フランスは、靴の文化の国
私が妊娠したのがわかった時、主人が一番最初に娘のために買ってきてくれたのは、赤ちゃん用のかわいいピンクの靴でした。
妊娠がわかった時には、すでに性別を教えてもらって、女の子だということがわかっていましたので、女の子用にとピンクの靴を選んだのだと思われます。
しかし、赤ちゃんのための、最初の買い物というのが、靴だというのが、私には、どうにも解せませんでした。
まだ、歩きもしない赤ちゃんに靴・・しかも、当時は、アフリカにいて、娘が生まれてすぐに、パリへの転勤が決まっていたのに、フランス製の靴をアフリカで買ってくるという不経済。(アフリカでは、輸入品は高いのです。)
考えてみれば、フランス人というのは、靴の文化の国の人で、我が家では、家の中が汚れるのが嫌なので、土足厳禁ですが、家の中でも土足という人が少なくありません。
日本人と比べて考えたら、圧倒的に靴を履いている時間が長いのです。
赤ちゃんにも歩く前から靴を履かせます。
フランスだと冬は寒いので、防寒の意味もあるのでしょうが、しかし、実際は、四季は関係なく、赤ちゃんにも靴を履かせます。
そんな、主人は、娘が小さい時から、革靴を履かせ、運動靴を履かせるのを嫌いました。もちろん、スポーツをする時には、スポーツシューズでしたが、それ以外、学校の通学などにも革靴を履かせていました。
主人曰く、革靴をきちっと履いていないと、足の形が悪くなるというのです。
娘は、主人が買ってくる革靴を履いて、学校へ通っていましたが、実際、子供が学校で遊ぶとなったら、革靴であることなど、おかまいなしに走り回って遊ぶのですから、その痛み方も半端ではありません。
また、スポーツも、なんでも、運動靴一本ではなく、randonnée (ランドネ)(ハイキング)用の靴、ボルダリング用の靴(ボルダリングはフランスでは、結構盛んで、学校にもボルダリング用の壁があったりします)、スキーの靴、バレエ用の2種類の靴、乗馬用の靴、などなど、年々大きくなっていく、娘の靴を一体、大きくなるまでにどれだけ買ったことかわかりません。
その上、フランスの子供は、小さい子供でも、冬はブーツを履いています。
早く、足の大きくなるのが止まってくれないかと、どれだけ思ったことかしれません。
それだけ、靴にこだわるだけあって、主人は、靴みがきが好きで、なぜか、トイレにこもって、家族中、みんなの靴を磨いてくれます。ですから、おかしな話ですが、我が家の靴みがきのセットは、トイレの棚の中に入っています。
先日、メトロに乗っていて、冬になり始めで、周りの人の服装が急に冬めかしくなってきて、メトロの中の人の服装の様子をなんとなく、眺めていて、冬になると、おしゃれな人が目立つなあとぼんやりと思っていました。
そして、メトロの中で、なんとなく、おしゃれな男性を観察していて、私は、あることに気付いたのです。
おしゃれな男性に共通するポイントは、靴なのです。
おしゃれなおじさまは、ちょっといい、良く手入れされた革靴または、ショートブーツを履いているのです。
服装のセンスがいいだけでなく、その服のセンスを引き締めて、際立たせているのは、靴なのだと、改めて、靴にこだわる主人の気持ちがわかったような気がしました。
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