2024年1月5日金曜日

マクロン大統領と岸田総理の年頭会見

  


 各国首脳が年始にあたって、演説や会見を行うことは、フランスでも日本でも同じですが、その方法は、かなり異なる印象です。

 私は、日本人ですが、フランスに住んでいるので、どうしてもマクロン大統領と岸田総理を比べてしまうのですが、今年の総理の会見は、日本人としては、どうにも、聞くにも、見るにも耐えないとしかいいようがない気持ちになりました。

 マクロン大統領の年頭会見は、年頭ではなく、大晦日の夜に一年を振り返りながら、新たな一年について語るという感じでしたが、意味合いは同じこと。しかも、会見というカタチではなく、一方的な演説のようなもので、エリゼ宮からの配信です。これは、毎年、同じです。

 まあ、どちらの国もどれほどの人が注目しているのかはわかりませんが、時間的には、双方ともに12分程度で同じではありますが、岸田総理はかなりゆっくり話しておられるので内容的には、少ないような気がします。もっとも、岸田総理の場合は、会見であるために、その後、記者からの質問に答えているので、少し補填されているので、一概には、判断できません。

 フランスでも国民がどの程度、この年末年始の大統領の演説を聞いているのかはわかりませんが、少なくとも、テレビのニュース番組などでは、このマクロン大統領の発言は一言一句といっていいくらい、考察され、これはどういう意味を持ち、どうなっていくのか?などという討論などが行われます。

 今年の日本は、元旦から起こった大震災のために、かなりイレギュラーなものとなったとはいえ、相変わらず、原稿をチラ見しながら、語る様子は、毎度のことながら情けない限りで、そもそも、最初に総理が登場したときに、スーツではなく、作業着のような姿で現れたので、これは、震災の話が中心になるのか?と思わないでもなかったのですが、総理が作業着が必用なような作業をするはずもなく、これは、単なる震災対応アピールの装いに過ぎないことは明白で、しかも、震災については、お悔やみやお見舞いなども含めて、冒頭1分ほどで、震災については他に会見も行われているという理由で、政治への信頼回復や憲法改正などについての話が中心になっていました。

 「装う」というのは、その場に応じた服装を身に着けるという意味と同時に、「ふりをする」という意味もあり、まさに、総理の装いは、震災対応やってますアピールに感じられて、空々しい印象の方が強い気がしてしまいました。

 やはり、国民が政治への信頼を失っているということは、ご自覚なさっているようですが、もしも、信頼を本気で回復したいのなら、今は、震災対応について、全力投球をするべきで、今、国民がしてほしいことは、今の瓦礫の下にいるかもしれない人や避難所で困難な生活をしている人にどうやって政府が救いの手を差し延べようとしているのかを説明し、国民全体が連帯して、この危機を乗り越えていこうと強く引っ張っていくリーダーとして、ぐんぐん進んでいく姿を見せてくれることの方がよっぽど信頼回復に繋がるのではないか?と思ってしまいます。

 作業着を着ただけでは、全然、伝わらないし、それこそ装っているようにしか見えません。

 マクロン大統領も、震災から数時間後には、お見舞いの言葉とともに、物的、人的支援を申し出ていましたが、フランスだけでなく、G7各国、中国、台湾など数十国からの支援の申し入れを受けているにもかかわらず、「態勢構築の作業や現地の状況を鑑みて、人的・物的支援は現時点で一律に受け入れていない」とのことで、何よりも、今、一時も早くに支援が必用なものを、上手く整理して、できるだけ支援を受け入れることができるように調整していくべきなのに、せっかくの申し入れを断ってしまうなど、信じられないことです。

 時間が経てば絶つほど、生存の可能性が薄れていってしまうというのに、いちいち、時間がかかり、「迅速に取り組む」などと言いながら、立派なのは言葉、口先だけ。

 総理は会見の中で、「世界が日本の安全と外交力の発揮を求めている」とおっしゃっていましたが、大震災というこの危機的状況の中で、総理がどのような対応をとっているかも注目されているわけで、それを作業着だけを着て、「国民の政治への信頼を回復する」と言いながら、海外からの支援をストップしているというのは、どうにも納得のいかない話で、これらも含めて、海外からの日本の外交力が欠如しているという烙印を押されかねないことです。

 一番、見るに堪えなかったのは、地震にまつわる原発問題について、記者からの激しい質問が投げかけられたところで、無理矢理、時間がないという理由で、無回答のまま、薄笑いを浮かべながら逃げるように立ち去ってしまったことで、「こんなこと、フランスだったら、あり得ない!」と、やっぱり思ってしまうのでした。

 この最後の質問を投げかけた記者の叫びのような「総理、聞く力はどこへ行ったのですか?」という言葉をスルーしてしまうなど、本気で国民の信頼を取り戻そうとしている態度には、どうしても見えないのです。


岸田総理年頭会見


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