2019年12月8日日曜日

フランス人の結婚観




 先日、久しぶりに、歯医者さんに行ったら、彼女に孫ができたという話をしていたので、「え〜? そんなに大きなお嬢さんがいらっしゃったのですか? お嬢さん、おいくつなんですか?」と驚いて、聞いたら、お嬢さんは、23歳で、まだ学生なのだそう。

 「学生なのに??」と驚く私をよそに、余裕で、「人それぞれのタイミングと生き方があるから・・」と、孫の誕生を喜ぶ彼女に、私は、なんだか、懐の大きさ、大らかさを感じました。

 彼女のお嬢さんのカップルが、結婚しているのか? また、子供を持つタイミングや順序などには、あまり、頓着していないのです。

 フランス人には、日本のような、結婚に対する適齢期のような観念が薄いように思います。それが、早かろうが遅かろうが、その人、その人のタイミングだと考えているのです。

 フランスでは、そもそも、結婚の形態自体が、いわゆる日本の結婚という形態だけでなく、Concubinage (コンクビナージュ・内縁、同棲関係)や、PACS (パックス・コンクビナージュよりも、もう少し正式な関係で、税金、児童手当、相続なども認められる内縁以上、結婚未満の関係)といった事実婚のような形態があるのです。

 結婚の形態をとった場合、離婚の手続きも大変になるため、カップルになって、しばらくは、様子を見て、子供ができたら、せめて、パックスにし、それから、何年か経ったのちに、ようやく結婚するというカップルも少なくありません。

 ですから、家庭を持っていて、子供がいても、その結婚の形態が、正式な結婚の形態なのか? あるいは、パックスなのかは、いちいち尋ねることもありませんし、それほどのこだわりもなく、それがどのような形態であるにせよ、結婚と同様に見なされているのです。

 とはいえ、パリでは、3人に1人が離婚すると言われるほど、離婚率の高い国であるにも関わらず、再婚もまた多いのにも、生涯現役、懲りない人たちだなあと感心させられます。

 実際に、私の主人も再婚ですし、私の同僚にも、よくよく話を聞くと、今のご主人とは、再婚で、子供もその度に産んでいるので、子供も異母兄弟という場合も少なくありません。

 結果、兄弟の年齢差も大きくなり、数も増えるので、はたから、子供の話を聞いたりしても、一体、どの結婚の際の子供だったのか、わからなくなるくらいです。

 また、フランス人には、「結婚と仕事のどちらかを選ばなければならない。」という、観念もありません。結婚しても、働くことは、当然のことだからです。

 おそらく、多くの親世代の人たちが子供に望むのは、結婚の形態がどうであるかということよりも、「良い相手、パートナーを見つけること」や、「充実した仕事につけること」「子供を持つこと」であるように思います。

 ですから、それらは、そのうちのどれを選択するかではなく、それらをどう、うまく組み合わせていけるかということを考えるのです。

 私の若い頃、いわゆる結婚適齢期には、親は、うるさく結婚しろ、結婚しろとうるさくなり、お見合いの話が回ってきたり、母などは、「とにかく、一度でいいから結婚してちょうだい!」などと、結婚するように、急き立てていた時期がありましたが、当時から、母のそのような考え方は、私には、全く理解できないものでした。

 「とにかく、一度でいいから・・」などと、世間体だけを気にしたような物言いは、実際には、何の意味もないのです。

 私は、娘には、なにが何でも結婚して欲しいとは、全く思っていません。クズ男に当たって、人生がめちゃくちゃになる場合だってあるのです。

 だったら、まず、結婚よりも、まず、自分で自立して、生活できるような仕事を持ち、その上で、もし、良いパートナーが見つかり、子供が持てれば良いと思っています。

 ですから、結婚の形態は、パックスであろうと結婚であろうとどちらでも構わないと思っています。

 もっとも、フランスでも、保守的な家庭では、正式な結婚へのプレッシャーは、強いかもしれませんが、それは、少数派だと思われます。

 









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