義兄夫婦のフランス人の家族
主人には、血の繋がりのない歳の離れた兄がいて、パリ郊外に暮らしています。
血の繋がりがないというのは、主人のご両親に長いこと子供ができずにいたため、養子縁組をしたお兄さんだからなのです。
ところが、養子を迎えて、しばらくした後に、ひょっこり子供ができたのだそうです。それが、主人です。ですから、主人とお兄さんは、全く似ていません。
主人は、大きくて、体格も良く、(良すぎて多少問題あり)どちらかというとイカつい感じなのですが、お義兄さんは、小柄で優しい感じの人です。
フランスでは、子供のいないカップルが養子を取るケースは、日本に比べると、少なくありません。娘の高校まで、仲良くしていたクラスメイトにも、養子として引き取られて育った女の子がいます。
お義兄さんの奥様、つまり、お義姉さんは、彼女が若い頃に、彼のお母様に見初められてお義兄さんと結婚したのだそうです。
ですから、主人は、学生の頃から、独立するまでの間、ご両親とお義兄さん夫婦と、長いこと、一緒に暮らしてきたので、ある意味、お義姉さんは、主人にとっては、お母さんのような存在で、歳をとってもなお、お母さんに対して、わざと偉そうに振る舞いながらも甘えているダメ息子のようでもあり、また、お義姉さんの方も何かと主人を甘やかすようなところがありました。
私が主人と出会った頃には、もう、主人のご両親は亡くなられていたので、私にとっても、お義兄さん夫婦の家は、主人の実家のような存在でもありました。
お義兄さんは、主人と顔かたちが似ていないだけでなく、生活の仕方もまるで違っていました。
主人と義兄が歳がかなり離れていた上に、主人と私もわりと歳が離れているので、主人の甥や姪が私と同じ年頃でした。
海外を飛び回って仕事をしていた主人とは違って、義兄は、工場勤めで、フランスをほぼ出ない生活で、お義姉さんは、事情で親が育てられない子供を家で預かる仕事をしていました。
二人で広い庭のある大きな家を構えて、今はもう独立している自分の子供たち4人を車ですぐの場所に住まわせて、日曜日や事あるごとに、家族みんなが子供を連れて、集まってくるというような生活を送っていました。
子供たちは、皆、学校を卒業とともに、地元の銀行やRATPや警察官といった手堅い安定した仕事につき、早々に結婚し、子供を持ち、それぞれの家を構え、両親を囲むように、さらに大きな家族になって幸せに暮らしています。
私たちも、フランスに来て、しばらくの間は、彼らの家の近くに住んでいました。
フランスに来たばかりで右も左もわからなかった私も、まだ赤ちゃんだった娘を抱えて、主人も体調が悪かったりもして、辛かった頃、何かとお義兄さん夫婦の家にお邪魔しては、ご馳走になったり、お料理を教わったりして、どれだけ彼らに救われたかわかりません。
特にお義姉さんは懐が大きく、とても暖かい人でした。
いつも、たくさんの食事を用意して、淡々と家事をこなし、いつも笑顔で、少しも威張ることがなく、私たちが行くと、いつも、” 食べなさい!食べなさい!” と食事を促し、自分も一緒に食事をとり、なぜか、バゲットは中の白い部分さえ食べなければ太らないと思っているような可愛いところもある人でした。
ですが、私が仕事を始めてしばらくして、私も主人も勤め先がパリだったこともあり、フランスの交通事情もあり、通勤が大変で、娘の学校や教育のことなども考え、今の家に引っ越してからは、彼らの家に行く機会も減ってしまいました。
主人とお義兄さんは、同じ家庭に育ちながら、生活の仕方も子供の教育に対する考え方などもまるで違います。しかし、決して、仲が悪いわけでもなく、何かあれば、連絡をとって、お互いに、支え合っていました。
生活や考え方などが違っても、そして、たとえ本当は、血縁関係さえなくとも、やっぱり、家族であるということを思うに、家族というものは、血のつながりではなく、一緒に過ごしてきた時間なのではないだろうか?と、義兄と主人との関係を見る度に、つくづく思わされるのです。
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