2030年の冬季オリンピック開催地が決定したのは、2024年7月24日のIOC総会、パリオリンピックの最中のことで、「え~~??また、フランスでオリンピックやるの?」と驚いた記憶があります。
しかし、国際オリンピック委員会は、「フランスが財政赤字の可能性を補填することを約束しなければ、オリンピックは開催されない」という条件を設定しています。
現在、莫大な赤字を抱えるフランスにとって、単純に考えれば、これは、「ふつうに無理でしょ!」と思うところですが、政府では、この2030年の冬季オリンピック開催について、意見が割れているようです。
マクロン大統領は、2030年フレンチアルプス冬季オリンピックが決定した場において、この大会をフランスで開催させるために、「次期首相には、この予算の保証を盛り込むだけでなく、新政府でオリンピック法を交付するように求めるつもりだ!」と宣言しています。
オリンピック法とは何なんでしょうか?
現在、フランスの赤字が一体、どこまで膨らんでいるのか正確にはわかりませんが、前首相が掲げていた来年の予算では、600億ユーロの赤字を是正すると言っていたので、少なくとも600億ユーロは、切り詰めなければいけない状況で、結局は、首相の退陣により、現在は、宙づりになっていますが、公務員の削減(4,000人教職員削減)や健康保険自己負担拡大などの様々な予算削減案が提案されていた状況です。
これに対して、オリンピックの予算は、20億ユーロ未満(この段階ですでに当初の計画の2倍に膨れ上がっている)に抑えるようにという通達がでているそうですが、それにしても、国民の生活を犠牲にしてまで行うべきものとも思えません。
このオリンピックの予算問題は、IGF(財務総監察局)が作成している2種類の機密報告書の中に挙げられているもので、「2030年フレンチアルプス冬季オリンピックの会計は、大幅な赤字になることが確実視されており、現在、作成されているオリンピック組織委員会が作成している予算を大幅に上回る可能性が高く、この予算作製に関しての再調査が必用である」と警鐘を鳴らしているのです。
それに加えて、フランス・オリンピック・スポーツ委員会会長は、夏季オリンピックに比べて、冬季オリンピックの収入は、少ないため、国家からの支援は不可欠であると述べ、チケット販売だけでも、およそ夏季の6分の1以下であることを明かしています。
このオリンピックへのGOサインの署名は、当初、当時の首相であったガブリエル・アタル氏が行うはずでしたが、彼は現在のフランスの財政状況から鑑みて、あまりに障壁が大きすぎたために、多くの圧力がかかりましたが、サインしたくなかった・・と語っています。
3ヶ月という短い就任期間ではありましたが、前首相のバルニエ氏は、すでにこのオリンピックについて、深く関わっており、首相退任後の今、この冬季オリンピック組織委員会のトップに据えられるのではないかと言われています。
このIOCに対する回答、もしくは、開催を約束する署名を行う期限が7月24日(開催地が決定した日)の6ヶ月後ということで12月24日のクリスマスイブなのだそうです。
そういえば、これに関して思い出したことがあるのですが、つい先日、首相任命にものすごく時間がかかって、なかなかどうなるのか?国民が固唾をのんでその行方を見守っていた時、首相任命の当日、マクロン大統領と、現首相のフランソワ・バイルー氏が朝から2時間近くも会談した後、実際の首相任命までのわずかな時間にマクロン大統領は、トーマス・バッハ氏(IOC会長)にレジオンドヌール勲章を授与していました。
なぜ?このタイミングにIOC会長にレジオンドヌール勲章??と、ちょっと疑問も感じたのですが、予め決められていたスケジュールだったら、変えられないのか・・とも思っていました。しかし、この冬季オリンピック開催問題が微妙に絡んでいたとは、なかなかいやらしい感じがしました。
そもそも夏季オリンピックであったパリ・オリンピックでさえも、成功した!とだけ、一方的に言っていますが、どれだけ国がこのために支出したのか?あの異常な警戒体制やド派手な開会式、にもかかわらず、期待していた観光客はむしろ減少という、もっともっと儲かるはずだったのに、その収支は、全体的には明らかになっていません。
この署名の期限まであと1週間、結局、現政府はどのような答えを出すのか、楽しみというか、大いに不安でもあります。
2030年フランス冬季オリンピック
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