2025年3月31日月曜日

ビブリオテック エリアにある屋台村が楽しい

  


 先日、映画を見るために、久しぶりにビブリオテック(フランス国立図書館)のあるエリアに行きました。ビブリオテックの駅も久しぶりでしたが、一時は、きれいにしても、すぐに汚れていくパリのメトロの駅の中では、いつ行っても清潔できれいに保たれていて、また、全体的にゆったりと整然としている駅で、いつ来ても印象の良い駅です。

 このエリアは、パリの中では、新興エリアで、文化的に近代的に発展させようとしている感じの街のつくりで、ある意味、パリらしくないとも言えないこともありませんが、けっこう、DECATHLON (デカトロン)(スポーツ用品店)やDARTY (ダーティー)(電化製品)、よく見るちょっとおしゃれなチェーン展開のカフェやバーなどもあり、なかなか悪くないエリアです。

 ビブリオテックというだけに、もちろん、大きなフランス国立図書館や映画館、催事場などが色々、揃っているし、オフィス街でもあります。

 これまで私が知らなかっただけかもしれませんが、映画館の前の広場には、屋台村を思わせる色々な種類のテイクアウトフードのカミオン(小型トラック)が集まっていて、その中央には、テーブルと椅子がぽつりぽつりと置かれていて、テイクアウトした食べ物をそのままオープンエアで食べられるようなスペースが設けられていて、平日のランチタイムには、けっこう賑わっています。



 最近、時々見かけるようになったハンバーガーのカミオンや、チャイニーズ、アクラ(魚のすり身を揚げた料理)やパエリア、和食風のBENTOなどなど、国際色豊かなお店があります。



 そもそもカミオン(小型トラック)といえば、以前はカミオン・ピッツアはわりとよく見かけるものだったし、我が家の近所にも来ていたことがあったのですが、いつの間にか(どうやらパンデミックの頃以来)見かけなくなっていました。

 しかし、考えてみれば、ピザが焼けるのなら、他の料理だって、できないわけはなく、ただ、どの程度、受け入れられるのかを考えれば、ハンバーガーあたりが、一番、手っ取り早くフランス人には、受け入れられやすいのかもしれません。



 しかし、多くの人が集まるオフィス街や映画館近くのエリアならば、毎日のように、食べるランチ・・バラエティに富んだメニューが楽しめるのは、ランチ難民にとっては嬉しいことだと思います。


 どうやら、このテイクアウト業界界隈は、カフェやレストランに行くよりもずっと経済的で、価格設定も10ユーロ前後にターゲットが絞られている感じで、気軽に利用しやすい感じでもあります。

 いわゆる観光地ではないけれど、ちょっと面白いパリの一面を感じられるこのエリア、ちょっと覗いてみるのも楽しいかもしれません。

 


パリの屋台村 ビブリオテック


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2025年3月30日日曜日

朝食が好き 最期の晩餐は朝食がいいかもしれない・・

  


 最近のマイブームは朝食で、いわゆる朝食っぽい食事が自分は好きなんだな~と、あらためてそんなことを思っています。

 日本に行ったときに、温泉に行ったりしたときの、温泉旅館の和朝食などは、私にとっては、究極の朝食で、豪華な夕食は温泉の楽しみのひとつなのですが、さんざん食べ尽くした翌朝でも、ごきげんで食べられる朝食もその楽しみのひとつです。

 朝から、こんなにたくさん!と歓呼する旅館の和朝食はもちろんのこと、ふつうの家庭でも食べるような、ごはんとお味噌汁、納豆、お漬物、のり、たまご焼き(それに魚の干物などあったら、すごいですが・・)などの朝食も、海外にいれば、もの凄いご馳走です。

 以前、職場にいた同僚が子どもと日本に帰国していた際に、子どもが、実家のお母さまが用意してくださった、いわゆる、ごくごくふつうの和朝食に、「晩御飯みたいな朝ごはんだね!」と言ったという話には、当時も今も、大きく頷ける感じがしたものです。

 しかし、私は、トーストに簡単なサラダにコーヒーなどの朝食も、これもまた好きです。朝でなくとも食べたくなるような食事です。

 私はフランスでは、朝からお米のご飯を食べることは滅多にありませんが、いわゆる、朝ご飯みたいな晩御飯を食べるときは、とっても贅沢している気分です。

 私が子どもの頃は、父は、1日に一度はお米を食べないと気が済まない人だったので、たいてい父は朝からご飯とお味噌汁、焼き魚と納豆、あるいは、卵焼きなどとお漬物・・という食事で、朝、パンを食べるのは、お休みの日で、スープ(トマトとか、コーンとか、クラムチャウダーとか・・)とツナ缶とか、イワシのトマト煮とかを添えたサラダとトーストというのが定番でした。

 母に言わせれば、パンだと手間がかかるから・・ということでしたが、なるほど、今、思い返せば、今の時代ならともかく、私の子どもの頃ですから、スープといっても、大皿にスプーンで飲むようなスープで、今でもあの頃の食卓が思い浮かびますが、母も大変だったろうな・・と思います。

 今の私がパンにサラダにコーヒー・・なんていう簡単な感じではありませんでしたが、それでも、今、思い起こせば、私が自分で作っているサラダ用のドレッシングは、あの頃、母が作ってくれていたドレッシングと同じ味だと思います。

 そして、これは、今となっては、ほんと、滅多に食べないけど好きなのは、イギリスの朝食で、これは、私がイギリスに留学していた頃、ほんのわずかな期間、ホームステイしていた家庭で出してくれた、いわゆるイングリッシュブレクファストで、薄切りのパンをトーストしたものに、ベイクドビーンズ、焼いたトマト、ソーセージの朝食で、たまにM&S(マークスアンドスペンサー)に行ったりすると、このベイクドビーンズの缶詰を買ってみたりすることもあります。

 当時、最初にこの朝食を見た時は、「なにこれ?朝から、グチョグチョな豆・・」とゲッソリしたのを覚えていますが、その家庭で出してくれる料理の中では、朝食が一番マシ(失礼!)で、それも、ごくごく短期間だったので、今では懐かしい・・私にとっては、なんとなく郷愁を感じる朝食でもあります。

 おかしなことに、なんと一番長く生活しているフランスでは、フランスらしい朝食というものは、あんまり食べずに来たのですが、夫は、よく縦半分に切って、ちょっとトーストしたバゲットにバターなどを塗って、コーヒー(カフェオレ)に浸して食べていたので、これがフランス人の食べ方なのね・・と、一緒にそんな食事をしていたこともありました。

 夫が生きていた頃は、私は日曜日も仕事のことが多かったので、滅多にチャンスがありませんでしたが、ゆったりした日曜日の朝には、夫が「クロワッサンとか、パンオショコラ買ってこようか?」と、ものすごく素敵な提案をしてるアピールをしてくれていたことがあったので、夫にとっては、平日はバゲットにカフェオレ、お休みの朝食はクロワッサン・・そんな朝食が理想だったのかもしれません。

 いずれにせよ、今は朝食を抜いてしまったりすることも多いのですが、朝食を朝、食べないだけで、昼に食べたり、夜に食べたりしていて、あらためて、私は朝食というものが好きなんだな・・などと思っています。

 よく最後の晩餐というか、人生の最期に何が食べたい?なんていうことを言うことがありますが、私は、和食にせよ、洋食にせよ、簡単な「朝食」が最期に食べたい食事かもしれません。


朝食


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2025年3月29日土曜日

久々のギャラリーラファイエット・グルメには、ピエール・エルメのパワーを感じた!

  


 久しぶりにギャラリーラファイエット・グルメに寄ってみたら、パック(イースター)を前に、チョコレートの彫刻のようなものが、あちこちに出ていました。

 なにかにつけて、チョコレートを別のカタチで売る感じは、毎度のことですが、イースターともなると、イースターエッグのたまごの形のチョコレートやにわとりの形のチョコレート、また、うさぎや、その他の小動物の形のチョコレートだったり、まさに手を変え、品を変えという感じです。

 ギャラリーラファイエット・グルメの地上階は、正面入り口を入ると、まず、スイーツのお店がウワッと目に飛び込んでくるのですが、入口、正面を陣取っているのは、ピエール・エルメ、入口を入って右手は、長いことダロワイヨが入っていたのですが、とうとう、その座(ダロワイヨが長年陣取っていた場所)は他のお店に入れ替わっていました。

 そして、入口を入ってすぐの左側のスペースは、だいたい今、注目のパティスリーだったり、ブーランジェリーだったり、アイスクリーム屋さんだったりが、期間限定で入っています。

 その期間限定のスペースには、現在、「ピエール・エルメ」のチョコレートが陣取っていて、その正面には、常設の「ピエール・エルメ」のスイーツ(マカロンやケーキ類など)があり、入口付近の大部分を「ピエール・エルメ」が占めています。

 この「ピエール・エルメ」の存在感というか、パワーというか・・そんなものをひしひしと感じます。



 この期間限定のスペースは、ショコラティエとしての「ピエール・エルメ」のスペースで、これまた、「サロン・ド・ショコラ」??と思うような、大きなオブジェのような芸術作品というか、一見すると、なんだかよくわからない(失礼!)芸術作品のようなチョコレート。

 これまで、どちらかというと、マカロンで有名になったといってもよいピエール・エルメ・・実はショコラティエでもあります。


 それが、ピエール・エルメといえば、かなりのお値段なのは、間違いないのですが、ちょっとだけ覗いて見ると、すかさずお姉さんがやってきて、「今、これを買うと、このタブレット(板チョコ)がついてきます!」と、商売っ気もバッチリです。

 大きなチョコレートは、正面のものは、どうやら売り物ではないようですが、両隣は79ユーロ、39ユーロとわかるようなわからないようなお値段でした。

 その他のブーランジェリーやスイーツなどのお店は、Nicolas Pciello(二コラ・パシエロ)のお店が新登場していたくらい?でここ最近で大きな変化はありません。



 それにしても、老舗的存在だったダロワイヨが消えたのは、けっこう驚きで、長いこと、ダロワイヨって、もう、あんまり流行ってないのにな・・と思ってはいたものの、実際に姿を消してしまえば、それはそれで、ちょっと寂しいような気もします。

 ダロワイヨの代わりのスペースを勝ち取ったのは、CYRIL LIGNAC(シリル・リニャック)という、昨年、期間限定のスペースに登場していたパティスリーです。

 本店にも行ってみたことがありますが、とてもキラキラで、私などは、少々居心地の悪い感じがしたくらいです。

 


 今回、可愛い小動物のチョコレートなども並んでいましたが、このパリのスイーツ業界もなかなか競争が激しいようです。

 とはいえ、一応、ラファイエットグルメに出店できているということは、それぞれの店舗にとって、一定のステータスでもあります。

 その中でも、これだけの存在感を示している「ピエール・エルメ」をあらためて、恐るべし・・と感じたのでした。

 スイーツの世界は甘くないのかも・・。


ギャラリーラファイエット・グルメ ピエール・エルメ


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2025年3月28日金曜日

最近、見つけたパリの美味しいケバブ屋さん GEMUSE berliner kebap Paris

 

 

 日本に一時帰国していて、帰仏して以来、しばらくはフランスの食べ物に食指が動かなくなっていて、その後、検査のために入院したり、その後の対応などもあったりして、とんと、外食や美味しいものへの探求心が損なわれていました。

 先日、たまたま夜のニュース番組を見ていたら、最近(今に始まったことではないと思いますが・・)、ケバブが人気を増している・・というニュースをやっていて、ケバブ屋さんに行列ができている様子を流していました。

 その番組の中でチラッと写っていたケバブ屋さんがちょっと気になって、「ケバブくらいだったら、行ってみようかな?」とふと思い立ち、行ってみました。

 とはいえ、以前にとても美味しいケバブ屋さんを見つけて、感動してしまっていたので、あのケバブを越えるケバブは、なかなか難しいかも・・?と、あまり期待はせずにいたのです。



 行ってみると、やっぱり、行列ができていて、周囲のレストランなどが、ガラガラだったり、昼時にもかかわらず、そこまで混んでいないことに、他のお店がちょっと気の毒に感じたくらいです。

 混んでいるといっても、テイクアウトがほとんどで、小さいお店には、イートインのスペースはなく、外に簡単なテーブルとベンチが2セットあるのですが、ほとんどの人が持ち帰るようでした。


 小さなお店は、人気店ならば、もうちょっと小綺麗にしてもいいんじゃない?と思うほどの外観ではありますが、無駄がなく、店内では、5人の男性が忙しそうに働いていて、1人が注文を受けて会計、もう一人は、サンドイッチを作りながら、お客さんに渡していく人、他の3人は中で調理を担当しています。

 メニューは多くないのですが、恐らく最も人気なのはクラッシックというケバブです。ここのお店のケバブは、鶏肉であり、ともにパンに挟まれている野菜の種類がとても多くギッシリなのが特徴です。



 通常ならば、ケバブといえば、子羊肉だったり、牛肉だったりするのですが、ここのお店は鶏肉。マリネされた鶏肉がケバブ用の大串で焼かれていて、それを削ぎ落していきます。

 とにかく、ものすごく回転が速いので、行列ができていても、そこまで長時間待つことはありません。

 スパイシー(といっても、辛いわけではなく、色々なスパイスがミックスされている感じ)な鶏肉がたくさんの種類の野菜に挟まれているのですが、この野菜もグリル野菜(パプリカ、人参、ズッキーニ、ナス、ジャガイモなどなど)と生野菜(レタス、トマト、きゅうり、レッドオニオン、パセリ、マリネされた赤キャベツなどなどが層になっており、その上から、ちょっとフィタみたいな感じの生タイプのフレッシュチーズがパラパラとかかっており、好みのソース(ブランシュ、ガーリック、アルジェリアン、サムライ、アリサルージュ(辛)、アリサグリーン(辛)など)の中から選んでかけてくれます。

 パンは、その日の朝に焼かれたものというトルコのピデパン(ゴマつき)と薄めに焼かれたピタパンのようなパンでロールするタイプがあります。私は、このピデパンを選びましたが、この焼き具合が最高で、7㎜ほどの厚さのパンの外側がカリッとサクッとしており、中は、具材の旨味をしみ込んでくれる役割を果たしてくれているフワッとした部分で構成されています。

 前回のケバブでいたく感動したので、あれ以上の感動は難しいと思っていたのですが、今回は、鶏肉(前回のお店は牛肉)、そして、挟まれている野菜の種類はおそらく今回のお店の方が種類が多いうえに、グリル野菜、そしてグリルされたスパイシーな鶏肉、そして爽やかな生野菜が見事に調和しています。

 つまり、再び感動しました!


 メニューには、今回、私が選んだ Classique(クラッシック)のほかに、ベジタリアンと「Halloumi」(ハルーミ)というメニューがあり、これには、鶏肉の代わりにグリルしたハルーミチーズ(キプロスのチーズ・熱に溶けにくく焼いて食べられるのが特徴)が使われているものがあって、これは、そのうち、絶対に試してみたいメニューです。

 その他、フライドポテトやドリンク類などは、別売りか、セットメニューにもなっていますが、とにかくサンドイッチだけで、すごくボリュームがあります。

 これは、絶対、すぐに食べた方が美味しいと思って、外のベンチとテーブルの一画を陣取って、さっそく、ひとくち・・がぶっと行ったところで、思わず目を大きく開けてしまう感じ・・伝わるでしょうか? そして、今、感じたことを確認するかのごとく、もうひとくち、もうひとくち・・と進みながら、うん!うん!とニッコリ顔になりながら納得していく感じ・・ちょっと味見のつもりが、止まらなくなりそうでした。


 スパイシーなチキンに「これは、どんなスパイスがミックスされているのだろう? 他には、あんまりないかも・・」とか思いながら、一方では、パンのごくごく表面のサクッとした感じに感動したり、グリル野菜の多様さに、えっ?こんなに?これも?と思ったり、また、その下に敷かれている生野菜のシャリッとした食感や爽やかさ・・これもいいなぁ~と思ったり、一瞬のうちに、あれこれと頭が回転した感じがしました。

 半分くらい食べたところで、あとは、家に持って帰って、ゆっくり食べよう!と思って、持ち帰ったのですが、歩き出すと、もうかなりお腹がいっぱいで、これ・・ずっと食べ続けていたら、本当はお腹がいっぱいになっているのに、全然、楽勝で食べきってしまっただろうな・・と思いました。

  気になるお値段ですが、お店のサイト上では8ユーロとなっていましたが、値上げしたようで、8.5ユーロになっていました。セットメニュー(ケバブ+フライドポテトまたはデザート+ドリンク)だと、12ユーロ~のようです。

 帰りにいくつかのケバブ屋さん(パリにふつうによくあるタイプ)を覗いて見たら、だいたい8.5ユーロというお店が多いようだったので、それだったら、このクォリティーでこのお値段、なるほど行列はだてにできるものではない・・みんな正直、良く知っているもんだ・・と感心した次第です。

 前回、ご紹介したケバブ屋さんと、双肩する感じの感動でした。あっちは牛肉、こっちは鶏肉、また野菜のミックスの仕方も微妙に違いますが、どちらもかなりのものです。

 鶏肉の分だけ、ちょっとはヘルシーかも?と思ったりもするのですが、どちらも捨てがたい逸品です。

 パリで10ユーロ以内で食事をすることはなかなか簡単ではありませんが、探せば美味しいものは、あるものです。

 機会があったら、ぜひ、お試しください。


🌟GEMUSE berliner kebap Paris  61 Rue Ramey 75018 Paris 日曜休

パリのケバブ


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2025年3月27日木曜日

2025年6月から偽造病気休暇証明書に対応するための新しい病気休暇証明書

  


 CNAM(Caisse Nationale d’Assurance Maladie)(国民健康保険基金)が発表した年次報告書によれば、病気休暇補償の費用が過去1年で2倍以上に増加しており、2023年の1,700万ユーロと比較して、2024年には、4,200万ユーロとなっており、この大きな原因になっているのが偽造病気休暇証明書が激増してることを挙げています。

 この報告によれば、現在、偽造病気休暇証明書はWebサイトで販売されているそうで、しかも、同様のサイトは増加傾向にあり、この偽造された証明書が横行しているのだそうです。ル・パリジャン紙によれば、現在、この偽造証明書はTelegram、Snapchat、TikTokなどのサイトで20ユーロで販売されており、注文すれば、1時間以内に配送されると報じています。

 通常は、この病気休暇証明書があれば、病欠の期間開始の3日後からの支払いになるので、ちょっと風邪をひいて1日~2日休んだ・・などの場合は、意味がないので、どちらかといえば、長期間の病気休暇に対する補償になります。

 この病気休暇証明書を提出すると、少なくとも1日あたり半額の給与が補償されるので、長期間にわたる休暇の場合は、少なくありません。

 このため、国民健康保険基金は、2025年6月からは、紙幣のような透かし模様、特殊紙、ホログラフィックラベル、磁気インク、処方医の識別機能等を用いた証明書に切り替えると発表しています。まったく、病気休暇証明書にまで紙幣なみの細工をしなければならないとは、嘆かわしいことです。

 今や、ネットで何でも注文できる時代。でも、まさか、こんなものまで売っていたとは、正直、驚きで、また、こういうものがあるとなると、あっという間に拡散されて、売れてしまうという驚くべき時代。

 この病気休暇証明書は、子どもの病気の際にも親が書いてもらうことができるありがたいもの(ただし、子どもの病気の付き添いの場合は限度があり、年間〇日までと決められている)ですが、私などは、どうにも日本人っぽいというか、この突然、休んだり、長期間、バカンスでもないのに、病気休暇を取るということにとても、抵抗があり、職場に迷惑をかけたくないという方が先にたってしまうため、一度、職場で、階段を踏み外して怪我をして、その結果、足に血栓ができたとかで、無理矢理、ドクターストップをためらい、病気休暇を断ろうとした私は、医者から「あなた、死にたいの?」とまで脅され、しぶしぶ1ヶ月半近く休んだことがありました。

 あの時は、職場での怪我だったので、単なる病欠ではなく、労災扱いになったので、100%給与分は補償されたのですが、私としては、申し訳ない気持ちで、いっぱいでした。

 今、思えば(現在、かなりフランス人マインドになりつつある)、当然の権利なんだから、大きな顔して休んでいれば、よかったとも思うのですが、わざわざ、この病気休暇証明書を購入してまで、休む人が多いとは、やはりフランスです。

 とはいえ、これは、れっきとした違法行為で罰金や懲役刑なども発生することもあります。


偽造病気休暇証明書


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2025年3月26日水曜日

統一教会解散命令 フランスでの統一教会についての報道は安倍元首相襲撃事件とセット

  


 統一教会はフランスでは、Secte Moon(セクト・ムーン)と呼ばれていますが、先日の「日本の司法が統一教会に解散命令を出した」というニュースは、フランスでも、もっと大々的に扱われるかと思ったら、新聞各紙は一応報道しているものの、ほんとに「まあ、一応・・」といった感じで、あんまり大きくは扱われていません。

 そもそも、フランスでは、皆無とまではいかないまでも、そこまで浸透していないというか、反セクト法のおかげで、日本ほどの悲惨な被害が出ていないこともあって、あまり知名度はないかもしれません。

 統一教会といえば、最近で、最もその名を知らしめたのは、安倍首相がこのセクトを応援していたことにより、一家が崩壊してしまった家族の一員がその恨みを持って、公衆の面前で銃撃?したという事件によるもので、今回も統一教会解散の報道は、この「安倍元首相銃撃事件をきっかけに、統一教会は解散になった・・」というような説明の仕方です。

 まあ、この暗殺事件がなければ、未だに解散命令という運びにはなっていなかったかもしれないので、この暗殺事件がきっかけになったことは、事実だと思うのですが、私個人としては、「反セクト法」を制定しているフランスとしては、統一教会がこの「反セクト法」にばっちりひっかかる宗教団体であることが認められたために、解散命令が出たのだということ・・そして、フランスには、この「反セクト法」があるから、日本のように甚大な被害に拡大することがなかったんだよ・・ということを、しっかり説明してほしかったと思いました。

 まあ、あまり知名度のない団体に関しては、あまりニュースバリューもないのかもしれないので仕方ありません。

 ただ、ここのところ、あれから30年・・という話がよく出てくる気がするので、ついつい言いたくなるのですが、オウムの地下鉄サリン事件以降、それをきっかけにして、参考にして、議論されたセクト(新興宗教)についての問題に対応して、数年後に「反セクト法」を制定したフランスと違って、日本では、オウム真理教には、解散命令は出たものの、その他の新興宗教に関しては、特別な対応を取らずに放置した結果、被害者は増え続けてしまったのです。

 今回、ようやく解散命令が出たといっても、まだまだ実際に解散に至るのは、先のことでしょうが、まず、ようやく遠くに光が見えたというところかもしれません。

 ただし、信仰というものは、そう生易しいものではないはずなので、このおかしな資金の集め方や勧誘の仕方、政治とのかかわりなどとは、また別。

 そのうえ、あまりに長い年月が経過しているために、この信仰のもとに家族を育んで、育ってきた子どもたちも、もう大人になっているような複雑な問題(宗教2世の問題)になっています。

 信仰は尊重されるはずのものなので、この解散命令と信仰の心の問題は、同時にしっかりと対応し続けなければならない問題でもあります。

 そういう意味でも、この宗教がらみの問題は、他の詐欺事件などとはまた、別の意味でより罪深いものであったと思わざるを得ないのです。

 実態は、解散命令が出されるような団体に政治家がかかわり、相互に利用しあっていたことは本当に許されざることで、統一教会だけ成敗するのでは片手落ち、それを利用していた政治家も成敗してもらいたい気持ちです。


統一教会解散命令


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2025年3月25日火曜日

SNCF(フランス国鉄)管制官 4月17日から6月2日までのストライキを警告

  


 SNCF(フランス国鉄)のストライキと聞いて、なんだか久しぶりな気がすると思いましたが、ストライキが行われなかったのは、ここ数ヶ月だけのことだそうです。

 それくらい、ストライキは頻繁にあること(特にSNCFやRATP(パリ交通公団)等の公共交通機関)なのですが、大概は、多くの人々がバカンスに出かけようとするタイミングで行われることが多いです。

 それこそ、ストライキをやるからには、もっともインパクトがあるタイミングを狙うのは、当然といえば、当然なのですが、今回は、4月、5月の週末と祭日ということで、この中には、パック(イースター)のバカンスの期間が入っています。

 日本でいえば、ゴールデンウィークの時期ですが、フランスは日本のようには連休とはなりませんが、祭日の多い月でもあり、いわゆるフランス人のいうところのPONT(ポン)をして(橋をかけるという言い方をする)、祭日と週末の間に橋をかけて休みを取って、ちょっとしたプチバカンスにしてしまうというやり方をする人も多く、とかくお休みが多い時期でもあります。

 今回、SNCF SUD(南) RAIL 労働組合は、4月17日から6月2日までの春休みの期間と5月の週末、祝日にストライキを行うと警告しています。

 彼らの要求は、賃金増額、労働ボーナス(最低100ユーロの増額)、および、「労働時間の尊重」を訴えていますが、彼らの代表によれば、「交渉はすでに開始されており、経営陣にはもう数週間にもわたり、訴え続けているにもかかわらず、彼らは私たちの訴えに耳を傾けず、要求には応じていない」、「我々は、痛いところを強く打つつもりだ!」と戦闘態勢を見せています。

 これに対して、経営陣は、比較的、現状では楽観的な態度を見せており、「すべてのストライキの警告が実行されるわけではない」としているものの、実は、今回のストライキの根源は、すでに2022年年末にストライキに動員されていた監査役の集団だそうで、時間を積み重ねている分、問題は根深く、訴えの根強さが感じがします。

 どちらにしても、私は、このストライキが嫌で、これまで子どものバカンス期間中にSNCFを利用する旅行というものをほとんどしたことがなく、ただでさえ、値段が高く、混雑し、スケジュールもずらしにくいタイミングでこのストライキに遭遇したら、わざわざ、大金を支払って、疲れに行くようなもの。たとえ、返金してくれるとしても、その手続きなどには、予約よりもずっと手間暇がかかり、戻ってくるまで、嫌な気分がずっと続くことになるのです。

 このため、子どもとバカンス期間には、その多くはコロニー(様々なアクティビティの合宿のようなもの)や、そうでなければ、飛行機でヨーロッパの近場の国に行くことが多かったです。

 子どものバカンス期間にバカンスに行かなくてもよくなった今は、個人で旅行などを計画する際には、このバカンス期間は極力避けるようにしています。

 

SNCFストライキ


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2025年3月24日月曜日

地下鉄サリン事件から30年 フランスの反セクト法

  


 日本で1995年3月20日に起こった地下鉄サリン事件から30年ということで、日本では、あの事件を忘れてはいけない、風化させてはいけない・・と振り返る番組や報道がなされていたようですが、フランスでもこの事件を振り返る報道が出ています。

「サリン」という、当時はあまり耳慣れなかった化学物質をあの東京の霞が関を中心とした地下鉄内の数ヶ所で散布されるという驚愕の事件は、平和で治安の良いはずの日本だからこそ、余計に海外諸国には、衝撃的だったと思います。

 当時、私は、まだ日本にいたので、その当時のフランスがどの程度、騒いで報道していたのかは、わかりませんが、30年経った現在でも、それを振り返る報道がなされている(しかも、写真が何枚も使われているけっこう長い記事)ということは、当時はそれなりの衝撃的なニュースだったことと思われます。

 私は、この恐ろしい宗教が拡大していった「新宗教ブーム」のようなもののすぐ隣にいた世代だったので、今とは、全く違うバブルに浮かれた人々が大勢いる中で、それに疑問を感じていた人々などが、宗教に意味や希望を繋ごうとした気持ちもわからないでもなく、未だにキッチリ解明されていないこの事件、事象には、興味を持ち続けています。

 当時、私は通信社にいたため、ニュースの一部始終を目にしていたし、今は亡きフランス人の夫も、当日、たまたま霞が関駅近辺にいて、何が起こったのか?野次馬で見に行こうとして警察に必死に止められたと言っていたので、なんだか全く他人事な気がしないのです。

 今回のフランスの記事では、当時の事件の概要を説明し、13人の犠牲者(2020年には14人目の犠牲者)と5,800人以上の負傷者が出て、負傷者の多くは後遺症に苦しんでいることを伝え、負傷者たちが「政府がこの事件の負傷者の後遺症の医療支援にもっと積極的に取り組んでほしい」と訴えていると伝えています。

 個人的には、安倍元総理暗殺事件の時に問題視された「統一教会問題」が浮上した際に書いた記事が最近、またけっこう読まれていたりするのを知って、そういえば、フランスがこの地下鉄サリン事件から得た教訓をきっかけに「反セクト法」に本格的に着手し始めるきっかけになったのがこの地下鉄サリン事件だったのだということを思い出しました。 

 この事件を機に反セクト法制定に着手し始めたフランスは6年後の2001年6月には、しっかり「反セクト法」を制定し、「宗教の自由は奪わずに、国民の精神の自由を守る」とし、「精神の不安定を導く行為」、「法外な金銭要求」、「本来の環境からの隔離」、「公権力への浸透の企て」などを禁止し、これに該当する団体(宗教に関わらず)に対しては、裁判所が団体解散権を持つようになっています。

 よって、統一教会は未だにフランスにも存在していますが、日本のような問題には、至らなかったと言われています。

 このフランスの「反セクト法」のきっかけとなったのが、オウム真理教の「地下鉄サリン事件」だったのですが、今回の「地下鉄サリン事件から30年を振り返る」記事では、フランスでも、そこまでは触れていないものがほとんどです。

 日本でも、「地下鉄サリン事件から30年 この事件を風化させてはいけない」などの記事が散見されますが、実は、何も解決していないままであることこそ忘れてはいけないのです。

 オウム真理教は、以前のような規模ではありませんが、名前を変えて、未だ存在しているし、解決しないどころか、未だに統一教会と関わっているであろう政治家が多数存在しているのは、本当に信じられないことです。


フランス  反セクト法


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2025年3月23日日曜日

午前5時 パリ市内でのカーチェイスの果ての衝撃的な車4台衝突事故

  


 事故後の写真を見ると、どうしたら、パリ市内で車がこんなカタチで衝突できうるのだろうか?と思うくらいの、なかなか衝撃的な事故でした。

 この事故により警察官10人を含む13人が負傷、死亡者が出ていないことが不思議なくらいの惨状です。

 事故が起こったのは、早朝5時45分、パリ11区で警察官が走行車両を止めようとしましたが、運転手がこれに従わず、逃走したために、それを追跡するカタチでカーチェイスが始まり、運転手は全速力で逃走を試み、これを諦めなかった警察車両がさらに追跡、この時に逃走車両や警察車両がどのくらいのスピードで走行していたかは、発表されていませんが、この衝突後の惨状を見れば、通常、想像できるスピードではなかったことは、明らかです。

 このカーチェイスは、11区から15区まで続き、途中、パリ7区と15区の警察官が動員されたと言われています。警察は盗難車の追跡のため動員されたと説明していますが、早朝5時という時刻であったからこそ、起こった事故でもあり、通常であれば、パリ市内をそんなスピードで逃走することは、不可能。逃走どころか、渋滞で車がなかなか進まないのがふつうです。


 警察発表によれば、この逃走車の同乗者、運転手3人は、ともにフランス国籍で、19歳、22歳、30歳の成人ということで、このうちの2人は、警察にマークされていた人物であったとのこと。事故後すぐに、彼らはまず、病院に搬送されましたが、命に別状はなく、アルコールや薬物反応の検査中とのことです。

 だいたい、警察と車のトラブルといえば、警察の停車命令の服従拒否が多く(というよりも取り上げられるニュースが派手に取り扱われやすいこの種のカーチェイスであったり、発砲事件)。早朝というよりも、この逃走犯?たちにとっては、おそらく、深夜時間帯の継続であったと思われますが、市内が空いていたために、かなりのスピードを出すことが可能となり、これだけの衝突事故に繋がったものと思われます。

 最終的には、15区の地点で逃走車が信号に追突し、追跡していた警察車両が急に停車した車に追突、その後に追ってきた警察車両が次々に停車しきれずに玉突きのように衝突したために、事故後の現場は、惨憺たる状況になりました。

 今回は、警察官が発砲しなかっただけマシというべきか、まさに車ごと体当たりで逃走犯を確保したというべきか、どちらにしても、軽く考えられがちな警察への停車命令の服従拒否に対して、意地を見せたような感じでもあります。

 しかし、夜、遅くの時間帯は言うまでもなく危険なパリですが、早朝だからといって、それもまた、必ずしも安全ではなさそうなパリなのです。


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2025年3月22日土曜日

気が重かった医療機器の設置も日本好きのお兄さんのおかげで救われました!

  


 今週初めにやっと検査の結果が出て、やはり睡眠時の呼吸に大きな問題があることがわかり、主治医の先生に「これじゃ、体調が悪いのも当然だ・・」と言われ、即刻、睡眠時に着用するための医療機器を自宅に設置するように手配してくれました。

 「そんな、機械を自宅に設置??」と聞いて、ギョッとしましたが、反面、楽観的に考えれば、体調不良の原因がやっとわかって、この治療をすれば、改善されるのだ・・と思い、少しは身体が楽になるということだと思うので、よかった・・と思うことにしました。

 ただ、また、その機械の配達・設置となると、また、時間が大幅にずれたり、ヘタをすると決めた日に来てくれなかったりということは大いにありえるわけで、機械の設置をしてくれる人から電話があった時点で、日時を約束したものの、半分は、「どうせ、時間どおりには来ないよな・・」と、その日は一日、予定をあけて、待っているつもりにしていました。

 しかし、担当の人は約束どおりの時間にやってきて、本当に親切に説明しながら、機械を設置して、使い方なども丁寧に教えてくれました。

 全て、保険適用になるために、そのための書類をまず、作らなくてはならなくて、それも全部、その場ですぐにやってくれました。30代半ばくらいの男性だったのですが、向こうの方から、「どちらの方ですか?」と尋ねられたので、「日本人です」と答えたら、「僕、日本が大好きなんです!」と。

 もう、日中はけっこう暖かいこともあってか、そのお兄さんは半そで・・「いくらなんでも寒くないの?」と思って、Tシャツを見ると、なんと「ラグビーワールドカップジャパン2019」のロゴ入り・・。

 「なぜ?日本が好きなんですか?」と聞いてみたら、「僕は、ドラゴンボールで育ってきたから・・NARUTOも好きだし・・」と・・。日本が好きになったきっかけは、MANGAだったそうで、これらのMANGAのおかげで、日本にとても親しみを感じるようになったとのことでした。

 パリの街では、日本のマンガのキャラクターが描かれているTシャツなどの服を着ている人を見かけることも少なくはありません。

 一時、フランス政府が停滞したフランスの文化事業推進・支援と若者への文化と芸術への好奇心を喚起させるために若者向けに発行された「カルチャーパス」が、そのうちの4分の3が「MANGA」に費やされたという結果から、一時は「カルチャーパス」は「MANGAパス」と呼ばれるようになったこともありました。

 これは、当初から、文化的なものなら、何にでも使用することができる!とのことで、その中にもちろん「MANGA」も入っていたのですが、まさかこれほどフランスの若者の文化が「MANGA」で占められることになっているとは、開けてビックリ!の事態でした。

 今回、家に来てくれたお兄さんは「マンガパス」よりもう少し上の世代ですが、実にフランスでの「MANGA」人気の拡大?には、長い年月を経ていて、年齢層も幅広いのです。

 フランスは日本に次いで、世界第二のマンガ消費国で、そのおかげで、フランスには、日本を好意的に感じてくれている人が多いことは、フランスに住む日本人としては、本当にありがたいことです。

 今回のちょっと厄介に感じていた医療機器の設置という気が重かった出来事も、この日本好きのお兄さんのおかげで、とても親切に、丁寧に対応していただきました。

 とっても、優しい目をした人だったので、そうでなくても、誰にでも親切なのだと思いますが、やはり、日本人としては、初対面の人にでも「日本大好き!」と言ってもらえるのはとっても嬉しいことで、自然とうちとけられる気がしました。

 昨年の鳥山明氏の訃報はフランスでも大々的に報道され、多くの著名人、マクロン大統領までが弔意を表明していましたが、このフランスでのMANGA文化の浸透は、日本という国に大きく貢献し、幅広く浸透していることを、あらためて、身をもって感じ、それに深く感謝する気持ちになりました。


医療機器設置


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2025年3月21日金曜日

BPIフランス(フランス公的投資銀行) フランスの軍事資金調達基金

  


 エリック・ロンバール経済財務大臣は、「BPIフランス(フランス公的投資銀行)から、防衛分野への投資を希望するフランス国民に新たなファンドを立ち上げること」を発表しています。

 大臣は、「不確実になった米国の傘に直面して、我々は、平和に備え、平和を保証するために欧州の防衛に投資するための組織化された取り組みが必用である」とこの基金を説明しています。

 詳細については、まだ発表されていませんが、防衛分野への投資を望む国民が、より単純なかたちで行えるように、この投資によって集められる資金をBPIフランスが民間の防衛関連企業との間に入って、投資されるもので、すでに投資家たちの間では、ここ数週間で株価が高騰しているような巨大企業やグループ企業だけでなく、比較的、中規模、小規模の防衛産業に携わる企業にもふりわけられるようになります。具体的には、フランスの防衛関連企業・大手グループ9社と4,500社への融資にふりわけられるようです。

 このBPIフランス(フランス公的投資銀行)というのは、フランス社会の変革を推進する機関として2012年に設立されたもので、日常では目に見えにくい機関ではあるものの、実は多くの場面で関わりのある機関、新しい起業家への支援のかけ橋になっていたり、フランスの未来に繋がる分野での中継など、様々な役割を果たしています。

 例えば、V.I.E(Volontariat international en entreprise)(フランスの若者の海外進出、また海外でのフランス企業のための支援システム)などにも、このBPIフランスが大きく関わっています。

 今回は、この世界情勢の変化により急速に軍事力強化に進んでいるフランスの軍事資金へ少し貯蓄のある人々をターゲットにしたもので、フランス国民が自発的に防衛活動に貢献することができるとしています。

 この商品?は、最低500ユーロから投資できるものではありますが、フランスでは、かなりポピュラーな Livret A(税金が控除される利息付預金口座・年利2.4%)などと比較すると、5年間は完全にブロックされてしまうということで、比較的余裕のある人向けではあります。

 これは、間接的にこれらの企業の株主になるという感じのものなので、利息?にあたるパーセンテージは企業の業績によって左右されるために、現段階では、固定されていないため、リスクがないわけではありません。

 とはいえ、これらの企業には、国が発注することは、もう確定しているも同然なわけで、個人的に一企業に投資するよりは、リスクは少ないかもしれません。

 しかし、これにより、国は軍事資金の一部を調達できるわけで、しかも利息にあたる部分も各企業が利益に準じて支払うわけですから、ムリのない合理的な方法であるのではないか?と思われます。

 しかも、これに投資する人は、国の防衛に参加したいという理由の人もいれば、単に投資目的、利益目当ての人もいるでしょうが、目的はいかにしても、あくまでも、自発的に投資したい人だけからお金を集めるわけで、国民からは受け入れられやすい形なのではないか?と思います。

 これは増税なしに軍事資金を増強すると公言していたマクロン大統領の政策のひとつであったと思われます。


BPIフランス 軍事資金調達基金


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2025年3月20日木曜日

日本で非公開の映画 Black Box Diaries を見てきました!

  


 私は、映画というものを見に行くということがほとんどなくて、映画館に行ったのは、もう何年ぶり?という感じでした。そもそも閉鎖された空間に大勢の人がいる場所というのがあんまり好きではないこともあるのですが、まあ、映画を見に行く習慣がないということかもしれません。

 今回の映画が私の重い腰を上げたのは、日本の映画なのに日本非公開だということで、しかも、海外ではけっこう評価されていると評判で、ドキュメンタリー映画のため、見る前からおおよその内容は知っていたものの、やはり、実際に見てみると、けっこうインパクトがあり、また、実際のやりとりなどが繋ぎ合わされているので、リアリティがあります。

 おそらく海外での上映は、どこも同じもので、主人公の彼女は英語で話している部分も多く、その他は日本語で、フランスでは当然、フランス語の字幕がつけられています。

 ただし、字幕の場合はどんな映画にもあることだと思いますが、微妙な日本語の表現をこう訳す?というところもあったりしました。

 まず、この映画を見たいな・・と思って、パリ市内の映画館を探したのですが、思っていたよりも上映しているところは多く、私が行ったのは平日の昼間だったので、満員とまではいかないまでも、けっこう人がいるんだな・・という印象でした。

 日本で非公開になっている理由は、裁判用に提出された映像を無許可で使用しているためということでしたが、これは、該当部分を修正してでも、ぜひ、日本でこそ公開すべき作品だと思いました。

 彼女が2015年に性被害に遭って以来、警察が被害を受け付けてくれなかった様子やそこから周囲の人々の力もあって、ようやく逮捕状が出たにもかかわらず、それが逮捕直前に取り下げられたこと、多くの人のバッシングに遭って、隠れるように生活している様子、にもかかわらず、自分たちで証言を取りに奔走する様子、刑事裁判に敗れたとき、民事裁判に勝訴したとき、また、加害者と言われる男性の会見の様子などなどが織り込まれています。

 中でも最後に登場する事件発生日にホテルのドアマンをしていた男性の思いやりに満ちた言葉とその言葉を受けて彼女が号泣する様子には、涙しました。

 証言をしていただくことで御迷惑をかけることになってしまうかもしれないと案ずる彼女に対して、このドアマンの男性は、「だいたい、この種の犯罪に対しては罪が軽すぎるし、あなたの苦しみに比べたら、私が証言をすることで被るかもしれない被害は大したことない、私が事件当日、勤務していてよかった・・」と話しているのです。

 この映画は性加害問題のみならず、簡単には被害届さえも受け付けてもらえなかった状態から、ようやく警察が逮捕状を取ったにもかかわらず、逮捕直前に取り消されるという権力によって犯罪が握りつぶされてしまうという恐ろしい現代の日本の状況を訴えている作品でもあります。映画の中にたしか、女性の方だったと思いますが、「逮捕状が出たからといって、全て逮捕されるというわけではありません」という全然、納得いかない説明がありました。

 犯罪が権力によって握りつぶされる・・そんなことがあっていいわけありません。

 この作品が多くの国で公開され、評価されていることは、素晴らしいことではありますが、この作品は、日本でこそ、上映されるべきものだと思います。

 この映画の中で、あるジャーナリストが、「ジャーナリズムというものは権力を監視しなければならない!そのために存在する!」と言っている部分があったと思いますが、まさに、私もそう思います。

 現在、映像を修正中とのことですが、一日も早く修正すべきところは修正して、日本で公開され、権力が犯罪をねじ伏せるようなことがない国になってほしいです。


Black Box Diaries


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2025年3月19日水曜日

検査入院の後遺症

  


 一泊とはいえ、検査入院はなかなか厳しくて、全身にコードをつけられて、眠らなければならないので、ごくごく微かな痛みの中、無理矢理、眠ることになります。そもそも睡眠時の身体の状態を検査するためなので、眠れなくては、意味がないのですが、これで寝ろ!というのは、なかなか厳しいことです。

 上の写真は、左手だけですが、こんな感じのコードが全身に繋がっていて、一番、酷かったのは、頭につけられたコード。

 当然のことですが、頭には髪の毛が生えていて、その上から無理矢理、紙粘土のようなもので、磁石のようなものをはりつけて、それにコードが繋がっており、その上から、この網網のネットがかぶせられて、最初は、顔も覆われたところで、ストッキングをかぶっているみたいな感じ・・で啞然としていると、「まさか、このままではないわよ!」と看護師さんが得意気に目と鼻と口の部分を唐突にハサミで穴をあけてくれたのには、むしろ、逆にドッキリ!で、この近代にもうちょっと別のやり方はないものか?と思ったものの、こちらには、選択肢なし。

 夜中にコードが外れて、慌てて、繋げたことも数回で、当然、熟睡などできるわけなく、その度に慌てて繋ぎなおしたり、繋がらない!と焦って電話したり、それでも、看護師さんは夜中には来てくれなくて、「私の仕事じゃない、私がやるわけにはいかない!、私がやったら、私の責任になってしまう・・」といかにもフランスな回答。「じゃあ、あなたは何のためにいるのですか?」と思いましたが・・。

 それでも、なんとか夜が明けて、朝、昨日の看護師さんが来てくれたときには、もうガックリ。頭につけられた紙粘土みたいなの・・きれいにとってくれる薬品でもあるのかと思いきや、磁石みたいな小さな金属とコードを取ると、「あとは、シャンプーで洗えば、とれるからね・・」で終わり。

 シャンプーしようにも、こんなにべっとり髪の毛に張り付いた紙粘土みたいなものが張り付いていたら、シャンプーだってできないじゃん!と思ったけど、そんなこと言っても仕方ないので、ガマン・・早く家に帰りたい気持ちが先に立ち、それ以上は、余計なことは言いませんでした。

 それでも、8時間のデータは取れているということだったので、最悪の検査のやり直しからは、逃れることができました。

 検査の結果は、数日以内に聞けるというので、その予約をまた取って、ガビガビの紙粘土付きの髪のまま帰宅しました。まったく家から近い病院にしておいて、よかったです。

 家に帰ると、まず、気持ち悪いので紙粘土付きの髪の毛と格闘、ムリにとれば、髪の毛ごと引きちぎることになるし、1時間近くかかって、髪の毛についた紙粘土を剥がしました。

 こういう検査の場合、日本の病院だったら、もっと心遣いしてくれるんだろうな・・そもそも、そんなコードの付け方を髪の毛の上からしないだろうし、したとしても、それを剥がすためのなんらかの手段を用意してくれるんだろうに・・などと、恨みがましく思いました。

 相対的に悉く消費者(検査などの場合は消費者とは言わないでしょうが・・)が使いやすいようにとか、少しでも心地よいようにとか、そういう配慮は日本は本当に優れています。

 検査から解放されたのは、午前中で、どうにもクサクサした気分を変えたかったので、そのあと、ちょっと泳ぎに行きました。コードに繋がれてほとんど動けなかった一夜(というより、前日午後から翌朝まで)を過ごして、身体をほぐしたかったのです。

 しかし、家に戻って、ガックリ疲れが出て、ダウン。いつも色々、検査をするたびに思うのですが、検査ってほんと、身体に毒だな・・と思うのです。


検査


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2025年3月18日火曜日

生きる気力を奪う病院食

  


 ずっと前から予約していた検査のための入院で、病院に一泊しました。今回の検査は、夜間の睡眠時の呼吸状態を検査するもので、何やら頭から顔、腕、足、胴体にいたるまでコードをつけられて、一晩、過ごしました。

 検査自体は、夜間の睡眠時の状態を調べるものなので、当初は夕方に予約を入れておいたのですが、なんとその予約時間が二転三転、15時、14時、13時・・となり昼過ぎには病院へ。

 13時の約束で1時間ほど待たされ、その後に病室に通されてさらに1時間待ち、15時頃には、身体中のコードを接続。

 18時になったら、このコードを本体の機械に繋げてください!と言われて、その日はそのまま放置。心の中では、だったら、17時に来れば、よかったじゃん!と・・。

 まあ、フランスの病院、こんなもんか・・と半ばあきらめの気持ち。部屋は個室だし、トイレもシャワーもついているし、その他はまあまあ快適です。

 夜になって、食事が運ばれてきましたが、特に食事制限などがあるわけではないと思われるのに、あまりの悲惨さにやっぱりガックリ・・。でも、そんなことだろうと、私はおにぎりを家から持参してきていました。

 メニューは、野菜スープにアクラ(魚のすり身を揚げたもの)、じゃがいものピューレ、ポアロのヴィネグレット煮?バゲット、チーズ、ケーキ、そして、なぜかチュッパチャップス。

 そして、その食事は、フランスなのに、悲しいほどにアツアツで、かけてあるラップをとるのも苦労するほどに熱い!」

 しかし、ハッキリ言って、病院で出しているとしたら、「人間から生きる気力を奪おうとしている」としか思えないお味。色も茶色とまではいえないものの、全てが薄いベージュ。

 糖質制限とか、カロリー制限とかいうならともかくも、揚げ物+ケーキにキャンディーつきとは・・特に、極めつけの「チュッパチャップスってなんだよ!」と苦笑するしかない感じ。

 私は、これまでなんだかんだと、検査をしたりもしてきましたが、フランスで入院したのは初めてで、一泊といえども入院したのは、アフリカでの出産の時以来のこと。

 その後、夫や友人が入院したときに、お見舞いに行ったことはあって、病院の食事を見たこともあったと思うのですが、どうにも記憶がほとんどありません。

 ただ、末期がん(直腸ガン)で入院していた友人の病院で「全然、食欲ないのに、ガッツリ肉がでてきてウンザリしている」という話は直接、友人から聞いた記憶があります。

 検査結果は数日中にわかるようですが、とにかく、今回は検査だけだから、1日で済んだけど、本格的に入院となったら、地獄だ・・と思いました。

 夜中にコードが外れて、焦って、看護師さんに電話したら、機械のことは取り付けた人の責任だから、私は触れない・・と言われて、自分で四苦八苦して、つけなおしましたが、これが正解なのかが心許なく、ヘタしたら、またもう一日やり直し?と焦りましたが、朝になって、機械を取り外しに来てくれた看護師さんに聞いてみたら、8時間分のデータがとれているから大丈夫・・とのこと。

 あまり、うるさく病室に入ってこられるのも嫌だけど、フランスお得意の「それは私の仕事じゃない」が病院でも・・。

 まったく検査での入院とはいえ、どっと疲れた一夜でした。


フランスの病院食


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2025年3月17日月曜日

フランス人の86%が兵役復活に賛成している?

 


 IPSOS-CESI Ecole d'Ingénieur 世論調査によると、フランス人の86%が兵役の再開、さらには、53%が義務的兵役 に概ね賛成していると答えています。

 この世論調査は、ロシアのウクライナ侵攻とトランプ大統領就任以降の国際的な緊張の高まりを背景に周囲の欧州諸国が防衛力を強化するために徴兵制や予備軍増強を検討している中で行われました。

 それでも、調査対象者の多くが概ねこれに賛成している中、14%は完全に反対であると答えています。

 また、これらの回答は調査対象者の支持党派によっても異なり、極左政党に近い人の31%が兵役義務の復活を支持しているのに対し、極右政党国民連合の支持者では67%が支持しています。そして、これは、年齢層によっても異なり、35歳以下の人では41%が兵役義務を支持しているのに対し、60歳以上では、63%が支持しています。 

 いずれにせよ、この数字は私が想像していたよりも、ずっと多い数字で、もし、これと同じ世論調査を日本で行った場合にどのような数字になるのだろうか?と思って、そのような調査がないかと少し調べてみましたが、みつかりませんでした。

 先週の段階でマクロン大統領は、国民皆兵制度(SNU)の大幅見直しについて、翌週にも発表すると公表していましたが、よもや徴兵制度の復活?かと思いきや、週末の数社の仏紙のインタビューでマクロン大統領は、「兵役義務の復活は現実的な選択肢ではない」、「作戦に重点を置いた軍隊の専門家に着手した瞬間から、80万人の若者を動員することは絶対に可能なことではない」答えており、彼が言っていた国民皆兵制度の大幅見直しは、別のところにあるようです。

 たしかに、この国民皆兵制度が停止され、縮小されていった背景には、これには、大変な費用がかかるためだ・・という話も聞いたことがあります。

 この兵役問題は、別としても、軍事予算の拡大は、すでにマクロン大統領は、増税なしに行うと宣言済みのこと。

 とはいえ、増税なしに行うとなれば、なにか別の予算が削られることは大いに考えられること。フランス国民は、この軍事費の増額のために、医療費の払い戻し、住宅手当、家族手当、学生助成金などの社会保障を削減したり、法定年退職年齢を延長したり、年間数日の追加労働などのすでに提案されている案には、全て反対しています。

 防衛に関して、フランス人が賛成していることと、反対していること、どちらもフランス人をよく表している気もしますが、多くの人が兵役復活に賛成するような状況は、尋常ではありありません。


フランスの兵役に関する世論調査


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2025年3月16日日曜日

偽物を買うことはもはやタブーではなくなっているフランスの若者

  


 ハイブランドの偽造品の売買は、違法行為で売る側も買う側も罰せられます。にもかかわらず、2022年から2023年にかけて、この類のフランスで押収されたブランド物の偽造衣料品やアクセサリーなどの数は倍増しています。

 EUIPO(欧州連合知的財産庁)の調査によると、15歳から24歳のフランス人の29%が故意に偽造品を購入していると言います。2019年の同様の調査では、14%でした。この数字だけでも倍増していることは明らかですが、私などにはこの2019年の14%という数字ですらもすでに驚きです。

 29%といえば、もはやほぼ3人に1人という割合で、もはや彼ら(彼女たち)は、それが偽造品だということを隠しもせず、偽造品だということは重々承知のうえで、購入し、偽造品が流行しているような、もはや偽造品はタブーではなくなっているくらい浸透しているということなのです。

 私も若い頃、一時期はちょろっと麻疹のようにブランド物にかぶれかけたことはあったけれど、徐々に興味を失い、むしろ、フランスに来てからは、敢えてブランド物は身につけないようになったくらいです。何よりも安全を考えてのことです。

 考えてみれば、最近、メトロやバス、トラムの中などで、男女問わず、若者がブランド物を身に着けているのを見かけるようになりました。グッチのキャップやポシェットを身に着けている若い男の子などは、特によく見かける気がしますが、絶対にホンモノではないだろうな・・と思いつつ、それでも(偽物でも)ほしいんだな・・?と眺めていました。

 現在は、若い男の子の間で主に白やグレーのディオールのスニーカーが大流行しているそうです。(偽物ですが・・)

 だいたい、まともな人はパリ市内のメトロなどで、これ見よがしに本物のブランド品は持ち歩きません。危ないですから・・。

 以前は、このような偽造品は露天商が売りさばいている様子を見かけたものですが、それが現在は、SNSでお手軽にネットショッピング、特に中国のサイトを通して、簡単に手に入れることができるそうで、Telegram、Snapchat、TikTok のアカウントから注文するだけで、数日以内にパッケージが届くようです。

 この偽造品を扱うサイトを運営している中国を拠点としているフランス人は、「当社はルイ・ヴィトンとディオールの上客だ」と言い、実際に本物を購入してその製品を特殊な機械を使って、重さ、織り方、模様、色を決め、工場に発注して偽造品を作って販売します。

 中国を拠点とするのは、労働力の問題で彼らには、月給制で給料を支払いますが、彼らは月29日間労働なのだそうです。

 製品の発送は中国からになるため、税関にひっかかることもあるとはいえ、税関も全てをチェックすることは不可能なため、時々、損失は出るとしても、その分は充分カバーできるほど売れているので問題ないと話しているといいます。

 偽造品がまかり通れば、本家本元のハイブランドの方も迷惑極まりない話ですが、そもそも「偽物がタブーではない」という観念自体が破滅的というか、彼らは一体、何に価値を求めているのか? 偽物なんてみっともない!偽物を持つくらいだったら、ノーブランドで良いではないか?と思う私はもう古いんでしょうか?

 しかし、数年前から、確実に変化してきているフランスのファッション業界、モードの世界、極端に高価なハイブランドか、サイトでも簡単に変えるお手軽・格安モードのブランド以外は、軒並み経営不振で倒産続き、このサイトで簡単に変える格安・お手軽モードの中に偽造ハイブランド品の躍進があったとは・・驚きです。



ハイブランド偽造品


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2025年3月15日土曜日

日本から戻って以来、フランスの食べ物に食指が動かない・・

  


 日本に一時帰国して来仏した後、最初に近所のスーパーマーケットなどに行った時の絶望感といったら、ちょっとはかりしれません。

 逆に日本に行った時などは、別に高級スーパーマーケットというわけではなくとも、もうワクワク感が止まらず、もう端から端まで、全てが愛おしく、しかし、日本に到着したばかりの段階では、「落ち着け!落ち着け!まだまだ日本滞在は長いんだから、今から買い込んでも、一度には食べられないし、ましてや持って帰るものは、ギリギリに買った方が賞味期限が少しでも先になる・・」などと気持ちを落ち着かせるように自分に言い聞かせるほどです。

 以前は、それを娘と二人でやっていたのですが、今では日本で生活している娘は、すっかり日本のスーパーマーケットは日常のものになり、全く興奮しないどころか、落ち着いたもので、私はそんなことを少々寂しく感じつつも、それでも私は一人で興奮しつつ、日本のスーパーマーケットや食料品店を見て回るのです。

 山ほどの食糧品を抱えて、フランスに帰ってきて、それらは、あっという間に冷蔵庫や食料貯蔵庫におさまってしまうのですが、しばらくは、「まだまだあるある・・」となんとなく、満ち足りた日々を過ごせるのです。

 しかし、いくらたくさんの食料品を持ち帰ったとはいえ、野菜や肉、卵などの生鮮食料品は、持ってきているわけではないので、仕方なく近所のスーパーマーケットに買いものに行くのですが、毎度のことながら、「あ~~またこの世界に戻ってきてしまった・・」と絶望感が溢れてくるのです。まあ、毎回のことなので、やっぱり・・と言う程度のことなのですが・・。

 今は、特別にフランスでの生活には、それなりに満足しているし、フランスの方が心地よいと思う部分も少なからずあるのですが、この日本から帰ってきて、最初の食料品の買い物の時に感じる絶望感は毎度、おなじみの感情です。

 しばらくすれば、またそれに慣れてきて、あっちで美味しいものがあれば飛んでいき、また、こっちで美味しいものがあれば飛んでいく!という生活に戻るのですが、今のところ、まだまだエンジンがかかりません。

 約3週間の日本滞在で、3ヶ月分くらいの食べ物を食べたと思うので、しばらくは、食べなくてもいいくらいなので、ちょうどいいかもしれませんが、今まで勇んで行っていたブーランジェリーやレストラン等、今のところは、全く行く気になりません。

 先日、美味しいサンドイッチのお店があるという情報を得たので、出かけたついでに寄ってみようかな?と思っていたのですが、最初の目的地の用事が済んだ時点で、「さて、次はサンドイッチ屋さん・・」と思ったところで、なんだかめんどくさくなって(いつもなら、食べ物に関して、めんどくさくなるなんてあり得ないのです)、行ってみたいけど、あんまり食べたくないしな・・また今度にしよう・・と結局、サンドイッチ屋さんには、行きませんでした。

 軽め?のサンドイッチですら、こんな感じ、日本に行くまえには、通りかかれば、必ず覗いていたブーランジェリーなどにも、まるで魅力を感じなくなっています。

 まるで別に好きな人ができて、これまでの彼にはすっかり冷めてしまった感じ・・日本から帰ってきたら行こうと思っていたレストランにも、まるで行く気になれません。

 食べ物に対して、ここまで気持ちが盛り上がらないなんて、久しぶりのことで、ここで、ショック療法として、どこか、飛びぬけて美味しそうなものを探すか?自然と復活するのを待つか? そんなくだらないことを、しかし、食べることが何より大好きな私にとっては、重大事なことを、ここ数日、考えているのです。


フランスの食品


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2025年3月14日金曜日

少し早めのパスポートの更新手続き

 


 私にとっての海外生活の必需品は滞在許可証とパスポートですが、そのパスポートが今年は、私はちょうど書き換えのタイミングでした。しかし、正直なところ、まだもう少し猶予がありました。

 ただ、そのパスポートの更新手続きが、4月からこれまでよりも時間がかかるようになり、少なくとも3週間はかかる(これまでは、1週間でできたのに・・)とのことで、この「少なくとも3週間」というのが、なんとなく不安で3月のうちに更新手続きをしてしまうことにしたのです。

 使わないときは、余裕で数ヶ月も使わないこともあるパスポートなのですが、私の中では、常に何かあったら、日本に帰れる状態であることは保っておきたい安心のひとつです。

 これまでに、母や父が倒れたとか、亡くなったとかいうときにも、急にチケットをとって、翌日の便で帰るとかいうことは、何度かありました。パスポートさえあれば、チケットさえとれば、パリからは毎日、直行便が飛んでいるので、いつでも帰ることができます。

 逆にパスポートが切れた状態だった場合は、いくらファーストクラスのチケットを取ったとしても、出国することも入国することもできません。

 パスポートの申請中は、その時点で持っているパスポートが失効していなければ、使用することはできます(出国することができる)が、ただ、パスポートを申請中に前のパスポートが失効してしまった場合、まだ新しいパスポートを受け取れていない場合はどうなってしまうんだろう? しかも、少なくとも3週間はかかるとか言われて・・。

 余裕をもって申請すればよいだけの話なのですが、なんだか、そのあたりの感じでイラつくのが嫌で、少々、失効期限までには、時間があったのですが、さっさと1週間で作ってくれるうちに更新手続きをしてしまったのです。

 まあ、4月からはどうせ、更新手数料も値上げされるだろうし、ちょっともったいなかったかもしれないけれど、捨てることになってしまった期間分よりも安心料を選んでしまいました。

 考えてみれば、日本の運転免許証などは、更新手続きのタイミングきっかりに日本に帰国できるとは限らなかったため、これまでも、少々早めでも更新手続きをしてしまってきたので、期間ギリギリで更新手続きをしたことはほとんどありません。

 このパスポートの更新手続きについては、これまで各大使館で行っていたものをセキュリティを高めたパスポートにするために日本でしか発行しなくなるためだと言われていますが、この新しいパスポートの発行が始まれば、また色々な不都合から、色々改正されることはあるかもしれませんが、近々には無理だろうと思ったまでです。

 今回の更新手続きには、107ユーロを支払いましたが、ちなみに4月以降はいくらになるのですか?と尋ねてみたのですが、まだ発表になっていないとのことでした。

 パスポートの手続きは滞在許可証の更新に比べれば、全然、ハードルは低く、ストレスも少ないのですが、とりあえず、パスポートに関しては、これから10年は安心で、次の更新手続きは、4年後の日本の運転免許証の更新手続きです。ヤレヤレ、当分、は安心して暮らせます。


パスポート更新手続き


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2025年3月13日木曜日

マクロン大統領が34ヵ国を招集して行った非公開の会合

  


 エリゼ宮によると、マクロン大統領は、パリで34ヵ国の参謀長、欧州連合とNATOの代表、ウクライナ代表らを招待し、ロシアとの和平協定が成立した場合にウクライナにとって強固で永続的な平和が実現できるよう、信頼できる安全保障を定義するために、概念から計画へと移行するための非公開の会合を行いました。

 これは、ウクライナがロシアとの一時停戦を受け入れ、米国がウクライナへの援助停止の解除を発表したことを受けた、ほぼ同時のタイミングで行われています。

 ウクライナの停戦受け入れに対して、ロシアは現段階では明確な回答は発表はしていないものの、次はロシア次第・・という段になって、なにやら、プーチン大統領が軍服で会議に参加している様子がテレビで盛んに流されているので、言明はしていないまでも、それが回答の序章ではないかという気はしています。

 しかしながら、あらゆる可能性に対応できる準備を具体的に進めていかなければならない欧州諸国にとって、ウクライナ、そしてヨーロッパの安全は自分たちの手で守る姿勢と体制を築かなければならないことは、必須、また、この停戦の具体的な交渉から欧州が排除されないように、この会合によって、少しでも確固とした姿勢を守り続ける欧州以外の国々も巻き込んでその連帯を強固なものにする必要があるという考えが見えます。

 この非公開の会合には、なんらかの形でこの安全保障に貢献する用意のある国、英国やトルコなどの欧州連合各国、およびNATO加盟国、その他、オーストラリア、ニュージーランド、日本なども含まれています。

 また、停戦が成立した場合にウクライナでの戦闘が再開することを防ぐ具体的な方法として「ウクライナの非武装化の拒否」に加えて、「欧州軍をウクライナに派遣する」という提案も検討されています。

 停戦した場合とはいえ、「欧州軍がウクライナに派遣される」ということは、欧州がさらに積極的かつ深く、この問題に実践的に関わることになり、さらにそこにロシアの再侵攻があった場合、欧州全体との全面戦争にもなりかねず、このことは、停戦という決断からロシアを遠ざけることになりかねませんが、欧州の側からしたら、安全保障の面からは、譲れない部分なのかもしれません。

 この問題については、欧州はまさに地政学的にも、捨て置くわけにはいかない大問題であるとともに、そもそもは、この軍事的侵略行為そのものがまかり通るものであってはならないという根本的な理念としてある国がこのパリでの非公開の会合に集結しているものと思われます。

 この問題については、核抑止力を持つ欧州の代表としての立場を推し進めているマクロン大統領ですが、フランス国内、右派などからは、「恐怖を弄んでいる」などと批判の声もあがっています。

 

34ヵ国パリ非公開会合


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2025年3月12日水曜日

娘がスキーで大ケガしたらしい・・

  


 忙しく仕事をしつつも、忙しく遊びまわっている娘ですが、私が日本滞在中も私とも旅行しつつ、途中、私の旅行中などは、友人とスキーに行ったりして、一体、彼女には、休日に身体を休めようとか、そういうことは必要ないのだろうか?と思っていました。

 それでも、私が日本に到着したときも、空港まで車で迎えに来てくれたし、帰りも早朝にもかかわらず、車で送ってくれて、本当にフル回転してるんだ・・さすが若い・・と感心しつつも、たまには、少しはゆっくりする時間も少しはあった方がいいんじゃないの?とも思っていました。

 私がフランスに戻ってからも、春になるのを惜しむように、また、スキーに行くという話は、聞いていたので、前々回のスキーでは、携帯電話をなくしかけたり(結局、びっくりすることに、一応、届け出をしていたら、見つかったという日本ならではのミラクル)したので、スキーに行くというのに、「足折らないようにね・・」とかではなく、「携帯失くさないようにね!」などと、冗談半分に電話で話していました。

 それが、週末に電話がかかってきて、なんとスキーで怪我したとのこと、骨は折れていないみたいだけど、現在、ギブスに松葉杖の生活、「来週にもお医者さんに行くけど、どうやら、じん帯損傷、もしかしたら、じん帯が切れているかも・・」とのこと。

 彼女がスキーを始めたのは、小学生の頃だったので、スキー歴はもう長く、けっこう滑れるようなので(私自身はスキーやスケートなどの滑る系のものは苦手なのでやりません)、まさか怪我するなんて、思ってもみませんでした。

 実際にその場にいたわけではないし、彼女の様子を見ていないので、あまりピンと来ないのですが、検査の結果、やはり、じん帯が切れていて、恐らく手術になるだろうとのこと。通常は、週3日くらいは出勤しているようなのですが、基本的に彼女の仕事はリモートワークでもできる仕事がほとんどなので、仕事はそのまま続けられるとのことですが、どうにも離れている身としては、心配なものです。

 幸いにも隣に従姉妹がいてくれているので、本当に困ったときには、助けてくれているようなので、まだ心丈夫ですが、じん帯切断で手術?などと言うと、母としては、心穏やかではなく、思わず、「帰ろうか?」と聞いてみたのですが、「ぜんぜん、そんな必要ないから・・ママは自分の予約してある検査にちゃんと行きなさい!」と。

 まあ、帰ったところで、大して役に立ちそうもないし、かえって足手まといになりかねない気もしないではありません。

 とりあえず、命に別状があるわけでもないとは思いつつも、やっぱり心配してしまう情けない母なのです。

 通常は、散歩するといっても驚異的な速さで歩く娘。ギブスをはめた足では、さすがに速くは歩けず、なんだかおじいさんになった気分(なぜ?おばあさんではなく、おじいさんの気分になるかは不明)とかで景色が違って見えるとのこと。

 彼女が今、生活している私の実家は、両親の住んでいた家で、ボロいながらも、家の中は、母が最初に介護が必用になった際に(介護保険ができたての頃だったためか、やけに景気よくしっかりしたものをつけてもらっている)家中に階段からお風呂場に至るまで、手すりをつけてもらった家で、そんな手すりが今、彼女の助けになってくれているとのこと。

 まさか、自分たちがいなくなった後に孫が一人でその家に住むようになるとは、両親も夢にも思わなかっただろうし、そのうえ、家中につけられた手すりが彼女の手助けになっているとも、全く考えていなかったと思います。

 しかし、なんとなく、両親が娘を守ってくれて、支えとなってくれているような、そんな気にさえなるのです。

 娘には、「少しはゆっくりしなさいってことだね・・」と言っていますが、やっぱり何かあった時に、離れていて、そばにいられないことは、辛いですね。


スキーでじん帯切断


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2025年3月11日火曜日

10年間で86%増加したフランスの公共交通機関内での性的暴力

  


 私がフランスに住むようになってから、もう20年以上というか、四半世紀近く経ってしまったので、ちょっと今の状況とは違うのかもしれませんが、当初、私は、フランスの電車やメトロには、日本のような痴漢はいないのだな・・と思っていたくらいでした。

 当初は、私たちは、パリ郊外に住んでいたので、郊外線を利用していて、今よりもずっと電車に乗っている時間が長かった(とはいえ、正味30分から40分程度)こともあってだったのだと思いますが、夫が服装などに対して、とにかく厳しくて、絶対に華美な服装や持ち物を持たないようにとか、少しでも挑発的に見えるような服装などは、絶対にしてはいけないと口うるさいほどだったので、心配性なのはわかっても、少々うるさいなぁ~と思っていました。

 夫は東京に住んでいたこともあったので、東京で生まれ育って、通勤していた私に対して、東京のようなつもりでいたら、絶対に危ない!という気持ちがあったのでしょう。

 私は、夫の言うように、比較的おとなしい服装で、だいたいまだ子どもが小さいこともあって、スケジュール的にもキツキツだったので、独身の時のように自分がおしゃれをするという時間もなかったのですが、おかげ様で、通勤のための車内はたいてい座って行けていたので、読書をしたり、手紙を書いたりと、それなりに有意義な時間を過ごしており、危ない目に遭ったことは一度もありませんでした。

 今から考えれば、パリ市内のメトロなども今よりもずっと空いていたような気がするし、フランスには、日本のような痴漢はいないんだな・・きっとフランスだったら、簡単な痴漢などの段階ではすまずに、もっと酷い事態に発展してしまうのかもしれないな・・などと勝手に思っていました。

 ところが最近、公共交通機関における性的暴力がここ10年間で86%も増加し、その半数がイル・ド・フランスで発生しているという報道がされており、ビックリしました。

 この性的暴力というのは、いわゆる痴漢行為というのが具体的にどのような行為であるかについては、記されていないものの、39%が性的虐待や性差別的虐待、19%がセクハラ、13%がわいせつ行為、6%が強姦または強姦未遂の被害を受けていると説明しています。しかし、このあたりの境界線がよくわかりません。

 Miprof(女性保護のための省庁間ミッション監視団)の発表によれば、2024年に報告された公共交通機関内での性的暴力の被害者は3,374人ということではありますが、この数字は、法執行機関により記録された件数であり、実際の数字は、恐らくそれを大きく上回るものであると推測されます。

 RATP(パリ交通公団)の調査によれば、調査対象となった女性の70%がなんらかの性的暴行被害に遭った経験があると答えています。

 また、被害者の3分の2(75%)が30代未満の女性であり、36%が未成年であるそうです。

 他の報告では、フランスはすでにフランスはこの現象についての警戒し、公共交通機関における性的嫌がらせに対処するための国家計画として、電話による警告サービス、啓発キャンペーン、職員の研修、迷惑な乗客への取り締まりなど、2014年に政府によって導入されていましたが、この現状を見れば、この国家計画は充分ではないようです。

 このプランの中にあるヘルプライン(3117および31117)やプラットフォーム上のコールポイントについても、実際に存在はしているものの、利用したことがある女性はわずか12%ということで、さらなる周知の必用と実際に被害に遭ったときに、利用しやすいものであるのか?という面もあるのではないか?と思われます。

 しかし、いずれにしても、10年間で86%増というのは、ちょっと驚くべき数字。私などは、幸いにも被害に遭ったこともなければ、被害に遭っている女性を見かけたこともないのですが、今、娘が若い女性に成長していることを考えると、この現状は見逃せない、見過ごしてほしくないと思っています。

 ただ、フランスらしいと思ったのは、この公共交通機関内での性的暴行事件の増加について、その暴行そのものに加えて、「女性がこのために、時間や行先を変更しなければならない事態に陥ることは、女性が自由に移動、旅行する権利を奪われているということ」という言い方もしていることで、フランスらしいと感じると同時に、なんか少し「ん?」と思ってしまうところもありました。

 フランス、特にイル・ド・フランス地域、パリの公共交通機関は、他にもスリやひったくりなど、他にも危険がいっぱいで、あらためて、日本の治安の良さはあたりまえのものではないのだな・・と思うのでした。


フランス公共交通機関内の性的暴力


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2025年3月10日月曜日

残された時間は長くないことを自覚して悔いなく、より楽しく生きる 


 私は常日頃から、テレビは夜のニュースを数時間しか見ないのですが、ここのところ、フランスでは、ニュースといえば、戦争に関連する報道がとても多く、見ているだけで滅入ってくる感じです。

 これは3年前のウクライナに対するロシアの攻撃が始まった頃と同じ感じで、当時は、それこそ、今、この時代によもや、こんなにドンドンパチパチ、ドッカ~ンと言った感じの戦争が始まるなどと夢にも思わなかったので、とにかくショッキングでした。

 あれから、早や3年も経ち、もはや恒久化しつつあるような感じで、報道も減っていたのが、アメリカの政権が変わって以来、世界的なチカラ関係が崩れつつある感じで、再び、緊張が高まっているせいか、フランスのテレビでは、また、以前よりも露骨に兵器を製造している映像や、実際の戦場の様子などが容赦なく流れてくるので、この現実を無視はできないと思いつつも、反面、ちょっと、いたたまれない気持ちで、ついついテレビは消したくなります。

 戦争とは直接的には関係はないながらも、自分の年齢や体調的な面などを考えると、最近は、残された時間は思っていたよりも長くはないことを自覚して生きるべきだと思うようになっています。

 日本に帰国した際にも、行きたいと思っている場所には、期間限定のために、少々、体力的にスケジュールが少々キツいと思いつつも、できる限り行くようにしたり、食べたいものは全て食べて、大げさですが、明日死んでも後悔しない1日を過ごそうと思っていました。

 フランスに帰ってくれば、期間限定ではないので、そこまで貪欲ではありませんが、やっぱり自分のやりたいことを最優先して後悔のない日を過ごそうと思っています。子育てをしていた頃は、何よりも自分のことよりも子どもが最優先だったので、それが終わった今は、自分が楽しむ時間を精一杯楽しもうと、そんな風に思っています。

 それで、また、明日がくれば、明日もそのように過ごせたら、そんな日が少しでも長く続けば、ラッキーです。もうある程度以上の年齢になった現在では、あまり先のことを考えるよりも、できるだけ近い未来のことに照準をあてている方が幸せな気がします。

 そして、やりたいことを楽しんでいるときには、しっかり自分が楽しんでいるということを自分で自覚して、同じことをより楽しみ、周囲の人にもそれをできるだけ伝えるということで、喜びはより強くなります。

 自分が楽しんでいることを自分にしっかり自覚させるということは、単純なことだけど、けっこう大切なことであると、最近、とみに思うようになっています。

 せっかく楽しんでいることをなんとなく過ごしてしまってはもったいない・・しっかりと自分に刻みつけておきたい・・そんな気持ちです。

 しかし、実のところ、日本から帰ってきて以来、どっと疲れが出ているのか、はたまた時差ボケなのか? 風邪をひいたとか、そういうわけではないのに、とにかく、ちょっと出かければ、どっと疲れて、身の置き場がないくらいだるくなって、しまいには、気分まで悪くなってきて、横にならずにはいられないほど、ぐったりしてしまう感じ・・今のところの目標は、体調を整えること。

 すでに、日本行きのために延期してある1日入院しての検査が控えているので、その前に、別にお医者さんに行くことは控え、一晩、寝るたびに明日こそは、もう少し回復しているかも・・と期待している毎日です。

 なにをするにしても、まずは、健康第一です。

 季節の変わり目で、一日一日、日が長くなってきて、気持ちも明るくなってきます。

 当面の私の目標は、少しでも体調を回復し、やりたいことを思う存分できる体力をつけることです。


悔いなく生きる


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2025年3月9日日曜日

祖父がパリから送っていた絵葉書

  


 祖父が昔、フランスに留学、滞在していたことがあったことは、私が子どもの頃から聞いていた話で、その影響なのか?祖父はその年代の人には珍しく、フランス料理が好きで、一家が集まって食事をしたりするのには、フランス料理であることが多かったり、DONQ(ドンク)というパン屋さんのバゲットが好きで、なんだかバゲットにはこだわりがあるようだったり、そのバゲットをお皿に置かずにテーブルに直に置いてしまったりすることを祖母が嫌がっていたりしたことを覚えている程度で、私は祖父から直にフランスの話を聞いたことはありませんでした。

 そもそも祖父は家ではかなり寡黙な人で、祖父母の家に行っても、私が話をするのは、もっぱら祖母とばかりで、それをニコニコと聞いていて、食事をしたりしている際に「美味しいかい?」と聞かれて、「うん!」と答えるくらいで、そういえば、私は祖父と何を話したことがあったか?ほとんど記憶にないくらいです。

 祖父が亡くなって久しいですが、のちのち、私がフランスで生活することになることがわかっていたら、もっと祖父にフランスの話を聞いていただろうし、何よりフランス語を教われたのになぁ・・などと思うこともありました。

 祖父がフランスに留学していたのは、第二次世界大戦直前から戦争に突入した頃のことだったようで、(そういえば、空襲を逃れてどこかに逃げた話をきいたことがありました)まだまだ、日本人が渡航すること自体がかなり珍しい時期で、当時は船でかなりの時間を要し、フランスに渡った記録を当時のチケットとか、色々な切り抜きなどとともに書き残しているアルバムのようなものがあるのですが、「いつか、読もう!」と思いつつ、なかなか読めていませんでした。

 祖父は絵が好きで、休みの日には、ルーブルなどに通っていたようで、たくさんの絵について、子どもたち(当時はまだ母と叔父のふたり)宛に解説するような絵葉書を大量に送っていて、それも大量に残されていますが、いつか、その祖父が母宛に送った絵葉書の解説を見ながら、ルーブルに行ってみるのも素敵だな・・などと思いつつも、いつも私の日本からの帰りの荷物は大量の食料品が優先されて、未だフランスに持ってきていません。

 それが、今回、来仏直前に、叔母がそれとは別に祖父が祖母宛や両親(祖父の)宛に送っていた絵葉書を一束持たせてくれて、帰りの飛行機の中でゆっくり読む機会を持てました。

 絵葉書自体も時代もので、シャンゼリゼの街路樹もまだ今よりもずっと低かったりするものの、たいがいの絵葉書の写真を見れば、だいたいどこだかわかる・・ということは、基本的には絵葉書になるような場所はパリの街は変わっていないということで、なるほど・・と感心しました。

 絵葉書の消印を見ると、1938年から1939年のもので、実に祖父は達筆で筆まめで、その時の生活ぶりや、たまにフランス語の単語が混ざっていたりするのも、現在、「それじゃルー語(ルー大柴みたいに外国語が混ざる)じゃん!」などと娘と言いあったりする私には、なんかホッコリさせられたりします。

 しかし、私とは違って、大変、優秀であった祖父はフランスに留学といっても国からの留学生としてグランゼコールに行っていたようで、毎日、フランスの新聞数紙に目を通し、当時は、日本語の読み物などは手に入らなかった様子や娯楽も現地のものを楽しむしかなく、「文化人ぶって、美術館やコメディーフランセーズに演劇を見に行ったり、映画を見に行ったりしている」などと書いてあったり、戦争が始まると、どこの新聞にも同じようなことばかりが書いてあってと批判めいたことが書いてあったりしながらも、自分は無事であるから心配はしないでほしいなどと書いてあるのも、それが戦時中であることを考えれば、その心中は察してあまりあるものです。

 このようなハガキが今でも大切にとってあるということも凄いことだと思いますが、今のようなネットの時代とは違って、筆跡や数十年経ってもぬくもりの感じられる絵葉書のようなものも良い時代だったのだな・・と、思いながら、今度こそ、日本に行ったら、祖父が当時のフランスについてのアルバムや、子どもたちに残していたルーブルにある絵の解説ハガキを持って来て、ゆっくり読みたいと思いました。


祖父の絵葉書


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2025年3月8日土曜日

第2次世界大戦時の不発弾発見でパリ交通網大混乱

  


 木曜日から金曜日にかけてパリ北駅上流で行われていた夜間工事作業中に第2次世界大戦中の500㎏の不発弾が線路近くで発見されたことにより、パリ北駅を発着する列車(TGV、TER、ユーロスター、RERの運行が完全に遮断されるという事態が発生しました。

 爆弾は、サン・ドニ近郊の駅から2.5㎞離れた線路の真ん中で発見されたため、パリ警察署は、その地域を列車が通過することはできないと判断し、地域の交通遮断を要請、周辺を警備するために、300人以上の警察官が動員され、周辺の学校も避難させられ、また爆弾が発見された現場から500メートル以内に住むサン・ドニとサン・トゥアンの住民も屋内に留まるように勧告を受ける事態に発展しました。

 また、この爆弾が発見された地点は、パリ環状道路の北約200メートルの地点でもあり、パリ環状道路とA1高速道路の一部も閉鎖され、イル・ド・フランス地域の道路で200㎞の渋滞が発生しました。

 この第2次世界大戦時の不発弾は、200㎏の爆薬が入った500㎏の爆弾で、これを撤去するのは、容易なことではなかったといわれており、この撤去作業が終了したのは、金曜日の午後4時過ぎでした。

 運輸大臣は、この爆弾騒ぎのために、約500本の列車と60万人が影響を受けたと発表しています。

 これは、おそらくイギリスかアメリカの爆弾で、1944年春に連合軍がフランスの鉄道を空襲した際に投下されたものであると見られています。ノルマンディー上陸作戦の前に投下され、ノルマンディー海岸へのドイツ軍の増援の到着を遅らせるのが目的だったと見られています。

 また、英国の歴史家によると、この爆弾は、1944年4月18日から19日の夜、イギリス空軍が近くのラ・シャペル操車場を攻撃し、1,265トンの爆弾を投下した時に落ちた可能性があると言われています。

 この第2次世界大戦時の爆弾が発見されて(オー・ド・セーヌ県)、交通網が遮断されたことは2019年にもあったそうですが、世界がウクライナ・ロシアそして、アメリカの関係もあいまってさらに緊迫しつつある今、このタイミングでというのは、あまりにも恐ろしい気がします。

 つい昨日も、午後8時からのニュースで欧州が軍事力を強化するという話で、爆弾を製造する映像が流れていて、ギョッとしたばかりでしたが、その爆弾の具体的な大きさなどは、わかりませんでした。

 今回、発見された200㎏の爆薬の入った500㎏の爆弾というもの自体、想像するのが難しいのですが、それが今、このあわや第3次世界大戦にもなりかねないような世界的に緊迫したタイミングで発見されたことも、偶然としても、あまりに意味深で、嫌な感じでしかありません。


パリ北駅不発弾 交通網遮断


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2025年3月7日金曜日

2026年に行われるパリ大相撲を見に行こうかと思ったけどチケットが高すぎた

  


 2026年6月13日と14日にパリに大相撲がやってくるというので、軽い気持ちで、「お相撲なんて、日本でもテレビでしか見たことないし、またとない機会だし、行ってみようかな?」と思って、チケットの値段を調べてみたら、一番安いチケットで81ユーロ(約13,000円)で、その後、159ユーロ、229.50ユーロ、313.50ユーロ、519ユーロ、1036.50ユーロとあり、チケットの座席表を見ると、一番安いチケットだと、バルコニー席といえば、聞こえは良いけど、会場はオリンピック競技なども行われたアリーナで、ほぼほぼ米粒ほどしか見えないであろう土俵からは、遥か遠い席。最低でも313.50ユーロ(約5万円)から519ユーロ(約83,000円)の席ではないと、ほぼほぼロクに見えない感じ。

 いわゆる砂被り席などの間近で見える席など1036.50ユーロ(約165,800円)(1人あたりの値段)と狂気の値段です。

 それでも、行く人はいるだろうし、ご招待とか関係企業の人とかでいっぱいになるのでしょうが、お相撲が海外にやってくると、こんなに高くなるものとは知りませんでした。

 パリに大相撲がやってくるのは、1995年以来30年ぶりのことだそうで、1986年、1995年に次いで3回目になるのだそうです。

 日本文化を日本以上に評価してくれている気がするフランスで日本文化の象徴的な存在のひとつとも認識されている「SUMO」大相撲がパリで見られるとなれば、これだけの価格を支払ってでも、見たい人はかなりいるとは思われるものの、庶民が気軽に行ける金額ではありません。

 もっとも、私の勝手な印象ですが、パリで日本文化を愛でる人々の層は嫌な言い方をすれば、一定レベル以上(簡単に言えば、ハイソな感じ)の人々が多く、ある種のステイタスのように、浮世絵のようなものを飾ったり、日本の古いものを飾ってみたりするような感じがあります。

 なので、この程度のチケットの値段に私のようにビビらない人々なのかもしれませんが、とはいえ、私はお相撲のことは、あんまりというか、ほとんど知らず、今、どんな力士が活躍しているのかも知りません。

 逆に、パリでこんなに高いなら、今度、日本に行った時、お相撲に行ってみるのもいいかも・・などとも思っています。

 日本相撲協会の会長は、「日本の相撲の伝統文化と相撲の魅惑的な雰囲気をフランスの人々に伝えるイベントにしたい」と言っているそうです。日本の伝統文化とはお高いものです。


2026年パリ大相撲


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2025年3月6日木曜日

マクロン大統領の演説 明日の解決策は昨日の習慣であってはならない

 


 「フランス国民の不安に応えたい」と行われた夜20時からのマクロン大統領の演説は、15分弱のものでしたが、終始厳しいながらも落ち着いた様子で行われました。

 内容は、フランス・欧州の防衛に関する内容が中心ではありましたが、急激に変化する世界情勢の中、フランスがどのような姿勢で取り組んでいるか?また、今後、フランスはどうしていくのか?今後のフランスの外交路線を説明するものでした。

 この演説は、翌日にはブリュッセルで27ヵ国が集結し、今後のウクライナと欧州防衛への継続的な支援についての協議が行われる前日に行われています。

 この演説の中で、マクロン大統領は、「この危険な世界に直面して、傍観者でいることは狂気の沙汰である」と言明し、ロシアがもはやウクライナだけではなく、フランス、ヨーロッパの脅威となっていると説明。

 そして、「平和はウクライナの降伏や崩壊であってはならない」また、「平和は、いいかげんな停戦がもたらすものでもない」と、ロシアがミンスク合意を尊重していないことを指摘しながら、「今日、我々は、もはやロシアの言葉を信じることはできない」と、フランスが取ろうとしている姿勢を明確に説明しています。

 加えて、ウクライナへの支援の一時停止を発表した米国が我々の側に留まることを信じたいし、米国への説得も続けていくが、そうでない場合に備えて、欧州諸国は、自らの国を防衛するための万全な準備をしていかなければならないと語りました。

 これを裏付けるかのように、彼は欧州首脳会議での確認事項として、「欧州加盟国は、赤字に計上されることなく軍事費を増額することができ、最も革新的な軍需品、戦車、武器、武装品を欧州の地で購入し生産するために、大規模な共同資金調達が行なわれることになる」と説明、これは、欧州諸国が自国を防衛し保護する準備、自国で必要な装備を共同生産し、協力して世界の他の国々への依存を減らす準備がより整うことを意味しています。また同時に、「ヨーロッパの将来は、モスクワやワシントンが決めることではない」とも言っています。

 この防衛費のために新たな予算の選択と追加投資を増税することなしに行うことを宣言しました。この「増税することなしに・・」とハッキリ宣言することは、フランス国民にとっては、恐らくとても大きなことで、ともすると怒りの矛先が政府に向かいかねない、最悪、国内でまたデモや暴動・・などということにもなりかねない案件です。今、この世界情勢で、国内での大混乱などどうしてもあってはならないのです。

 彼はこの演説の中で、核抑止力についても語っていますが、この核抑止力は、フランスが核保有国として存在していることの責任と意味についての確認とも受け取れます。フランスは、その意味で核を持っているからこそ、これを抑止力として、主権的に欧州大陸の同盟国を守るための戦略的議論を進めることができると説明しています。

 最近のマクロン大統領の演説の中では、久しぶりに頼もしい感じでした。この非常に緊迫した状況の中、外交の場に立つ我が国(フランス)の大統領が一体、何を考えて、どう進もうとしているのかを明確に国民に伝えることは、大切なことだったのでは・・と思いました。

 そして、彼は言っています。「明日の解決策は昨日の習慣であってはならない」と。


マクロン大統領の演説


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2025年3月5日水曜日

フランスにも広がり始めているアメリカ製品ボイコット運動

  



 « BOYCOTT USA : Achetez Français ! »(アメリカ製品をボイコットし、フランス製品を買おう!)そんな呼びかけがフランスで起こり始め、Facebookには、この類の文言を掲げるグループが立ち上がり、具体的にアメリカのメーカーや製品とそれに代替するフランス(あるいは欧州)の製品名を表示するサイトが立ち上がったりもしています。

 しかし、現実的には、アメリカの製品は驚くほど、フランスにも浸透しており、これらすべてをボイコットするとなると、スーパーマーケットに並んでいるドリンク類から衛生用品に至るまで、多くの商品が棚から消えることになります。

 例えば、ソフトドリンクに関して言えば、コカ・コーラとペプシコのブランドを取り除くと半分の棚が空になると言われており、また、菓子部門でフランスで、大きな位置を占めている「Lu」ブランドは、オレオやミルカのブランドも所有するアメリカの大手モンデリーズの傘下となっています。このアメリカのグループの傘下に属する製品を撤廃するとなると、この棚の3分の1が消えてしまいます。

 同様の現象は、衛生用品などでも同じことで、オールウェイズ、アリエール、パンパース、ヘッドアンドショルダーズ、プロクター&ギャンブルグループなど、誰もが知っているメーカーが全てアメリカに属するものです。

 これらの商品がこれほどまでに広まって存在しているということは、これまで、多くの人々がその商品を選んで消費してきたということで、巨大企業の彼らには、太刀打ちできない価格の問題等もあり、消費者側からすれば、これに代替する商品をボイコットし、他の商品を選ぶということは、より多くのお金を払うか生活習慣を見直さなければならないということになります。

 にもかかわらず、これらの商品をボイコットするということは、生活必需品以外のものは比較的可能なことかもしれませんが、そうそう容易いことではなさそうです。

 それでも、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の衝撃的なマスコミを前にしての交渉決裂から、その後に欧州全体に緊張状態が波及したことだけでなく、その他にも外交、軍事上の約束を撤回し、欧州連合(EU)に経済制裁をちらつかせるなどアクセルを踏み込んでいるトランプ大統領に対して、ただただ黙っているわけにはいかない・・少しでも何かアクションを起こしたいと思っている人は少なくないのも事実。

 そもそもフランスには、「アメリカからの自立というアイディアを実現する土壌がかなり肥沃である」と見ている人もいます。実際に、私の夫(フランス人)なども、アメリカを毛嫌いする世代の人で悉くアメリカのものを拒絶しようとする傾向がないでもありません。

 この問題がここまで深刻化する前から、トランプ政権に直接関係があるテスラのような企業に対しては風向きが強くなりはじめ、2月には、テスラの欧州での売り上げは3分の2減少したとも言われています。

 しかし、大きなところでは、GAFAと呼ばれる、Google、Apple、Facebook、Amazonなどに関しては、全くのお手上げ状態と言わざるを得ない感じ、そもそもこのアメリカ製品ボイコットグループの呼びかけが立ち上げられたのもFacebookで、なんだか、手のひらのうえで、踊らされている感がしないでもありません。


アメリカ製品ボイコット運動


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2025年3月4日火曜日

久しぶりのバスで・・

  


 長期間、家を留守にするため、家の中の冷蔵庫はほぼ空にしていったので、日本から、山のような食料品を持ち帰ったとはいえ、生鮮食料品はないので、近所にお買物にでかけました。いつもならば、歩く距離でも、時差ボケと旅の疲れにかまけて、バスに乗ってでかけました。

 これで、雨でも降っていたら、まだまだ外出はしなかったかもしれませんが、幸いにもお天気がよかったので、太陽の光を浴びることは、時差ボケ解消にもなるな・・とも思ったのです。

 バス停には、年配の女性二人がベンチに座っていて、そのうちの一人がなにやら、少々、興奮気味に話している様子で、ああ~フランスだわ・・と思いながら、その隣でなんとなく座って、その様子をぼんやりと眺めながら、バスを待っていました。

 すると、その一生懸命話している方の女性が、私に向かって、「ねえ、そうでしょ!」と同意を求めてきたので、まるっきり話を聞いていなかった私は、突然、話をふられるなどおもってもおらず、「えっ??」と一瞬、どう反応してよいやら、目を見開いていたら、その女性は、私の反応など、ほぼ気にせずに、そのまま話を続けようとしたところで、バスがやってきました。

 そうそう、フランス人が興奮して話をしているときには、相手が聞いていようがいまいが、あまり関係なく、ひたすら話し続けるんだった・・と思い出しながら、「あ~フランスに帰ってきたんだな~」と、なんとなくニッコリしたのでした。

 バスの運転手さんには、多くの人が「ボンジュール!」と挨拶をし、降りるときには、降車口から大きな声で「ありがとう!」と言っていく人もいて、しばらく?少し離れていただけなのに、久しぶりのバスに「あ~そうそう・・こんな感じだった・・」と、なんかホッとするような気持ちになりました。

 日本では、なんだか、知らない人に話しかけたり、挨拶したりすることがないことに、行った当初は、なんだか少し寂しいような気がしていたのに、あっという間にそんなことにも慣れて、こんなフランスでの日常を忘れていたんだな・・と思うけれど、きっと娘なら、私は、フランスでも知らない人に話しかけられることはないというだろうな・・などとも思うのです。

 ということは、私がフランスの人は話好きで・・などと思っているのは、フランスでもおばちゃん界隈の話なのかもしれない・・とも、あらためて思うのです。


フランスのバス停のおばちゃんたち


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