら、しばし、午後の優雅な時間を過ごしました。

 あっという間に時間が経って、気が付けばうすら寒くなってきて、早々に引き上げることにしましたが、こんな感じの時間の過ごし方もなかなか良いな・・と思いながら、バスで帰ってきました。

 帰りのバスが事故のために渋滞し、途中でバスをおろされるというハプニングはありましたが、よい週末の午後でした。


リュクサンブール公園 


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