莫大な財政赤字を抱え続けているフランスは、2025年の次期財政法案作成にあたって、首相は、この赤字をGDPの5%以下に抑えることを目標とし、600億ユーロの赤字を是正することを発表し、バルニエ首相は、現在、一部では「600億ユーロの男」などと言われています。
あまりの桁の大きさに、逆にピンと来ないところもあるのですが、具体的にこの600億ユーロの財源は、3分の2の400億ユーロが公的歳出削減、3分の1の200億ユーロが増税と言われています。
増税の部分では、先日、取り上げた航空券に課せられる連帯税を始めとした環境汚染を引き起こす交通機関への課税、そして、高額所得者(子どものいない年収50万ユーロ(約8千万円)以上の世帯や年収25万ユーロ(約4,000万円)以上の独身者など)や超優良大企業向けの増税などで、一般的な所得税の増税ではないとしています。
なので、庶民としては、あまり関係ないかな?と思いきや、公的歳出削減には、国民健康保険の医療費負担額がこれまで70%が保険でカバーされていたものが、60%に削減されるそうで、個人負担額が30%から40%に引き上げられます。
フランスの場合、多くの人は、国民健康保険ではカバーされない部分を補ってくれるミューチュエルという保険に入っていますが(勤めている人の場合は、会社が社員のミューチュエルの分を負担する義務がある)、このミューチュエルが負担する部分が増えるとなれば、その保険料が値上げになるわけで、そのしわ寄せは、結局は、跳ね返ってくることになります。
また、公的歳出削減には、公務員の削減・・という予定も入っています。
そして、毎年、1月には、インフレの上昇とともに見直される個人年金等の金額見直しが7月にスライドされるということで、多少なりとも増額されるのが6ヶ月間遅れます。これは、なんだかセコいやり方だな・・と思います。最も裕福な人への増税とともに、年金額のインフレ対応の見直しを行わない(6ヶ月間とはいえ)、ちゃっかり、富裕層以外(特に年金生活者のような立場の人々)からも巻き上げるやり方には、疑問を感じますが、このスライドにより、30億ユーロが回収されると見込まれているそうです。
この財政赤字に関しては、ヨーロッパの多くの国が抱えている問題で、新型コロナウィルスによるパンデミックから始まって、エネルギー危機、戦争などで、ますます、悪化する一方です。しかし、フランスは、他のヨーロッパ諸国よりも、この赤字の積み重なり方は、酷いそうで(欧州平均の約3倍ともいわれている)、パンデミックやエネルギー危機、戦争等による要因というコンディションは同じなのに、なぜ?フランスは、こんなにも赤字を抱えてしまったのか?という点では、検証する必要があるのではないか?と指摘している専門家もいます。
そんなに、赤字なのに、あんなオリンピックやったの? とか、当事国ではないとはいえ、戦争にもずいぶん、気前よくお金使ってるよね・・とか・・素人の感想ですが、そんな風に思うこともあります。
私はフランス国民ではないので、あまり大口を叩ける立場ではありませんが、日本にしても、フランスにしても、やはり、政府のお金の使い方には、目をつぶってはいられない・・結局は、国民に跳ね返ってくるではないか?と思うのです。
600億ユーロ フランス政府
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