Mutualité Française(フランス相互健康保険全国連盟)、Institut Montaigne(モンテーニュ研究所)、Terram Institute(テラム研究所)が発表した調査によると、フランスの若者の4人に1人がうつ病に苦しんでいるという痛ましい状況が浮き彫りになっています。
2025年春にオンラインアンケートで実施されたこの調査は、フランス本土および海外在住の15歳から29歳までの若者を対象に実施されました。
この調査はうつ病の症状の有無と程度を測るために一般的に用いられているPHQ-9 の質問票も併せて行われています。
回答によると、若者の14%が精神的健康状態が悪いと答え、64%が良好と回答しています。しかし、PHQ-9 の回答によれば、若者の4人に1人(25%)がうつ病の症状を示しており、10人中6人以上が悲しみ、憂鬱、または絶望感を感じており、3人に1人近く(31%)が自殺願望または、自傷行為を考えたことがあることが判明しています。
様々なプレッシャーに直面するこの世代では、倦怠感、引きこもり、興味の喪失があたりまえのようになっているのです。
特に学校や職場でのストレスが大きなストレス要因となっていることが多く、若者の87%が学業で、75%が仕事でストレスを感じていると回答しています。いじめ(オンライン上でのイジメも含む)もまた不幸の大きな要因となっています。調査対象となった若者の4分の1以上(26%)がネットいじめの被害にあっており、31%が学校でのいじめを経験しており、メンタルヘルスに直接的な影響が出ています。
既に、他の調査でも確認されているとおり、若い女性の方が影響を受けやすく、女性27%、男性22%と性別によっても、違いが出ています。これは、年齢が下がるとさらに、男女差(女性29%、男性19%)に開きがみられます。
また、この調査では地域格差も顕著にあらわれており、海外の若者のうつ病罹患率は39%であるのに対し、全国平均は25%になっています。4人に1人だけでも驚きなのに、39%といったら、3人に1人以上ということになります。
特にフランス領ギアナ(52%)、マルティニーク(44%)、マヨット(43%)は、深刻な状況です。
これには、公的機関の対応の問題があり、特に海外圏においては、公的機関へのアクセスが著しく困難な状況にあることが指摘されています。
この調査に私がギョッとしたのは、ちょうど、娘が調査対象になっている年代に該当していることもありました。
ある程度の年齢になれば、悩み事や本当に困っていることなど、親になどはなかなか話しをしないものです。私もそうでした。
フランスと日本と離れたところで生活しているために、わかりにくいところもあるのですが、とりあえずは、とても忙しそうに仕事をし、相変わらず、寸暇を惜しんで旅行して歩いているようなので、大丈夫だとは思うのですが、こんな話を聞くと、ちょっと心配にもなります。
まあ、もっとも、自分を顧みる限り、若い頃は繊細で、なにかと気にしたり、思い悩んだりすることも多くありましたが、年齢とともに、良く言えば、おおらかになり、大雑把で鈍感になって思い悩むことも減りました。
これがおばさんになるということなのでしょうが、若くて脆かった頃の自分がちょっと愛おしくなるような気もするのです。
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