エリック・ロンバール経済相は、中国からの荷物の流入の急増に直面し、「倫理、地球、公共財政」を尊重することを求め、中国からの小包(ネットショッピングによる買い物)に対して、これまで免税されていた150ユーロ以下の荷物に対して課税することを発表しました。
これは、SHEIN, TEMU, Ali Expressなどのネット販売の大躍進によるもので、2024年、フランスには、年間8億個以上の150ユーロ以下のこのネットショッピングの荷物が到着しているそうで、これは、2023年の2倍になっています。
欧州委員会もこの現実に注目し、2028年に同様の措置をとることを検討していますが、フランスは、これに先立ち、来年から実施する見込みと発表しています。
この課税について、フランス環境移行機構(ADEME)などのデータを引用し、飛行機で輸送される荷物(中国からの荷物は特にこのケース)は、船で輸送される場合よりも100倍多くの二酸化炭素を排出していることなど、環境面からのアプローチも理由付けにされていますが、正直なところは、これらのSHEIN, TEMUなどのネットショッピングの低価格、幅広い選択肢、積極的なマーケティングにおされて、多くのフランス企業がその居場所を奪われていることが大きな理由でもあります。
これまで、私は、これらのネットショッピングをしたことがなく、というよりも、できるだけ、買わない・・物はできるだけ減らしていくつもりでいるので、あまりこのようなサイトさえも覗かないのですが、今回、この話を見て、どれどれ??とサイトを覗いてみたところ、まあ、安いこと!10ユーロ以下のものがたくさん!しかも、見たところ、そんなに悪くなさそう・・これなら、使い捨てでもいい値段・・などと思ってしまいました。
ちょっと日本で100均で買い物する感覚と似ているかもしれません。これが実際に買いものに行かずとも、クリックするだけで、家に届くのですから、これはショッピングが好きな人にとっては、ついついお買物をしてしまいそうです。
ここ数年でフランスの中堅どころの服飾品メーカーが軒並み倒産に追い込まれていますが、これは、このネットショッピングが大きな原因のひとつになっているような気がします。(そんな中で大成功しているユニクロは凄いと思いますが・・)
この価格帯ならば、150ユーロ以上の買い物をすることはむしろ大変で、そこに8億個分の小包に税金をかければ、税収が見込めるだけでなく、この荷物の流入に少しはストップをかけられ、フランスの企業を救うことに繋がるのでは・・という算段です。
それならば、飛行機での荷物の配送は二酸化炭素を100倍排出するなどというきれいごと(そのこと自体は事実だとは思いますが、消費者には響かないと思う)を言っていないで、要はフランスにそのような魅力的な価格の商品やより魅力的な商品を提供できる商売を構築していけばよいのに、なんだか、あまりに中国が勝ちすぎているから、税金をかけるとは、ある程度はありと思わないではないですが、根本的なフランスの産業回復とは違うんじゃないか?これではトランプ大統領と同じではないか?と思うところもあります。
実際にフランスで2026年から開始、欧州では2028年からとなれば、とりあえずは、欧州内の他の国に配達してから、フランスへ・・などといった税金回避の方法を考えるだろうし、この2年間の間にまた別の方法を考え出すに違いありません。
SHEIN, TEMU, Ali Express 中国からの小包に課税
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