2022年3月6日日曜日

137万人のウクライナからの退避難民の受け入れと海外生活の不安

  


 昨日のウクライナ戦争に反対するデモは、フランス全土で4万人以上動員したと伝えられています。同じ主旨の抗議デモが世界中で起こっていることも同時に伝えられ、なぜか、日本からポルトガルまで・・と日本でのデモの様子もフランスのテレビで報道されていました。

 すでに、世界各国からウクライナ在住の国民に対しての避難勧告が出されていますが、当然、ウクライナ国民もまた、国外を脱出し、ロシアからの侵攻が開始されて以来、約137万人が国外脱出しています。

 ヨーロッパ各国は、ウクライナから避難する人々については、交通機関を無料で提供したり、ポーランドなどの国境では、食糧や生活必需品などを提供したり、車での他のヨーロッパ諸国への交通手段を提供したりして避難民を受け入れています。

 しかし、またこの一方で、「この人々が一体、どこに行くのか? ウクライナの現在の壊滅的な状況から、一時的な避難とはなり得ないであろうことから、この避難民受け入れを長期的なスパンで考えなければならない」という声が上がっています。

 日本の岸田首相もウクライナからの難民を受け入れることを発表し、「まずは、家族が日本にいる人々から・・」と説明していましたが、とりあえず逃げるのに、日本は遠すぎて、あまり現実的でもないかな?と思ったりしました。

 そこは、地続きのヨーロッパ、命からがら逃げてくる人々を一先ず受け入れることは、人道的に当然のことです。事実、案外簡単に難民を受け入れているヨーロッパの人々も少なくないことに、素晴らしいなぁと思う反面、長期化すれば、それはそれで問題が起こるかもしれない・・と、私は、穿った見方もしてしまいます。

 例えば、もしもフランスに逃げてきた人がいたとして、誰かを家に泊めてあげたり、食料を提供したりできるか?と言われれば、それは簡単な話ではありません。なんとか、力になってあげたいという気持ちはあっても、せいぜい食料品や生活必需品の一部を寄付する程度しかできません。

 この長期化しそうな戦争の状態を見ても、そうそう易々とは、本国に帰ることは不可能で、一時的な避難場所を提供したつもりが、家を乗っ取られたりするかもしれない・・などと思ってしまうのです。

 ただでさえ、国を変えて生活するということは、大変なことで、戦時下でなくとも、海外(外国)で生活しているだけでも、常に問題は山積みなのです。よほど懐が大きい人でなければ(経済的、精神的にも)とても、個人が背負い切れるものではありません。国や団体などでの対応が求められる問題です。

 外交と制裁で戦争回避の道を探っているヨーロッパではありますが、マクロン大統領との直近のプーチン大統領との電話会談でも、プーチン大統領は、まるで侵攻をやめる兆しがありません。

 戦争回避の道を探ると同時に、ヨーロッパ諸国は、このウクライナからの避難民の受け入れ後の長期滞在対策を考えなければなりません。

 ロシアは、国民の退避のために、ウクライナでの一部地域での一時停戦を受け入れたと言われていますが、これは、あくまでも一時的な停戦で戦争を止めるということではありません。

 ロシアからの国民の退避のために一時停戦の申し入れなど、これまでの経過を見ると、不気味でしかなく、その後にドカンと核などの兵器を使って猛攻撃を予定しているのではないか?あとになって、「だから、逃げろと言っただろ・・」と言い訳をするような気がしてなりません。

 避難民受け入れどころか、パンデミックから戦争に突入して、「やっぱり日本にいた方がいいのかも・・」などという考えが時々、頭をよぎる私。実際、海外在住者がこの際、本帰国すると言っている人の話もちらほら聞こえてきます。かといって、生活の基盤である国を変えるというのは、そんな簡単な話ではありません。

 しかし、ヨーロッパにも飛び火しないとも言えないこの戦争にいつ、私自身が避難民になるかわからない、とても他人事ではない問題なのです。


ウクライナ難民問題


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