3兆ユーロを超える財政赤字を抱えるフランス政府は、この赤字をどのように削減するかで、昨年も大揉めに揉めて、大変な騒ぎで、予算が確定しないままに、2025年が始まってしまったくらいでした。
当然、簡単には、この莫大な赤字は、解消されるわけもなく、来年の予算もまた、この削減をどのように行っていくかは、重要な争点となります。
パリ祭が終わった翌日、バイルー首相は、2026年の予算案についての提案を行いました。
バイルー首相は、赤字400億ユーロの節約という壮大な目標を掲げて、国家財政の回復を加速させるとしています。
1つには、国家の賃金支出の削減で2026年からは、公務員(教員を除く)3,000人の削減が計画されており、退職者の3人に1人は補充しないという規則も加えられています。
また、膨れ上がっている医療費に関しても、優先事項の一つとされており、ひとまず、自然増加している100億ユーロのうちの少なくとも半分の50億ユーロは、抑えたいとしています。
そして、今回の予算案の中で一番、注目を集めているのは、生産性の向上と2026年に35億ユーロの追加支出が見込まれる防衛部門の支出を賄うため、2つの国民の祝日を廃止するという提案です。
今回、首相が例として挙げているのは、イースターマンデー(フランスではランディパック)と5月8日(勝利の日)の2日間ですが、祝日1日あたり、年間約24億ユーロの収入が見込まれるとしています。
フランスには、現在、祝日は11日あり、実際には、なんだかもっとある気がしていたのですが、日本の祝日は16日あるとのことで、日本よりも少ないのか・・と驚かされますが、長いバカンスのせいで、なんだか、フランスの方がお休みが多いような気がしていました。
とはいえ、これまで当然のように認められてきた権利が剥奪されることに、フランス人が黙っているはずはなく、これは、早々に怪しい雲行きでもあります。
実際に、雇用されている人の多くは、月給制が多いわけで、祝日が削除されて、多く働いたところで、給与に変わりはなく、これまでと同じ給与で余計に働くことになります。さっそく、これが年金にどう影響するのか?などという報道も始まったりしているのも、フランスらしいところです。
フランス人には、絶対に反発を買いそうなこの提案、せめてパリ祭が終わった後、そして、多くの人が夏のバカンスに出始めているタイミングで発表したのは、戦略のひとつだったとも思われますが、同時に、バイルー首相は、「これらは、あくまでも提案であり、私は他の提案も受け入れ、検討する用意がある」とも付け加えています。
なにかあれば、すぐにデモだのストライキだのということになるフランスですが、バカンス期間中は、一般的にはデモもお休みです。
9月のバカンス開けになって、この問題が蒸し返されることになるでしょうか?
2日間の国民の祝日撤廃
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