2019年9月2日月曜日

フランス人特有のジェスチャー




 以前、日本人だけれど、お父様が外交官だった関係で、世界を転々と暮らし、ほとんど日本に住んだことがない、海外暮らしの長い、従兄弟の奥さんに会った時、彼女は、日本語が苦手で、あまり、周りの日本人と話そうとしませんでした。

 彼女の両親は日本人なので、日本語もわかるは、わかるのですが、どうも、話す方は、あまり、自信がなかったようです。

 しかし、うちの娘が相手だと、娘も似たような立場だったこともあって、まだ小さかった娘を相手に、日本語で話をしてくれていました。

 彼女は、普段は、英語圏で暮らしているので、母国語は、英語なのですが、フランスでも暮らしていたことがあったらしく、そんな彼女が私に言いました。

「お嬢さん、日本語も上手だけど、日本語を話していても、身振り手振りがフランス人でかわいい!」と。

 世界を転々としていた彼女だからこそ、娘の身振り手振りがフランス人特有のものであることに、すぐに気が付いたのです。

 それまで、私は、毎日、あたりまえのように、娘と過ごし、周りのフランス人とも普通に接していて、フランス人独特のジェスチャーというものを、特に意識はしていなかったのです。

 ところが、考えてみたら、フランス人のジェスチャーは、第二のフランス語ともいうべく、共通にフランス人が使っているものであったのです。

 きっと、日本で一番有名な、フランス人のジェスチャーは「ノンノンノン!」と垂直に伸ばした人差し指を左右に振る相手の発言を打ち消すポーズかもしれません。

 また、「アタンシオン!(気をつけなさい!)」など、相手に注意を促す時には、同じく垂直に伸ばした人差し指を相手に向けて、2〜3回、縦に振ります。
 きっと、慣れていない人は、威圧感を感じることでしょう。

 「まあまあ・・・」特に良いとも悪いとも言えない時、「コムスィ・コムサ」、ギリギリ、スレスレであることを示す時には、「セ・アンプ・ジュスト」と指を伸ばした手のひらを下に向けて、右に左に幾度か半回転させます。

 きっと、フランスの街中で、何かを尋ねた時、一番、多く目にする機会があるのは、口をちょっとすぼめて、両肩をすくめるようにちょっと上げて、両手の平を上にして、相手に向けるポーズ。

 相手や自分の期待通りにできない状況に置かれて、仕方がないと諦めたり、「ジ・プ・リアン」「セ・パ」など、どうしろというのだと開き直るポーズでしょう。

 その開き直るジェスチャーなどは、フランス人の感じの悪さをより一層、引き立てている気がします。

 とにかく、フランス人は、話をする時に身振り手振りが多く、そのひとつひとつに言葉なみの表現が含まれていて、気をつけて見ていると、とても、面白いものです。

 だから、娘のように、たとえ、日本語を話していても、言語自体は切り替わっていても、身振り手振りは、フランス仕様のままという現象が起こるのです。

 フランスに長く生活している方や、バイリンガルのお子さんなどは、日本語を話している時にも、無意識にフランス仕様のジェスチャーになっているかもしれません。

 「知らない!」と思ったりした瞬間に、両肩をすくめて上げたりしていませんか?

 私は、時々、そんな自分の無意識の動作に気づいて、ハッとしたりしています。
 

 


































 

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