フランソワ・バイルー首相は、25日、「財政管理」という重要課題について、9月8日の国民議会の臨時会期前に憲法第49条第1項に基づき、その日に総合政策声明を発表し、政府の責任を問うと発表しました。
年金改革問題の際に多くの国民から大反発をくらった憲法第49条第3項は、首相の権限において、採決なしに法案を突破させるものでしたが、今回の憲法第49条第1項は、(場合によっては、一般的な政策声明を発表したのち)政府の政策に関する責任を国民議会で決議するというものです。
バイルー首相はこの方法を選択する目的について、国家の財政的危機がいかに深刻でいかに緊急を要する問題であるのかという核心的な問いを明確に提起することであると説明しており、過剰債務のリスクを指摘し、それが我々に重くのしかかる差し迫った危険であると考えており、「今年は660億ユーロ、来年は最大で750億ユーロに達する見込みであり、国家予算の中で最大のものになる」と予告しています。
この採決は二者択一の極めてシンプルな決定で、一般的な政策声明の採決で、過半数を得れば政府は承認され、過半数を得られなければ政府は倒れる。つまり、政府が政権を維持するためには、絶対多数の賛成票を得る必要があり、国民議会が政府の政策表明を否決した場合、「首相は、辞表を共和国大統領に提出しなければならない」と憲法第50条に定められています。
バイルー首相の説明していることは、もっとも急を要する問題に集中するという意味では、正攻法と思えないこともありませんが、実際には、彼は自らを政権崩壊の危機に晒すリスクを孕んでいます。
実際に6月に発表された財政削減案については、国民からの多くの反発も呼んでおり、実際に9月10日には、それに抗議するカタチで大規模デモ・ストライキが各方面から発表されています。
すでに政府内の各党、マリン・ルペン氏がRNは政府の信任投票に反対票を投じると表明しており、また、LFI(自由民主党)、PCF(共産党)、UDR(統一民主党)も同様の意を表明し、社会党も信任投票などあり得ない!と主張しています。
もう現時点で、この9月8日の採決の結果は、ほぼ絶望的と見られますが、これから約2週間の間にバックヤードでどのような話し合いが行われるのか?また、それによって、結果がひっくり返されることがあるのか?
この無謀とも思える首相の発表にフランスは騒然となっています。
憲法第49条第1項 9月8日
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