私はふだん、パリ市内かせいぜい、ごくごくたまにパリ近郊くらいしか移動しないので、ほぼタクシーというものに乗ることはありません。私がタクシーに乗るのは、日本から帰ってきた時にあまりに荷物が多いために、空港から乗るときくらいなものです。
ヨーロッパ内を旅行してきた時は、そんなに荷物も増えないので、タクシーを使うまでもないのです。
今回も空港からの帰り道はタクシーで帰ってきました。まず、驚いたのは、空港のタクシー乗り場の行列で、こんなにタクシー乗り場に行列していることも珍しいほどの行列でした。とはいえ、少し待っていれば、空港にはタクシーが集まってくるので困るほどではありません。
長旅の末、無事に荷物を受け取れてホッとしつつも、ガックリと疲れが出てボーっとしながら、ようやくタクシーに乗って家の場所を言うと、車はスムーズにスタート。
夜だし、スイスイと家に着くだろうと思いきや、なんと途中で渋滞にひっかかり、車はノロノロ運転。今、別のルートが工事中で閉鎖されているために、いつもは他の道を通る車が全部こっちに来ているために渋滞しているのだとか・・。
高速まで工事で閉鎖とは・・そういえば、オリンピックの交通規制のために高速道路のレーン規制をするという話をしていたので、それだったのかもしれません。
そのあたりで、運転手さんとの話が始まり、ここ数週間でフランスでは何か変わったことはありましたか?」と聞いてみると、「マクロンがとんでもないことを言って騒ぎになっている・・明日には、戦場に行かなくちゃならないかもよ・・」などと半分冗談めかして話してくれました。
マクロン大統領が「戦場に派兵の可能性も排除しない」と発言して、国内だけでなく、海外からも批判を受けていたのは、私が日本に出かける前のこと。また、何かさらに過激なことを言ったのだろうか?と思いきや、それを補強するような発言はしていたものの、運転手さんにとっては、その発言がよほど、衝撃的であったのではないかと思われます。
彼曰く、「マクロンは狂ってる・・」と。
そして、タクシー乗り場の行列の話をしたら、実はタクシーの台数がそもそも減っているのだ・・という話。インフレや環境問題のための様々な規制によりタクシー業界もけっこう厳しいのだとか・・。
「オリンピックの時なんて、みんなバカンスに出ちゃうから、もっともっと減っちゃうよ・・」とのこと。オリンピック関係者や観光客が膨れ上がることでタクシーの利用客も相当数増えるだろうに、タクシー減っちゃうの? 日本人ならば、書き入れ時とばかりにタクシーも増えるだろうと思うのは、ここでは違って、「いろいろと規制もうるさいし、だいたい夏のバカンス期間中に仕事なんてやってられるか!」となってしまうみたいです。
いつもの何倍もの観光客がどんどんフランスに入ってきて、恐らく、いつもよりも数倍厳しいセキュリティ体制がとられているであろう空港からものすごい数の人が出ていかなければならない状態で、その、ものすごい数の人が空港に溜まってしまうことがあっても大変です。
空港からの移動手段は電車やバスもあって、タクシーだけではないにせよ、タクシーを利用しようと思う人はかなりいるであろうに、まず国の玄関である空港を考えても、大変な状態に陥ることは、必須ではないかと思うのです。
パリに着いたとたんに、また戦争の話とオリンピックの話か・・と急にフランスに戻ったことを実感させられる感じがしたのです。
日本でのクタクタになりながらも、久しぶりに会えた友人や親戚との楽しく美味しかった時間にどこかフワフワした気持ちでもあった私は、そんな話題を続けたくなくて、運転手さんに、「どちらの方ですか?」とか、「お子さんはいるんですか?」とか、おばさんチックな質問をして、話を切り替えたのでした。
運転手さんは、アルジェリアの人で、子どもは上から「14歳、12歳、8歳、5歳・・」と言うので、思わず「えっ?4人も?」と驚くと、「4人なんて、ふつうでしょ!僕は日本人じゃないから子供は一人だけとか言わないからね・・」と言われ、「一人だけでもいればまだまし、子どもゼロの人も多いから・・」となんだかフォローになっていない切り返しをしたのでした。
しかし、現実的にこの夏の、特にオリンピック期間中のタクシー問題、政府はどうするつもりなのでしょうか?・・強制的に働けなんて言えないだろうし・・だからといって白タクに頼るわけにもいかないだろうし・・とちょっとお手並み拝見という気がしています。
パリオリンピック期間中 夏のタクシー
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