フランスで日本のマンガが大人気であることは知っていましたが、フランスでの鳥山明氏の訃報の扱いで、その存在がいかに大きいものであったかを再確認させられたような気がしています。
彼の訃報が発表された日、フランスでのX(旧Twitter)のトレンドの圧倒的なトップは一日中「Akira Toriyama」で、それを追随するのは、「Dragon Ball」でした。
フランスのル・モンド紙をはじめとする大手新聞をはじめ、ほぼ全てのマスコミが彼の訃報を大々的にとりあげ、彼のこれまでの作品や彼のマンガがフランスに浸透していった経緯、また、彼の人となりなどを報道していました。
もしかしたら、彼はフランスで一番有名な日本人であり、近年最もその功績を讃えられている日本人なのかもしれない・・と思いました。
何しろ、MANGA(マンガ)という単語でさえも、現在はそのままフランス語に使用され、恐らく、ドラゴンボールを知らないフランス人を探す方が難しいくらいかもしれません。
私のところにも、今朝、フランス人の知人から電話がかかってきて、「日本の偉人が亡くなったね・・ほら、ドラゴンボールの作者・・」と私は、自分でニュースを見る前に、彼から鳥山明氏の訃報を聞いたのでした。
この鳥山明氏の訃報を知らせてくれた知人は、私よりも年長のマンガなど読みそうもない世代の人ですが、そんな人?にさえも知られているドラゴンボールって、やっぱり、フランスでもすごい人気だったんだな・・と思わせられたのでした。
実際にフランスは日本に次ぐ世界2位のマンガ人気大国でもあり、この日本のマンガをきっかけに日本の文化に触れ、特にマンガの中にも登場する日本食をきっかけにフランスでの日本食ブームが起こったとも言われています。
以前、ドイツから交換留学で我が家にやってきた女の子が大のマンガ好きで、ぜひ、マンガに出てくるラーメン屋さんというもの、に行ってみたいと頼まれて、パリにあるラーメン屋さんに連れて行ったこともありました。
フランスでは1980年代から1990年代にかけて「マンガマニア」が創刊されて以来、フランスでのマンガ人気は、凄まじいものになり1988年からは、ドラゴンボールはテレビでも放映され始め、当初は古い世代の国会議員などから「日本のマンガは酷い!」などとの声があがることもあったようですが、結局は圧倒的な人気に支持され、マンガへの熱狂はフランスの文化的現象とさえも呼ばれるようになりました。
あるジャーナリストは、鳥山明氏の作品を「伝統的な漫画に対する総攻撃の先鋒」と称する人もありました。
また、多くの若者が彼のマンガに惹きつけられた理由を「この小さな悟空は、社会的、感情的な環境でうまく成長できない孤独な多くの若者たちに力を与えてくれた」
「これらのキャラクターたちは、私たちが戦ったとき、団結して立ち上がったときに成功することを示してくれました」などという彼の訃報に対する数多くのコメントの中から理解することができます。
「Merci!Akira Toriyama!(ありがとう!鳥山明さん!」「あなたのキャラクターのおかげで問題を乗り越えられました!ありがとう!」などなど・・SNS上には彼に対する感謝のコメントがフランスでも溢れています。
マクロン大統領でさえも、X上に「マクロン大統領へ」と書かれた額に入れられた彼のデッサンを「鳥山明氏と何百万人もの彼の愛好家へ」と言葉を添えて投稿しています。
À Akira Toriyama et ses millions de passionnés qui ont grandi avec lui.
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) March 8, 2024
鳥山明と何百万もの彼の愛好家へ。 pic.twitter.com/0AAvVxUuj6
フランスでは、パンデミックのために停滞したフランスの文化事業推進・支援と若者への文化と芸術への好奇心を喚起させるために、年間1億6000万から1億8000万ユーロを投資し、映画、小説、マンガ、ビデオゲーム、劇場、ラップ、メタルなどなど・・あらゆる文化的な目的に使用することができる「カルチャーパス」なるものを発行しました。
ところが、ふたを開けてみれば、このカルチャーパスの75%は、マンガのために使われたという結果となり、この「カルチャーパス」は別名「マンガパス」と呼ばれるようになりました。
それくらいフランスでのマンガ人気は凄まじく、もはやマンガはフランスの文化の一部とも言われるようになり、パリのいわゆるお土産屋さんのようなお店でなぜか、日本のマンガのデッサンの色紙などを見かけることもあり、「なぜ?これがパリのお土産屋さんで売ってる?」とびっくりさせられたこともありました。
かつて、日本といえば、TOYOTAやNISSANなどの車やSONYなどの電気製品などが連想されることが多かったと思いますが、今の時代は、日本といえば、一番に連想されるのは、「MANGA(マンガ)」なのかもしれません。
このフランスでのマンガ人気を牽引してきた鳥山明氏は、まさにヒーロー的存在で、ドラゴンボールは、マンガ愛好家のみならず、誰でも知っている抜群の知名度で、まさにフランスにおける日本の偉人の一人であったことが認証されたようです。
こんなにフランスでも讃えている彼の偉業を日本が国民栄誉賞などの国家的な栄誉と称賛を与えていないことをむしろ、不思議な気がするくらいです。
鳥山明 訃報
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