2019年12月16日月曜日

退職を余儀なくされた真面目なフランス人男性の会社への仕返し





 フランスの労働形態は、大きく分けると、CDD(Contrat à durée déterminée)(期限限定の雇用形態)と、CDI(Contrat à durée à indéterminée)(無期限の雇用形態)があります。

 フランスでは、法律で強く、労働者の権利が守られており、CDDに関しても、最長の雇用は、最長、18ヶ月までで、それ以上、雇用したい場合は、CDIに契約形態を移行しなければなりません。

 一度、CDIとして、雇用した場合は、本人に明らかな非が認められない場合は、解雇するのは、大変難しく、会社の業績不振などの場合で、解雇する場合は、労働者側は、職種にもよりますが、会社側もそれまでの勤務期間や給与から計算された一定の金額の退職金を支払わなければならず、また、失業保険等の社会保障も確実に支給されます。

 ですから、キャリアアップの転職は別として、会社で、辛いことや、腹が立つことがあったりしても、決して、自分から辞めては行けない! 後の待遇が全然、違うんだから!と、周りの先輩方から、事あるごとに言われてきました。

 逆に言えば、雇用社側にとったら、働かない、役に立たない社員をCDIとして雇ってしまったら、容易には、解雇できず、そういった人たちは、のらりくらりと適当に出社しながら、一定の給料をもらい続けることができるわけです。

 そういう人に限って、フランスの労働法には、やたらと詳しく、権利ばかりを主張するのです。

 それでは、真面目に働く人ばかりが、割りに合わないことになるのは、明白です。

 以前、同僚で、アレックスという男性がいました。真面目にコツコツと働く、フランス人にしては、おとなしい、我慢強い人でした。

 彼は、パワハラに近い、キツい上司の元で、真面目に働いていましたが、あまりに、その上司の攻撃が酷くなり、とうとう、彼は、ブチギレて、CDIという契約形態であったにも関わらず、自分から、会社を退職してしまいました。

 もちろん、国からの失業保険は、支給されるでしょうが、彼に落ち度はないのに、長年、頑張って働き続けたにも関わらず、会社からの退職金は、支給されません。

 彼は、おとなしく、我慢強く、頑張り屋さんだっただけに、どちらかというと、粘着質な性格だったようで、その後、会社に嫌がらせの電話をしてきたり、会社の通用口のドアの鍵にガムをねじ込んだりして、鍵が開かなくなって、大騒ぎになったりしました。

 あれから、彼が今、何をしているのかは、わかりませんが、大声をあげて、権利を主張して、デモやストライキをしない代わりに、陰湿な仕返しをする・・。そんな、フランス人もいるのです。

 どちらがいいとも言えませんが・・。

  






















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