PFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル)は、人工的に作られた有機フッ素加工物の総称で、その非粘着性、防水性、耐熱性が高く評価されており、特に繊維製品、食品包装、消火泡、非粘着コーティング、化粧品、植物検疫製品、半導体、インクなどの多くの日常生活で利用される製品の多くに使用されています。
PFAS は化学的安定性により環境中での分解が限られているため、体内に摂取した場合は、体外に排出されにくく、蓄積され、それらが廃棄物として排出された場合は、私たちが飲む水、土壌、空気、海に広がり最終的には食物連鎖に入ります。 母乳を介した乳児への感染も現在では証明されていると言われています。
欧州環境庁によると、PFAS は、ほぼ確実に、内分泌かく乱作用に関連したさまざまな影響、つまり免疫機能の変化、腎臓および精巣がん、肝障害、コレステロール増加を引き起こすだけでなく、胎児の発育にも影響を及ぼすとされています。
また、国際がん研究機関(IARC)は、PFOAを「人間に対して発がん性がある」、PFOSを「発がん性がある可能性がある」と分類したと、2023年11月30日付のランセット・オンコロジー誌で発表しています。
国際的には、ストックホルム条約の枠内で、特定のPFAS(PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(パーフルオロオクタン酸)、PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)はすでに禁止されています。
フランスでは、2024年2月、PFAS汚染は公衆衛生上の懸念から政府委託の報告書は当局に対し、PFAS汚染を調査し、これらの汚染物質の「産業排出を緊急に停止する」よう求めていました。
PFASが使用されている製品やこれに汚染されている製品をみれば、どれだけ私たちの日常生活に浸透してしまっているかを考えると恐ろしいかぎりですが、ひとまず、今回のフランスでの環境保護法案で2026年には禁止されるのは、衣料用繊維製品(その他の繊維製品は2030年)、ワックス製品、化粧品とされています。
この PFASで一番に思い浮かべるいわゆるフッ素加工のフライパンなどの台所用品は、その最大手であるSEBグループ(ティファールなど)による大規模なロビー活動により、代替品の欠如や無害の主張、過剰転置などを理由にこの禁止製品枠からは外されていることは、どうにもしっくりしないモヤモヤが残るところではあります。
しかし、この PFASの有害性についての知識をある程度、持っていれば、たとえ、販売されていても、消費者はそれを利用するか否かは自分で選択することはできます。
ル・モンド紙とフランス・インフォ紙が公表した調査結果によれば、先日、別の問題でスキャンダルとなったミネラルウォーターにも含まれているということです。
このような問題に神経質になり過ぎると、もう食べてもよいもの、利用してもよいものが非常に限られてくるような気がしてしまいますが、やはり、体内に蓄積され、排出、消去する技術が存在しないとなると次世代の子どもを産んで育てていく若い世代にとっては、無視できない極めて深刻かつ重大な問題でもあり、小さい子どもを持つお母さんたちは、注意してあげないといけないだろうな・・と思うのです。
この PFAS問題だけでなく、より良いものを開発して進歩していたつもりが有害だったり、環境を破壊していたということは、けっこう多くて、それを戻すって大変だな・・と思うことが最近、多いなと思うのです。
2026年 PFAS 製品禁止
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