2024年1月8日月曜日

フードバウチャー配布の取りやめと値下げの約束

  

 

 フランスの経済・財務・産業・デジタル大臣は、マクロン大統領が大統領選挙中に約束した低所得者層へのフードバウチャーを取りやめることを発表しています。

 これまで、フランスはインフレ対応として、低所得者層に向けて、インフレ手当やエネルギーチケットなどを配布してきており、インフレ手当やエネルギーチケットの配布方法も少しずつ形や条件を変化させてきました。

 今回、取りやめになったフードバウチャーに関しては、マクロン大統領の選挙公約のようなものであったため、該当者の間では、昨年から今か今かと待たれており、年末になって、現在は、セーヌ・サン・ドニで試験的に該当者に毎月50ユーロを6ヶ月間配り、その効果を検討中というような話も伝わってきていましたが、2024年までは配布されないということだけは発表されていました。

 それが、年明け、経済・財務・産業・デジタル大臣が、テレビ番組「ディマンシュ・アン・ポリティク」でのインタビューに答える形で、マクロン大統領が選挙中に公約したフードバウチャーを取りやめることを発表しました。

 これまでこのフードバウチャーに関しては、インフレ危機のさなか、低所得世帯が食品価格の高騰にうまく対処できるようにするためとされ、同時に環境問題や国内製品需要を考慮するものでもあり、低所得者層が新鮮な地場産品を購入できるよう支援することを目的とした資金援助がなされてきました。

 数度にわたり、その方法や条件が見直されている間に、その制度の複雑さに直面し、低所得世帯を支援する食糧援助団体やフードバンクへの6,000万の基金などに切り替える方向に進め、フードバウチャーは正しいやり方ではないと指摘しています。

 同時に、彼は、2024年には一部の食品価格が下落することに自信を持っていると述べ、「特定の価格は確実に下落するだろう」と明言しています。

 そして、「私の責任は、できるだけ多くの製品の価格を下げることです。単に価格を安定させるだけでなく、バ​​ター、油、一部の肉などの価格を確実に引き下げることになります」と彼は断言しています。

 値下げはともかくとして、フードバウチャーのとりやめが、どんな反発を呼ぶかは、今のところわかりませんが、この大臣、話し方も整然としていて、明瞭簡潔で、威圧的な感じもなく、どこか上品で政治家らしいギラギラした感じがなくて、他の人が言ったら、大変なことになりそうなところをサラッと受け入れられてしまうようなところがあるように感じるのですが、聞く人が聞いたら、やっぱり怒り狂うのでしょうか?

 しかし、価格の引き下げ対象になっているのが、「バター、油、肉・・」と、あまり健康的ではない感じの食料が並んでいるのは、どうにもいただけない気もするのですが、考えてみれば、フランス人の食卓には、欠かせない食品が選ばれているとも思われます。

 いずれにしても、価格を引き下げてくれるというのは、良い話ではありますが、しかし、彼の説明には、「ただし、元の価格に戻るわけではない・・」という一言が付け加えられており、あんまり期待しないで様子を見たいと思います。


フードバウチャー


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