2024年4月8日月曜日

医者の予約を反故にしたら罰金5ユーロ 世界最高の医療システムを追求するために・・

  


 「私たちは世界最高の医療システムを維持したいと考えています」

 昨年、異例の若さで一国の首相に抜擢されたガブリエル・アタル氏は次々と様々な国のシステムを改革しようとしているのが日々感じられます。

 今回、彼が発表したのは、医療システムについての改変ですが、私がちょっと意地悪にひっかかったのは改変の内容の前に彼の言う「世界最高の医療システムを維持したい・・」の「維持」の部分です。

 WHOによると、フランスの医療制度は2000年には世界一だったと言われているそうですが、現段階での世界ランキングはせいぜい20位と言われています。もっとも世界一ではなくとも20位ということは、世界水準でいえば、高水準であるには違いないのかもしれませんが、このざっくりとでも世界最高と言ってのけるあたり、やっぱりマクロン大統領に似た感じの言い方をするな・・という印象です。

 私自身、長いことずっとフランスに住んでいるので、他の国の医療システムについては、日本のことでさえもよくわからないので、正直なところ、どの程度の水準なのかはわかりません。

  個人的には、持病はあるものの、大きな変化はなく、とりあえず、なにかあれば、かかりつけのお医者さんに相談して、問題があれば、処方箋を書いてもらって、特定の検査に行ったり、専門医にかかったりしているので、差し迫って困ることはないのですが、この先の特殊な検査だったり、専門医にかかる場合は、予約しようと思っても、それが数ヶ月から半年近く先だったりするのには、閉口することもあります。

 この流れは、もうずいぶん前に、自分のかかりつけの医者というものを選ばなければならなくなって、専門医にかかる場合は、そのかかりつけの医者に処方箋を書いてもらわなければならなくなったからだったのですが、当初は、なんでそんなに面倒なことを?と思ったものの、それに慣れてみれば、適格な検査や専門医を自分自身で判断できる知識が私にはないので、結局は、それが良かったのだな・・と思っていました。

 私の場合は、かかりつけのお医者さんには、すぐに予約がとれる状態なので、その部分での問題はないのですが、私の場合は幸運な部類に入るのかもしれず、かかりつけの医者にさえもすぐにアクセスできるとは限らないようです。

 医者不足が叫ばれ始めて以来、医学部の定員を増やしたりする措置はとられているものの、彼らが現役として活躍できるようになるまでのしばらくの間は医者不足は解消されることはないので、医者の負担を軽くし、仕事を簡素化するための措置が考えられているようで、医師が事務処理に費やす時間を減らし、より多くの時間を患者に充てられるようにするため、2024年末までに1万人の医療助手を採用するとしています。

 また、これまで医者の処方箋なしには買えなかった扁桃腺や膀胱炎などの抗生物質に対して、薬局の薬剤師が直接、処方することができるようになったり(6月から)、メガネを作る際に眼科の検眼を受けずとも、眼矯技師が直接、適応させることが可能になります。

 特にメガネなどの場合は、大手の眼鏡屋さんに行けば、眼科さながらの検眼システムがあったりするので、これは、妥当だな措置だな・・などとも思います。

 しかし、なんといっても今回の医療システム改変の中で、一番注目されているのは、医者の予約を反故にした場合は(予約をキャンセルしなかったり、24時間以内に行かなかったりした場合)には、「罰金5ユーロ」(2025年1月から)というもので、この罰金は、どのようにして、回収するのかわかりませんが、これこそ、事務手続きが爆増する原因となるのではないか?とも感じます。

 この5ユーロ(約800円)という金額も、罰金としては、なかなか微妙な金額のような気もします。

 世界最高の医療システム・・という壮大な感じのするうたい文句の割には、医者の予約バックレたら罰金5ユーロというなんだか、ちぐはぐなレベルの内容が並ぶことに理想と現実の壁を感じないでもありません。

 いずれにせよ、この発表により、医師組合との交渉が始まることになります。

 今、私は、専門医などの予約がとりづらいことなどはあっても、そこまでフランスの医療システムに不満があるわけではありませんが、これまで友人や知人が重病にかかって入院した時などには、かなり酷いな・・という話なども聞いているので、あくまでも、日常的にそんなに深刻な状態ではないからかもしれません。

 いずれにしても、できるだけ医者のお世話にならずにすむようにしたいものです。

 そうそう、フランスの医療システムですごいな・・と思うところは、ガン治療に関しては、特別な治療の場合は別として、無料ということです。これはもうずいぶん前に友人がガンに罹った時に知ったもので、ミューチュエル(国民健康保険をカバーする保険)に入っていなかったという友人に「え~~?どうするの?」とビックリした時に、幸か不幸か、ガンの場合は一切、お金がかからない・・と聞いて、喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからない複雑な気持ちがしたものです。


医者の予約反故罰金5ユーロ 世界最高の医療システム


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