ここのところ、電気料金は毎年、着実に値上げされており、2024年は2月からさらに10%値上げされています。これは毎年徐々にあげられているため、数年前から比べるとずいぶん高くなったと思いますが、しかし、それでもこの値上げは国によって抑制されている状態のようです。
実際の電気料金は、これ以上に値上げされているのが現実なのですが、国が関税を調整しているために、これでも他の欧州諸国に比べて大幅な値上げを抑えているのだそうで、国からしてみれば、この調整を少しずつ段階的に終了させていく予定で、当初は2023年12月に終了予定だったものが、2025年2月までに延長されています。
したがって、国は引き続きフランス国民の請求書の一部を一定期間負担しているわけで、この措置により、2024 年の国家予算では、30億ユーロが割かれています。
ということは、2025年2月には、また確実に値上げされることは間違いなさそうです。
これまでフランスは特にウクライナでの戦争が始まって以来のインフレのために、インフレ手当やエネルギークーポン(エネルギーチケット)などを数度にわたって配布してきましたが、全員に一律○○ユーロ・・ということはまずなくて、この援助の実質的な金額も所得によって違っています。
このあたりは、とても合理的なところです。
これは、前年度に申告された所得や家族構成(子どもの年齢や数など)により、自動的に配布されるもので、エネルギーチケットに関しては現金で支払われるものではなく、EDF(フランス電力)の個々のアカウントにデポジットとして、支給されます。
今回のエネルギーチケットの平均支給額は150ユーロ(約24,500円)ということで、所得や世帯の規模に応じて48ユーロから 277ユーロ(約45,000円)とされています。
このあたりの援助に関しては、フランスのシステムは非常によくできており、この枠内の人々に一定の率の金額(相当のバウチャー)を配布するとなれば、そのたびに個々に申請する必要はなく、自動的に振り込まれるようになっているところは、とてもスムーズで円滑に行われます。
実際には、このチケットが配布された後は、電気料金は、そのデポジットから電気代が自動的に支払われることになるので、他の用途に使うことはできません。
これらの援助に関しては、かなり手厚いと言えば手厚いのがフランスですが、年々、その援助されるはずの枠が狭められてきているのも国家の緊縮財政が見え隠れするところで、最近ではHLM(低所得者向けの公営住宅)の居住資格についての見直しを行う必要があることが話題に上がっています。
このHLMについては、一応、2年に一度、チェックされているのですが、このチェックはこれまで居住権の問題もあって、わりと緩かったのですが、「所得の上限を大幅に超えた人々が公営住宅に住み続けることの妥当性を再検討する必要がある」と住宅大臣が問題を投げかけており、収入増加に応じて、家賃の増額、あるいは、退去が求められる可能性があります。
フランスの場合、低所得者層への援助はこれまでも手厚いイメージがあるのですが、それだけ低所得者層がギリギリの生活に窮しているということでもあり、格差社会のあらわれでもあると思われます。
そこのところが、税金を払う側にまわるか?もらう側にまわるか?などと揶揄されることにもつながっているのですが、実際のところは、ギリギリのところで、もらう側には回れない人々が一番厳しいのかな?という気もしてしまいます。
フランスのエネルギーチケット エネルギーバウチャー
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