パリ11区にちょっと気になっていたブーランジェリーがあって、そこへ向かう途中、ちょっと脇道にものすごい行列ができていて、何の行列だろうか?と、ちょっと様子を見てみました。
わりと、黒っぽいコートを着込んだ人が多くて、いわゆる高級ブランド店などにできている行列とは全然、違う感じの行列で、こんな感じの行列を見たのは、エアアルジェリーの代理店の前にできていた行列にちょっと近いの窓にはブラインドがさげられているので、入口からちょっと中の様子が見えるだけなのですが、どうやら、そこは食糧配給所のようでした。
よく、スーパーマーケットなどで、「食料を寄付してください!」と慈善団体が食料を集めているのは見かけるのですが、それを配っている場所に遭遇したのは初めてのことでした。なんだかものすごく独特な気配を感じます。
テレビの報道などで、このような食糧配給所や学生用の1ユーロ食堂などに長蛇の列ができている・・などというのは報道ベースでは見たことはあったのですが、その場に遭遇したのは初めてのことで、なんだかとても、ざわざわした気持ちになりました。
あまり、じろじろ眺めているのも失礼な気がして、気を取り直して、私は、あまり長居せずに、すぐにお目当てのブーランジェリーに行ったのですが、想像以上にキラキラなお店で、なんだかちょっと私の好みとは違う感じで、その代わりにというか、たまたま見つけたもう一軒のブーランジェリーにとっても魅入られて、いくつかのパンを買いました。
食糧配給所は、そのキラキラなブーランジェリーとは徒歩2分くらいの距離なのですが、無事にキャディーやショッピングバッグにパンパンになった、たくさんの食料をゲットした人々が、もう顔なじみなのか?けっこう楽し気に話しています。
彼ら・彼女らは近所の人たちなのだろうか?と思ったら、けっこうわざわざメトロに乗って遠くからやってきている人もいるようで、彼女たちは朗らかに「じゃあ、また来週ね!」などと言いあって、少し話したのち、それぞれの帰途に散っていきました。
良さげなお店をみつけたりして、ふだんは行かない地域に行ってみたりすると、思わぬ良いお店をみつけたりするのが楽しいのですが、今日は良いお店も見つけたと同時に、食糧配給所というものに初めて遭遇して、キラキラなお店のすぐ近くにこういう場所もあることが想像以上にショッキングで、まさにパリの光と影を同時に見た気がしました。
しかし、食糧配給所に来ている人々は、想像していたより、全然、暗い雰囲気でもなく、わりとそれなりに朗らかなのは、救われる感じだったのですが、全く、私など、いい歳をして、長いことパリで暮らして、ほんの一面しか知らない世間知らずのおばさんなんだな・・とかえって、情けない気がするのでした。
パリ 食糧配給所
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