2025年9月30日火曜日

ウィーン⇔パリ、ベルリン⇔パリの夜行列車12月14日から運休

 


 オーストリア国鉄は、ウィーン・パリ間、およびベルリン・パリ間の夜行列車が12月14日をもって運行を終了すると発表しました。

 オーストリア国鉄のプレスリリースは、この夜行列車の運行停止をフランス側のパートナー撤退に伴うものとしています。

 つまり、フランス運輸省は、これらの列車の運行資金に不可欠なSNCFへの補助金の支給の停止を決定したのです。

 今回のフランス運輸省からの通告は、「ウィーン・パリ間、ベルリン・パリ間の夜行列車の運行に関する公共契約が2026年まで停止」というものですが、今後、未来永劫にわたって、停止されるものと、はっきりしたものではありませんが、夜間列車好き?マニア?からしたら、絶望的な状況です。

 とはいえ、夜行列車は一定の人気を誇っているものの、鉄道会社にとっては、依然として採算のとれない商品となっており、フランス政府はこれまでこの路線に多額の補助金を出し続けてきており、ベルリン・パリ線には、年間約1,000万ユーロを支出してきています。

 多額の財政赤字を抱えるフランスとしては、なんとかこの赤字を縮小するために、削れる予算は、できるだけ削る方向に舵をとっているのは、当然のことだとも思いますが、一方では、(EU 欧州連合が国際鉄道路線の資金調達を困難にしている一方で)、航空旅行に関しては税制上の抜け穴を利用して、航空券1枚あたり、30~40ユーロの隠れた補助金を受け続けているという指摘もあります。

 言い換えれば、最も環境を汚染する移動手段が巨額の補助金を受けている一方で、より健全な代替手段を阻害していると非難する声もあるのです。

 公には、環境問題を掲げ、飛行機での移動よりも鉄道での移動を呼び掛けたりもしているものの、実際には、結果的には、料金や時間の問題で、圧倒的に飛行機に軍配があがってしまうのも事実です。

 理想と現実といってしまえば、それまでですが、現実的にウィーン・パリ、ベルリン・パリを移動するのに、夜行列車を利用するというのは、限られた鉄道ファンならばともかく、個人的には、安全面にも不安を感じないわけにもいかないし、快適性などを考えても、まず、これらを利用しようという気にはなりません。

 現在まで復活していた夜行列車は、一時(2015年当時)陥ったこれらの夜行列車廃止の状態へ逆もどりしていると言えるのかもしれません。

 これらのフランスで運行している唯一の2本の夜行列車が消滅することは到底受け入れられないと一部の鉄道ファンの間では、署名運動が始まっているようですが、このシステム自体が運営しきれないものである以上、今後の継続は難しいのではないかと思われます。

 

ウィーン・パリ間、ベルリン・パリ間 夜行列車運休


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2025年9月29日月曜日

CDG(シャルルドゴール空港)ターミナル2G

  


 娘がパリに来てくれた時には、必ず一緒に旅行をするようにしていますが、ここ数年は、もうお決まりのように、イタリアばかりに行っています。

 何よりも二人ともイタリアが大好き・・イタリア料理が大好きなこともあるのですが、イタリアとひとくちに行っても、地方地方によって、また、全然、趣も違って、いつも新鮮な驚きや喜びを感じることができるのもまた、楽しいところです。

 よく考えてみれば、イタリアと一括りにしてしいまいがちですが、どの国でも地方地方によって、その土地の風土?や郷土料理のようなものがあるわけで、同じパスタの国!と思っていても、パスタの形も違ったり、土地の名産の野菜だったり、魚介の種類も違ったりと様々な味を楽しめます。

 ここ数年は、同じイタリアでも南イタリアばかり訪れているのですが、比較的、観光客ズレしていない地域が良い・・ということで、今回はプーリア地方を選びました。イタリアをブーツに例えると、かかとの部分の場所です。

 場所だけ選んで、あとは、娘の他のスケジュールとの兼ね合いもあるので、飛行機やホテルなどの手配は娘に頼んで(あとでお金は払うからお願い!と頼んでいる)、予約してもらっていたのですが、飛行機に関しては、前回、トランザビアでフライトの遅延で、延々、空港で待たされた嫌な思い出があったので、今回はエアフランスにしてもらいました。




 パリ出発にあたって、ターミナル2Gというのは、わかっていたのですが、考えてみれば、「2G」なんて、あったっけ?」と思うのですが、初めてのターミナルでした。

「2F」までは、そういえば、聞き覚えもあったのですが、2Fまで行ってから、「あれ?2Gってどこ??」と、一瞬、焦りました。「2G」は、「2F」から、ナベット(バス)が出ていて、それに乗って、5分くらいで行けます。

 「2G」に着いてみると、シャルルドゴールにこんなスペースあったんだ!とビックリするようなこじんまりとしたスペースのターミナルで、それなりに整っていますが、りはっちゃくはエアフランスがほとんどで、(といってもあまり便数は多くありませんが・・)たまにエアチャイナなどもあるそうです。



 ターミナルは広くないので、行ってしまえば、その後の移動はラクですが、比較的小型便なので、搭乗には、タラップをのぼっていくタイプです。

 人が少ないので、手荷物チェックなども、すごく早くて、これは、逆に便利なところもあります。



 とりあえず、シャルルドゴール空港の2Fまで行って、「あれ?2Gってどこ?」と不安に思う方がいらしたら、2Fから無料ナベットバスが出ていますので、安心してください。ちょっと特別な感じのあるほんわかとしたターミナルです。


CDG Terminal 2G シャルルドゴール空港ターミナル2G


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2025年9月28日日曜日

「今こそ強硬なストライキの時だ!」10月2日 SNCF大規模動員ストライキ

  


 「全てを封鎖せよ!」と呼びかけられた9月10日、18日のデモ・ストライキにより、政府は2日間の祝日を廃止し、医療費控除額を倍増する法令の停止を決定しています。

 これでは飽き足らないSNCF(フランス国鉄)の全組合は、さらに強硬なストライキを10月2日に決行するように呼び掛け、今度は「今こそ強硬なストライキの時だ!」と以下の声明を出しています。

 「9月のデモ・ストライキにより、一部に関しては、新年度の財政削減案を取り下げたものの、新首相はそれ以外に何の変化も示さず、退職年金の凍結、社会保障の削減、公務員の人員削減、そして失業保険のさらなる削減についての受け入れがたい措置に対しては維持したままです。」

 「政府は超富裕層への影響がわずかであるような新たな歳入源を拒否し、労働者、不安定雇用者、退職者、その他大勢に負担を強い続けることを望んでいます。」

 「現在、政権の権力はかつてないほど脆弱であり、マクロン大統領は、2年間で5回も首相交代を余儀なくされ、政権は過半数に届かず、すでに圧力に屈しています。」

 「今、ここで動員を拡大することで、この緊縮予算の放棄、憲法第49条3項で定められた64歳定年制の撤廃、賃金と年金の引き上げ、病院、学校、大学への資金提供、国の再工業化への投資、民間企業への2,110億ドルの公的支援の条件付け、そして巨額の富と利益への課税を実現できるときなのです。」

 「2026年の緊縮予算を撤回せよ!」、「社会と財政正義のために!」、「緊縮予算は、超富裕層と大企業への優遇措置とともに、廃止せよ!」

 などなど、CGT(全国組合連合)は、このように、新たに10月2日のストライキを呼び掛けています。

 要は、前回のデモ・ストライキにより、一部、我々の意見が通ったが、まだまだこれくらいでは、納得できない! 現在、政権が脆弱であるからこそ、今こそ強硬なストライキ・デモ活動を行うことで政府に我々の思いを知らしめ、要求をつきつける!というもので、「今こそ!」というのは、「政府がかつてないほど脆弱である今」という意味のようです。

 CGTはサイトの中で、デモに必要なチラシなどのキットを拡散し、デモ当日には、マグカップやエコカップなどを持ってきてください!と書いてあるので、なんでカップ??と思ったら、当日は、スープとドリンクを無料で提供します!とのことでした。

 ヤレヤレ、いつまで続くのか?このデモとストライキ。言っていることはわからないでもないけれど、だったら、現在の記録的な財政赤字は、どうするの?という気がしないでもありません。


10月2日大規模動員ストライキ


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2025年9月27日土曜日

9月ってこんなに寒かったっけ? と思ったら、パリは40年ぶりの記録的な寒さらしい

 


 季節の変わり目には、毎度のことながら、周囲の人々の衣替えの早さには、驚かされるパリですが、今年の秋は、ことのほか、もうすっかり冬支度をしているパリジャン・パリジェンヌに、「そういえば、まだ9月だよね・・いくらなんでも・・」と思うような感じで、もうダウンを着て、マフラーをして・・といういで立ちの人も少なくありません。

 9月の半ば過ぎくらいだと、下手をすると、まだ残暑に苦しんでいる時だってあるのに、なんなの?この寒さは・・・と思っていたら、どうやら、9月の気温としては、40年ぶりの寒波、1985年以来のことだそうで、寒がり(暑がりでもある)の私としては、厳しい季節に突入。すでにしっかり着込んでいます。

 先日は、最高気温が10.8℃だったというのですから、それは寒いわけです。

 例年だと、今ごろは、一年のうちでもっとも色々な格好をしている人が混ざり合っている時期なのですが、今年は、さすがにもう冬服の装いの人がほとんどです。

 記録的な寒さとはいえ、歴史上では、4番目の9月の低気温だそうで、もっとも気温が低かったのは1919年9月の9.9℃なのだそうです。とはいえ、史上最も気温の低かった年と比べても1℃も違わないのですから、なかなかな寒さです。

 そのうえ、お天気もどんより・・雨が降ったりやんだりのはっきりしないお天気で、なんだか気持ちまで沈みがちになりそうです。

 とはいえ、寒かったこの気温がずっとこのまま続いて冬になってしまうというわけではないらしく、翌週には、また太陽が顔を出し始め、日中の気温も17~18℃から20℃くらいまでには、上がるだろうということなので、まだまだ冬本番ということにはならなそうです。

 気温が急激に下がるということは、インフルエンザやコロナウィルスが再び蔓延し始めるという現実もあり、実際に、すでにここのところ、コロナウィルス感染症かインフルエンザか判断がつきにくい症例が激増しているそうです。

 私のところにも既に、インフルエンザワクチン接種のご招待状?が届いており、???なんかやけに、今年は、早くない?と思っていたのですが、この急激な感染拡大が背景にあったのです。

 このどちらか判別しにくい(インフルエンザとコロナウィルス)症例としては、極めて典型的なもので、鼻咽頭炎(のどの痛み、鼻水、くしゃみ、涙目)、発熱、身体の痛みなどが挙げられ、感染しやすい人の場合、全身の健康状態の悪化という形で現れることがあるそうです。

 コロナウィルス感染を疑って外来受診をしている人は、昨年の同時期に比べると15歳未満では43%増、成人では29%増となっているそうで、今後、一層の注意が必要なようです。

 

40年ぶりの9月の低気温


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「大きな雹(ひょう)が降る5月のパリ」

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「しっぺ返しの夏の暑さ 9月に入って毎日35℃超えの猛暑のパリ」 

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2025年9月26日金曜日

二コラ・サルコジ元大統領に有罪判決 実刑5年の衝撃

  


 普段は、日中はあまりテレビもSNSも見ないようにしているのに、たまたま出かける前に、メトロが動いているのかを確認しようと開いたら、「元国家元首サルコジ懲役5年の実刑」というニュースが目に入ってきて、さすがにビックリして、テレビをつけました。

 これまでも、サルコジ元大統領は、たくさんの裁判を抱えていて、ついこの間も執行猶予付きの有罪判決が出て、足に装着するブレスレットの着用命令が出ていて、それでさえ、「えっ?ほんとに、サルコジが電子ブレスレットつけるの?」と思った記憶があります。

 今回は、実刑ということで、どうやら刑務所に収監されるのを免れるのは、もはや難しいのではないか?という見方が濃厚ではあります。しかし、彼の弁護士は、「サルコジが刑務所で眠るハメに陥らないように全力を尽くす」と発表していますが、がけっぷちから、もう片足が落ちかけている感じです。

 今回の有罪判決は、「2007年の大統領選挙運動資金をリビアから調達することに関する共謀罪」で、この事件に関しては、すでにサルコジ政権の元大臣2人(クロード・ゲアン氏(受動的贈賄と偽造)とブリス・オルトフ(共謀罪)で有罪判決を受けています。

 今回のサルコジ元大統領に関しては、国家財務検察庁(PNF)の代表者らは、3月下旬、サルコジ元大統領に対し懲役7年を求刑し、「過去30年間で最も悪名高い独裁者の一人と汚職協定を結んだ」と非難し、サルコジ元大統領は、2011年以来、一貫して無実を主張してきました。

 今回懲役5年の判決を受けたサルコジ元大統領は、まださらに裁判を抱えており、2012年大統領選挙の資金提供をめぐる上告審が10月8日にも控えています。

 今回の判決は、仮執行を伴う執行猶予付き拘留命令として言い渡されたもので、彼はただちに収監されることはありませんでしたが、検察庁から1ヶ月以内に召喚され(10月13日)、拘留日が通知されることになっています。

 控訴してもこの安全措置は、停止されることはなく、実際に拘留されることになるはずなのですが、彼の弁護士が「彼が刑務所で眠ることにならないように全力を尽くす」と言っているということは、なにか別の可能性があるのかもしれません。

 もうテレビのニュースなどでは、刑務所の独房の様子などが何気なく流されながら、彼はおそらくパリの中心部にある刑務所?に収監されるだろうとか、安全のために彼は独房に入ることになるだろう・・とか、言っています。

 判決後は、このような場合は弁護士のみがコメントする場合がふつうなのかとも思いますが、サルコジ元大統領は、自分自身でカメラの前に立って、「法の支配にとって極めて重大な問題である」、「私は無実だ!」と判決に異議を唱える意向をすぐに表明。

 懲役5年の実刑判決を受けながら、これほど堂々としている人もなかなかいない・・さすが前大統領・・という感じで、「私は刑務所で眠るが胸を張って眠る」とかなり独特な感じです。

 もはや収監は免れようがないという状況の中で、彼が控訴したとしても「公判前拘留制度」の下で拘留され次第、元大統領は釈放を請求するという手があるとも言われていますが、これには、控訴裁判所は、2ヶ月以内に判断を下します。控訴裁判所が許可すれば、前大統領は、控訴審が審議されるまでの間、電子監視下または、司法監督下に置かれる可能性もありますが、たとえ、比較的短期間であっても収監は避けられないと見られています。

 どの刑務所に収監されるのかはわかりませんが、彼をお迎えする側の刑務所にとっても、かなり気を使わなければならないお客様にちがいなく、それなりの準備が必用なのかとも思われます。

 現在、70歳のサルコジ元大統領。

 元大統領という立場で収監とは・・。

 しかし、権力者に対しても、容赦なく司法の鉄拳が下るというのは、胸のすく思いがするのは、正直なところでもあります。少なくとも、彼のためにすでに有罪判決を受けている人が多数いるのですから・・。

 裁判には、彼の3人の息子が来ていたそうですが、そういえば、前の会社の同僚で息子がサルコジの息子と同級生だって言ってた人がいたけど、あの人どうしてるかな??と全然、関係ないことを思い出しました。


サルコジ前大統領実刑5年


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2025年9月25日木曜日

マクロン大統領 ニューヨークの路上通行止めでトランプ大統領に直電

 


 マクロン大統領がニューヨークの路上で通行止めのための足止めを食い、警備のためのニューヨークの警察官と押し問答する映像が拡散されて話題となっています。

 国連本部でパレスチナ国家承認に関する演説を終えたマクロン大統領は、トランプ大統領専用車列通過のために通行止めにされていた道路で足止めを食い、警察官に「私はフランスの大統領だ!これからフランス大使館に行くので通してほしい」と頼んだものの、警備のための警察官は、「すみません、大統領、これからトランプ大統領の車両が通過するため、どなたもお通りになれません」と丁重に謝りながら対応しています。

 それでも、納得がいかなかったのか? マクロン大統領は、その場で携帯を取り出し、トランプ大統領に直電し、「あなたのおかげで全てが封鎖されていて、足止めを食っている・・」と直談判をしています。

 結局、現場を把握しきれないトランプ大統領が直電を受けたといって、警備を緩めることができるわけはなく、マクロン大統領は、結局、トランプ大統領の車両が通過したのち、警備に守られながら、30分ほどニューヨークの街を歩いてフランス大使館に向かったそうです。

 このブロックのおかげで、「非常に友好的な電話会談で、いくつかの国際問題について意見交換することができた」とマクロン大統領側近は、説明してはいますが、警備のための通行止めでさえ、フランスの大統領ならば、「どうぞどうぞ、お通りください・・」と言われると思ったのでしょうか? 恐らく、この日、通行止めに遭遇したVIPは、他にもいたと思われますが、黙って引き下がらないのは、いかにもフランス人と言いたいところでもありますが、なんとなく、通行止めに遭っただけで、大統領に直電まで入れる・・よく言えば押しの強さ、というか、なかなか強引な・・というか、傲慢な印象も受けます。

 日本の首相だったらば、間違いなく、黙って迂回する道を通るであろうと思われますが、引き下がらずに大統領に直訴とは・・。結局、マクロン大統領本人が思うほどには、アメリカでは、彼は特別扱いが叶わなかったという悪目立ちしただけの感じ。

 また、逆にマクロン大統領が通行止めを食ったのが、日本で、もしも、同じようにマクロン大統領に詰め寄られたとしたら、また、首相に直電がかけられたとしたら、毅然とお断りすることができただろうか? そんなことも想像してしまいます。

 しかし、結局、フランス大使館まで歩いて行った際には、周囲の人々の写真撮影などにも応じながら、なかなかご満悦そうだったマクロン大統領、結果的には、それが大変、有意義なことであったかのように、自分にも周囲にも知らしめようとするところも、私が言うのもなんですが、なんとなく、鼻につく気がしてしまうのです。


マクロン大統領 ニューヨークで足止めでトランプに直電


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2025年9月24日水曜日

こんなのあるの?パリでバス泥棒!

  


 時々、信じられないようなことが起こるパリですが、なんとRATP(パリ交通公団)のバスが盗難に遭いました。

 どうして?そんなことがあり得るの?と思いますが、俄かに信じ難い話が起こるのも、これまたパリなのです。

 週明けの超早朝(深夜)の時間帯、パリ・モンパルナス駅でバスの運転手が休憩をとっている間にホームレスの男がバスを盗み、バスを運転して逃げました。

 停めていた場所からバスが消えていることに気が付いた運転手は、直ちに、RATP車両のリアルタイム監視を担当する旅客規制情報センター(CRIV)に連絡しました。

 バスは位置情報確認システムにより、ポルト・マイヨ周辺にいることが確認されましたが、環状道路に向かっている模様でした。

 最終的には、警察に通報がいき、バスが停車していた場所から約13㎞離れたポルト・バニョレで車両とともに犯人が確保されました。

 パリ地域ネットワーク旅団(BRF)に委託された捜査の初期調査結果によると、バスの運転手は休憩中にキーをイグニッションに差し込んだままにしていたことが示唆されています。バスはイシー・レ・ムリノからボビニーまでを走るN13夜行バスでした。

 RATPは、これに対し、バスはキーではなく、ドアのジッパーをあけると、ボタンを押すだけで発車すると釈明しています。(釈明になっていないと思うけど・・)

 私は、パリ市内を走っている夜間時間帯のバスには、乗ったことがないのですが、日中の時間帯の場合、運転手さんが次の発車時刻までの短い時間帯に休憩をとっている場合、バスのドアを開けたままにして、乗客がバスに乗って待っていられるようにしてくれている車両も珍しくはないのですが、こんな盗難事件があったとすると、今後は、運転手がバスを離れるときには、乗客はバスの中で発車を待つというようなことができなくなるかもしれません。

 幸いにも、盗難にあったバスには、乗客はいなかったそうで、負傷者も出ていないということです。

 しかし、もしも、停車中のバスに乗客が乗っていた状態のままバスが盗まれて、突如、発車したら・・と思うとそれはそれで恐ろしい話です。

 このバスを盗んで運転して逃げようとしていたホームレスの供述は、発表されていませんが、この人物は特に警察にマークされていた人物ではないということだけが、明らかにされています。

 深夜、というか、早朝時間帯とはいえ、バスが盗難に遭うなんて、初めて聞いた!と驚いたのですが、実はRATPのバスが盗難にあったのは、これが初めてではないそうで、2024年5月には、元RATPの運転手が勤務時間外にバスを盗み、乗客を乗せて移動したということがあったそうで、また、同年7月には、別の盗難事件も発生していたようです。

 今回の事件も含めて、RATPは、バスのセキュリティー強化を訴え、苦情を申し立てているということです。

 苦情を申し立てる前に、休憩時間中とはいえ、バスの停車時の管理を徹底させるのが先では?と思うのですが、いかにもパリな訴えです。

 それにしても、このバスを盗もうとしていたホームレスは、バスを盗んでどうしようとしていたのか?それもなかなか気になるところです。


パリRATPバス盗難事件


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2025年9月23日火曜日

年に一度の娘の帰省

  


 娘が日本で就職してから、早いもので、もう4年も経ってしまいました。娘がグランゼコールを卒業し、娘の就職については、あまり心配していませんでしたが、ちょうどパンデミックの時期でもあり、色々なことが予定どおりにいかなくなってしまった時期でもあったので、本人は、卒業していた留学やスタージュなどがキャンセルになったりして、大変だったろうと、今になって思います。

 でも、時はどんどん過ぎて行っているので、考えてみれば、「そういえば、彼女が日本に行ったのはいつだったっけ?」などと思い出さなければいけないほどで、逆にパンデミックがあったから時期を覚えている・・そんなところもあるかもしれません。

 当時は、パリから日本への直行便が飛んでおらず、日本に出発する時期がギリギリまで定まらず、また、直前にPCR検査をしなければならなかったり、日本に到着してからすぐに、近くに感染者がいたから、しばらくは、外出できなくなってしまったりと、着いてからもトラブルに見舞われたりもしました。

 あれから彼女はすでに1度転職し、また、現在の会社でも契約形態が代わったりしていますが、彼女の日本での生活は概ねというか、想像以上に順調なようです。

 私が娘に会えるのは、私が日本に一時帰国をした時と、娘が年に一度、フランスに帰省するときだけなのですが、ふだん、電話では、わりと頻繁に連絡をとっているものの、実際の彼女の生活ぶりを垣間見えるのは、やはりしばらく一緒の時間を過ごせる時間です。

 とはいえ、なんだか、よくわからないうちに、バタバタと家を出て行ったのが幸いしたところもあって、逆にすんなりと親離れ、子離れができた気もしています。

 いつも一緒にいるわけではないからこそ、会うたびに、頼もしくなり、どんどん仕事も忙しくなっているようで、一緒に旅行に行っても、仕事の連絡をとりつつ、合間合間の時間に仕事をしていたりしていて、(まるまるお休みをとってきているわけでもないらしい)、会うたびに忙しくなっているみたい・・それでも、寸暇を惜しんで動き回っています。

 私が娘の年頃には、時代も違いますが、親から盛んに「そろそろ結婚したら・・」と相手も定まらないうちから、なんとなく急かされているようなところもあり、また、当時は、世間的にも20代のうちには・・というようなプレッシャーもあったような気がします。

 今、娘がそんな年頃になってみると、私は、娘に早く結婚してほしいと思う気持ちは、さらさらなく、良い相手がいれば、もちろん結婚して、子どもを持てたらよいだろうと思う反面、むしろ、焦って、ろくでもない相手と・・なんてことだったら、結婚しなくてもいいと思っています。もっとも、娘は極めてマイペースな子なので、あまりまわりのことには、左右されない感じでもありますが・・。

 それは、周囲を見ていて、結婚したことによって、大変なことになってしまっている人も少なからず見てきたこともあり、逆に私の親はなんでやたらと結婚結婚と言っていたのか?なんで結婚したら、安心できると思っていたのか?と不思議に思うくらいです。

 今回は、娘は私との旅行の他に、お兄ちゃんのいるドイツに行ったり、フランス国内を旅行したり、現在、彼女の働く会社の本社に行ったりとスケジュールはびっちり。

 ずっと一緒にいるわけではないのですが、いつもよりはずっと身近で、娘の変化や成長を感じられる時間は、私にとっても、貴重なひとときでもあります。


娘の帰省


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2025年9月22日月曜日

熱い水道水は飲まないでください

  


 昨今、食品への有害物質混入の話は珍しくない話ですが、なんと、今度は水道のお湯が有害だという話です。

 ここ数年、ネスレグループのミネラルウォーター問題が取り沙汰されて、ペットボトルの中にマイクロプラスチックが混入しているとか、水源自体が汚染されていて、それを隠蔽していたらしいとか、ミネラルウォーターを濾過する過程で違法精製が行われていたとか・・水に関しての有害物質?問題は、そんな話でした。

 しかし、今回は、水は水でも水道水・・。しかもお湯。お湯ならば、殺菌されていそうなイメージもあるのですが、実はそうでもないらしいのです。

 これは、Eau de Paris (パリ市水道局)も警戒を呼び掛けています。

 熱い水道水というのも、一見、妙な気もするのですが、水道の蛇口から出るお湯のことで、「熱い水道水には、細菌や微量の金属が含まれている可能性があり、どちらも(細菌、金属)健康に有害であるため、コーヒーをいれるためのお湯や麺類などを茹でる際に、お湯をわかすのに少しでも早くと水道水のお湯を使わないように、お水からお湯をわかすようにしましょう!」という呼びかけです。

 温水や熱湯が滞留すると、細菌などの微生物の増殖が促されるというのです。給湯器を利用している場合はこれに該当するとともに、この温水は給湯器と蛇口の間の配管に滞留する場合もあるということです。

 残念ながら、細菌を殺す目的で、このお湯(お水)をやかんに入れて温めなおしても効果はなく、世界保健機構(WHO)は、水から細菌を取り除くためには、少なくとも1分間以上、沸騰させる必要があると説明しています。

 理由はこれだけではなく、残念ながら、熱は特定の金属の腐食を加速させる傾向があり、お湯をタンクに貯めたり、かなり古い配管をとおって循環させたりすると、熱によって多くの金属が溶解し、その後、飲む水に混入します。

 これが健康によくない・・特に定期的に使用することは避けるべきだと言っています。

 我が家の場合、お湯はタンクで湧かされていて、いつも水道の蛇口からお湯も出るようになっていますが、私の場合は、幸いなことに水道のお湯を飲んだり、食べ物を茹でるのに水道のお湯を使うことは、ありませんでした。

 特にパリ市の場合、また特に旧建築の場合などでは、かなり古い配管のところも多いと思われるので、こんな話が浮上してきていると思われます。

 しかし、言わせてもらえば、原理的には、タンクに溜まったお湯が金属を溶かしてしまうということは、ずっと昔から変わっていないことで、ここに来て、そんな話が浮上するということは、逆に水質のチェックをするようになったのか、わかりませんが、まあ、ひとまず、健康に有害であるという注意喚起が呼び掛けられれば、少しでも危険が回避されるのかもしれません。

 特に小さい子どもがいる家庭などでは、避けられるリスクはできるだけ避けたいもの。

 健康に有害なものばかりがどんどん指摘されて、鬱々ともしてきますが、やはり知っておきたいことでもあります。


水道のお湯は有害


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2025年9月21日日曜日

仏婦人服ブランド Pimkie SHEINとの提携で業界から締め出し

  


 フランスの婦人服ブランド Pimkieは、中国の超ファストファッション大手SHEINとの業務提携を行い、Pimkieブランドの既製服がこのSHEINのプラットフォームで一部の商品を販売できることになったと発表しています。

 ところが、この業務提携は、アンチファストファッションを叫んでいるフランスの繊維業界からは、大バッシングを受け、Pimkie はフランス商業同盟(Alliance du Commerce)に加盟する衣料品小売業連盟から全会一致で除名されています。

 そもそも、この婦人服ブランド Pimkieは、2018年頃には、世界30ヶ国で700軒以上を展開する人気ブランドであったものの、ここ最近では、すっかり業績不振の一途をたどって不特定多数の人員削減が続き、ついには、破産宣告まで受けて、正直、私はもう、とっくに倒産してしまったものと思っていました。

 しかし、Pimikiは2022年に3社の投資家に売却されており、現在の主要株主は、Lee Cooper(75%株式所有 米国Iconix Brand Groupの子会社)となっています。

 この業務提携により、Pimkieは、世界160ヵ国に販売できるプラットフォームを得ることができ、また、SHEINにとっては、アンチファストファッションを閉め出そうとしているヨーロッパの市場に食い込むチャンスを目論んでいます。

 ところが、このビジネスモデルには、フランスの既存の衣料品メーカー、業界全体は、強い反発を示して、大激怒しています。

 ここ数年にわたり、この超ファストファッションには、業を煮やして、最近では、本格的な閉め出しに向けて動いているこの業界には、まさしくこのモデルが成功してしまえば、なすすべもなく、駄々洩れ状態になりかねない絶対に許せない業務提携。

 パンデミックが拍車をかけたSHEINやTemuといった超低価格の巨大プラットフォームが大きく、この業界に食い込んで以来、Camaïeu、Kaporal、C & Aなどの同業他社も閉店を余儀なくされ、その他、多くのブランドも苦境に立たされています。

 それが、こちら側にいたと思っていた身内から、身売り同然?の業務提携により、敵に塩を送るかのごとき業務提携に応じて、フランスの繊維業界全体をさらに苦境に立たせようとするとは何事であるか!ということなのです。

 「この提携は真の裏切り行為であり、犯罪的な陰謀である!我々のビジネス全体を弱体化させるものであり、悪魔との共謀だ!」と強い言葉でののしっています。

 たしかに、フランスの繊維業界、衣料品小売業にとっては、仰る通りの話だとは思うのですが、しかし、だからといって、このフランス商業同盟(Alliance du Commerce)に加盟する衣料品小売業連盟が、「だったら、このアンチファストファッションに対抗できる策を持っているのか?」といえば、どうにも相手を叩くだけで、具体的な秘策は見えてこないのも現実です。

 結果的にこのPimkieとSHEINの提携でPimkieが成功する確約はなく、SHEINに利用され、食われるだけのものになる危険性すら無きにしも非ずです。

 しかし、現在の状況を見れば、このような業界の反発は予想できたはずのことであり、Pimkieとしては、捨て身の覚悟かもしれません。

 このような業界全体の猛反発を受けての今後のPimkieの成り行きからは、しばらく目が離せない気がしています。


PimkieとSHEINの提携


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2025年9月20日土曜日

イギリスのホスピスで見てきたことが、最近になって、本当の意味で理解できるようになった・・

  


 フランスに来てから四半世紀以上が過ぎ、最初は夫と娘の3人で暮らしていた我が家は、まず、夫が先立ち、それから一人で子育てをし、娘が無事、フランスでの学業を終了し、独立をして以来、私は一人暮らしになりました。

 常日頃から思うのは、海外で生活している人は、そもそも、自分の生まれ育った家族からも離れ、海外に出てくる時点で、ある程度、一人で生活することに耐えられる人が多いようにも思いますが、私は正直言って、一人で生活することが、こんなに寂しくないのか?、こんなに孤独を感じないでいるのは、ちょっとヤバいのではないか?と思われるレベルでもあることは、ちょっと気恥ずかしい気もするくらいです。

 娘が独立した当初は、それまで娘中心の生活、スケジュールから食べ物から、全て娘がよりよく生活できるために・・と思って生活してきたので、それは、なんとなく、気が抜けたような感じになった時期があったのも事実です。

 しかし、そんな生活にも慣れ、軌道にのってくると、なにもかも自分の好きなようにできる生活が快適でもあり、もともと我儘な私が自分の好きなようにできるため、それが夫であろうと娘であろうと、自分以外の人と生活するのは、もう無理だろう・・と思うほどになってしまいました。

 それは、娘がもう少し、近くにいてくれれば・・と思うこともあるのですが、今は、メールでもラインでもいつでも連絡は取れるし、話もできるし、空き家になっていた日本の家に住んでいてくれることは、また、別の意味で大いに助かることもあるのです。

 もはや、私にとって、娘は元気で楽しく生活していてくれて、たまに会えれば、充分に幸せで、彼女がこの世に存在してくれているということだけで、充分に満たされる気持ちなのです。離れていても、彼女は私の支えなのです。

 そんな私が、今、そんな心持ちになりながら、若い頃、死生学(thanatology)の勉強をしていた時があって、それが高じて、イギリスにあるホスピスでしばらく勉強させていただいていたことを思い出しています。

 それは、もう命の期限が間近に迫っている患者さんたちと話すために、病室を廻っていた時のこと、さすがに高齢の方が多かったのですが、患者さんたちが口にするのは、それぞれの家族の話題がほとんどでした。

 とうとうと家族の自慢話や微笑ましい話を聞いていて、人間にとって、最後の最期に大切に思うものは、家族なのではないだろうか?と思ったりもしました。

 彼ら(彼女ら)の家族は、もちろん、側にいるわけではなく、時には、よく話を聞いてみると、もうその家族は亡くなっていた・・なんていう話もありました。もうその存在そのものが彼らの心を満たしてくれる・・そんな存在であることを聞いて、やっぱり家族というもは、大切なものなんだ・・とわかったような気持ちになっていました。

 V.フランクルの「夜の霧」という話の中にもそんな話が出てくるのですが、今、まさに、私が娘に対して思う感情は、そんな感じなのだな・・と実感している気持ちです。

 そんなホスピスでの経験の後、私は、自分が死ぬ前にそんなふうに思える家族というものを持ちたいと思ったものです。そして、それを大切にして、生きていくべきだと思ったものです。

 残念ながら、思いがけずに夫は早くに他界してしまったので、夫との時間は短かったのですが、その分、娘は大切に育ててきました。

 今、無事に娘は独立してくれて、離れていますが、いつでも彼女がどこかにいてくれることだけで、私は一人でいても、心が満たされているのです。


孤独が寂しくない


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2025年9月19日金曜日

若い時にたくさん遊んだり、多くの経験をしておくことはやっぱり大切なんだな・・と思う

  


 最近、歳のせいか?体調がいま一つ思わしくないこともあってなのか?色々なことが億劫に感じることが多くなってきてしまいました。

 日本に行くことでさえも、長距離フライトやら時差ボケやらなんやらが、けっこう気が重くて、以前のように、手放しで「日本への一時帰国!楽しい!」とは思わなくなってしまいました。

 まあ、日本への一時帰国に関しては、両親が他界してしまったということもあるのですが、現在、日本には、娘が住んでいるので、娘に会いたい気持ちはあるのですが、そこまでの情熱がなかなか湧いてきません。

 また、若い頃から旅行が大好きで、知らないところに行ったり、見たことのない景色を見たりすることは、とても楽しく、行けば行ったで楽しいのですが、これもまた、以前のような情熱がなくなってしまいました。

 以前は、なかなか取れないお休みには、寸暇を惜しんででも娘を連れて旅行していたのに、自分の変わりようには、情けない思いをしています。

 第一には、気力と体力の問題で、双方が私の行動を妨げているような気がします。

 スポーツなどに関しても、かろうじて今でも続いているのは、水泳くらいなもので、もうなんかすると思わぬ怪我をしたりして、その後、長いこと身動きがとれなくなってしまうので、ついつい躊躇してしまいます。

 こうして書いていると、立派な老人というか、老化の一途を辿っている気がしますが、最近、思うのは、若い時にやったことがあることに関しては、この重い腰が少しだけ軽くなるような気がします。

 旅行に関して言えば、以前住んでいたことがあるとはいえ、さすがにアフリカ(コートジボアール)に行きたいとは思わない(黄熱病の予防注射をしなければならないのが一番嫌・あの若かった時でさえ、予防接種の後、死ぬほど苦しかったのです)のですが、最近は、もっぱら、イタリアばかり(といっても、同じ場所ではありませんが・・)で、たまには、どこか別の国にしようか?などと思ったりもするのですが、やっぱりイタリアに行きたい・・となってしまうのは、別にイタリア語ができるわけでもないのに、イタリアを選んでしまうのは、やっぱりイタリア(特に料理)が好きなこともありますが、なんとなく、馴染みを感じるところがあるわけで、若い頃の経験って歳をとってから、大切なんだな・・とつくづく思うのです。

 あまり深くは考えずに娘には、子どもの頃にできるだけ多くの経験をさせてあげたいと思って、ありとあらゆるスポーツをさせ、色々な国に行く機会を与えてきましたが、それは、彼女が歳をとってからも、きっと良いことだったんだろうな・・と身をもって感じているのです。


若い頃の経験・体験


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2025年9月18日木曜日

パリでおススメの両替所 MERSON

  


 昔に比べるとパリのいわゆる両替所というものは、かなり減りました。買い物等もかなり少額のものでもカードで買い物が可能となり、カードを持っていれば、ほぼほぼ現金は必要ないくらいになったので、当然といえば、当然なのかもしれません。

 とはいえ、全く現地の通過を持っていないで歩くというのも、心もとないとは思いますが、この両替所も気をつけないと、とんでもない、ぼったくりのようなお店もあるので、気を付けるに越したことはありません。

 また、このような悪徳両替所は、一度、替えてしまうと、二度と戻してくれなかったりもするので、まあ、できれば気を付けた方がいいと思います。

 一度、日本人の知人が「両替してきた!」というので明細を見せてもらうと、酷くレートが悪いうえに、ものすごい手数料をとられていたので、「ちょっと、これはないんじゃないの?」とすぐに(たった今両替したところで、その5分後くらい)これ、取り消してください・・と言っても、絶対に戻してくれなくて、悔しい思いをしたことがあります。

 例えば、日本円からユーロに両替するとして、日本円の売りと買いが逆に書かれていたり、レートはまあまあ悪くなくても、手数料が恐ろしく高くて、実際に替えてみて、手にすると、「えっ?これだけ?」となってしまうことも少なくありません。

 もっとも、ほぼほぼカードで済んでしまう今、あまり高額な両替をする必用もないので、大したことではないかもしれませんが、現在は、日本円はすごく下がってしまっているので、ますます、なんだ?これだけ?という気分になると思います。

 私が知っている両替のお店でまあまあ良心的と思われるのは、「MERSON」という両替所で、ここは、同じ通り沿いにもたくさん両替所がありますが、だいたい、このお店が一番レートもよく、しかも手数料も取られないので、私が日本から持ってきた日本円を両替する時には、だいたいこのお店で両替します。

 現在の日本円のレートの悪さには、ちょっとウンザリしますが、それでも、両替所によっては、さらに酷いことになるので、もし、時間的な余裕があれば、少しでもレートの良いところに行くにこしたことはありません。

 比較的、パリの中心地の近くですので、なにかのついでに行くのも可能だとも思います。

 近くには、蝋人形館(Musée de Grévin) があります。

 


🌟MERSON    33 Rue Vivienne 75002 Paris      9:00~17:45


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2025年9月17日水曜日

超人気パティスリー セドリック グロレ攻略法

  


 以前、セドリック グロレ(Cédric Grolét Opéra)に行ったのは、もう2年前のこと。一度目に行ったときには、さんざん並んだ挙句に、結局、お目当てのクロワッサンは買えず、悔しくて、翌日、もう一度、開店時間目掛けて行ったら、もうすでに長蛇の列で、また延々とならびました。それでもなんとか、思っていたものを買えるには買えました。

 さすがに、飛び切り美味しかったのですが、しかし、これだけ並ぶのはな~~と、それ以後、行っていませんでした。

 それでも、近くを通るたびに、いつも気になって、「まだ、並んでいるのかな~?」と思って見ると、やっぱりいっつも並んでいます。

 今回、久しぶりに娘が来るというので、なんか、美味しいものを食べさせてあげたいな・・と思って、ああそうだ!セドリック グロレだ!と思ってクロワッサンやパンオショコラなどを買いに行きました。

 並ぶのは覚悟していたのですが、今回は、その並ぶ時間を最短にしたい!と思い、開店時間の約30分前に到着(午前9時開店)。すでに、私の前に8人が並んでいましたが、私は9番目。これならば、開店とほぼ同時に入れます。

 一度にたくさんのお客さんを入れないので、それから5分ほどは待ちましたが、このくらいが一番、効率的なんだな・・と自分では、大満足。そのうえ、開店とほぼ同時なので、その日に買えるものは、ほぼほぼよりどりみどりです。



 なんといっても、そこまで詳しいわけではないので、クロワッサンとパンオショコラ、パンスイスの他に今日は、今まで見たことがなかったバニラのフランとシナモン風味のグリエ オ ポム(りんごのパイみたいな感じ)などがあり、ついつい買ってしまいました。



 美しいというか、もはや麗しい感じのケーキも勢ぞろいで、一応・・値段を聞いてみましたが、恐ろしいことに、これが25ユーロ、これは35ユーロ、これは45ユーロとごくごく小さいケーキの値段としては、天文学的な数字・・。ケーキを見つめる私の目がいじましかったのか、教えてくれた店員さんが、サントノーレは、今日はこの3つしかないのよ!と・・。




 さすがに、ヴィエノワズリーをこれだけ買ったうえに、サントノーレまでは、ダメダメ・・と自分に言い聞かせ、教えてくれた店員さんに「いじわる!」と言ったら、彼女も大笑い。

 しかし、これまでで最短の30分でクロワッサンをゲットできました。



 さすがに立派なクロワッサン、立派な袋に入れてくれても、もうその柔らかで魅力的な香りが漂ってきます。これは、歩きながらかじる・・というには、もったいなく、家に帰って、美味しいコーヒーを入れて、しっかり味わいたい・・とニコニコで家に帰りました。

 家に帰っても、ほぼほぼ焼き立てのクロワッサン。美味しいコーヒーをいれて、食べました。

 あらためて、味わうと、やっぱり、ふつうのクロワッサンとは、やっぱり次元が違い、一人で食べながらも、何度も「う~ん!」と唸り、「美味しい~~~」となんど口から洩れたことか・・。

 やっぱり、ふつうのクロワッサンとは段違いです。

 サクふわ・・なんて、軽々しくは言いたくない・・このサクサクの部分がとにかく軽くて、中はしっとり・・しかし、全然しつこくないどころか、全体の香りがふんわりとしていて、とにかく、たまらないのです。

 今回、パン・オ・ショコラ等はまだ食べていませんが、やっぱり最高に美味しいです。

 お値段はクロワッサン4ユーロ、パン・オ・ショコラ6ユーロ、フラン12ユーロ、グリエ・オ・ポム8ユーロ(2025年9月現在)とふつうのパティスリーに比べれば、かなり高めではありますが、充分、それだけの価値はあるかと思います。



 美味しいものは、少しだけの量でも満足感が違います。1個のクロワッサンで今日1日、私は幸せな気分で過ごせるのです。

 30分程度並んで、この満足感なら、また、行ってもいいかな?と思うのでした。

 しかし、私が買い物を終えて、ニコニコでお店を出ると、お店の前には、すでに100人は下らない行列。もうこうなってしまうと、この人たちは、少なくとも1時間は待つだろうと思われるので、この30分の違いが大きな違いになってしまうんだな・・と思いました。

 行列には、あまり抵抗がないのか、最近では減ったな・・と思われる日本人観光客もパラパラいるようで、近くにいた若いカップルの女性が男性に向かって「今日はちょっとぜいたくして・・」というので、爆買いする??と思って聞いていたら、「クロワッサンだけじゃなくて、パンオショコラも買っていい?」と聞いていて、それには、相手の男性も無言・・彼女の方は、それで彼の意を察したのか、「やっぱり、やめとこうか・・」と・・なんだか、気の毒な気持ちになりましたが、今の日本人ってこんな感じなのかな?とちょっと悲しい気持ちになりました。


🌟セドリック グロレ  オペラ(Cédric Grolét Opéra)35 Avenue de l'Opéra 75002 Paris


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2025年9月16日火曜日

2025年バゲットコンクール グランプリ受賞のお店 Boulangerie La Parisienne

  


 もうここ何年もパリのバゲットコンクールでグランプリを獲得したバゲットは、必ず味見をしてみるようにしているのに、今年は、もうとっくに決まっていたというのに、これまで、ついついうっかりして、忘れていました。

 つい先日、思い出して、ついに行ってきました。

 正直なところ、美味しいバゲットに感動するハードルは自分の中でどんどん上がってしまって、当初のような派手な感動はしなくなっていることは、なんだか自分でも寂しいのですが、それでも、今まで行ったことのない知らなかったお店に行ってみるということは、ブーランジェリーに限らず、どんな場所でも楽しいものです。



 いつも思うのですが、パリのバゲットコンクールでグランプリを獲得!なんていっても、本当にごくごくふつうのブーランジェリーで、特に値段が高いわけでもなく、それぞれに、本当にバゲット(バゲット・トラディション)のみに関して審査しているコンクールなので、なんだか、他のものは、全然、冴えないな~というお店もあります。

 いつもは、コンクールの結果が出て、わりとすぐに行ってみることが多いので、お店にそんな表示は微塵もされていないのですが、今年は、グランプリが決まってからずいぶん時間が経ってしまっていたため、お店のウィンドーには、このグランプリの表示がど~んと掲げられていました。





 昨年のグランプリを獲得したお店もそうだったのですが、意欲満々な感じが伝わってくるような品揃えで、パンはもちろんのこと、あまり他では見ない感じのフレーバーやデコレーションのケーキなどが色とりどりにきれいに並べられていて、バゲットに辿りつくまでにも魅惑的なものが、たくさん並んでいます。




 私が特に気になったのは、シソの葉を使ったもので、よくよく見れば、これもパティスリー部門で1位をとったと書いてありました。

 その他、季節のイチジクのタルトやクラッシックなミルフィーユなども、美味しそうです。



 他のケーキ類に気をとられて、肝心のバゲットは、別に焼き立てだったわけでもなく、あまり感動もなく、家に持ち帰り、それでもしっかり、ついでに美味しいチーズなども買って帰り、家に帰って食べてみると、やっぱり美味しい~~!

 まあ、パリで今年、一番のバゲットに選ばれたのですから、そりゃ~美味しいでしょうが、期待は裏切られず、シンプルにバゲット、美味しいバター、チーズ・・やっぱり、フランスは、美味しいパンと美味しいバター、美味しいチーズ。これは、間違いないな・・と久しぶりにシンプルにバゲットを味わいながら、納得したのでした。

 ちなみにバゲット(バゲット・ドラディション)のお値段は1本 1.30 ユーロです。


🌟Boulangerie La Parisienne     12 Rue de Faubourg Poissonnière 75010 Paris 


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2025年9月15日月曜日

フランスで流行するチクングニア熱 土着感染例2件確認

 


 チクングニア熱(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどの蚊により媒介するウィルス性の伝染病)がフランス本土で蔓延しているといいます。この熱帯ウィルスによる感染例がフランスで数百件報告されており、特にグラン・テスト県、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ県、ヌーベル・アキテーヌ県において顕著なようです。

 また、先週末には、プリーヴ・ラ・ガイヤルド県(コレーズ県)で新たに2件が確認されています。

 特にヒメカノコギリ蚊の感染拡大が続いており、プリーヴ県(コレーズ県)で新たに2例の土着感染例が確認されたことが懸念を拡大させています。

 土着感染例の症例というのは、いわゆる海外旅行などで外地に出かけた際に感染したわけではなく、地元で感染したということで、これは、フランス国内の一部の地域に生息する蚊によって感染したということです。

 地球温暖化によって、フランス国内で循環するようになったこれらの蚊が感染を広めているというのです。

 この夏、フランスではこのウィルスが爆発的に増加しました。南部での発生が最も多いようですが、現在はフランス東部や北部にもゆっくりと広がっています。

 ディジョン(コート・ドール県)では7件、バ・ラン県で2件の症例が確認、アンティーブ(アルプ・マリティーム県)は最も被害の多い都市で、ある地域では、家全体にウィルスが広がっており、どの家にも誰かがチクングニア熱に感染したことがあるというほどだといいます。

 症状は2日間から2週間程度の潜伏期間ののち、40℃に達する高熱と斑状丘疹があり、関節が痛むのが特徴。発熱が2日ほど続き、急速に終息するものの、関節痛、頭痛、不眠、全身疲労などは、1週間ほど継続する傾向にあります。

 また、チクングニア熱による関節痛は、年齢差にもよりますが、2年ほど続くこともあるというのは、キツいことです。

 そういえば、夏の間に蚊の駆除に苦労しているとか、蚊を不妊化する技術などを紹介していたことがあって、「蚊の不妊化??」と奇妙に思っていたのですが、このことだったのですね。

 なにやら、モンペリエ市には、蚊の個体数を減らすための新しい技術(昆虫不妊化)を専門とする新興企業があって、不妊のオスのヒトスジシマカを放ちメスと交尾させます。不妊のオスと交尾すると、生涯にわたって不妊の卵を産み続けるとかで、これが大活躍していたということでした。

 今までお目にかからなかった奇妙な病気の上陸にしたがって、摩訶不思議な仕事も生まれるという時代です。

 そういえば、フランスに来てからは、滅多に虫刺され、特に蚊に刺されるということがなかったのですが、それでも、ここ数年は小さなコバエのような虫を見るようになりました。それでも、虫刺されの薬、お手軽なかゆみ止めのような薬がフランスにはなくて、日本に行った時には、たいていムヒを買ってきます。(虫刺されのためというより、かゆみ止めとして使っています)

 日本にある実家は夏には、庭がうっそうとしてきてしまい、蚊がものすごくて、とても庭になど出れたものではなくなっていたことを思い出しました。


チクングニア熱フランス流行


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2025年9月14日日曜日

フィッチ(Fitch)レーティングスがフランスの格付けをAAーからA+に格下げ

  


 2025年9月12日、格付け会社フィッチはフランスのソブリン格付けをAAーからA+に格下げました。フランスは2012年以降、この格付けにおいて、着実に低下して続けており、財政の不確実性と潜在的な政治不安定性が理由とされています。

 バイルー前首相が信任投票で倒れた後、次期首相の任命があまりにも早かったのは、このフィッチの格付けが控えているのも理由のひとつだとの声が上がっていましたが、首相の速攻任命くらいでは、格付け格下げを避けることはできなかったようです。

 そもそも、バイルー首相の首相在任期間は9ヶ月弱、その前のバルニエ首相は、3ヶ月程度、とにかく、今度の新首相が1年の間に4人目の首相というだけでも、政治が安定していないことを表す一番の状況に他なりません。

 「今回の信任投票で政権が崩壊したことは、国内政治の分裂と二極化の深刻化を浮き彫りにしている」とフィッチは声明で述べています。

 「こうした不安定さは、大規模な財政再建を実施する政治システムの能力を弱めている」とフィッチは付け加え、「政府が期待していた2029年までに財政赤字をGDPの3%未満に引き下げることは難しい」としています。

 この格付けの結果に対して、仏経済大臣は、「フィッチがフランスの格付けをAAーからA+に格下げしたことに注視している。これはフランス経済が堅調であるにもかかわらず、財政状況と政治的不確実性に基づく決定である。」と、もっともでもあるけど、甘々な、なんとなく責任逃れをしているようにも受け取れないではないようなコメントを残しています。

 また、ある報道によれば、この決定は、バイルー政権の崩壊、「全てをブロックせよ!」の抗議活動といったフランスにとっての緊迫した時期に下されたもので、あたかも時期が悪かったといった見方をするものもありましたが、この2つだけをとっても、安定した政権のもとであったら、起こってはいなかったことで、巨額の債務を抱えているという事実には、変わりありません。

 フランスはユーロ圏第二位の経済大国と言われていますが、そんなフランスにとっては、屈辱的な格付けであったに違いありません。

 ちなみに、アメリカはこの格付けにおいて、2023年にトリプルA格付けを失い、AA+の格付けを受けており、スタンダード&プアーズなど、他の格付け機関も各国の財政を評価しており、ヨーロッパでは、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ルクセンブルクなどにトリプルA格付けを与えています。

 そして、フランスでは「今、このランキングでは、フランスはスロバキアや日本と同じレベルだ!」と書かれています。読みようによっては、というか、これでは、日本のようにフランスも落ちぶれてしまった・・とも読めるのですが、日本ってやっぱり、こんな風に見られているの?とフランスの格下げ以上に日本の見られ方が気になったのでした。


フランス フィッチ格付け 格下げ


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2025年9月13日土曜日

一体、何を食べたらいいのか?わからなくなってきた・・

  


 私は、若い頃は、あまり食生活について、真剣に考えることもなく、ただ、これ太るだろうな・・と思うものは、避けるくらいで、いわゆる身体に良い食品などと言われると、あまのじゃくな私は、「身体に良い食品」とか言われるだけで、「なんか、マズそう・・」な気がしてくるくらいでした。

 お酒もかなり飲んでいたし、気を付けるもなにも、そこまでしっかり食べていなかったような感じもしないではありません。

 ただ、非常に食べ物にこだわるというか、美味しいものには目がない家庭に育ってきたので、それなりに美味しいものを食べさせてもらってきたし、美味しいものを食べるためなら、手間暇を惜しまないという感じの家だったので、そこのあたりは現在の海外生活にも役立っているような気がします。

 そんな私も子どもが生まれてからは、子どもには、栄養バランスのとれた良い食事をとらせなければいけないと思ってきたので、ずいぶん、食事については、気を付けるようになりました。

 幸い娘は、本当に押し付けたわけでもないのに、非常に健康的な食品が好みで、小さい頃の娘の大好物は茹でたブロッコリーや高野豆腐や湯葉などの大豆製品で、高野豆腐や湯葉などは、パリではいつでも手に入るわけではないので、そんなに毎日食べられるわけではありませんが、ブロッコリーに関しては、どこでも買えるので、いつでも茹でたブロッコリーと人参は冷蔵庫にストックしてある習慣になっていて、学校から帰ってきて、お腹が空いたときには、お菓子などは食べずにモリモリ、ブロッコリーを食べていました。しかも、マヨネーズ(娘はマヨネーズが大嫌い)などのソースは一切つけずに、モリモリ食べるといったちょっと変わった子どもでした。

 長いこと、我が家の食生活は(特に夫が亡くなってからは・・)娘中心の生活で、大方、娘の好みに沿って用意していました。

 娘が独立してからは、私は一人暮らしになったので、私の好きなものだけを好きに食べていてもよい境遇になりましたが、反面、自分だけのために作る食事というものは、どうにも簡素になりがちで、リズムができてくるまでは、少し時間がかかりました。

 しかし、最近になって、身体のあちこちに支障が表れ始め、食生活にも充分に気をつけなければならないようになってからは、糖質制限やら、カロリー、これは食べた方がよい食品だとか、避けた方がよい食品などというものをずいぶん、考えるようになりました。

 野菜をできるだけ摂ることは言うまでもないのですが、私の食生活には、どうやらたんぱく質が足りないようで、最近は、自分の中でも「たんぱく質・たんぱく質・・」と思いながら、買い物をするようになりました。

 私は、全くベジタリアンなどではないのですが、どちらかといえば、お肉もお魚もなくてもまあ、いいや・・と思ってしまうところがあり、まあ、簡単にいえば、美味しいお米と美味しいお漬物があれば良い・・くらいで、お肉を食べるとちょっと重いな・・くらいに思っていたので、たんぱく質摂取というのも、それはそれで、少々、億劫なところもあります。

 そのうえ、このインフレでお肉も相当値上がりして、お魚となると、良いお魚は、なかなか手に入りにくいとなれば、あとは卵・・昔は、卵は、1日せいぜい1個くらいにしないと、コレステロールが・・とかいう話があったのですが、最近の説では、卵はもっと食べても大丈夫らしい・・との話。

 考えてみれば、色々な科学技術などは、信じられないくらい進歩しているのに、この種の身体に良い悪い・・という健康に関わる食生活に関する情報というものは、どうして、こうもくるくる変わっていくのか? と不思議な気がします。

 つい最近も、糖質制限はもとより、体脂肪を落とす食事・・などなど、色々な情報があって、ちょっとビックリしたのは、体脂肪を落とすためには、むしろ、油を採らなければいけない・・なんていうのもあったりして、もうどれを信じていいのかわからなくなりました。

 「健康のために良い食品」に関しては、「昔は、こんなふうに言われていたけど、実は、その節は違った・・それは誤りだった・・」というものがけっこうあって、そんなこと今さら言われても・・と思うことはけっこう多いのです。

 私の場合、そこまで厳しく制限しているわけではないのですが、それでも、できるだけ、これを食べた方が良いと言われれば、できるだけ取り入れようとは思うし、糖質等に関しても、甘いものはできるだけ控えるけれども、全くカットしてしまうのも寂しいので、高級品なら少しは良い・・ということにしていますが、それにしても、もう山のように薬を飲んでいる身としては、それでも体調が良くならないとなれば、あとは、毎日の食生活をできるだけ良いものを取り入れるということくらいしか、やることはないわけです。

 しかし、次から次へと、時には、これまでと正反対のような「油は摂った方がよい」などということを言われれば、一体、どうしたらよいのか?わからなくなってしまいました。

 ちなみに私のかかりつけのお医者さんは、食生活で体調を改善していこうというアドバイスはあまりなく、あくまでも薬で・・という感じ。

 もっとも、食生活に関しては、ふつうのフランス人と同じような食生活ではないので、アドバイスしてくれたところで、あまり役には立たないので、自分で模索してみるしかありません。

 食べることが何よりも好きな私ですが、現在、食事については、大いに頭を悩ませているところです。


食生活 健康に良い食品


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2025年9月12日金曜日

私のお気に入りのパリのフレンチ ビストロ Le Comptoir du Relais ル・コントワール・デュ・ルレ

  


 私は、正直、フレンチ、フランス料理が大好き!というほどではないのですが、そりゃあ、美味しいものが好きなことには変わりはありません。

 いつだったか、珍しく、娘とフランス国内を旅行した際に、たまにフランス国内を旅行するんだから、美味しいフレンチにしておこうよ・・と、そんなに頻繁には行かないフレンチに2日間、昼、夜と続けて行ったことがあったのですが、もう2日目の夜には、なんだか、ちっとも食欲がいま一つ湧かずに、二人して苦笑してしまったことがありました。

 色々と調べて出かけたので、そのどれもが美味しいレストランやビストロではあったのですが、やっぱり、フレンチだとこうなるのか・・と思ったこともありました。

 そんな私が、珍しく、パリでわりと行き続けているレストラン・・というか、ビストロがあるのですが、今日は、そのご紹介をします。

 そのビストロは、「Le Comptoir du Relais」(ル・コントワール ・デュ・ ルレ」というお店です。パリのサンジェルマン・デ・プレ、オデオン界隈にある小さなビストロです。もとはと言えば、知人に教わって行きはじめたお店ではあるのですが、ここは、ちょっといつ、何を食べても、他のビストロで食べるのとは、ちょっと一味違うな・・と唸ります。



 今回、食べたロブスターのお料理は、パエリア風のリゾットとロブスターのバターソテーを組み合わせた絶品でした。

 とはいえ、いつでも混んでいるので、今、パリ空いているし・・だったら、あそこも空いているかも?と思うときくらいしか行かないのですが、いつ行っても、期待を裏切られることはありません。

 後から知ったのですが、ミシュランのガイドにも掲載されているそうです。(星付き等ではありませんが・・)

 ここは、私が外食するコンセプトの一つである、「同じようなメニューでも、これは、絶対に自分ではできない料理」を出してくれるところでもあります。


メニューはだいたいこんな感じ


 また、地域柄?客層もわりといい(お客の立場で言うのもなんですが・・)ので、ゆったりとした気分で食事ができますし、お値段も相応(安くはないが妥当)で、非常に雰囲気も良いです。

 お店は、特に凝った内装などではありませんが、ついつい、テラス席やテラス席に近い席で食事したくなるような、パリらしい雰囲気のお店です。

 以前は、ホテル・リッツやホテル・クリヨンでシェフをしていたという有名シェフがオーナーを務めておられたのですが、今は別のオーナーに代わったようですが、味はしっかり引き継がれていて健在です。引き継いだシェフもなかなかの有名シェフのようです。

 間違いないパリらしいビストロをお探しの方には、ぜひぜひ、おススメのビストロです。


🌟Le Comptoir du Relais 9 Carr de Odeon 75009 Paris 


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2025年9月11日木曜日

思っていたよりも激しかった9月10日の「全てを封鎖せよ!」のデモ

 


 フランスにいると、デモは日常茶飯事のことなので、なんだか「あ~~?またなの?」くらいに持ってしまうところがあって、「全てを封鎖せよ!」などという勇ましい呼びかけのもと行われた9月10日のデモも、正直、あんまり大変なことだとも思っていなかったのですが、それは、想像以上に激しいものでした。

 しかし、この感じだと、この動きはまだまだ序章といったところで、とても1日で収まる類のものではない気がしています。

 当日は、朝早い時間に、恐る恐る家を出て、メトロやバスがどの程度、動いているのかとおっかなびっくりでしたが、思ったよりもメトロは動いているし、RATPはちょっと厳しいのかな?くらいに軽く考えていました。

 しかし、蓋を開けてみれば、全国的に約20万人(政府の発表と組合の発表の数が異なるので、どっちが本当なのかはわかりませんが・・)が参加したとのことで、パリ及びパリ近郊はもちろんのこと、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ、ブルターニュ、ペイ・ド・ラ・ロワール、グラン・エスト、ヌーヴェル・アキテーヌ、ノルマンディー、オクシタニーなどなどの地方都市でもなかなかの動員を見せた模様です。

 各労働組合によると、約30の美術館、モニュメント、公共サービスが終日、または、一部中断されました。これには、ヴェルサイユ宮殿、凱旋門、ルーブル美術館、オランジュリー美術館、パリ・ピカソ美術館、サンクルー国立美術館、パリ国立公文書館、ヴァンセンヌ城などが含まれていました。

 また、多くの高校が封鎖。国民教育省は、約100校の学校が妨害され、27校が封鎖されたと発表。主要な高校組合であるリセ組合はフランスの3,700校の高校のうち150校でストライキを宣言。中学校の教員ストライキ率は6.5%、小学校はもともとほとんどの学校が水曜日はお休みなので、この影響は受けていません。

 しかしながら、今回のデモは高校生をはじめ、比較的若い層が多かったのが特徴と言われているので、将来のフランスを憂いている若者たちがいかに多いかということでもあるとも思います。

 大規模な赤字を抱え、社会保障や年金がどんどん削られていく状況に見過ごせないと思っている人が多いのは、日本とも共通する部分が多いかもしれません・・が、フランス人はおとなしく黙ってはいないのです。

 今回の「全てを封鎖せよ!」デモに際して、政府は約8万人の警察官・憲兵隊を一日中配置。約30機のヘリコプターやドローン、放水車、装甲車の配備で備えていましたが、パリでは、多くの惨事が起こってしまいました。

 今回、一番、派手だったのは、シャトレ周辺のブラスリーがデモ隊と警察との攻防戦の巻き添えを食って、火が立ち上り、けっこうな火災。また、シャトレ・レアール駅にあるヨーロッパで最も多い集客数を誇る映画館やプール、多くの商店やレストランなどがある大きなコマーシャルセンターは、午後には安全上(SNS上で強奪を呼び掛ける投稿が出回り始めたためと言われている)、閉鎖になり、シャトレ・レアールの駅でもほぼ電車が停車するという大惨事。

 また、パリ・北駅でも約1000人が侵入しようとしたところを警察が阻止・・駅は一時、閉鎖状態になったようです。

 私は、こんなことになっているとは全く知らずに午後過ぎくらいに近所のスーパーマーケットに買物に行ったのですが、ウソみたいにガラガラでびっくりしました。

 結局、却下されたものの、赤字削減のために祝日2日を返上・・なんていう案も出ていましたが、祝日ではなくても、このようなデモが度々起こり、ほとんど社会が麻痺してしまう状態では、祝日返上以前の問題かも・・と思いました。

 今回の「9月10日全てを封鎖せよ!」のデモは、一応、9月10日・・と日にちが指定されていましたが、とてもこの騒ぎが1日で終わるとは思われず、7年前の「黄色いベスト運動」の二の舞になるのでは?9月10日は、単に国民の意識に火をつけ、エンジンをかける役割を果たしただけで、これがさらに続くのでは?と見る意見が多く出ています。

 今回の「全てを封鎖せよ!」という動きは、SNSを中心に広まったので、結局のところ、どこが火元なのかがわかりづらく、そのうえ、政党までそれを煽る動きに加わっているために、余計に話が複雑になっています。

 しかし、いずれにせよ、フランス・・このままでは、絶対におさまりそうもありません。


9月10日の「全てを封鎖せよ!」デモ


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2025年9月10日水曜日

バイルー辞任の24時間も経たないうちに次期首相任命 セバスチャン・ルコルニュ 39歳

  


 予想通りというのも失礼なのですが、フランソワ・バイルー首相の辞任が決定した翌日、正確には、辞表が提出されたのが翌日なので、その辞表が提出された数時間後、マクロン大統領は、次期首相に「セバスチャン・ルコルニュ氏」を指名しました。

 大規模ストライキの予定が今後、ギッシリ詰まっているフランスで、次期首相の任命は早くに行われるだろうと大方の予想が出ていましたが、それにしても、24時間も経たないうちに発表されるとは、ちょっと驚きでした。

 ここ2年間(マクロン大統領2期目)で、5人目の首相となる人物は、39歳の現在まで軍事大臣を務めていた人物でした。

 なんといっても、39歳とは若いですが(とはいえ、ガブリエル・アタルの最年少記録は破られていませんが・・)、一見、歳のわりには、貫禄があるというか、そんなに若くも見えない感じ・・現在、彼の人となりを紹介する映像などがニュースで流されていますが、20代前半の映像などでも、ん??そんな歳?太い眉に鋭い眼光、もしかしたら、若い頃からおじさんみたいに見える人・・そんな人??という印象を受けてしまいました。

 見かけは、別として、彼は、非常に若い頃から政治に関わってきている人物で、マクロン大統領に非常に近い忠実な支持者といわれている人物で、今回ばかりは、マクロン大統領も、もう我が身に危険が及ぶのを恐れてか?国民議会の第一党から・・などと言う声は、全く意に介さず、彼自身を忠実に支持しながらキャリアを積んできた強力な自分の腹心のような人物を選んだようです。

 セバスチャン・ルコルニュ氏は、2017年のマクロン大統領の当選以来、全ての政権に参画してきた人物。2017年には、環境・包摂的移行担当大臣(当時31歳で最年少の政府メンバー)、2018年には地方自治相、2020年7月には、カステックス政権下で海外領土担当大臣、そして2022年5月からは、軍事相に就任しています。

 彼は、幼少期から政治への情熱に突き動かされてきた人物、16歳でウール県ヴェルノンでUMP(国民運動連合)に入党し、19歳でウール県議会議員フランク・ジラールの議会補佐官を務め、国民議会で最年少の議会補佐官となりました。そこで、同じく議会補佐官だったジェラール・ダルマナンと出会いました。二人は定期的に一緒に休暇を過ごし、20年にわたる友情を育みました。

 2014年3月、27歳でウール県ヴェルノン市最年少市長に就任し、その後、第一副市長のフランソワ・ウジヨーにその職を譲りました。2015年には、29歳でウール県議会議長に就任し、フランス最年少の県知事となりました。2017年からはマクロン大統領の下で政権に参画してきたわけですが、これまで不思議とあまり印象に残る話題にのぼった覚えがありません。

 今回、この新しい首相に関しては、まだあまり情報が出きっていないので、あまり良くわからないのが正直なところではありますが、今回の人選にしても、この異様に速い首相任命にしても、マクロン大統領がかなり切羽詰まっている感じが受け取れます。

 いずれにしても、おちおちしていると、また、来年の予算が今年中に可決できないなんてこともありえるわけで、もうこのバタバタ具合を「予算案可決までに首相は何人必用か?」なんて嫌みたっぷりの見出しを掲げているところまであるくらいです。


フランス新首相 セバスチャン・ルコルニュ


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2025年9月9日火曜日

バイバイ!バイルー! フランソワ・バイルー内閣崩壊

  


 国民議会は月曜日、フランソワ・バイルー首相の信任決議を行い、賛成194票、反対364票で否決し、首相は罷免されました。

 フランソワ・バイルー首相は、公的債務に関する懸念が高まる中、自分の首をかけて、国民議会に問題を突きつけましたが、無残にも砕け散ってしまいました。

 これは、あまりに無謀なやり方で、結果は、ほぼほぼ予想されていたことでしたが、最後の最後まで、なにか、ウルトラ級の案があるのかとも思ったのですが、首相自身がこの方法を発表したのちは、予算案云々以前に現政権を倒すことが目的とも思われる言動が増え始め、バイルー首相を飛び越えて、打倒!マクロン大統領!のような声さえ出始めてしまったのには、まともに予算を話し合う感じがかえって薄れる感じさえしてくるのでした。

 昨年のパリ・オリンピック終了後のミシェル・バルニエ首相任命以来、1年未満の首相退陣が続いていますが、どちらも、膨大な負債を抱えた予算案の審議の過程においての話であり、この財政赤字をどう削減していくかは、現在のフランスの深刻な問題に違いありません。

 2025年の予算は、突如、首相が退陣するハメになったために、年明けまでに予算の審議が間に合わず、予算案が確定するまえに2025年がスタートしてしまい、とりあえず、2024年の暫定予算のままスタートするという壊滅的なスタートでした。

 そして、現在、審議中の2026年の予算案ですが、これで首相の退陣が決まったために、また、予算の審議は先送りになるわけです。

 思い返せば、そもそもは、欧州議会選挙において、極右政党が圧勝したことから、本当はやる必要がなかった国民議会の解散・総選挙を行ったことで、結果的には、マクロン大統領は、多くの自分の党の議席を失い、第一党過半数を失ったどころか、第一党を新人民戦線(NFP)に奪われてしまいました。

 フランスの首相は大統領が任命するのですが、この首相任命にあたっては、通常ならば、第一党の政党から選出するのが誰もが納得できる道だと思われるところ、マクロン大統領は、ここ2回の首相任命に関して、第一党からの選出を行いませんでした。

 ただでさえ、難航しそうな議題(財政赤字削減)に際して、これでは、政府からの予算案が通りづらいのは、当然のことでもあります。

 今の段階では、マクロン大統領が倒れるわけではありませんが、これで1年の間に3回目の首相任命という事態をマクロン大統領は招いてしまったことになります。

 この直後に、フランスはすでに「全てをブロックせよ!」と銘打った大規模デモが9月10日には予定されており、18日には、労働組合デモ、そして金曜日には、フィッチ格付けによるフランスの債務格付け引き下げの決定の可能性もあるなど、次期首相任命に時間はかけられない理由が乱立しており、次期首相任命は、早くなるだろうと予想されています。

 しかし、もとをただせば、マクロン大統領が全てを引き起こしていると思えないでもない事態。もうこうなってくると、次の首相は何ヶ月もつだろうか?と思ってしまいます。


フランソワ・バイルー内閣崩壊


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2025年9月8日月曜日

日本の石破首相辞任の報道 海外のメディアはしっかり見ている

  


 さすがに日本の首相が辞任するというニュースは、首相本人の記者会見で正式に辞任が発表される数時間前からフランスでも報道されていました。

 この石破首相の辞任は、自民党分裂回避のためと、しっかり見られているとともに、世論調査では、石破首相の支持率が上昇していたにもかかわらず、国民の声よりも党内の分裂を避けるために自民党の重鎮たちがこぞって圧力をかけ、辞任を求める署名を集めたり、数日前には、森山幹事長をはじめとした自民党幹部4人が集団辞任を申し出ていたと報じています。

 「彼の辞任理由は、表向きには、自民党が過去15年間で最悪の結果となった選挙結果の責任をとるということになっているが、しかし、自民党の敗北は彼の責任ではなく、国民の政治体制への不信感に起因するもので、保守党内の裏金の存在や党自体の秘密資金提供、そして統一教会との関係が明らかになったことなど、日本の民主主義の不調が露わになったためである」

 「むしろ、石破首相は、長年、これらの国民が不振を感じている自民党の元凶のアウトサイダーとして知られる存在であった」

 「首相就任後もずっと党内圧力が続いており、国内政治においては、彼の思うようには事は進まず、人気は停滞していたものの、近々では、米国との貿易協定が締結され、米国の関税が25%から15%に引き下げられ、国民からの支持率は急上昇を見せていた最中に起こった首相の辞任劇で、皮肉なことに、国民の声を無視して党内政治を優先した自民党への反感がさらに高まるものになったのではないか?」

 と、フランスのメディアは、事の概要をこんな風に報じています。

 フランスも現在、内閣存続が危うくなっている中、あまり大きな口をたたけた状態ではありませんし、また、政治の体制も違うので、一概に語れる問題でもありませんが、少なくとも、組閣等においては、世論の趨勢を非常に加味していると思われることが多く、あるいは、そんなに世論に阿る??と思わなくもない時もありますが、少なくとも、支持率上向きの状態の首相に圧力をかけて辞任に追い込むなどという無謀な真似はしないであろうと思うのです。

 自民党内の重鎮とやらが、どのようにお考えかはわかりませんが、少なくとも海外のメディアにまでお見通しの惨状がなぜ?おわかりにならないのか?と暗澹たる思いにさせられます。


石破首相辞任のフランスでの報道


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2025年9月7日日曜日

サン・ドニのとんでも警察官の動画があっという間に拡散されて

   


 セーヌ・サン・ドニ(パリ近郊)で8月28日に撮影された約42秒の動画がSNS上であっという間に拡散されたことにより、事件は公になりました。

 この動画というのは、若い男性が警察官に取り囲まれて、尋問されている中、激しく平手打ちをくらい、唾を吐きかけられているもので、当然、警察官は制服姿で警察官であることは、一目瞭然で、この若い男性は、フェンスにもたれかかった状態で、暴れているわけでもなく、抵抗しているわけでもないのに、暴行を受けているという全く一方的なものであるだけに、実に衝撃的な動画だ!とあっという間に拡散され、警察官に対する非難の声が大きく炎上しています。



 また、この動画をSNS上に最初に投稿したのが、LFIの議員であったこともあり、「尋問の理由が何であれ、身動きが取れない若者への暴行と屈辱的な唾吐きは容認できない!警察の管轄外だ!恐れるべきは彼ではなく、警察官だ!」などと、大いに各方面の政治家からの声も大きく上がっています。

 この動きを受けて、ボビニー検察庁は、9月5日、「公権力の立場にある者による暴力」の容疑で捜査を開始すると発表しました。ボビニー検察庁は、「警察パトロール隊と関与した警察官の身元確認が進行中」として、具体的な場所や日時等は、発表していませんが、地域の警察にとってみれば、そんなものは、動画を見れば一目瞭然なはずで、とっくにこの警察官の身元は確認できているものと思われます。

 もちろん、ほとんどの警察官は正義の味方で、こんな横暴な振る舞いはしないとは思うのですが、ある一定数の、威圧的というか、高圧的な態度の警察官というものが存在することも事実です。

 こういう暴力的だったり、高的であったりする警察官に反感を感じている人々もかなり一般市民の中には、いるもので、数年前に運転中に警察官の指示に従わずに停車しなかったことで射殺された少年の事件(その時は、さらに酷いことに、警察官は嘘の供述をしていたことが後に発覚して、余計に反感が大きく燃え上がった)の時には暴動のような騒ぎになりました。

 今回のこの動画では、暴行を加えている警察官のほか、2名の警察官がそばに立っていますが、携帯を見たり、素知らぬ顔をして見過ごしています。

 たいてい警察官は3人以上の体制でパトロールしています。

 今の時代、防犯カメラはいたるところに設置されているうえに、全ての人が携帯片手に何か事件がおこれば、誰かがどこかで動画を撮っているのが珍しくはない時代です。

 今回のこの動画を撮影したのも地域の住民でした。

 そんな中、もろに身元が特定されやすい警察官の制服姿でこのような暴行行為を行うとは、悪気がまったくないというか、そんな行為がよっぽど常習的なものなのではないか?と疑いたくもなってしまいます。


警察官の暴行動画SNSで拡散


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2025年9月6日土曜日

サントリー新浪会長辞任についてのフランスの報道で・・

  


 サントリーの会長新浪氏辞任のニュースはフランスでも報道されており、その中で、日本とは違う、ちょっと興味深い見方をしている点がいくつかあったので、それについて、ご紹介したいと思います。

 ちなみに、フランスではサントリーは2つの独立した事業体を持っており、1つは清涼飲料水(シュウェップス、オランジーナなど)を、もう1つはジムビーム、サントリーなど)サントリー・グローバル・スピリッツ・フランス(サントリービバレッジ&フードフランス)となっています。

 まさか、シュウェップスやあのオランジーナがサントリーだったとは、私はこれまで全然、知りませんでした。いつのまに??・・って感じです。(2009年にサントリーが推定約26億ユーロで買収)

 近年のウィスキー人気の急拡大に加えて、このオランジーナというのは、長いこと、フランスでオレンジジュースといえば、オランジーナ・・というほどの大きな存在のため、サントリーはフランスにとってもわりと存在感が大きいように思います。

 さて、今回の新浪氏会長退任のニュースについては、「違法薬物所持の疑いで警察の捜査を受けていたサントリーのカリスマ会長である新浪氏がサントリー会長辞任」、「警察は8月に新浪氏の自宅を家宅捜索したが、新浪氏は関与を否定し、違法薬物は発見されなかった」、「新浪氏は合法だと信じて購入したサプリが捜査の焦点であり、警察は捜査を継続しており、サントリーはこのサプリメントの合法性は警察当局が判断すべきだと考えている」と記者会見で述べている」

 そして、彼が大手コンビニエンスストア・ローソンの代表取締役社長を務めた後、サントリー社長に就任したことや、歯に衣着せぬ物言いで知られる経営者であることも紹介しています。

 日本の報道と少々違う部分は、日本が薬物に関する規制が非常に厳しい国であるという指摘で、不法薬物は所持だけでも懲役刑に課せられる可能性があり、日本の当局は世界で最も厳格な麻薬取締法であるといっている点です。

 「カリスマ経営者新浪氏が辞任を発表した理由は、財務上の不正行為、酩酊状態、職権乱用、あるいは政治スキャンダルでもなく、むしろ、世界のほとんどの国ではほとんど問題視さえされないであろう出来事、多くの国であれば、この話は旅疲れを解消するために自然療法に頼る経営幹部の逸話として終わるであろうものの、日本ではいかなる容認も認められない状況下でこの事件は全国的な論争へとエスカレートした」

 「日本の公の場での「悔悟の文化」に則って行われた彼の謝罪は評判と企業責任が不正行為の真の証拠に勝り得ることを強調している」

 「ハーバード大学卒の幹部でサントリーを世界的な大企業へと変貌させるうえでの中心的な役割を果たした新浪氏の辞任は、日本の強硬姿勢がもたらした不相応な結果を如実に物語っている」と締めくくっています。

 ただし、これも、彼の供述していることが本当に真実ならば・・との話だとも思いますが、いずれにしても、考えてみれば、フランスの場合、捜査を受けただけ、起訴もされておらず、もちろん裁判にもなっていない状態で、このような辞任騒ぎにまで繋がるというのもあまりないことかもしれません。

 いくつも起訴状を抱えていて、裁判を待っている・・つまり判決が下るまでは推定無罪ということなのか?つい最近では元文化大臣など、まったく何もなかったかのように職務を継続しています。

 どちらが正しいというわけではありませんが、どちらにしても、日本は日本の国の法律で動き、このようなことをしたら、こういうことになる・・ということは、理解できる話。しかし、それは、よその国から見ると、奇異に映っているところもある・・ということです。


サントリー会長辞任


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2025年9月5日金曜日

プラグインハイブリッド車は、2035年EUの新車販売規定に食い込めるのか?

  


 2022年、欧州議会は2035年からEU圏内におけるガソリン車およびディーゼル車(ハイブリッド車を含む)の新車販売を禁止する法案を承認しました。

 この決定を受けて、フランスも電気自動車への援助等を拡大し、なんとか電気自動車のシェアもぼちぼち増えつつはあるようです。(2025年上半期の電気自動車の販売台数は2024年と比して24%増)

 しかし、欧州議会のこの自動車販売に関する法案には、2026年には、状況を評価し、条文の修正を行うための「見直し条項」が設けられており、プラグインハイブリッド車(PHV)(ガソリンエンジンと電気モーターの2つの動力源を持っている車)については、認められる可能性が出てきています。

 そして、2026年がそう遠くない未来に近付いてきた今、フランスの電気自動車充電事業者協会(Charge France)は、2035年以降のプラグインハイブリッド車に対する適用除外の可能性について懸念を表明しています。

 もし、例外措置が導入されれば、欧州の自動車メーカーはプラグインハイブリッド車に過剰な投資を行い、電気自動車の競争力を低下させ、中国メーカーとの競争で問題を引きおこすだろう・・とフランスの電気自動車充電事業者協会(Charge France)は言っているのです。

 電気自動車充電事業者協会は「特定の技術を強制しないという技術中立の原則を装い、一部の自動車メーカーは、プラグインハイブリッド車の受け入れによって2035年までに内燃機関車を禁止するという目標を放棄しようとしている」と抗議しているのです。

 しかし、実際には、電気自動車はやはり高価であることや、充電の問題もあって、人気があるのはハイブリッド車で、消費者は現段階でもかなりの国からの援助や優遇措置があるにもかかわらず、電気自動車には傾ききらないのが現実なのです。

 いくら、温室効果ガスの排出量などの環境問題やガソリンの消費量(輸入量)削減などを語っても、現実には、まずは自分たちの生活を考えるのが消費者です。

 ハイブリッド車を生産している自動車メーカーは、その折衷案ともいうべくプラグインハイブリッド車という車に歩みよっているのに、この協会は、環境問題等を盾に現状にそぐわないことを威圧的に押し付けようとしている感がなきにしもあらずです。

 プラグインハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を搭載し、電気自動車と同様にバッテリーを充電できる車両であり、環境負荷の低減につながります。しかし、彼らが言うには、「プラグインハイブリッド車が電気で走行するのは全体の45~50%、企業向け車両の場合は10~15%程度である」と主張。

 また、「重いバッテリーを搭載したプラグインハイブリッド車は、軽量のガソリン車よりも多くの燃料を消費する」など、敵?の難点をあげつらって攻撃しているように見えます。

 まずは、個人に負担が及びにくい公の機関(警察や消防、公共交通機関など)の車両から、全て電気自動車に変えていくことから始めてみればよいのでは・・?などと素人感覚では思いますが、やもすると、彼らは本当に環境問題・エネルギー問題を考えているのか? はたまた利益を独占したくて言っているのではないか?と疑いたくなります。


プラグインハイブリッド車


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2025年9月4日木曜日

フランスの若者4人に1人がうつ病という痛ましい現状

  


 Mutualité Française(フランス相互健康保険全国連盟)、Institut Montaigne(モンテーニュ研究所)、Terram Institute(テラム研究所)が発表した調査によると、フランスの若者の4人に1人がうつ病に苦しんでいるという痛ましい状況が浮き彫りになっています。

 2025年春にオンラインアンケートで実施されたこの調査は、フランス本土および海外在住の15歳から29歳までの若者を対象に実施されました。

 この調査はうつ病の症状の有無と程度を測るために一般的に用いられているPHQ-9 の質問票も併せて行われています。

 回答によると、若者の14%が精神的健康状態が悪いと答え、64%が良好と回答しています。しかし、PHQ-9 の回答によれば、若者の4人に1人(25%)がうつ病の症状を示しており、10人中6人以上が悲しみ、憂鬱、または絶望感を感じており、3人に1人近く(31%)が自殺願望または、自傷行為を考えたことがあることが判明しています。

 様々なプレッシャーに直面するこの世代では、倦怠感、引きこもり、興味の喪失があたりまえのようになっているのです。

 特に学校や職場でのストレスが大きなストレス要因となっていることが多く、若者の87%が学業で、75%が仕事でストレスを感じていると回答しています。いじめ(オンライン上でのイジメも含む)もまた不幸の大きな要因となっています。調査対象となった若者の4分の1以上(26%)がネットいじめの被害にあっており、31%が学校でのいじめを経験しており、メンタルヘルスに直接的な影響が出ています。

 既に、他の調査でも確認されているとおり、若い女性の方が影響を受けやすく、女性27%、男性22%と性別によっても、違いが出ています。これは、年齢が下がるとさらに、男女差(女性29%、男性19%)に開きがみられます。

 また、この調査では地域格差も顕著にあらわれており、海外の若者のうつ病罹患率は39%であるのに対し、全国平均は25%になっています。4人に1人だけでも驚きなのに、39%といったら、3人に1人以上ということになります。

 特にフランス領ギアナ(52%)、マルティニーク(44%)、マヨット(43%)は、深刻な状況です。

 これには、公的機関の対応の問題があり、特に海外圏においては、公的機関へのアクセスが著しく困難な状況にあることが指摘されています。

 この調査に私がギョッとしたのは、ちょうど、娘が調査対象になっている年代に該当していることもありました。

 ある程度の年齢になれば、悩み事や本当に困っていることなど、親になどはなかなか話しをしないものです。私もそうでした。

 フランスと日本と離れたところで生活しているために、わかりにくいところもあるのですが、とりあえずは、とても忙しそうに仕事をし、相変わらず、寸暇を惜しんで旅行して歩いているようなので、大丈夫だとは思うのですが、こんな話を聞くと、ちょっと心配にもなります。

 まあ、もっとも、自分を顧みる限り、若い頃は繊細で、なにかと気にしたり、思い悩んだりすることも多くありましたが、年齢とともに、良く言えば、おおらかになり、大雑把で鈍感になって思い悩むことも減りました。

 これがおばさんになるということなのでしょうが、若くて脆かった頃の自分がちょっと愛おしくなるような気もするのです。


フランスの若者のうつ病


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2025年9月3日水曜日

パリで人気のステーキのお店 Le Relais de l'Entrecote

  


 これをフランス料理と言ってよいのかどうかはわかりませんが、ステーク&フリッツ(steak frites)は、フランス人が最も好きなメニューのひとつだと思います。要は、ステーキとフライドポテトです。

 以前、知人が「フランス人の夫が和食だと嫌な顔をして、機嫌が悪くなるから、ふだん、あんまり和食は作らないんだ・・」と話していたことがあって、お気の毒だな・・と思ったことがありました。(うちの夫はフランス人でしたが、私の作ったものは、なんでも美味しい美味しいといって食べてくれていたので、大変、たすかりましたが・・)

 その知人には、「それじゃ、ご主人は何がお好きなの?」と聞いてみたら、「とりあえず、ステーク&フリッツにしとけば、ご機嫌なの・・」というので、「ああ~なるほどね・・」と思った覚えがあります。

 考えようによったら、そんなに手間がかかるお料理でもないので、ラクといえば、ラクですが、ちょっと寂しいような気もします。

 しかし、それくらい、フランス人が(特に男性)スタンダードに好むメニューのひとつでもあります。

 今回、ご紹介するのは、そんなステーキのお店でとても人気のお店があって、いつでも行列ができていて、いつか、行ってみようと思いつつ、長いこと行かずにいたお店です。




 なんといっても、このお店、ステーキしかない(デザートはあるけど)ので、ガッツリお肉を食べる気にならないときには、他のものを食べてみるということができないので、胃の具合と食欲などのタイミングが合うときではないと、なかなか行けなかったのです。

 このお店は、皆が同じものを食べているので、メニューを選ぶ必要がないのですが、オーダーの際には、お肉の焼き具合とドリンクを注文するだけです。どのテーブルも同じものが並んでいるお店というのも珍しいお店です。



 まず、パン(バゲット)とクルミのサラダが出てきますが、これはサラダにクルミが散りばめられているシンプルなもの・・これもドレッシング(マスタードベースですが、ソフトな感じ)で和えてありますが、そのドレッシングの量がちょうどいい!クルミもとてもサラダにあいます。

 そして、そのあとに、フライドポテトとステーキ(リブロース)が出てきます。ステーキには、このお店のオリジナルのソースがかかっています。




 一般的なフレンチのビストロなどだと、ステーキのソースは、マスタードソースとか、ベルネーズソースとか、胡椒のソースとか、ワインのソース、シャンピニオンのソースとか、色々ある中から選べるところも多いです。

 しかし、このお店では、ソースはハーブの効いた(わりにはくせがない)オリジナルのソース一択ですが、おそらく、このソースがきっとクセになって、また食べたい・・となるような気もします。

 マスタードは、頼めば、別に持ってきてくれます。

 フライドポテトもお肉も大きな銀のお皿で運んできて、それぞれのテーブルの近くに備え付けてある、保温のできる場所の上におかれ(といっても、頻繁に運んできてくれるのでほぼ、人数分の量)、あとで付け足してくれます。

 というか、ポテトもお肉も2回に分けて、サーブしてくれるので、アツアツのものを最後までいただけます。

 私は、ふだんは、どちらかというと、ステーキはあまり食べないし、フライドポテトというものも滅多に食べないし、自分でも作らないので、なんかこんな機会だと、ちょっと罪悪感も薄れて嬉しくなってしまいます。




 お肉はしっかり注文通りに焼いてきてくれるので、焼き加減も納得、お肉自体もテンダーな赤身、アブラは気にならない感じのしっとりしたお肉でした。

 お店の内装は、クラッシックな感じの赤が基調のデコレーションで、ウェイトレスさんたちもクラッシックなメイドさんみたいな恰好をしています。どういうわけか、あんまり若すぎない感じ?の方が多かったですが、皆、親切です。




 考えようによっては、メニューがよくわからない・・ということも関係ないので、外国人にとっても、言葉の心配がないので、気楽に入れるかもしれません。

 このお店、いつか、ボルドーに行ったときに、夜、すごい行列ができていて、「一体、何のお店なの?あんな行列ができるって?」と思って調べたら、娘が「パリにもあるみたいよ!」というので、そんなに人気なら、いつかは行ってみようと思っていたのでした。

 私は、サンジェルマン・デ・プレのお店に行ったのですが、実は、パリだけでも、シャンゼリゼの近くやモンパルナスの近くなど、5店舗くらいあるみたいです。

 料金も29ユーロ(ドリンクやデザートは別料金)(2025年7月現在)と、リブロースのステーキとしたら、良心的で明朗会計、そこそこの高級感もあります。

 お肉好きの方は、ぜひ、行ってみてください!


🌟Le Relais de l'Entrecote  20 Rue Saint Benoit 75006 Paris 


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