2019年9月1日日曜日

ピンクのお年頃


ピンクが何より好きだった頃の娘


 3〜4才くらいの女の子にありがちの、とにかく可愛くしたい願望。

 髪の毛を結んで欲しいとか、こんな洋服が欲しいとか、こんな組み合わせにしたいとか、とにかく世界で一番、かわいくしたいと思っている、ちょっぴりナルシストが入った微笑ましくも厄介なお年頃です。

 そんな中でも、彼女は、色へのこだわりが強く、色の組み合わせにもうるさく、とにかく、基本、ピンク色のものがお好みで、また、あま〜い、日本にいるマミー(おばあちゃん=私の母)などが、娘がピンクが好きだということを知ると、ピンク色のものをせっせと送ってくれたりしていたので、娘のピンク狂に拍車がかかることになりました。

 なにかというと、” ローズ "。(ピンク色のことをフランス語では、”ローズ”と言います。)その頃の彼女から、自信満々の ”ローズ!" という言葉をどれだけ聞いたことでしょう。その頃の彼女の持ち物は、何から何までローズで、彼女の部屋はピンク色のもので溢れていました。

 また、洋服の組み合わせにも強いこだわりがあって、毎日の洋服は、自分で選び、自分で着たい年頃でした。

 それは、スカート、Tシャツ、セーターから、靴下、タイツ、靴からパンツに至るまで、何やら自分で好きなようにコーディネートをしたがっていたので、私も彼女のやりたいようにさせていました。

 とはいえ、まだまだかわいいもので、洋服の着方などは、親に言われたとおりに素直に従っていました。

 例えば、どんどん成長して、洋服も、あっという間に小さくなってしまうため、私は、セーターなどの比較的、融通のきく服は、いつも大きめのものを買って、腕まくりをさせて着させていました。

 なので、たまにちょうどいい袖丈の服を頂いたりすると、” ママ!これ、折るとこないよ!” などと、言い出すので、苦笑してしまうこともありました。

 それは、日本に一時帰国した際に、親戚の家に出かけた時のことでした。
日本に持ってきている限られた服の中から、彼女は、自分で服を選んで、自分で着替えて家を出たのです。

 家の中で、おてんばを始めた娘に、睨みを効かせた時、私は、目を疑ったのです。

 おてんばをして、チラッとスカートがめくれたのです。
 
 なんと、彼女は、スカートとパンツの色が合わないからとパンツを履いてきていなかったのです。慌てて、叔母が買い置きしてあったパンツを借りて、履かせて、” いくら色が合わないからといっても、パンツは履いてでるもの!” と言い聞かせたのでした。

 ピンクを世界一かわいい色だと信じて、世界一可愛くしたいと思っていた彼女は、色のあうパンツがないからといって、パンツを履かずに出かけてしまうという奇行に走ってしまったのです。

 大きくなった今はもう、彼女のワードローブは、地味な色の服が大半をしめ、逆に、私がたまには、いいんじゃない?と頼んでも、彼女はピンクの服などは、着てはくれなくなりました。

 ピンクへの憧れは、多くの女の子が通る、あの年頃の麻疹(はしか)のようなものだったのかもしれません。










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