2024年1月1日月曜日

2023年のフランスを振り返る

  


 毎年、恒例の大晦日の大統領の演説を聞きながら、そういえば、2023年も色々なことがあったな~と思い出しています。個人的には、どんどん時の経つのが早く感じられる中、この一年もまた、あっという間に経ってしまった気がするのですが、思い返してみると、大きな出来事がたくさんあったんだな・・とあらためて思い出されるのです。

 ここ数年は、パンデミックがあったり、突如、戦争が始まったり、世界的にも動乱のときとも言えるのですが、この一年は、フランス国内だけでも、なかなか激しいできごとが起こった年でもありました。

 マクロン大統領は、この年末の演説の中で、イスラエルやウクライナでの戦争にふれつつ、この大きな暴動が続いた一年を「フランスは間違いなく、最も多くの決断を下し、最も多くの変革を実行した西側諸国の一つだ!」と述べました。

 なるほど、たしかに事実ですが、上手い言い方です。

 たしかに、年明けからの暴動は、年金改革というか、定年延長、今では懐かしささえ感じる憲法49条3項についての少々、強引な推し進め方に反対のデモから暴動がおこりました。

 これは、あちこちで起こる暴動とともに、今までには例を見なかったゴミ収集業者のストライキという荒業のために、街中にゴミの山ができて、ゴミが溜まるだけでなく、そのゴミがあちこちで燃やされるという無残なものとなりました。

 また、夏頃には、検問を拒否した未成年の少年を警察官が射殺してしまったことによる公権力の暴走行為への抗議の暴動がエスカレートし、それがSNSにより拡散されるだけでなく、スナップチャットなどの機能を使って、いわばゲーム感覚のように競い合って行われる異常事態に発展し、見境なしに、夜中に店舗が襲われて、強奪行為が続出したり、一方では、市町村の議員の自宅が狙われたり、ついには、昼日中にもコマーシャルセンターに押し入って来たりと、私もすんでのところで巻き込まれそうになるという危うい思いもしました。

 そして、年末には、かねてから、予告されていた移民法の改正が採択され、不法移民をより厳しく取り締まるようになりました。

 マクロン大統領は、激動の一年を、国民には、不人気であること(特に年金改革)は、理解しているが、これらの決定は、未来のフランスのために絶対に必要なことであると確信していると述べています。

 これらは、将来の世代に対する私たちの義務であり、フランスは国のために行動する人々の側にたゆまぬ寄り添いを約束すると力強く語っています。

 2024年はオリンピック・パラリンピックが私たちの美しい国、フランスで開催され、12月には、パリ・ノートルダム大聖堂の公開が再開されます。

 こうして、マクロン大統領が年末の演説をするのも7回目ですが、こうして、いつもどおりフランスを誇らしい国として堂々と語る様子を見るにつけ、どうしても、日本の政治家と比べてしまいます。

 フランスの大統領って、つくづく大変だろうな・・と思います。受け入れがたいことがあれば、野党はもちろんのこと、国民も黙っておらずに、すぐにデモ、ストライキ、暴動へと発展します。

 マスコミへの回答にしても、日本の政治家のような「現段階での説明は差し控えさせていただきます・・」なんていう言い訳は絶対に通りません。国民だってそんな回答は納得しません。納得しないどころか、そんなこと言った時点で、政治家の資格はないと烙印を押されると思います。

 フランス人は、子どもでさえも、政治についての話をするくらい(家庭での大人の話題の影響だと思いますが)、政治への関心が高いのです。これはとても大切なことです。

 政治家の活動や発言に、国民が無関心ではないのです。だから、すぐにデモが起こったり、それがエスカレートして暴動が起こったりもするのですが、日本の政治家の現在の状況を見ているとそれさえも、大暴れするフランス社会の方が健全な気がしてくる一年でした。


2023年のフランス


<関連記事>

「フランス全土で112万人動員!想像以上に長引きそうな年金改革のデモとストライキ」

「年金改革法案に49条3項発令で法案改変を強行する発表にコンコルド広場が大変なことになった!」

「フランス全土で350万人動員の記録的なデモ 一晩に140ヶ所で炎が立ち上るパリ」

「世界中に轟き始めたフランスの政情不安とマクロン大統領の孤立」

「大惨事となっているフランスの暴動とSNSの関係」

「手がつけられなくなっているフランスの暴動に巻き込まれて、しばし、お店に閉じ込められた・・」

 


 

0 コメント: