フランスの財政が大きな赤字を抱えていることは、もうここのところ、頻繁に話題にのぼっていたので知らない人はいないくらいの話なのですが、具体的な数字「3兆3,030億ユーロ」と聞くと、もはや数字が大きすぎて、逆にピンとこないくらいの桁違いの数字であっけにとられています。
来年度の予算作成に600億ユーロの財政赤字を削減案の審議中に不信任になった前首相ですが、3兆3,030億ユーロの債務と600億ユーロの削減・・それでさえ、ペンディングになっているので、今後、どうするんだろう?どうなるんだろう?と心配になります。
先週末に、複数のメディアが伝えたINSEE(国立統計経済研究所)の発表によると、フランスの公的債務は2024年第3四半期末時点で3兆3,030億ユーロという目もくらむような額に達する見通しで、この記録的な水準はフランスの経済健全性について、多くの懸念を引き起こしています。
このフランスの債務は、GDP(国内総生産)の113.7%に相当(6月末時点では、112%だった)し、わずか3ヶ月間で710億ユーロ以上増加しています。
2,000年初頭以来、フランスの公的債務曲線は上昇し続けており、この20年間でその額は、3倍以上にも膨れ上がり、悪いことにこのペースは近年、明らかに加速の一途を辿っています。特にマクロン大統領が就任した2017年から2024年の5年間だけでも、その額は1兆億ユーロ以上増加しています。
この原因のひとつとして挙げられているのは、金利上昇と債務膨張による複合効果により、債務返済コスト(利息)も爆発的に増加し続けている点が指摘されています。債務返済コスト(利息)が雪だるま式に増えているというのは、憂慮すべき状況です。
また、短期的な予算調整に加えて、何よりも必要なのは、公共支出がGDPの65%を占めると言われているフランスの社会経済モデル・構造改革とも言われています。フランスは戦後当初から、高レベルの社会保障と再分配を基盤としてきましたが、それが立ちいかなくなっているのです。
経済成長の鈍化、極度の財政赤字、制御不能の公的債務の間で行政は苦渋の決断を迫られています。
ただし、現在のように、すでにかなりの緊張状態にあり、不安定な政府では、この舵取りは、国会内のみならず、国民との間のコンセンサスを見つけるのは、至難の業です。
実際にこの状況に、「今、フランスには何が必用か?」との問いに、財務省高官や財務専門家などがコメントを寄せたりもしていますが、なぜか?匿名を条件に答えており、それだけ、緊張状態であることがうかがえます。
いずれにせよ、これを何とかしなければいけないフランス政府の課題は、財務調整を急ぎすぎると景気回復が中断され、遅すぎれば市場制裁にさらされるという状況下で微妙なバランスを保ちながら適切なペースを見つけることだと言われています。
現在の状況は、数十年にわたる予算の変動と改革拒否の結果でもありますが、それにしても、「こんなになるまでに何とかならななかったの?」と思うばかりです。
フランス債務記録 3兆3,030億ユーロ
<関連記事>
「2030年フレンチアルプス冬季オリンピックはありか?なしか? 大幅に増額され得る大会費用に警鐘」
「内閣不信任決議案可決 首相辞任 大混乱は避けられないフランス」
「バルニエ政権が発表した2025年度4,000人の教職員削減」
「フランス政府 航空券にかかる連帯税(TSBA)の大幅な引き上げ検討」
0 コメント:
コメントを投稿