フランス人と日本人のハーフの青年
私がフランスで仕事を始めた時に、同じ日に入社した青年がいました。
その青年は、当時、20代後半くらいだったでしょうか? お母さんは、日本人で、お父さんは、フランス人のハーフの青年でした。
お母さんが日本人で、お父さんがフランス人のハーフということで、私は、最初、どこか、娘の将来をダブらせるような目で彼の様子を見ていました。
彼は、親元を独立して、パリで一人暮らしをしているということでしたが、予想に反して、なんだか、ふらふらした青年で、日本語も、ほとんど話せず、(まあ、ここは、フランスなので、別に日本語ができないことは、本当は、問題ではないのですが、)忘れ物をしたら、母親が職場まで届けに来たり、何かあると、トイレにこもって、携帯をいじっているような青年でした。
そんな様子でしたから、彼は、数ヶ月で、すぐに会社を辞めていきました。
私は、そんな彼を見て、強い危機感を感じたのです。
言い方は悪いですが、娘がこんなになってしまったら、大変だ!!と。
放っておいたら、彼のように日本語も話せなくなってしまうし、甘やかしていたら、こんなにフラフラとした人間になってしまうのだと・・・。
彼の容貌は、明らかに日本人ではなく、背も高くスラッとしていていて、見た目は悪くないのです。
そして、親元を離れて、一見、自立しているようにも見えます。
しかし、実のところは、家賃は親がかりで、ブランド物のバッグなどをチャラチャラと持ち歩いて、口から出るのは、ヨーロッパのデザイナーの話ばかりで、ロクに働かずに職を転々とし、ふらふらと生きているのです。
最初は、お母さんが日本人なのに、日本語が話せないことにビックリした私でしたが、実は、彼のダメなところは、単に、日本語が話せないだけでなく、生き方からして、ダメダメなのでした。
私は、実際には、彼とは、仕事上の接点は、ほとんどなかったので、あまり、直接話した記憶もほとんどないくらいなので、詳しい彼の生い立ちはわかりませんが、経済的には、かなりゆとりのある家庭なのでしょう。
しかし、私は、彼を見るに、フランスと日本の間で、ちょうど悪い具合に掛け合わさって、育って来たように思えてならないのです。
フランス人のように、イッパシの主張と言い訳は、ハッキリとし、親とは、同居せずに、独立している風でありながら、実のところは、親が甘やかして、いい歳をした子供にお金を出し続けているのです。
どこの時点で、彼がそうなっていってしまったのかは、わかりませんし、現在、彼がどうしているかもわかりません。
ただ、私は、彼と出会えたことをとても感謝しています。
なぜなら、彼の存在は、反面教師として、私の子育てに大きな警鐘を鳴らしてくれたからです。
私は、娘に、読み書きも含めて、しっかりと日本語を教え、「高校以上は、勉強をしたくなければ、しなくてもいい。けれど、何もせずにふらふらとしていてはいけない、しっかり、働いてもらいます!」と、小さい時から、きっぱりと言い続けて来ました。
そんな娘は、現在、大学院大学に通っています。
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