2025年9月2日火曜日

フランスで新生児スクリーニングが拡大 新たに3つの重篤疾患も対象に・・

  


 フランスでは新生児スクリーニングの対象が拡大され、乳児脊髄性筋萎縮症、重症複合免疫不全症、極長鎖アシルコエンザイムA脱水素酸素欠損症があらたに対象に加わりました。

 脊髄性筋萎縮症を含む3つの重篤疾患は、9月1日から、出生時にスクリーニングされます。

 これまでフランスでは、生後2~3日以内に乳児のかかとから、数滴の血液を採取し(吸取紙に採取する検査)が義務ではありませんが、強く推奨されており、13の疾患について、無料で検査が提供されてきました。

 私が出産したときには、こんな話は全然、知らなかったので、まあ、フランスではなく、アフリカでの出産だったため、今になって、こんな話を聞くと、「え~~~?こんな検査、本当はしなければならなかったんだ!」と驚くばかりですが、幸いにも、娘は健康に育ってくれたので、助かりましたが、これからフランスで出産する方がいたら、このような検査が無料で提供されていることは、知っていてもいいかもしれません。

 今後は、あらたに3つの重篤疾患を含む16の検査をしてくれるわけですから、万が一に備えて、一応、やってもらった方が良いのではと思います。

 今回検査に加えられた3つの疾患の中でも、乳児脊髄性筋萎縮症(SMA)は最も多く、7,000人に1人の乳児に発症します。これは不可逆的な神経筋変性を特徴とする非常に重篤な遺伝性疾患です。最も重篤な場合、罹患した乳児は2歳になる前に死亡し、急速に摂食障害や呼吸困難に陥ります。

 しかし、早期治療によって、その影響を大幅に削減することができます。

 他の2つの疾患はさらに稀です。重症複合免疫不全症(SCID)は30,000人に1人の割合で発症し、乳児の免疫系を著しく弱めますが、生後2ヶ月以内の骨髄移植で治療可能です。極長鎖アシルコエンザイムA脱水素酵素欠損症(VLCAD)は100,000人に1人の割合で発症し、出生時から高度な栄養管理が必要となります。

 まさに万が一に備えてという確率ではありますが、万が一にもこれらの重篤疾患が認められた場合、早期治療ができるか否かは、大変な違いが生まれます。

 フランスは長らく、この分野では先進国であり、過去50年間で4万人の子どもがスクリーニングによって治療を受けてきました。

 しかし、イタリアなどは、出生時に約40の疾患をスクリーニングしているそうで、現状では、まだまだ・・という声も多いそうです。

 まったく、私は、自分が出産した時には、何の知識もなかったので、今になって聞いて、びっくりすることが多いのですが、本当に無知な親のもとに生まれた娘が無事に健康に育ってくれたことは、奇跡的なような気がしています。


新生児スクリーニング拡大


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2025年9月1日月曜日

エッフェル塔などへのテロ攻撃を計画していた未成年者2人逮捕・起訴

  


 パリでシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)やエッフェル塔へのテロ攻撃を計画していた未成年者2人(2008年生まれの17歳と2010年生まれの15歳)がジハーグ主義的(外部からの攻撃への抵抗のためや安定を手にするためのの闘い)な暴力行為を計画していたとして、逮捕・起訴されています。

 2023年以降、この種のへの未成年者の関与が急増しており、テロ対策関係者の間で懸念の的となっていることを受けて、彼らは犯罪的テロ共謀罪で起訴されました。

 アラブ系イスラム教徒の家庭出身のこの10代の若者たちは、暗号化されたメッセージサービスで作成された専用グループで互いに連絡を取り合っており、彼らはイスラム国に強い関心を持ち、そのプロパガンダを拡散していました。彼らは、このメッセージサービスの中で、海外でもジハード攻撃を行うことを話し合っており、超暴力的なコンテンツの熱心な視聴者でもありました。

 彼らはすでに関心の段階を超えており、すでに行動を起こすことを検討しており、様々な暴力行為の計画を練っており、反ユダヤ主義と中東戦争を背景にしたシナゴーグやジハード主義の象徴でもあるエッフェル塔などの具体的な場所も選んでいました。

 2人の未成年者たちは、すでにこの計画のための武器入手の段階に入っており、サイバー犯罪のスーパーマーケットともいえるダークウェブにおいて、武器の調達の準備を進めていました。しかし、この2人の未成年者たちは、テレグラムでのチャットグループに参加していたために、面識があるわけではないといいます。

 この互いに面識のないもの同志が、犯罪を計画して実行に移そうとするというのは、最近の未成年者のネットによる犯罪加担の特徴でもあります。

 国家反テロ検察庁(Pnat)は、「数年前には、テロ関連犯罪で起訴された未成年の数は、片手で数えられるほどだったが、2023年には15人、2024年には18人、2025年には、既に7月1日の時点で11人に達している」と報告しています。

 今回の2件の新たな起訴により、今年の起訴は既に13人になっています。

 弁護士や裁判官など、司法に携わる者によれば、これらの少年たちが過激化(主にジハード主義運動)する前には、非行少年ではなかったこと、そして、その多くが極度の内気さを露呈していたり、家庭環境が脆弱であったりすることなど、いくつかの特徴があると述べています。

 9月には、14歳と15歳のときに、ベルギーのイスラエル大使館に向けて、トラックを爆破する計画をたてた3人の少年の裁判がパリで行われる予定だそうです。

 まだ、若いのに・・というべきか、若いからこそ、無謀なことに強烈なエネルギーを傾けようとしてしまうのか? 

 恐ろしいことです。


未成年者のテロ攻撃計画


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