これまで、大気汚染といえば、車の排気ガスや工場から排出されるものとばかり思っており、メトロなどの車内やプラットフォームで大気汚染の問題があるなどとは微塵も思ったことがなかったのですが、どうやら、パリのメトロや郊外線における大気汚染に警報が鳴らされているようです。
この調査は、フランスのテレビ番組「Vert de rage」のために、交通組織当局であるイル・ド・フランス・モビリテス (IDFM) と、この地域の大気の質の監視を担当する協会であるエアパリフがこの番組に回答するために示したパリの地下鉄とRERの汚染マップを初めて公開したことから明らかにされました。
現在の発表は、イル・ド・フランスのネットワーク(地下鉄、RER、トランシリアン)の397駅のうち44駅に関するものに限られていますが、このマップでは、国家保健安全局 (ANSES) が推奨する最大閾値を超える PM10 微粒子の濃度が示されています。
このマップによると、最も大気汚染が酷い状態であるのは、 ベルヴィル駅と、パリの東に位置するジョレス駅とオベルカンフ駅であることが明らかになっています。
メトロの駅の大気汚染ってどういうこと? 電車なのに大気汚染ってなに?と思ったのですが、これは、どうやら、電車がブレーキをかけた際に発生する微粒子の問題のようで、 車輪、レール、ブレーキ、電車線が磨耗していくと、より細かい粉塵が発生すると説明されています。
IDFM(イル・ド・フランス・モビリテス)は、この影響を抑えるため、列車のブレーキ時に発生する微粒子の排出を減らすシステム(電磁ブレーキ)を、特にRER A線と1、2、3、4号線にできるだけ早く導入するよう求めています。
現段階でこの電磁ブレーキが導入されているのは、4号線、11号線、14号線のみだということで、同じRATPで、どうして、こんなに差があるのかは、少々疑問でもあるし、あんなに、しょっちゅう工事している気がするのに、まだ、こんな問題があるの?と思ってしまいます。
IDFMは「ベルヴィルは2024年から新しい扇風機に切り替え、 ジョレス駅では扇風機が強化され、オベルカンフ駅では2023年末から、すでに新しい扇風機が稼動している」と発表していますが、思わず、「そこ?」とか、「そっち?」と思ってしまうところでもあります。
この微粒子は、その細かさによって有害度が異なるそうで、細かくなるほど、体内に吸収されやすくなり、危険になるということらしいです。車内は換気されているために危険度も下がるということではありますが、最も危険な場所として挙げられている場所では、健康体の人には、特に問題はないようですが、特に喘息患者などの人々における気道の炎症、あるいは、自律神経機能へのリスクは否定できないとしています。
この問題は、これまで公にはなっていなかったけれども、水面下では対策をとられていたということは、ありがたいと言えばありがたいのですが、こんなメトロの大気汚染などという問題があることすら知らなかったので、これを公表に導いてくれたテレビ番組・マスコミの存在もやはり、ありがたかったな・・と思うのです。
しかし、メトロまで大気汚染とは、少々ウンザリです。
パリのメトロ大気汚染問題
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