2024年12月5日木曜日

内閣不信任決議案可決 首相辞任 大混乱は避けられないフランス

  


 フランスは時に政治的に激しい動きを目にすることも少なくありませんが、今回は内閣不信任案が可決して、内閣が崩壊するという、いつもにも増して激しい出来事に、言葉は汚いのですが、「すげー・・」と思いました。

 これは、私のような外野だけでなく、フランスでも驚くべき歴史的な出来事として、大騒ぎで、1962年以来の歴史的な出来事だそうです。

 バルニエ首相が就任して、わずか3ヶ月、そもそも首相任命の段階から、揉めに揉め、首相不在の期間が例外的に長く、バルニエ首相が就任したのは、選挙の結果が出てから約2ヶ月後のことでした。

 過半数を占める党が不在となったために、政権運営が難航し、それでも第一党となった新人民戦線(NFP)から首相が選出されると思いきや、選ばれた首相は議会選挙で最下位だった政党のバルニエ首相でした。

 彼は、就任後に来年の予算案作成に取り組み、600億ユーロの財政赤字を埋めるための法案を次々と提案し、緊縮財政の金メダル政府などと揶揄されてきましたが、社会保障融資法案に関して、これが議員らによって、大幅に修正されたうえに、11月の初めに否決された結果、禁じ手の憲法第49条3項(通称49.3)(首相の権限において、議会で採決をとらずに法案を採択する法律)を使って、採択したことから、国民議会が大反発して、新人民戦線(NFP)が問責動議(不信任案)を提出、これに極右などが同調して一気に盛り上がり、あっという間に政権は崩壊してしまいました。

 そもそも49.3は、過半数を維持していない政権においては、とても危険なやり方で、そうでなくても、昨年、発令された年金改革においての49.3条発令の際でも、もう国民議会がストップできなかったとはいえ、そうなると、国民全体が黙っておらず、パリだけではありませんが、街中はゴミの山で溢れかえり、それが燃やされる日がどれだけ続いたことか・・。

 今回は、国民が騒ぐ前に国会が半旗を翻して内閣が崩壊しました。もうSNS(X)のトレンドも圧倒的1位で(#MotionDeCensure)(問責動議)が占められ続けています。

 この問責動議、不信任案の採択の前には国会で各党が長々とスピーチを行ったうえで、投票に進むのですが、もうほぼバルニエ首相の辞任が確実視されている中、なんだか公開処刑のようで気の毒になりました。

 49.3を使わずに、話し合いで折り合いをつけていく方法がとれなかったのか?とも思われますが、今となっては後の祭りです。就任当時は、EUのブレグジットの際のハードネゴシエーターを務めたツワモノとの評判だったのですが・・なんと在任期間3ヶ月の史上最短命を記録したようです。

 こうなってくると、年末が近づいていく中、全ての法案がストップし、ストライキが目白押しに予定され、反政府の勢いが増してきます。怒りの矛先がマクロン大統領に向くことは必須です。

 外交のためにサウジアラビアに滞在中のマクロン大統領は翌日20時にエリゼ宮から国民に向けてお話をなさるそうですが、当分の間、フランスは不安定な状態に陥るのは必須です。

 週末には、パリ・ノートルダム大聖堂の再開で次期アメリカ大統領に就任するトランプ氏がやってくるのに、フランスは無政府状態ってどうなの??などと、心配する声もあがっています。そういえば、前回の年金改革の際の49.3条発令の際には、デモが暴動になり、予定されていたチャールズ国王のフランスへの公式訪問が延期になりました。

 まさかノートルダム大聖堂の再開が延期になるなんてことは、ないだろうか・・などと余計なことまで考えてしまいます。

 この日は、一日中、各局が特番を組み、実況中継をしながら、大討論会を放送していましたが、どうにも皆が興奮している様子が画面からも伝わってきます。

 今後は、次期首相は誰か?という話題で、しばらくは落ち着かない日が続きます。

 しかし、すごい国だ・・。


フランス内閣崩壊 首相辞任


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