2025年4月30日水曜日

SHEIN, TEMU, Ali Express 中国からの小包に課税 2026年からの予定

 


 エリック・ロンバール経済相は、中国からの荷物の流入の急増に直面し、「倫理、地球、公共財政」を尊重することを求め、中国からの小包(ネットショッピングによる買い物)に対して、これまで免税されていた150ユーロ以下の荷物に対して課税することを発表しました。

 これは、SHEIN, TEMU, Ali Expressなどのネット販売の大躍進によるもので、2024年、フランスには、年間8億個以上の150ユーロ以下のこのネットショッピングの荷物が到着しているそうで、これは、2023年の2倍になっています。

 欧州委員会もこの現実に注目し、2028年に同様の措置をとることを検討していますが、フランスは、これに先立ち、来年から実施する見込みと発表しています。

 この課税について、フランス環境移行機構(ADEME)などのデータを引用し、飛行機で輸送される荷物(中国からの荷物は特にこのケース)は、船で輸送される場合よりも100倍多くの二酸化炭素を排出していることなど、環境面からのアプローチも理由付けにされていますが、正直なところは、これらのSHEIN, TEMUなどのネットショッピングの低価格、幅広い選択肢、積極的なマーケティングにおされて、多くのフランス企業がその居場所を奪われていることが大きな理由でもあります。

 これまで、私は、これらのネットショッピングをしたことがなく、というよりも、できるだけ、買わない・・物はできるだけ減らしていくつもりでいるので、あまりこのようなサイトさえも覗かないのですが、今回、この話を見て、どれどれ??とサイトを覗いてみたところ、まあ、安いこと!10ユーロ以下のものがたくさん!しかも、見たところ、そんなに悪くなさそう・・これなら、使い捨てでもいい値段・・などと思ってしまいました。

 ちょっと日本で100均で買い物する感覚と似ているかもしれません。これが実際に買いものに行かずとも、クリックするだけで、家に届くのですから、これはショッピングが好きな人にとっては、ついついお買物をしてしまいそうです。

 ここ数年でフランスの中堅どころの服飾品メーカーが軒並み倒産に追い込まれていますが、これは、このネットショッピングが大きな原因のひとつになっているような気がします。(そんな中で大成功しているユニクロは凄いと思いますが・・)

 この価格帯ならば、150ユーロ以上の買い物をすることはむしろ大変で、そこに8億個分の小包に税金をかければ、税収が見込めるだけでなく、この荷物の流入に少しはストップをかけられ、フランスの企業を救うことに繋がるのでは・・という算段です。

 それならば、飛行機での荷物の配送は二酸化炭素を100倍排出するなどというきれいごと(そのこと自体は事実だとは思いますが、消費者には響かないと思う)を言っていないで、要はフランスにそのような魅力的な価格の商品やより魅力的な商品を提供できる商売を構築していけばよいのに、なんだか、あまりに中国が勝ちすぎているから、税金をかけるとは、ある程度はありと思わないではないですが、根本的なフランスの産業回復とは違うんじゃないか?これではトランプ大統領と同じではないか?と思うところもあります。

 実際にフランスで2026年から開始、欧州では2028年からとなれば、とりあえずは、欧州内の他の国に配達してから、フランスへ・・などといった税金回避の方法を考えるだろうし、この2年間の間にまた別の方法を考え出すに違いありません。


SHEIN,  TEMU,  Ali Express 中国からの小包に課税


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2025年4月29日火曜日

日本入国のためのオンライン事前申告渡航認証システム JESTA 前倒しで2028年度に導入

 


 ついこの間、イギリスでのETA(電子渡航認証)が始まって、すでにアメリカ、カナダ、オーストラリア、韓国などにも導入されているという事前申告渡航認証システムは、日本では、当初、2030年までに年間6,000万人の観光客を目指すとともに、このシステムを2030年までに導入すると発表していました。

 しかし、すでに続々と世界の国々がこのシステム導入に踏み切っており、欧州では、欧州30ヶ国への渡航システム「Etias」(欧州渡航情報・認証システム)を2026年にスタートすることを発表しています。

 この世界的な潮流に、日本は2030年導入の予定を2028年度に前倒しすることを決定したようです。

 この日本の新しいシステムを私はフランスのニュースで知ったのですが、「日本は外国人観光客の急増を受け、政府はJESTA制度の導入を前倒しすることを決定した」というもので、米国のESTAや英国のETAなどのモデルにヒントを得たこのシステムはビザが免除される旅行者を評価することを可能にする」のだそうで、約71ヵ国の外国人日本入国者はこの電子認証を取得するために、個人情報と滞在期間中の予定を申告しなければならないと説明されています。

 このアプローチは、何よりもまず、国境管理を強化しながら到着者の管理の改善することを目指しています。

 このJESTAシステムは、通常90日までの短期の観光または商用滞在のビザ免除旅行者を対象としており、旅行者は出発前に訪問理由や宿泊先の住所などをオンラインフォームに登録する必要があるそうです。

 日本政府は「管理を強化し、入国審査を円滑にするためにも、このシステムを早急に稼働する必要がある」としています。

 旅行者は出発前にJESTAを取得しておく必要があり、この申請が拒否された場合は、日本行きの飛行機に搭乗できなくなります。

 これにより、最初からリスクプロファイルを特定することができ、不正な滞在を防ぐことが可能になるそうです。とはいえ、不正に滞在しようとしている人々は、正面から、正規の方法では入国しないのでは?などと思ってしまいます。

 とりあえずは、このシステム導入は良いことだとは思いますが、その後のこの情報をどのように管理できるのかも疑問が残るところでもあります。

 もっとも、このJESTAに関しては、日本人には必要ないものなのですが、今後、多くの国では、同様のシステムが日本よりも早くに導入されるので、行く先々で、その国の渡航認証システムを取得する必要が出てくる・・そんな時代になりました。

 もうパスポートだけじゃ旅行できなくなるのね・・。


JESTA オンライン事前申告渡航認証システム


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2025年4月28日月曜日

家についている猫と家についている私

   


 「猫は家につく」と言いますが、最近、私も家についているな・・と思います。「ついている」というのは、ラッキーという意味ではなく、(住居に困っていないという意味ではラッキーですが・・)、家が好きという意味です。

 我が家の猫は、生まれて2ヶ月ほどで我が家にやってきて以来、ほぼほぼ外に出ることのない生活をしていることもあり、まさに内弁慶というか、外に出かけるのをとても嫌がります。

 最近は、もう無理に連れて出ることもやめてしまいましたが、娘が家にいた頃は、歩いて20分ほどの夫の眠る墓地に行く際に一緒にお散歩させたりもしましたが、家から出てしばらくは、ほっておくと、我が家に向けて一目散に駆け戻ってしまうので、近くまで抱きかかえて行って、その先はなんとかなだめすかして散歩させる・・それでも、途中、何度も抱っこしては、おろし・・を繰り返し、墓地の中だけでは、なぜかリラックスしているのですが、彼女にとって、お出かけは大変なストレスのようです。

 家の中は、すべて彼女の好きなように、時間帯によって、陽あたりのよい場所を移動して、勝手気ままにしていますが、食事の支度をはじめたりすると、どこにいてもすっ飛んでやってきます。

 日常的にはとても穏やかなのですが、嫌いな人がやってくると牙をむき、唸って威嚇します。そんなわけなので、とても外に預けることは無理そうで、私が旅行する時などは、知人に頼んで、家にご飯とトイレの世話に来てもらっています。

 人懐こいわけではないのに、微妙に側にいたがり、今もパソコンと私の間のちょうど私の腕に触れるか触れないかの微妙に邪魔な位置に寝ています。

 完全に家についている猫なのですが、最近、私もこの家、というかこの空間が一番好きで落ち着くな~としみじみ思います。旅行するのは楽しいし、温泉などもとても快適で気持ちよいのですが、生活空間としては、やっぱり我が家が一番、落ち着きます。決してきれいでも、近代的でも素敵でもないアパートですが、私の生活には、現時点ではとても快適です。

 もともと、今の家に引っ越してきた時には、夫と娘と3人で、今考えると、よくこのスペースに3人で住んでいたな~と思うのですが、夫が亡くなった当時はなんとなく、一人いなくなっただけで、なんとなくガランとした気がしたし、それから大分たって、娘が独立したときも、なんとなく、広くなった気がしたのですが、今では、これがちょうどいい感じになっています。

 夫と二人で使っていた寝室はもちろん、今は私一人で大き目のベッドに悠々と寝て、娘のいた部屋はすっかり倉庫状態(我が家にはフランスのアパートにはたいていあるカーヴ(倉庫蔵のようなもの)がない)。夫が亡くなってからは、ずいぶん、彼のものも処分したし、娘のものは、まだたくさん残っているものの、それでも少しずつ減らしています。

 にもかかわらず、現在の娘の部屋の倉庫としての変容ぶりには、ずいぶんと処分したはずなのに、なんでこんなにたくさんのものがあるんだろうとちょっと不思議な気もします。

 娘が帰ってきたときや、誰かが泊まりに来たときは、娘の部屋をなんとか俄かに片付けて使ってもらっているのですが、今度、誰かが来た時には、どうしよう?とちょっと不安になるくらい、とっちらかっています。

 私の部屋と倉庫になっている娘の部屋、そして、サロン(居間)と台所、台所はわりとスペースがあるため、テーブルに椅子、テレビもパソコンもあって、おそらく、私はそこにいる時間が最も長いです。

 サロンには、ソファや低いテーブル、ピアノなどが置いてありますが、他の部屋よりは少し広いために、もっぱら私の運動場というか、ヨガマットなどが備えてあります。

 その先には小さいスペースですが、ベランダがあるので、ベランダでは日本の野菜を少しずつ育てています。今は小松菜や水菜、春菊、わさび菜、小葱、山椒の葉などが採れています。

 私の育った東京にある実家は、2階建ての家で、私の部屋などは、2階にあったので、階段の上り下りのいらない(年寄りくさい気もする)今の家はずっと暮らしやすい気がしています。

 とにかく、全て家の中を自分の好きなように使い、好きな時に好きなようにできる今の家が何より心地よいのです。もしかしたら、私がいつまでもフランスにいる理由はこの空間を自由にしていられる・・周辺の環境や、だいたい30分以内でパリの好きなところには、どこにでも行ける・・そんなことを含めての環境だとも思うのですが・・。

 食べ物だけは、日本での食べ物には執着が断ち切れませんが、それも年に1~2回日本に行った際に山ほどの食料を持ち帰り、パリ市内で何がどこに行けば買えるかもだいたい承知しているので、日本のように簡単に手に入るわけではありませんが、困ることもありません。

 要は、自分の空間を自分の好きなように使えている今の家がとても心地よく、「猫が家につく」のと同じように、「私も家についているな・・」と思う所以です。


猫は家につく


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2025年4月27日日曜日

娘の手術と入院に心配したり・・ホッとしたり・・嬉しかったり?・・

 


 3月の初めにスキーで大ケガした娘ですが、しばらくは、本当に動けなかったようですが、その後、足にプロテクターのようなものをつけ、松葉杖を買って、どうにか、ゆっくりとなら、日常生活が送れるようになっていました。

 とはいえ、それは、一時的な処置なだけで、4月の半ば過ぎに入院して手術することが決まっていて、命にかかわるものではないとはいえ、やはり入院・手術・その後のリハビリとなると、離れていれば、勝手に心配するばかりの日々が続いていました。

 最初に怪我をしてから、いくつかの病院にかかって検査をしたり、その後の手術をしてもらう病院を選んだりと、日本で生まれ育ったわけではない娘にとっては、初めてのことばかりということもあり、どこまで日本語、大丈夫かな?と思ったりもしていたので、余計な心配もしていました。

 幸いなことに彼女はこれまでフランスでも入院や手術ということは経験がなかったので、どちらにしても一緒なのですが、やっぱり心配のひとつは、日本の医療システムというものがわからないだろうにな・・(という私も今は日本の医療システムについては、よくわからないのですが・・)と思っていたのです。

 しかし、初期に検査や診察をしてもらったお医者さんで、いくつかの大きな病院を紹介してもらった中から、彼女は、家からはあまり通いやすい場所ではないけど、特にリハビリがちゃんとしているといわれる病院を選んで入院しました。

 じん帯がたぶん切れているだろうとのことだったのですが、あけてみなければ、その状態ははっきりしたことはわからないということだったのですが、いざ手術してみると、やはりしっかり切れていたようです。

 手術は全身麻酔ということだったので、親としては、全身麻酔だけでも心配でした。手術は4時間ほどかかったようですが、麻酔からもしっかり目覚めたようです。

 2月に私自身は、検査のためにフランスの病院に一泊だけですが、入院したのですが、その際の食事が酷くて、日本の病院はどうなんだろうか?などとそんなことも心配していました。

 しかし、彼女曰く、薄味だけど、まあまあ大丈夫な食事なんだそうで、少々、量が少なめだけど、ほとんど動けないから、これくらいの方がいいかも?むしろ、きちんとカロリー計算もされているし、バランス良いお食事なんだそうで、フランスとは全然、違うようです。

 現在は、手術後のために、車椅子でしか動けないのだそうですが、それでも足を使わないリハビリというものがあるのだそうで、それを1日40分程度やるくらいで、あとは、病院でもカンファレンスルームを貸してもらって、仕事をしているのだそうです。

 そんな様子を時々、電話してくれたり、LINEしてくれたりして、知らせてくれるので、手術が無事に終わったと本人から電話をもらったときは、ホッとして思わず泣きそうになってしまいましたが、こうして、離れていても連絡を取れる時代になったということは、ありがたいことです。

 海外にいて、医者にかかることは、私も最初はとても不安なことのひとつだったので、娘についても診察等、しかも手術・・となると日本語という面でも大丈夫なのかな?とも、少し心配していたのですが、全く大丈夫だったようで、内心、私の日本語教育もここまでできれば、もうコンプリートかな?と思って、ちょっと嬉しかったりもしました。

 彼女が入院しているのは、大部屋?で他の患者さんたちとも同室なのだそうですが、他の患者さんたちは、けっこう、重病なのか?全然、ベッドから起き上がることがないので、全然、話すことはないのだそうです。

 個室じゃなかったら、冷蔵庫とかあるの?と聞いたら、冷蔵庫は有料だから、使ってないとかで、けっこう稼いでいるのに、相変わらずしまり屋です。もっとも、飲み物くらいは欲しいでしょ・・と言っても、彼女はふだんからとにかく水だけ・・しかも常温でしか飲まないので、冷蔵庫はいらないと頑として冷蔵庫も使っていないようです。

 この際、病院から出されているものだけで過ごして、身体を整えるとのことで、まあ、好きにしたら・・というか、しっかりしているというか・・。

 もしも、私が日本にいたら、せっせと何か食べ物を作って運んだりしそうなところですが、こんな機会はそれはそれとして、前向きに過ごそうとしている娘のたくましさを感じています。

 しかし、やっぱり病気になったり、怪我をしたり・・となると、離れているのはもどかしいところですが、ひとまず、無事に済んで、より一層、たくましく生活している娘を頼もしく感じたり・・まだ、最低でも一週間くらいは入院生活が続きそうですが、遠くから娘の回復を祈っている毎日なのです。


じん帯切断 入院 手術


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2025年4月26日土曜日

想像以上に酷かったナントの高校でのナイフ襲撃事件 被害者少女に57ヶ所の刺し傷

  


 先日のナントで起こったカトリックの私立高校でのナイフ襲撃事件について、当日の夜の予定だった検察の記者会見が延期され、翌日、行われ、詳細な事件の概要が明らかになってきました。

 検察官によれば、死亡した女子高生が一番のターゲットであったようで、彼女の遺体の検死が行われた結果、彼女が負った刺し傷は57ヶ所にも及んでおり、現場にいた生徒たちの証言から、その現場の一部始終を説明しています。

 この加害者の少年は予めトイレで犯行の準備を整え、変装(黒づくめの服装に顔と目を隠すためにサングラス)をし、額に傷をつけた後に、全生徒に向けての13ページにも及ぶマニフェスト(今回の犯行とは直接には関係ないと本人も述べているが、彼の思想や社会の問題点などについて詳細に書き綴った独特な論文のようなもの)を送信し、最初に襲撃する教室にナイフを持って入っていきます。

 その最初のターゲットになった少女というのが、非常に孤独であった彼が学校内で質の高い対話ができる唯一の人物だったという少女で、彼は全生徒が見ている前で、彼女を攻撃し、ナイフで主に上半身、特に頭部、喉などを刺し続け、彼女が床に倒れたのちもさし続けたと言います。クラス中の生徒が凍り付いてしまうであろう想像するだに恐ろしい光景です。

 単に彼女を殺害する目的ならば、こんなにさし続ける必要はないわけで、明らかに常軌を逸しています。

 教室では英語の授業中であったそうで、担当教員は、数人の生徒とともに、教室から逃げ、加害者の少年は、次の襲撃のために向かいの教室に移動。向かいの教室では、無差別に対象を選び、男子生徒2名、女生徒1名を狙って攻撃を続けていました。

 そこを、下の階にいたIT技術者が悲鳴を聞きつけ、現場に向かい、2つ目の教室で暴れている加害者の少年を椅子で殴りつけ、犯行を止めようとし、今度は、この助けに入ったIT技術者が彼に追いかけられますが、彼は、これ以上、被害が他の生徒に及ばないように廊下の先にあった扉を閉じ、犯人との対話を試み、その後、彼は持っていたナイフをさしだすことに同意したと言います。

 このIT技術者というのが、学校でのどんな立場の人なのかはわかりませんが、今回の惨劇における、まことに勇気のあるヒーロー的な存在です。

 検察官は、「彼は学校内で非常に孤独な存在ではあったが、いじめや嫌がらせの対象であったことは全くない」と断言していますが、非常に孤独であったということは、ほとんど多くの人々からは無視されたような状況ということで、このことが無関係であるとは考え難いことです。

 彼の両親は離婚しており、彼は母親と二人暮らしで、母子関係は良好であったと言われているものの、彼の言動、特にヒトラーへの異常な感心や自殺願望などを母親は大変心配しており、母親の要請により、ロワール・アトランティック青少年協会の教育者らとも6回にわたる面会を続けていました。

 この面会で、何が行われていたかは明らかにされていませんが、このような凶行が行われた後になってみれば、明らかに彼に必要だったのは、精神科の専門的な治療で、また、身柄拘束後、本人も、「自分の病気が無視されてきたことを残念に思っていた」と話しているそうです。

 彼の周囲にいたクラスメイトたちは、皆、彼は非常に静かで、控え目で、おとなしい人だったと語ってるようですが、実は、静かに見える彼の内側には、なにかのきっかけで爆発するようななにか、煮えたぎるようなものが潜んでいたようです。

 彼は逮捕、拘留後、ほぼほぼ、まともに話ができる状態ではないと伝えられていましたが、その日の夜には、拘留を解かれ、精神病院に入院させられたそうです。

 このような事件が起こった場合、もし娘が被害者だったら・・とか、もし、加害者だったら・・などと様々なことを考えさせられます。

 今回の被害者遺族は、被害者の苗字や写真を公表してほしくないと強く懇願しているそうです。

 フランスの場合、この種の事件があっても被害者の家族、加害者の家族などもがマスコミに登場する場合も見られるのには、驚かされますが、今回は、少なくとも被害者の写真や苗字が公表されることはなさそうです。

 彼が正常な精神状態でなかったことは明らかではありますが、この犯行に対する罪が精神障害のために軽減されるのかどうかは、同時に彼がとった非常に計画的な犯行の準備から、どのように判断されるのかは、殺人罪が適用される可能性もあると言われています。

 つい最近、15歳の誕生日を迎えたばかりという被害者の少女、と15歳の加害者の少年。

 私の勝手な印象ですが、未成年の犯罪には、この15歳という年齢が多すぎる気がしています。

 

 ナント カトリック高校ナイフ襲撃事件


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2025年4月25日金曜日

15歳の高校生が授業中にナイフで生徒を襲撃 女子高生1名死亡、3名負傷

  


 ナント(フランス西部ロワール河畔地域)にある高校で生徒によるナイフ襲撃事件が発生し、女子高校生1名が死亡、3名が負傷(うち1名重傷)するという大惨事が起こっています。

 これが、ちょっと危険な地域の公立校だったり、ちょっとドロップアウトしかけた生徒だったり、壮絶ないじめのうえの仕返し行動だったりするのではなく、この学校がいわゆる県下でもまあまあレベルの高い私立のカトリックの学校であり、この犯行に及んだ生徒も警察にマークされていたり、学校内でも問題視されているわけではなかった生徒の突然の凶行であったために、さらにショッキングな社会現象として受け取られています。

 私自身もなんとなく、この学校が私立のカトリックのそこそこレベルの高いと言われている学校だったということで、なんとなく、娘が小学校から高校まで通っていた学校とダブって考えさせられるところがあり、これまで私立なら、ある程度、安心と思っていたのが、こんなこともあり得るのか?と愕然とさせられました。

 事件は、木曜日の昼頃、12時30分頃に授業中に起こったそうで、加害者の少年が当日、同じクラスで授業を受けていたのかどうかは、わかりませんが、一人目の少女を刺してから、別の教室を襲って、さらに3人を刺したと言われています。

 おそらく、最初に刺された少女が死亡したものと思われますが、その後、別の教室に向かって3人を刺したところで、教師が介入して、取り押さえられ、駆け付けた警察官にそのまま身柄を拘束された模様です。

 この最初の少女との間には、なにかしらの口論があったと見られていますが、とはいえ、これが怒りによる興奮からの突発的な犯行ではなく、犯行の15分前に彼は全校生徒に向けて、13ページにも及ぶ「免疫行動」と題された論文のような内容の文書を送信していました。

 この少年は、論文の中で、グローバリゼーションを攻撃し、人間を分解する機械と化した非常に暗い社会を描写しています。また、同時に彼は、「この13ページの文書は、いかなる行為を正当化するものではなく、単に事実を述べているものである」とし、「地球規模の環境破壊:最初の攻撃」、「組織的暴力と社会的疎外:第二の攻撃」、「全体主義的な社会条件付け:第三の攻撃」と3つの部分によって構成されており、ピーテル・ブリューゲルの「人間嫌い」の挿絵も添えられています。

 彼がこの文書とともに「この文書によって書かれている内容はいかなる行為も正当化するものではない」と説明しているように、この文書の内容とクラスメイトを刺すこととは、どういう関係があったのかは、全くわかっていません。

 しかし、彼の犯行が計画的であったことは、ほぼ明らかで、彼はハンティングナイフを含む2本のナイフを所持していたということで、一部の友人には、一週間まえに「さようなら。良い人生を送れるように祈っている。またすぐお会いできるでしょうが、今度はテレビで・・」と意味深な言い方をしていました。

 しかし、教室に居合わせた生徒たちはもちろんのこと、学校内の生徒にとっては相当なショッキングな出来事で、彼らは、事件発生直後から、4時間近く、学校内の体育館に避難させられ、午後4時半過ぎから少しずつ解放されたようです。

 とはいえ、相当にショックを受け、泣き出してしまう生徒たちもいて、すぐに学校の施設の周囲には大規模な警察官が配置され、警察官だけでなくライフルを持った憲兵隊までがずらりとならび、また校内には緊急心理医療ユニットが設置され、これまでに99名がとりあえずの心理的ケアを受けたそうです。

 それはもっともなことで、ふつうの人は人が刺される現場に遭遇することなどないにもかかわらず、白昼堂々・・というか、しかもそれが、学校内、授業中に起こったのですから、その衝撃は計りしれません。

 特に犠牲となった女子高校生の家族にとっては、いつもと同じように学校に行ったと思ったら、学校で刺されて死んでしまうなど、どう考えても受け入れられるものではありません。

 この加害者の少年について、同級生は、「彼は落ち着いた人で、少し内気で控え目な人だった」と見ていましたが、時折、冗談めいて、ナチスやヒトラーなどのイデオロギーや革命について語ることもあったと語っています。

 しかし、一方、スナップチャットのグループでは、過激派や政治家、ナチスなどを説明する動画をたくさん送りつけてくることもあったそうで、そのうち、周囲がついていけなくなった・・と語っている人もいるようです。

 彼は鬱状態であったとの報道もありますが、このような人物(学生)の犯行の場合、日常的には、目立った問題行動は見当たらず、おとなしく、ある程度以上の学力もあったりする場合、問題が思想的なものであったりしても、それを学校側がチェックしてスクリーニングするのは至難の業です。

 娘の通っていた学校は今回の事件が起こった学校と似た感じの私立のカトリックの学校でしたが、非常に厳しい学校で、言動を含む行動などに問題があった場合は、何回かの注意勧告(たしか3回)のあとは、やんわりと転校、退学を促されるような感じだったので、問題のある生徒は学校にはとどまれないようになっていたので、ああいう学校だったら、安心・・と勝手に思っていましたが、今回のような場合、果たして学校は、彼の危険なシグナルに気付くことができたか?と考えると疑問でもあります。

 また、夏のコロニー合宿に行った際には、ディレクトリスから、「あなたのお嬢さんが刺されそうになりました」と電話をもらって、相当驚いた覚えがありました。このとき、娘は小学校高学年くらいでしたが、娘自身は、大してショックを受けておらず、夜、部屋の電気を消すかつけたままにするかで部屋の中の数人でケンカになった末に、当事者の女の子がナイフを持ち出しただけ・・ということで、怪我も何もなく済んだそうですが、子どもから先に連絡が入って親が騒ぎ出すのを恐れて、ディレクトリスの方から先んじて連絡をくれたようです。

 だいたい、小学生の女の子がなんでナイフなんて持ってきてるの?それだけでもおかしいでしょ!と思いましたが、同時に娘には、「学校と違って、色々な人がいるんだから、あまりおかしな子は刺激しないようにした方がいいよ・・」と諭した覚えがあります。

 実際に、私はあの学校なら大丈夫・・と思っていたのです。

 それが、今回のような事件が起こったということは、より難しいことが山積し、複雑な時代になったということでしょうか?


高校生授業中ナイフ襲撃 女子高生死亡


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2025年4月24日木曜日

パリの美味しいお肉屋さん Hugo Desnoyer

  


 パリには絶対に美味しいお肉屋さんがあるはず!と、ずっと美味しいお肉屋さんを探していました。

 とはいえ、日常のお買物は、だいたいスーパーマーケットで済ませてしまうので、そこまで熱心に探していたわけでもないのですが、いわゆる「お肉屋さん」・・お肉だけを売っているお店のお肉の方が美味しいには、美味しいのですが、その中でもとりわけ美味しい「お肉屋さん」というものに、私はこれまで出会ってきませんでした。

 しかし、昨年末頃についに、私は見つけたのです。「これは美味しい!」と感動できるお肉屋さんを・・。

 それは、たまたま、YouTubeでどこかのテレビで放送した番組を流していたもので、ピエールエルメなども登場する日本市場を開拓しようとしている・・もしくは、日本市場に学んでいる各食品の専門家?のルポルタージュのような番組で、パティシエ、ヴィティキュルチュール(ワイン用のブドウ栽培・ワイン製造者)、そして、このお肉屋さんが紹介されていました。

 番組では、彼が日本の和牛を実際の産地数ヶ所を訪れたり、試食したりしている様子や彼のパリのお店などが紹介されていました。




 この番組を見て、そこまで期待してはいなかったものの、パリ市内だし、しかもこのお店、エリゼ宮にお肉を卸しているお店(エリゼ宮御用達)でもあると紹介していたので、まあ、マクロン大統領が食べているお肉・・食べてみたい!と・・ミーハーな気持ちも半分で、そこまで期待はしていませんでしたが、とりあえず、一度、行ってみようと訪れたのが最初でした。

 これまでに、何回か行きましたが、いつ行ってもお客さんがけっこう並んでいて、人気なのがわかります。

 最初に行った時は、とりあえず、ステーキ用の肉を購入。まずは、簡単にステーキにして、ちょっと期待しながら、口に運んだところ、これが感動的に美味しかった!ふだんは、お肉が特に大好きでたまらない!というほどでもない私でも、その美味しさは、感動的でした。


 焼いていても、余分な水分は全くなく、それでいて、ジューシーでひとくち噛みしめると肉汁がじゅわっと広がり、お肉そのものの風味がたまらなく美味しく、もうステーキでありながら、肉は飲み物!といってもいいくらい、すいすいと食べられてしまいます。

 肉は飲み物!というのはオーバーと思われるかもしれませんが、全然、オーバーではありません。それこそ、自分でお肉を買ってきて、家でお肉を焼いて、こんなに感動したのは、初めてのことでした。

 お店自体は、そんなに大きくないお店なのですが、ガラスのショーケースの内側には、数人の店員さんが、次から次へとお客さんの注文を受けて、注文のお肉を切ってくれるので、並んでいても、行列はどんどんはけていきます。

 会計は、別の場所で会計専門の人が担当しているのですが、レジの後ろには、たくさんの注文が書かれたポストイットが一面に貼られています。このお店、小売り以上に多くのレストランにもお肉を卸しているそうで、きっと、そちらに販売されているお肉の量の方が多いように思います。

 一番、最近ではひき肉(こんなお店でひき肉は邪道かともおもったのですが・・)を購入。美味しいお肉はひき肉だって美味しいだろうと思って、買ってきたひき肉でハンバーグとミートソースを作りました。

 ハンバーグは日本風の玉ねぎやパン粉などを入れたハンバーグにしましたが、不思議と玉ねぎやパン粉などを混ぜたのがウソのようにしっかりしたお肉感があり、また、ミートソースにした分もミートソースにしつつも、その中のひき肉を思わず噛みしめたくなるような美味しさでした。

 そんなに近所ではないので、そこまでに頻繁には通ってはいませんが、でも絶対、定期的に行きたいお店のひとつです。今度は、焼肉にするつもりです!

 ただし、このお店の難点は、朝8時からやってくれているのは良いのですが、お昼13時から16時までが閉まってしまうことで、一番、行きやすい時間帯に開いていないことです。(月曜日と土曜日は終日営業のようです)

 現在のところ、私がパリで見つけたお肉屋さんの中では一番、美味しいお肉屋さんです。包装紙も可愛いのですよ!


🌟Hugo Desnoyer 45 Rue Boulard 75014 Paris  8:00~13:00, 16:00~19:30


パリの美味しいお肉屋さん Hugo Desnoyer


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2025年4月23日水曜日

地球温暖化とイワシ

  


 「地球温暖化による気候変動のためにイワシが不漁・・小型化している」という報道を見て、「そういえば、イワシくん・・君を忘れていましたよ・・」と思いました。

 フランスに来て以来、しばらくは、フランスの魚売り場に出回っているお魚を色々と食べてみていた時期もあったのですが、スーパーマーケットなどでは特に、その種類も減っているような気がするし、とにかく高いのに美味しくないというか、高いからといって美味しいとは限らないため、もう探すのもやめてしまった感じなので、たまにマルシェを覗いたりしたときに、「これは!」と思うものがあれば、買うこともあるのですが、フランスでは、すっかりお魚というものを食べる機会が激減しています。

 それに比べて、さすがに日本のお魚売り場の充実具合は素晴らしく、私の中では、魚は日本に行った時に思いっきり食べればいいか・・と、あとは、もっぱら、フランスでの私のお魚は、PICARD(ピカール)の冷凍のお魚(特に鯖の切り身など)に頼っています。

 そもそも、いつ行っても同じ魚が並んでいる感じのフランスのお魚屋さん・・レギュラーメンバーは、なんといっても、よっぽどフランス人は好きなんだなと思われるサーモン、そして、舌平目や鱸(スズキ)、タラなどの白身魚、茹で海老などでしょうか?

 その中に以前は、イワシもあった気がしますが、最近は、そういえば、あんまり目にしなくなっていました。イワシならば・・と以前は時々、買うこともあって、グリルしたり、から揚げにして、南蛮漬けにしたりもしたのですが、姿を消しても、そもそもそんなに存在感があったわけではないので、すっかりその存在自体を忘れていました。

 以前は、そんなイワシの中には、「これ?ほんとにイワシ?」と思うような大きなイワシも並んでいたりもしたのですが、今は市場にもあまり登場しないうえに、小型化が問題になっているようです。

 フランスでは、イワシが最も消費されるのは、いわゆるオイルサーディンのような缶詰めなのだそうで、特に年配の世代には、食べるものがなくなったとき、安全策としてイワシが常にあるようで、缶詰めのイワシは地味に売れ続けている商品なのだそうです。

 そういえば、フランス人の亡き夫も非常食のように、このイワシの缶詰とラタトゥイユの缶詰を常に買い置きしていたのを思い出します。

 遡って2000年から2010年の時点で崩壊の道を辿っていた地中海のイワシ漁では、すでにサイズの縮小が見られていました。これは、地球温暖化による魚の餌となる動物プランクトンの減少や変化によるものと言われてきました。

 このため、イワシはより温かく、酸素の少ない海で、小さく質の低下した獲物を食べるためにより多くの努力をしなければならず、そのためにより多くのエネルギーが必用となります。その結果、イワシは15年間で50%も小さくなっています。

 小さいイワシの場合、内臓を取り出すのも缶詰めにするのも手作業なのだそうで、労働集約度は2倍かかることになります。

 網を張り巡らせてイワシを量獲する巻き網漁師は、特にアジやサバの漁獲量が大幅に削減されて以来、この小魚?に大きく依存していたと言われていますが、このイワシ漁も成り立たなくなりつつあり、漁業から離れる若者が急増しているとか・・。 

 不漁に加えて、このコスト高でイワシの缶詰めは品薄状態なのだそう・・。

 私の場合、缶詰めも含めてイワシの存在自体を忘れていたくらいなので、イワシの缶詰め売場もあまり見ていないので、正直、品薄なのか気付かなかったくらいなのですが、その存在を思い出してみると、アレンジしてみれば、結構、食べられる食材だったのではないか?と、今度、買い物に行ったら、イワシの缶詰めを調達してこようと思っています。

 それにしても、海は繋がっているのに・・なんで、これしか魚がないの(魚の種類)?と恨めしく思った時期もありましたが、要は需要と供給の問題もあり、そもそも、魚は圧倒的に人気がないのです。


地球温暖化とイワシ


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2025年4月22日火曜日

ノートルダム大聖堂に鳴り響く88回の鐘の音 ローマ教皇ご逝去

  


 ローマ教皇といえば、全世界のカトリックの頂点であり、カトリック教徒にとっては、神のような存在であるとともに、大変な権力者でもあります。

 そのローマ教皇(フランスではパップ・フランソワと呼ばれている)のご逝去に接し、パリ・ノートルダム大聖堂では、彼の死を悼み88回の鐘が鳴らされました。

 宗教を否定するつもりはありませんが、どちらかといえば、派手なイメージのあるカトリック教会の在り方は、無宗教の私にとっては、宗教としては、あっさり受け入れ難い部分もありました。

 とはいえ、カトリックとは、ある種のご縁を感じないこともなく、私が大変お世話になった大学の恩師もカトリックの神父様でもありましたし、娘は小学校から高校までフランスの私立のカトリックの学校に通っていましたし、夫が突然、亡くなった後は、ただちにカトリックからご援助をいただき、学費はカトリックの教会(協会)が負担してくださいました。

 私も若い頃にその自分のお世話になっていた教授から、ずいぶんカトリックについての講義なども受けましたが、信仰には至りませんでした。私はその教授(研究)に神髄していたので、できるなら、教授の導かれる信仰を持ちたいと思ったこともあったのですが、どうにもそれ以上、踏み込むことはできませんでした。

 当時、そんな信仰にいたらない自分の気持ちを教授に一対一でお話したことがあったのですが、「大丈夫、信仰は無理に持つものではなく、必要なときは自然に訪れますから・・」と諭されたことを今でも覚えています。

 話は逸れましたが、恐らく多くの人々と同じように、ヨーロッパに長く住んで、どこかに旅行すれば、その地の大聖堂などを訪れたりもしましたし、昨年末に再開したノートルダム大聖堂にもたまに、思い出したように入ってみたりもしますが、私にとっては、観光地のひとつのようなもので、しかし、そのいくつかには、中で、突然、不思議な感覚に襲われることもありました。

 今回のローマ教皇のご逝去に関してのように、亡くなってから、多くの報道を見たりして、あらためて、「あ~こんな方だったんだ・・もっとご存命中に色々、知りたかった・・」と思うことは少なくありませんが、まさに今回、同じことを思いました。

 お加減が良くないことは、ここ数日、イースターを控えたミサの様子などで、聞いてはいたのですが、お辛そうではありながらも、前日まで公のミサでお話をしていたりされていたので、まさか・・と驚きました。

 彼は、カトリックの過度な権力支配的、腐敗した構造を嫌い、その改革に取り組み、もっとも貧しい人々に手を差し延べ、移民の運命や環境問題についても、強い問題意識を持ち、極めて人道的なヒューマニストであったそうで、没後すぐに、彼の功績を讃える声が多くあがっています。

 思えば、昨年12月のパリ・ノートルダム大聖堂の再開セレモニーには、カトリックの大司教として当然、参加すると思いきや、「自分は社交行事の教皇ではない」と、マルセイユとコルシカ島を訪問していたというのですから、ここにも、彼の強い意志と毅然とした態度が表れており、私は、このことにもっと注目すべきだったと今になって思っています。

 ノートルダム大聖堂は、あなたはいったい何者?と思うほどに、マクロン大統領が前面に登場し、ウクライナからゼレンスキー大統領や就任直前のトランプ大統領まで招いて、まさに政治・外交の場と化していました。多くの政治的だったり、商業的な思惑が見え隠れし、ノートルダム大聖堂の入場料を取るなどという話まで浮上し、この際も「祈りの場であるはずのカトリックの大聖堂で入場料などもってのほか!」とパップ・フランソワが大反対していると聞いていました。

 無信仰者が増えたとはいえ、それでも29%近くはカトリック教徒(多宗派を含む)というフランスでは、この大教皇のご逝去のニュースはその日のトップニュースで大変、大きな扱いでした。

 奇しくも、彼の命日になったのは、イースター(復活祭)の祭日だったのは、なにか、とてもドラマチックであったような気もします。

 その日は、パリ・ノートルダム大聖堂では、夜通し祈祷が行われました。


ローマ教皇逝去 フランシスコ大教皇 パップフランソワ


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2025年4月21日月曜日

政府も警鐘を鳴らすSNS上の危険な極端な痩せを推奨する「Skinny Tok」スキニートックの流行

   


 夏に向けて、真剣にダイエットに取り組もうと思うのは、女性ならば、誰でも経験があるとも思われますが、現在、問題視されているのは、単にほっそりしたいとかいう程度のダイエットではなく、「極端に痩せたボディ」への推奨動画です。

 これは、主にTikTokを中心に若い女性の間でトレンドとなりつつある拡散を示しており、これを見ると、明らかに病的とも思えるような痩身の女性が「痩せること」への崇拝を促し、太ることへの嫌悪感を増長させるような内容のものになっています。

 TikTokの#SkinnyTokのトレンドは、極端に痩せているという理想を追い、個人の健康状態や体型に関係なく、モデルのような体型を実現させるために体重を減らすことをユーザーに推奨しています。これらの怖いことには、SNS上ではアルゴリズムが自動的に機能して、ひとたび、これを見たり、反応したりすれば、それが正しいことであれ、間違ったことであれ、次から次へと同様の映像が流れ続けることで、ますます洗脳され、最悪は「摂食障害」への扉が開かれることになります。

 正直、そんな映像を見ても、およそ魅力的とは感じ得ず、むしろ、病的な痩せ方なのですが、これらの映像には、「あなたは醜いのではなく、ただ太っているだけ・・」とか、「痩せれば、この美しい顎のラインが強調されます」とか、「この鎖骨がポイント!」などと語っているものもあれば、「あなたはおやつを食べたいですか?おやつになりたいですか? 痩せていると感じることほど美味しいものはありません!」など、叱咤激励しています。

 また、これらの映像に反応して1ヶ月で10㎏痩せたという女性は「唯一の確実な解決策は食べるのをやめること!」、あなたのお腹がグーグー鳴ったとしても、それは、あなたへの拍手喝采であり、激励してくれているのです」などという内容を投稿していたりします。


   


 これら「Skinny Tok」のトレンドがここ1ヶ月程度でフランスでも急上昇していることに、懸念を示し、フランスの国会議員は、3月初旬、TikTokが子どもや青少年に及ぼす心理的影響について調査する委員会の設置を承認しました。

 また、デジタル相は、TikTok上での極端な痩せを推奨する「Skinny Tok スキニートック」の流行は容認できないとして、メディア規制局と欧州員会に連絡をとったと伝えられています。

 ダイエットに関しては、若い女の子の場合、全然、太っていない女の子に限って、やたらとダイエットしたがるような気もします(きれいな女性ほど何回も整形を繰り返すような気もするし・・)。

 しかし、今回の場合は単なるダイエットの域を超えており、極端な痩せ体型を推奨していることが、これまでのダイエットとは違うところ・・。

 全然、美しくないし、全然、魅力的じゃない。

 もはや、捨て置けない問題として、テレビのニュースなどでも、ジャーナリストたちが顔をしかめて、「これは絶対によくない!ティーンエージャーを持つ親御さん、ご注意を!」などと呼びかけています。


Skinny Tok  スキニートック TikTok


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2025年4月20日日曜日

オリンピックの影に泣いた人々への補償は置き去りのまま・・

  


 パリオリンピックが終わって、早や8ヶ月以上が経過し、華やかにオリンピック仕様に飾られていたパリの街にオリンピックの痕跡はほぼほぼ残っていません。ついこの間、まだ、フリージュ(パリオリンピックのマスコット)がペイントされたゴミ収集車を見かけて、「あれ!まだ、あったんだ・・」と思ったくらいです。

 本当にパリは、このオリンピックのために長いことメトロの工事をしたり、オリンピック会場になるスタジアム近辺の駅を改装したりと準備をしていました。しかし、依然として14号線の拡張工事が続いているのを知って、必ずしもオリンピックのためだけでもなかったんだな・・とも思いましたが・・。

 オリンピックともなれば、大変な観光客が舞い込んでくると誰もが思っていましたし、私自身も、近所にわりと大きめなホテルがあるために、「このホテルもオリンピックのときには、満員になるんだろうな・・」となると、近所のバス停などは、えらいことになるだろう・・どうしよう?などと思っていました。

 このオリンピックで大混雑になるパリを見込んで、パリおよびパリ近郊のホテルは1年前からオリンピック期間中の値段を爆上げし、結果、蓋をあけてみれば、予約が埋まらない状態になりました。

 また、このホテル価格の爆上げに加えて、セーヌ川でのオリンピック開会式に向けてのパリ市内、広範囲にわたる通行止め(歩行者も含めて)状態にオリンピック開会式前後などは、前代未聞のガラ空きのパリ・・こんな空いているパリ、滅多にない・・状態でした。

 私などは、いつもは混雑している場所を軒並み渡り歩いて空いているパリを満喫しましたが、オリンピックの観光客で売上げ倍増!と目論んでいたパリの商店・レストラン(特に通行禁止に指定された地域の商店・レストラン)は、軒並み閑古鳥が鳴く状態になりました。

 つまり、この地域の商店・レストランなどの経営者は、特にオリンピック開会式の前後、1ヶ月近くは売上げが激減し、補償を求める声が強く上がっていました。

 この声が大きくなることを恐れた政府は、オリンピック開会式直後、2024年8月1日付で、経済産業省が補償についての説明の書簡を出しています。

 「2024年パリオリンピック・パラリンピックをフランスで開催することは、我が国にとって大きなチャンスであると同時に行政機関にとって大きな挑戦でもあります。すべてがスムーズに進み、全ての人の安全が保証されるためには、特定の場所、エリア、ルートへのアクセスを制限または禁止する必要がありました。このエリアには、経済的な損失を被るケースが生じる場合は、補償が可能となります。ただし、補償の対象となるのは、政府が行った制限的な決定に関連する経済的損失に限られます」

 おそらく、欲張って価格を高騰させた結果に顧客に逃げられたホテルなどは、補償の対象にはならないということだと思いますが、とにかく、少なくとも、この通行止めのエリアの商店やレストランに関しては、彼ら自身には、何の咎もなく、本当に遠くから眺めるにも、お気の毒な気がしたものです。

 ところが、この補償、オリンピックが終わって8ヶ月以上が経過したというのに、まだ支払われていないどころか、補償委員会さえも設立させていないそうで、さすがに「ふざけんな!」との声が上がり始めているようです。

 2024年を通しての売上げがすでに出ている中、これに該当するエリアの店舗は、年間売上げが10%~12%減少しています。

 個人的には、ノートルダム大聖堂近辺の商店などは、2019年の大聖堂の火災以来、まさに踏んだり蹴ったりだったと思います。

 当然、火災により、ノートルダム大聖堂への観光客は長期間にわたり激減、それでも、さすがにノートルダムだけあって、焼けた跡でさえも、観光客の足が全く途絶えることはなかったとはいえ、さすがに修復中の間は観光客は少ないことはたしか。

 せめて、オリンピック期間には!と観光客を期待していたところが、まさかの通行止めに・・。

 オリンピックが済んでしまえば、オリンピックのことは、もうすっかり忘れて・・となりがちなところに、この補償問題は置き去りにされてきたようです。

 奇しくも、フランスは、オリンピック後に政権が2度も変わったこともあったりして、終わったことに関しては、置き去りにされてしまったのもわからないでもないのですが、当事者にとっては、死活問題です。

 税金などは、滞納したりすれば、追徴金が加算されたりもしかねないわけですから、この補償に関しても、速やかに対応すべきだったと思います・・が、補償委員会も設立されていないというのですから、払う気がないと思われても仕方ありません。

 「いいかげんにしろ!」と声をあげ始めた約100人の店主は、被害者委員会を設置しました。

 これに対し、パリ警察署長とイル・ド・フランス(パリ近郊)地域圏知事は、ようやく4月末までにこの補償委員会を設立することを確約しました。

 ここで、ようやく補償に向けての動きがスタートする兆しが見え始めたところです。

 取り立てるときは、強引なのに、支払う段になると、ものすごく時間も手間もかかるのは、世の常とはいえ、あまりに気の毒な話です。


オリンピック被害の補償


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2025年4月19日土曜日

ペリエ ナチュラルミネラルウォーターラベル剥奪の危機

  


 「ペリエを生産しているヴェルジェーズのガール工場で、ペリエの75clボトルの炭酸水に病原性の腸内細菌が検出され、生産ラインが停止、369パレット、すなわち約30万本のボトルが廃棄された」という報道に、正直、「また、ペリエ・・まだ、改善されていなかったのか・・」とガッカリというか、ウンザリしました。

 ペリエに関しては、過去に何度もその品質汚染についてが問題視され、その度に、大騒ぎになるものの、問題のあったボトルに関しては廃棄、改善命令・・という動きが何度も続いてきました。

 ペリエをはじめとした「ネスレグループ」のナチュラルミネラルウォーターについては、私の知る限りでは、2021年から問題が大きく取りあげられて問題視され、それは水源から汲み上げた水のフィルター処理の問題も浮かび上がり、水質汚染とともに、ナチュラルミネラルウォーターとしての製品には、認められていないフィルターを使用していたことなどもわかっていました。

 問題提起は政府のトップにまで上がっていたにもかかわらず、エリザベス・ボルヌ政権は、ネスレグループとの間にこれを認めて、このフィルター規制を免除しており、後に、トップ同士(ボルヌ元首相とネスレグループ)での密談が行われていたことまで明らかになっていました。

 その際にも指摘されていたのですが、要は、このペリエ(ネスレグループ)の水源は、もはやナチュラルミネラルウォーターの水源としては、成り立たないほどに汚染が悪化してしまったということで、これをなんとか、使い続けるためにペリエ工場は、本来はナチュラルミネラルウォーターには使用できないフィルターを使ったり、それを使っていたとしても、さらに病原性の最近が混入してしまうという事態に陥っているのです。

 ところが、今回もペリエ側(ネスレグループ)は、「水源の水質とは無関係で単なる工場内の品質管理処置に問題があったため」と答えています。

 これに対して、この工場のあるオクシタニー地方保健局は、「ネスレウォーターズとの協議が予定されているものの、ナチュラルミネラルウォーターとしての資格剥奪、完全な製造停止勧告にまで及ぶ可能性もある」ことを表明しています。

 ラジオフランスの取材によれば、オクシタニー地方保健局・事務局長は、ヴェルジェーズにおけるナチュラルミネラルウォーターの生産を今後、一切、認可しないことを勧告しており、これは、採掘している全ての水源に適用され、具体的には、このペリエが消滅することを意味しています。

 食品メーカーにとって、その衛生管理・品質管理に関するスキャンダルは致命的と思われるところを数年にわたり、問題視されているにもかかわらず、不誠実な対応とそれを容認していた政府には憤りを感じざるを得ません。

 2022年の段階で、IGAS(社会問題総監察局)が当時の経済相に提出していた報告書では、問題のフィルターの使用を含めて、現在の精密濾過システムではすべてのウィルスを濾過するには充分ではなく、特定の細菌が通過してしまうリスクの可能性について警告しています。

 にもかかわらず、どういうわけか、それがそのまま見過ごされ続けていることは、どうにも歪な政府の対応とネスレグループの舐め切った対応です。

 ペリエというブランド・・ネスレグループという巨大グループ、ペリエという名前があるからこそ、消費者は一定の安心を買っているようなところがありますが、このグループが巨大であるゆえに、問題を改善せずに、政府さえも丸め込んでしまう力を持ってしまうことも皮肉なことです。

 ネスレウォーターズは、現在、市場に出回っている製品に関しては、一切問題はないとしていますが、こんな話を聞いてしまった今は、どうにものばそうとしていた手が引っ込みそうです。


ペリエ汚染水問題


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2025年4月18日金曜日

「孤独のグルメ」に登場するレストランに行ってきました! Le Bouclard Paris

  


  「孤独のグルメ」という番組は、長く海外に住んでいる私でも、いつの間にか、なぜか知っている日本の人気番組で、食べることが好きな私は、好きな番組でもありました。主人公の五郎さんが美味しそうに食べる食事に「ほ~っ!美味しそう!食べてみたいな~、このお店、行ってみたいな~」と思うことも少なくありません。

 これまでは、日本のお店だったので、日本に一時帰国した時に行ってみたいな~と、思ったりもしていたのですが、日本に行ったら行ったで、他にも食べたいものは、たくさんあるし、東京とは限らず、なかなかチャンスがなくて、実際に行ってみたことはありませんでした。

 それが、最近、「孤独のグルメ」の映画が出て、五郎さんがパリにやってきた!という話を聞いて、「五郎さんがパリで行ったお店!行ってみたい!」と野次馬根性で行ってきました。

 しかし、私は実際には映画は見ていないので、どのように美味しそうだったのか?どんな風に描かれていたのかは、全くわからないので、ミーハーもよいところなのですが、サイトを見てみると、メニューは、まあまあ、なかなかのフレンチで、昼、夜のフォーミュルならば、アントレとメイン、もしくはメインとデザートをいくつかのメニューからそれぞれ選べるようになっていて、それにグラスワイン(赤か白)とコーヒーがついて、30ユーロとまあまあ良心的なお値段だったので、これならいいな・・と行ってみました。

 場所はパリ19区、クリッシー広場から歩いて5分くらいのところにあります。

 大きな通り沿いではないし、外観もそんなに目立つ感じでもなく、外から見ると、「えっ?今日やってないの?」と一瞬、思ってしまう感じだったのですが、扉を開けると、そこには、独特な味のある感じの空間が広がっていました。



 店員さんは、とても親しみのある感じの人々で、暖かく迎えてくれました。

 私は、フォーミュルのメニューの中から、アントレにエスカルゴ、メインにロニョン・ド・ヴォー(子牛の腎臓)を選び、それに五郎さんが食べたと聞いていたオニオングラタンスープを追加して注文しました。

 近くには、老夫婦が和やかに食事をしていて、まさに同じフォーミュルから私と同じものを食べていらっしゃいました。時々、様子を見に来てくれるお店の給仕の人と、なにやら、他の臓物料理の話をしていて、「ロニョンやトリップなど、私たちはふだんから、色々、食べているし、自分でも料理するけど、ここのは最高!」と絶賛していました。

 このご夫婦、今年でちょうど?結婚59周年だそうで、デザートのアイスクリームとマカロンにろうそくをたてて、お祝いしてもらっていました。

 私は、ロニョン・ド・ヴォーというものは、これまで食べたことがなく、一度は食べてみたいと思っていたので、今回は良い機会だと思って頼んでみたところ、店員さんは、「これが何だか?わかって注文していますか?」とちょっと心配してくれました。私は苦笑いしながら、「大丈夫、ちゃんとわかっていますよ・・」と言いながら、「でも、どんな感じに出てくるかはわからないけど・・」と内心、思っていました。



 注文が終わると、アペリティフの温かいチーズ入りのシューを二つ持ってきてくれました。中身のチーズは「コンテ」ということでしたが、これが軽くてちょっとかじるとチーズの香りがふわっとして、とっても美味しかったです。




 次に出てきたのが「エスカルゴ」・・陶器のエスカルゴ用のお皿にグツグツいいながら、出てきます。多くは、エスカルゴの殻ごと焼いたものが出てくるのですが、ここのものは、殻から出したものを焼いてくれるので、食べやすく、あっという間に完食。塩味はわりと薄めでした。



 次は私が追加で注文していた「オニオングラタンスープ」こちらも、当然のことながら、焼き立ての熱々、ぐつぐつ状態ですが、これがまた、絶品でした。 ここのオニオングラタンスープは30ヶ月もののコンテを使用しているということで、チーズもたっぷり、もっちりしていて、もうお餅くらいにたっぷりしていて、ぐわ~~んと伸びます。スープ全体の味ととてもよくマッチしていて、もちろん玉ねぎもたっぷりどろどろ入っていて、とても濃厚なスープで、見かけは小さく見えますが、実はとても食べでがあり、もしかして、もうここまででよかったかも?と思うほど、かなりのボリュームがあります。




 そして、その後に登場したメインの「ロニョン・ド・ヴォー」ですが、マスタードソースで、プルロット茸(日本語ではヒラタケというらしい)が入っています。マスタードとクリームのソースがとてもよくマッチしていて、何よりもどこかサックリ、どこかふわっともっちりとした食感がなかなか見事でした。

 マッシュポテトが添えられており、このマッシュポテトもさすがプロが作るものは、違うな・・と感心しました。




 最後に可愛いタスにコーヒーが出てきますが、コーヒーはもちろんですが、それに添えられていたヌガーがとても美味しく、普段、ヌガーなど、ほとんど食べないのですが、甘さがかなり抑えられていて、とても食べやすい軽いヌガーでコーヒーのお供には、なかなか優れものだと思いました。

 このお店、初めて訪ねていくにあたって、少しネット等で見てみたのですが、けっこう知る人ぞ知る有名店のようで、色々な紙面(誌面)に紹介されていますし、いくつかの映画のスタジオやレコード会社が近くにあったこともあり、美食家のセレブが訪れるお店でもあるようで、ある誌面では、「ここのゲストブックは社交界の名簿のようだ」と書かれています。



 そこまでフォーマルな感じというよりも、むしろ独特世界観のあるレトロな雰囲気も併せたユニークなお店ですが、妙にとても落ち着く感じもあります。

 店内にも「パリジャン紙」に紹介された記事などが飾られていましたが、残念ながら、「孤独のグルメ」については、影も形もない・・と思っていたら、数々の展示品の中にフワッと「五郎さん(松重豊氏)」の絵葉書が一枚ありました。




 こんなさりげない置かれ方もまた、「なかなかカッコいいな!」と思ってしまうのでした。

 偶然、ふらっと見つけて入るような感じの場所でもなく、一瞬、ちょっと入りづらい(高級すぎる感じで腰が引けるとか、そういう感じではない)感じもするけれど、独特な世界観があり、落ち着いた良い感じのお店です。

 今回、私が頂いたのは、3種類だけでしたが、おそらく、どれを食べても美味しいのではないかと思われます。

最寄り駅 Place de Clichy


 しかし、パリでまで、「五郎さん」にお店を教えていただけるとは・・まったく恐れ入ります。

 ところで、この映画、なかなかのヒットのようで興行収入10億円を突破したらしいです。


🌟Le Bouclard 1Rue Cavallotti 75018 Paris 


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2025年4月17日木曜日

3夜連続のフランス各地の刑務所襲撃 刑務官たちの車が燃やされ、刑務所に銃撃弾の異常事態

  


 まだまだ・・というか、知らないフランス語がたくさんある中で、「DDPF」というのを初めて聞きました。「DDPF」は、「Defense des Droits des Prisonniiers Français」の頭文字を重ねたもので、「フランスの囚人の権利」という意味です。

 これまで多くの場面で様々なフランス人の「権利の主張」を目にして、当然の権利だろうと思われるものから、中にはビックリするような権利の主張を見てきました。

 今、思い出すちょっとビックリした権利は、行方不明で捜索願いがでていた人に対して、ニュース番組で、ああでもない・・こうでもない・・こんな可能性などもある・・などと警察関係者?や専門家たちが何やら喧々囂々と議論しているときに、その中のある人が「でも、人には、失踪する権利、いなくなる権利・・というものがあるから・・」と言い出したのに、とても驚いたことがありました。

 今回の「フランス囚人の権利」というのも、なかなかびっくりしました。囚人といえども人権はある・・ので、ある程度の人権は保護されるべきだとは思いつつ、それがふつうの人のようにはいかず、多くの行動において制限されるのが刑務所だとも思うのです。

 もっとも、今回の「DDPF」は、大雑把にいえば、囚人たちの仲間が同時多発的にフランス各地の刑務所をこれで3日連続、襲撃している事件で、この襲撃している者たちが、スローガンのように刑務所や、刑務学校などを狙って襲撃と同時に「DDPF」と車や建築物、刑務所の壁面などに、落書きしまくっているようで、さすがにこの襲撃を襲撃する権利とまでと言っているわけではありません。

 このフランス各地の刑務所を中心とした襲撃事件は、トゥーロン、マルセイユ、ヴァランス、ナンテール、ムラン、ヴィルパント、アジャンなどなど、今週明けくらいから、毎晩のように起こっているようで、組織的なテロ行為と見られています。

 これは、とても偶然に刑務所および刑務学校ばかりが同日、連日、起こっていると考えるのは、むしろ不自然で、中には、刑務所にカラシニコフの銃弾が撃ち込まれたり、刑務官たちの車が燃やされたりすることがかなりの規模で行われているのは、不気味な動きでもあり、恐ろしいことでもあります。

 これら全ての襲撃は、今年になって発表された「麻薬密売人専用の厳重警備刑務所」や「刑務所警察部隊」の設立をはじめとする組織的な麻薬密売組織への厳しい処遇などに反発する組織的なムーブメントであるとも言われています。

 これは、昨年5月に起こった囚人護送中に起こった「刑務官射殺のうえの囚人逃亡」事件以来、刑務所の中でも携帯電話使い放題問題、刑務所内から外に向けて新たな犯罪を指揮する組織の問題などが次々と明らかになって、この刑務所内の管理体制が少しずつ強化されているもので、これらの事態に麻薬密売組織がある種の暴力的、破壊的な抗議行動に出ているものと見られています。

 また、この動きを組織的に指示して、統括しているのが、刑務所内にいるのか、外にいるのかはわかっていませんが、いずれにしても、相当な大規模な組織であるということは、同時に広範囲の刑務所に向けて行われていることからも明らかです。

 車を燃やされたり、命の危険に晒されている刑務官からしても、たまらない・・というか、やってられない事態でもあります。

 国家テロ対策検察庁(Pnat)は、この事件の捜査を担当し、司法のテロ対策副局(Sdat)、国家警察の関連地域局および国内治安総局(DGSI)に捜査を委託すると発表しています。

 それにしても、刑務所まで警備が必用とは・・ため息も出ない気持ちです。


フランス各地刑務所襲撃 DDPF


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2025年4月16日水曜日

エルメスがLVMH(ルイ・ヴィトン)の時価総額を上回り業界トップに!

  


 エルメスがLVMH(ルイ・ヴィトン)に勝った!・・といっても、株式市場での話ではありますが、ルイ・ヴィトンだけでなく、ディオール、セリーヌ、フェンディ、ショーメ、ティファニーなどの複合企業であるLVMHは、この株式市場においても、これまで圧倒的な存在で、他の追随を許さない不動の一位を保ってきたのですから、その競合であるエルメスにその座を奪われたことは、歴史的なことでもあります。

 エルメスは、今週火曜日、パリ証券取引所で同日、取引終了後の価格で株式時価総額が2,486億ユーロに達し(一時的には3,000億ユーロを超えた)、LVMHの2,443億9,000万ユーロを大きく上回りました。

 この展開は、前日に発表されたLVMHの第1四半期の売上高にアナリストによって失望とみなされたことにより、LVMHの株価が急落したことによるもので、米国による関税引き上げも大きく影響し、LVMHの株価は1月の初め以来、株価は23%以上下落を続けていた果てに起こったことだと言われています。

 これに反して、エルメスは、この危機に直面しておらず、1月初旬以降、上昇しており、高級品業界全体にとって、より厳しい状況が続いているの中で注目すべき進歩であることが注目されています。

 エルメスは高級品に対する世界的な需要の減速を競合他社よりも上手く乗り越えていると言われており、エルメスはそのターゲットを「超富裕層」に絞ると同時に商品の希少性の倫理で運営することで、その商品そのものの価値を上昇させ、合理的な価格上昇を基盤としています。

 この希少性を高めることにより、エルメスはよりブランドに対する信頼の証を強め、強固な価格決定力と製品の長いウェイティングリストを誇っています。

  最近、パリのメインと言われるエリアには、「えっ?ここにもルイ・ヴィトン?しかも、こんな広いスペースで?」と驚くほどに、拡大していると思われるルイ・ヴィトンに対し、エルメスは頑固に店舗を増やさず、しかも、ともすると、全くやる気なし、商売っ気ない?と思わせるような感じさえあります。

 私自身は、自分でこのようなハイブランドには興味はないのですが、少し前に日本に住んでいる従姉妹に頼まれて、エルメス本店に彼女のご希望の商品を探しに行ったことがあるのです。

 従姉妹によれば、日本では、どんなに探しても買えないとのことで、もしかして、パリの本店に行けば、買えるかもしれないから見てきて!とのことでした。パリのエルメス本店に行って、聞いてみると、店員のお姉さんによれば、「ああ、それ、素敵よね!でも、今は、その商品はなくて、次にいつ入荷するかもわからないの・・」とのことで、まったくやる気ないというか、商売っ気がないな・・と思ったものです。

 しかし、これこそが「希少性」のマジックで、従姉妹曰く、「とにかく、いくらでもいいから買ってきて!日本では絶対に手に入らないから・・」ということで、まさにこの希少性の罠?にハマっているわけで、こうして、手に入りづらいことから、どんな強気な価格で販売しようとも、売れてしまうわけです。

 たしか、小さなポシェットのようなバッグだったと思いますが、軽く10万円は、超える価格、ちょっと常識では考え難い値段、まさに「超富裕層」をターゲットにしていることがうかがえます。

 無理に急いで大量生産せずに、悠々と品質を保ちながら、価格を余裕で高価格に設定できるエルメスの基本理念が見事に成功しているように思います。

 もっとも、2024年の売上高、営業利益を見れば、LVMHは、売上高847億ユーロ、営業利益196ユーロに対して、エルメスの売上高は152億ユーロ、営業利益は62億ユーロと少ないのですが、株価は将来性やトレンドなどある意味、現段階でははっきり見えない部分を予測した価格が繁栄されるので、現在の利益がそのまま反映するものではありません。

 10年前には、エルメスを買収しようとしていたLVMHにとっては、頑として買収を許さなかったエルメスに圧倒的1位の座を奪われる日が来ることを想像していたでしょうか?

 しかし、その経営方針から、今や両極?のようになった2つのハイブランドの企業が相容れなかったことは明白です。


エルメス時価総額LVMHを上回る


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2025年4月15日火曜日

性加害を加えた犯人の釈放により、自らの命を絶ってしまった少年

  


 17歳の少年が18歳の誕生日を迎える3日前に自らの命を絶ってしまったのは、投獄されていた彼を襲った性加害者が懲役5年のところを減刑されて、わずか2年4ヶ月の服役ののち、釈放され、よりにもよって、彼の住まいから3キロほどしか離れていない場所に戻ってきてしまったことにあるとし、彼の両親は、司法は被害者に対する配慮が欠けていると訴えています。

 この惨劇には、いくつもの悲劇が重なっていたように思いますが、過去にフランスで起こっている性加害暴力事件などを見ても、性加害を訴えて、犯人を逮捕、拘留、投獄するまでは行っても、その後、この加害者たちの釈放後の措置、また、被害者への配慮は明らかに欠けているように思えてなりません。

 そもそも、この少年が性加害を受けていたのは、彼が12歳のときからのことで、この加害者は、少年を含む家族のかつての隣人であり、家族ぐるみで良好な関係の間柄の人物で、しかも加害者は50歳(当時)の男性。彼はこの事実を両親に打ち明けるまでに時間を要したうえに、さらに性的虐待を受けた児童を支援する団体に通報するまでに3年もかかり、加害者が有罪判決を受けるまでにまたさらに1年がかかっています。

 また、この男、なんとこれが初めてのことではなく、2007年と2014年にも同様の行為ですでに有罪判決を受けており、再犯を重ねている人物。しかも懲役5年の判決を受けながら、模範囚であったとかで、なんと本来の半分以下の刑期である2年4ヶ月で釈放。

 そのうえ、被害者宅からさほど離れていない場所で再び生活を始めるという被害者家族にとったら、信じられない状況です。これを司法が放置しているのは、許せないと両親は激しい怒りをあらわにしています。

 彼の両親は、少なくとも検察側は、加害者が釈放される場合は、前もって、被害者に警告する措置をとってほしいと訴えています。これに対して、検察側は、加害者の釈放は、事前に被害者家族に通知の手紙を送っていたと主張していますが、被害者家族はそんな手紙は受け取っておらず、彼の釈放は知人から偶然聞いて知ったと告白しています。

 現在の司法では、検察は、被害者に対して加害者の釈放を告知する義務はないそうで、検察側は、手紙を送ったとするも、これを公開する義務はないと主張しています。

 この被害者の少年は、この加害者の釈放を知ってから、Instagramで、彼が釈放されたことに対する自らの恐怖との闘いをつづっており、また、彼の死後、自身の携帯電話から、「自殺願望書・最終版」と銘打った別れの手紙が発見され、そこには、彼が自ら命を絶つことの一番の動機は、加害者の釈放であると明記されています。

 当時12歳だった少年がどれほど心と身体に深い傷を負っていたかと思うと、なんとかならなかったのか?と憤りが湧いてきます。

 検察側は、加害者は釈放したとはいえ、電子ブレスレットを装着し、被害者および被害者家族に接触することは禁止されていることを強調しています。

 さらなる悲劇は、この亡くなった息子の誕生日に彼の両親は彼の棺を選びに行ったという何よりもやるせない日になったことです。

 性加害という犯罪は、最も再犯率が高いといわれる犯罪であるにもかかわらず、この犯罪者の釈放に関して、最も慎重に行わなければならないはずだと思うのです。


性加害を受けていた少年 自らの命を絶つ


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2025年4月14日月曜日

ソフィ・マルソーと柔道家テディ・リネールがかけつけた大阪万博フランスパビリオン

  


 賛否両論飛び交っていたらしい大阪万博には、フランスからは、女優ソフィ・マルソーとパリ・オリンピックのゴールドメダリストの柔道家テディ・リネールがフランスパビリオンの開会式に参加しました。

 多くの国が技術革新に焦点を当てる中、フランスパビリオンは、ロダンの彫刻やジブリアニメスタジオ風のオービュッソンのタピストリー、ノートルダム大聖堂のガーゴイル、フランスの誇る数々のハイブランドやアルザスワインなどが展示され、ビストロスペースも設けられています。


 また、樹齢1,000年のオリーブの木がフランスから運ばれてきているとのことで、内心、樹齢1,000年の木をそんなことして、大丈夫?とも思います。

 巨大な白いカーテンで覆われたフランスパビリオンは、一部、写真を見る限りでは、なんとなく、ディオールのギャラリーを想起させる感じもあります。

 このフランスパビリオンのテーマは「愛の讃歌」で、壊れることのない絆で結ばれた二人の人間の結びつきを想起させる共通の糸である日本の伝説「赤い糸」からインスピレーションを得ていると言われています。

 オープニングにかけつけた女優ソフィ・マルソーは、「赤い糸は、希望と忍耐を結ぶ力強いシンボル、私は14歳のときから、日本に対して長い歴史、忠誠心のようなものを感じてきました」と挨拶。

 雨天の中、大阪万博への最初の来場者の間でも、フランスパビリオンはもっとも人気のあるパビリオンの一つとなっているそうです。

 このフランスパビリオンには、費用5,800万ユーロ(うち4,250万ユーロは国が負担)、スポンサーには、LVMH・ルイ・ヴィトン、ディオール、ショーメ、セリーヌ、モエ・シャンドンなどが名を連ねています。

 また、柔道家テディ・リネールは、「柔道は日本発祥のスポーツであるため、ある意味、日本とともに暮らすことは、当然のこと。今回で日本訪問は50~60回目になりますが、日本は私に多くのものを与えてくれた国であり、他のどの国よりも、日本にはフランスと共通する厳格さとノウハウがあることに気付かされています」と話しています。

 なんだか、未来の技術とかそんなことを無理に掲げるよりも、フランスくらいの、あれこれ理屈をつけながらも、半分、フランスのコマーシャルみたいな感じがいいのかな?とも思わないでもありません。

 フランスでは、このフランスパビリオン以外の万博のハイライトとして、「火星隕石」、「藻類に偽装した?ハローキティの彫刻32体」、「幹細胞から生まれた小さな鼓動する心臓」などを挙げています。

 また、同時に、この万博が日本の世論調査では長らく、このイベントに対する無関心とその高額な予算に関連する不信感を浮き彫りにし続けており、これまでに販売されたチケットは、予想(1,400万枚)を遥かに下回る870万枚に留まっており、6ヶ月間の来場者目標2,800万人とは、およそかけ離れているということも紹介しています。

 これに対して1970年の大阪万博では、6420万人の来場者数を記録したそうで、長らくその記録が破られなかった、かつての成功もちょっとだけ紹介していますが、もはや、その一時的な性質と廃墟化によって批判の対象にもなっている、時代にそぐわないものであるという見方も強く、日本の報道によると、このスペースは、ホテルとカジノの複合施設を建設するために10月には取り壊され、「グレートリンク」のわずか12.5%のみが再利用されるだけとなっている・・と報じています。


大阪万博フランスパビリオン


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2025年4月13日日曜日

どんどん拡大するディズニーランド・パリ 

  


 パリに来る人に、「ディズニーランド・パリ」に行きたいと言われたら、「えっ?なんで?」と思ってしまう私ですが、意外にも「ディズニーランド・パリ」は、パリでは、もっとも人気の観光地のひとつであるようです。

 特に欧州圏内、ロシア方面などからの観光客にとって身近なディズニーランドはパリのディズニーランドで、パリに来た際には、ぜひ行きたい!と思う人も多いのです。

 一時、パンデミックの際は、他の遊興施設同様、しばらくオープンできずに厳しい時期もありましたが、根強いディズニー人気は依然として堅調で、ここ数年、景気のよい話が続きます。

 ディズニーランド・パリは、大きくは「ディズニーランド・パーク」と「ウォルト・ディズニー・スタジオパーク」との2つのパークで構成されており、現在は、主に「ウォルト・ディズニー・スタジオパーク」の面積を2倍に拡張する大規模な改修工事が進行中です。

 この改修工事の完成は、まだ先のことなのですが、この改修段階の中、5月15日には、この中の「ワールド・プレミア」が一般公開になります。この「ワールドプレミア」は、「来場者を映画のプレミアを祝うハリウッドの夜に誘う世界観」とのことで、異次元の空間を楽しめるスペースが表現されているようです。

 ディズニーランド・パリは、今回の全体の拡張・改修工事に20億ユーロ以上も投資しており、この「ワールド・プレミア」に続き、2025年内には、ピクサー映画「カールじいさんの空飛ぶ家」を題材にした新しい限定アトラクション(空飛ぶメリーゴーランドに乗って、空中を回転する)が追加され、2026年には、「アナと雪の女王」の世界、「ライオンキング」にインスパイアされた没入型?の世界がオープンする予定になっています。

 また、ディズニー・セコイア・ロッジホテルはホテルの近代化を継続するために、2026年から1,000室の改修工事が始まり、「ウォルト・ディズニーの遺産のハイライトを発見しながら自然の泡の中で呼吸する」機会を提供するとのこと。

 こうして、新しいアトラクションや新しいスペースの様子を聞くと、新たな「夢の世界」に広がっていくことを感じます。

 私自身は、ディズニーランド・パリには、ずいぶん前に娘と2回ほど行ったことがあるだけで、その時は、どうにも東京ディズニーランドと比べてしまって、そこまで感動はせず、しかも、今ほどの盛り上がりは感じられなかったものですが、この最近の繁栄ぶりを見ていると、着々と進化を続けている様子です。

 そもそも、この「ディズニーランド・パリ(当初はユーロディズニー)」は、1983年の「東京ディズニーランド」の大成功に海外進出の機運が高まり、候補地を厳正に審査して、車で4時間圏内に6,800万人、飛行機で2時間圏内に3億人の人口があることから、充分な集客を見込んでオープンしたというだけあって、これだけ拡張することができるまでに大成功したとも言われています。

 当初はフランスあるあるで、メンテナンスが行き届かず、ストップしてしまうアトラクションがポツポツあったりして、「ディズニーランドなはずなのに・・こんなことある?」と思ったこともあったのですが、それも改善されていったのでしょう。

 パリ市内では、ノエルの時期になると、チュイルリー公園内に移動遊園地ができたり、季節限定でヴァンセンヌの森にも、それよりも少し大きな移動遊園地ができたりもしますが、いずれも、けっこうクラッシックなアトラクションが多く、ディズニーランドのような、一歩、足を踏み入れると夢の世界というような世界観とは違います。

 これだけ、色々な新しいものが次々と登場する時代に、なにか違うものができてもよさそうなところ、ディズニー人気というものは、ヨーロッパでもなかなかなパワーがあるようです。


ディズニーランド・パリ


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2025年4月12日土曜日

「拷問および蛮行を伴うレイプ」で起訴されたボルドーの4人の男

  


 日々、起こっている事件を見ていると、本当に枚挙にいとまなく、禍に巻き込まれずに今日まで生き延びてきたことが不思議でもあり、幸運であったと思ってしまうことがあります。

 昨日、目にした事件は、ボルドーで起こった事件だったので、娘が学生時代に数年過ごした場所でもあり、パリ以外では、なんとなく、少しだけ近く感じる地方?都市でもあるだけにチラッと目をとめたところ、その場所柄というよりも、この大雑把に言うところの「性加害事件」について、「ありがちだけど、あんまりだろ!」と思う「同意・不同意問題」が論じられていたので、それについて、少し触れたいと思います。

 この事件は、「2020年11月から2023年9月までの間にパートナーと彼が招待した男たちから集団レイプを受けたとして、ある女性がパートナーを2023年11月に告訴した」ことから、始まっています。

 彼女は、パートナーが複数回、集団レイプすることを可能にした支配戦略?についても説明しており、また、この現場は撮影されていたと話していました。

 捜査官は、この男性の他の4人のメンバーに事情聴取を行ったところ、この告訴人が述べたのと同様の場面を経験したと述べています。つまり、彼らは、あっさりと彼らの野蛮な行為を認めているわけです。

 まず、この告訴人のパートナーである問題の核にいる男性は、2024年7月に逮捕されますが、彼は、「彼自身を含む、彼の歴代のパートナーと男性グループとの間の性的関係の存在」には異議を唱えなかったものの、「それは合意に基づくものであった」と断言。

「自分には、犯罪歴もなく、犯罪を犯した人間であると思ったことは一度もない」と自負しているそうで、明らかに極端な行為であったにもかかわらず、自由奔放な性的快楽に浸っていたことを自認しており、女性たちは、合意に基づいて行動していたと信じ込んでいるようです。

 しかし、当該人物宅から押収された複数のビデオからは、明らかに女性たちの同意がなかったことは明白であると裁判所は判断しています。

 最初の事件を発端に捜査が進められ、拡大されていった結果、この蛮行は、2011年から2024年までの期間、さらに長い期間行われていたことが判明し、被害者はこれまでのところ5人が特定されています。

 また、これに加わっていた他の4人の男性も逮捕されています。彼らは40歳から57歳という決して若くない年齢層なのにも驚きですが、もっとも、この蛮行が始まったのは、2011年からということで、今から14年前のことなので、これも彼らがもう少し若かったころから、継続的に行われてきたためなのか?よくわかりません。

 しかし、やはり、もっとも驚きというか、不思議というか、この男性側が都合よく、男女間の支配的関係は意に介さずに「同意のうえのことだと信じていた」と全く悪びれることなくその行為を続けていたという点で、どうしたら、そういう都合のいい考え方になれるものなのか? まったく理解ができません。

 しかし、性加害問題に際して、この「同意・不同意問題」は少なからずあることのように思いますが、これが単にカップル同志だけでなく、仲間まで招待してとなると、さらに悪質です。


性加害 同意・不同意


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2025年4月11日金曜日

パリの大気汚染は20年間で半減した

  


 エアパリフ(Airparif・イル・ド・フランス地域の大気質(大気汚染)を監視するために環境省に認可された大気質監視協会)は、パリ(イル・ド・フランス)の大気汚染は、20年間で半減したと発表しました。

 この大気汚染が改善されているのは、はっきりとはわかりづらいとはいえ、ここのところ、お天気が良い日が続いて、パリの空ってこんなに青かったかな・・と思うほど、青空がきれいに感じていたので、このエアパリフの発表を見て、ああ、大気汚染が改善されていることも空が青く感じる理由のひとつだったのか・・と単純に思ってしまいます。

 思い返してみれば、パリ市は、この環境問題への取り組みが、そこまで環境アピール??と、ちょっといやらしいくらいにかなり、パワフルにというか・・露骨というか、車に対する規制などが、どんどん厳しくなったり、ナンバーごと(奇数・偶数)に交通制限したり、居住者および配達用などの車以外は侵入禁止にする地域があったり、歩行者天国(もしかして死語?)にする地域があったり、色々と取り組みが続けられてきました。

 私自身は、パリでは車を運転しないので、このような規制もあんまり関係ないな・・と思ってしまうものの、車を愛用していた人々にとっては、ずいぶんと厳しい話だな・・とも思っていました。

 まあ、交通網は充分に発達しているパリは、公共交通機関で充分に動けるというか、その方がラクだったりもするのですが・・。

 また、個人的に最も感じるのは、自転車に乗る人が増えたことで、これは大きな変化のひとつかもしれません。パリの道路には、自転車レーンが多く設けられるようになりました。この自転車の普及は、そもそもの環境問題に加えて、パンデミックの際の感染回避しようとする人々が通勤に自転車を利用する人が増えたこともこれをさらに加速化させたように思います。

 今では、パリ・リヨン駅などの大きな駅にも自転車置場ができていますし、街中にも自転車置場を見かけることも増えました。私は、最近は、もう自転車にもめっきり乗らなくなりましたが、何が嫌って、自転車は、かなり頑丈な鍵をかけておかないと、盗まれるリスクも高く、これを気にして自転車ででかけるのは、もう面倒になったからです。

 とはいえ、今では、20年前には考えられなかったくらい自転車人口が増えたと思います。

 このことは、大気汚染改善に、少なからず影響していると思われます。

 エアパリフによれば、「2005年から2024年の間に人体の健康に最も有害な規制対象の大気汚染物質(微粒子と二酸化窒素)の濃度が半減した」のだそうです。

 こうして良い結果が公表されることは、なんだか自分では何もしていないけど、良い成績表をもらったような、そんな気になるのはげんきんなものです。

 とはいえ、これを維持するためには、さらなる厳しい規制が必用であると、2030年に向けての新たな欧州の制限値を設けることも付け加えています。

 というのも、イル・ド・フランスの中でも、大気汚染が改善されていない場所、特に環状道路(A1、A3、A4、A6高速道路)の周辺地域は、問題視されています。

 また、このエアパリフは、「大気汚染削減対策の継続と拡大により、7,900人の早期死亡を防ぐことができる」と締めくくっているます。

 ただ、シンプルに空が青くなるのは、気持ちいいことです。


パリ大気汚染半減


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2025年4月10日木曜日

新手の物乞い スーパーマーケットの中で・・

 


 パリ・オリンピックの前後には、すっかり姿を消していたホームレスや物乞いをする人々は、すっかりもとに戻ってきました。街中やメトロの駅の通路などに座り込んでいる人には、若い人から年配の人まで、年齢性別問わず、色々な人がいるし、それが子連れだったりするときには、とてもやるせない気分にもなります。

 彼らは別に他人に危害を加えたりすることはないのですが、できれば、遭遇したくない気持ちになってしまいます。

 メトロの中だと、車内を集金に歩いている場合もけっこうあって、また、駅の通路にそこそこの荷物を置いて、場所を陣取って、昼間から、寝袋のようなものに潜って寝ていたりもするので、この人たちは、夜、動いているのかと考えたりもします。

 昨日、時々、立ち寄るスーパーマーケットに行ったら、お店の前にホームレスの人が「小銭をください」と店内に入っていくお客さんに呼びかけているのを見かけました。

 お店の真ん前に陣取られては、お店も迷惑だろうに・・と思ったものの、私は、そのまま、横を通り過ぎて入店。あまり重い荷物にしたくないので、今日は控え目にしておこうと思いながら、店内を見て歩きつつも、ついつい、重くなってしまったかも・・と思いながら、レジへ。

 このお店は、最近は、スーパーマーケットでは、セルフレジがめっきり増えているというのに、相変わらず、昔ながらのふつうのレジなのです。レジに並ぼうとすると、先ほど、入口にいたホームレスの男性が商品をいくつか持って、近付いてきたので、並ばずに先にレジを通してほしいというのかと思いました。

 こういう人はたまにいて、多くの人がけっこうな量の買い物の会計をするのに並んでいるところを自分は1つ、2つの商品だけなので、先に通してほしいという人です。

 ところが、このホームレスの人、先に通してほしいのではなく、これを「買ってほしい」とレジに並ぼうとしているお客さんに頼んで歩いているのです。

 私は、ちょっと初めての展開にドギマギしてしまい、なんだかちょっと怖くなって、うつむいてしまったのですが、そこは慣れたもの?というか、次々と後に続くお客さんに頼んで歩いているのです。

 彼が持っていたのは缶ビール1缶とパンと鴨のテリーヌでした。数人に声をかけたところで、ちょっと彼と話し始めた老婦人が見捨て置けない気になったのか、彼の持っていた缶ビールだけが彼女の買い物の中に入っており、ホームレスの男性は、いつの間にか、店の外に出ていました。

 その老婦人のすぐ後ろにいた男性が、「大丈夫・・もし、ダメだと言われたら、自分が支払うから・・」と言っているところを見ると、レジを通る時に、彼女は会計から外すつもりにしているのだ・・と思いました。

 私は、あまりに執拗に言い寄られたら、セキュリティの人を呼ぼう・・と心の中で思っていましたが、同時にお店の外でお金をもらうのを待っているだけでなく、店内に入ってきて、お客さんに買ってもらうという新しい手法に転じたホームレスに驚いたというか、積極的というか、お店に入って、商品を盗んだりはせずに、他の人に買ってもらおうとする、そのあたりの線引きが微妙だな・・とへんなことに感心しました。

 このような物乞い?の人は初めて見たので、こういうことが度重なれば、お店の方も黙っておらず、それこそ、セキュリティの人が出てくると思います。妙に抗ったりすると、危険かも?と、思ってしまうのは、当然といえば、当然だとも思うのですが、周囲の人々(お客さんたち)が、皆、明らかに動揺して、無反応で、皆がほぼ無視している状況だったのは、なんだかフランスにしては意外といえば、意外でもありました。

 こういう時にちょっとだけ思い出すのは、私自身はこういう人にお金をあげたことはないのですが、亡くなったフランス人の夫は、かなりの確率でお金をあげていたのを思い出し、今回も、きっと夫だったら、買ってあげていたんだろうな・・などと思ったのです。


スーパーマーケット ホームレス


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2025年4月9日水曜日

すごかったパリ17区の大火事

 


 先日、夜のニュース番組をつけたら、パリ17区で大火災!という映像が流されていました。映像はDIRECT(生中継)と出ていて、サマータイムになり、日が長くなり、まだ真っ暗にはなっていない独特なブルーの空に炎が燃え上がる映像に、「なかなかな規模の火事だな・・何が燃えているんだろう? どこなのかな?」と思っていました。

 その時の生中継では、パリ17区というだけで、その規模の大きさ、消防車60台、消防士が200人出動しているというだけで、詳しい火災現場や、火災の原因などは流れていませんでした。

 しかし、だんだん日が暮れてくるにつれて、火災現場の引きの映像が流れ始め、引いてみると、環状線ごしに、ものすごい黒い煙幕が広範囲にわたってパリを覆っていて、その時点で、「もしかしたら、これ、家からでも見えるのかも?」と慌てて窓のカーテンをあけてみると、なるほど、家からでもパリの街を大きく黒い煙幕が覆って煙が流れていくのが見えました。

 我が家はパリの中心地ではないうえに、比較的、上の方の階にあるために、パリが高層建築が少ないこともあって、パリ祭の時の軍事パレードの航空ショー?のトリコロールの噴煙などが辿っていく道が見えたりもします。

 しかし、この日に限っては、パリ祭のトリコロールの噴煙の何十倍ものボリュームで、こんなにものすごい黒煙で、近くの人は無事なんだろうか?と心配になるほどでした。

 私が外を見たのは、ちょうど、エッフェル塔がシャンパンフラッシュしている時だったので、21時ちょうどくらいだったと思います。キラキラ光るエッフェル塔に迫ってくるかもしれないと思われるパリを覆い尽くす黒煙は、とても奇妙な光景でした。

 翌日の報道によると、火災現場は、17区にある廃棄物処理場の施設だったようで、主に段ボール、プラスチックなどが選別されてやってくる場所だったようで、これが炎の勢いを強くした原因だったと言われています。それにしてもあんな黒煙幕、初めて見ました!

 近年、リチウム電池やセルなどが原因の火災が年間100件以上発生しているそうで(日用品に使用されているリチウム電池などは、特に火災の原因になるそう)、今回の火災の原因も同様のものであったことが疑われており、また、集積していた段ボールやプラスチックが炎の勢いを加速させ、大量の黒煙が発生した原因であったとも言われています。

 リサイクル企業連盟の会長によれば、リチウム電池やセルなどが原因の火災(100件)だけでなく、火災そのものが増加(年間140~150件だったものが、年間400~500件になっている)しているとのことで、驚くことに、これには、鎮火した火災の数は含まれていないということです。

 とはいえ、廃棄物処理場全体の建物は崩壊し、これだけの大きな火災にもかかわらず、死傷者は出ていないとのことで、不幸中の幸いでした。

 パリ警察署によれば、「黒煙の毒性は検出されなかった」と発表していますが、どう考えても、身体にいいわけありません。

 当面の差し迫った問題のひとつは、通常は、この処理場で受け入れていたゴミをどこに割り振るかが速やかに解決すべき問題、でなければ、いつかの年金問題のゴミ収拾業者のストライキの時のようなことになります。

 しかし、火事って怖いな・・意図的に燃やさなくても、炎と煙はあんなに燃え盛るものなのかと思いました。

 

パリ17区大火災


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2025年4月8日火曜日

季節の変わり目 服装選びが難しい季節だけど・・

 


 冬の間は、本当にお天気の悪い日が多くて、うんざりするほど雨ばかり・・しかも一日中雨だったので、春になって、お天気の日が続いているのはそれだけで嬉しく、気持ちも明るくなります。

 しかも、抜けるような晴天の日が多くて、パリは本当に晴天だと、その美しさも倍増するな・・などと思いながら、街を歩いています。

 落ち葉の季節には、パリは、どうしてこんなに落葉樹ばかり植えているのだろうか?と、枯れ葉の多さに、「掃除大変なのに・・」などと余計なお世話だろうことを思ったりもするのですが、冬には葉が落ちてしまうからこそ、春、木の葉が芽吹いてくる若葉の緑がきれいなんだな・・と、あらためて、そんなことを思ったりするお天気の良さです。

 しかし、お天気は良いのですが、けっこう寒いのはたしかで、気温はそんなに高くない(その日にもよりますが)ので、外出の際の服装はけっこう難しいです。

 あまりのお天気の良さに、「さすがにもう厚手のコートはなぁ・・」などと、私は思ってしまうのですが、パリジャン・パリジェンヌは「もう春だから、冬のコートは着ない・・」などとは、考えないようで、ふと気がつくと、メトロの中なども、もっこもこのダウンを着ていたり、けっこうがっつり冬服を着込んでいる人が目立ち、4月だからもうコートは着ないとか、そういう風には考えないんだな・・寒けりゃ、季節関係なしに着込む・・正直というか、素直というか・・合理主義?です。

 また、日によって、その日その日で、真冬みたいになったり、夏みたいになったりも見事に気温に適応した上手な服装選びをしているのには、毎年のことですが、感心させられます。

 きっと、彼らは衣替えというものをしないんだな・・とも思います。実際に、私も、もう最近は、衣替えというものはしなくなりました。とはいえ、その日その日で上手く気温に適応する服装をしそこなうことが多いです。

 パリは場所にもよりますが、男女ともに、けっこうおしゃれな人を見かけることが多いのですが、今の季節は、周囲の人々の服装を見ていると、飽きることがありません。

 昨日は、やっぱり晴天にもかかわらず、けっこう本格的に着込んでいる人が多かったので、その色々な服装を見ているだけでも、けっこう楽しかったです。



 このおじさん、地味におしゃれだな・・と思い見てみると、Gパン以外は、同系色のジャケット、ベスト、スカーフ、くつ・・なるほど、こんな風にたくさん着ていても、中のベストを脱ぐだけでも、スカーフを外すだけでも、気温の変化に微妙に対応できそうです。

 また、肩から下げているバッグも使いこなした感じの、いい感じにこなれた感じの皮のバッグ・・こういう人のワードローブ、見てみたい気がしました。

 そこいくと、私のワードローブなど、整理がまったくついておらず、いつも同じ服ばかり・・色々と持っているのに忘れているものもたくさんありそうで、このおじさんを見て、近いうちにワードローブを片付けて、ちょっと整理してみようと思った次第です。


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2025年4月7日月曜日

パリの極上エステ体験 NUXE SPA

  


 日頃、私は特にお化粧品にもあんまり興味がないし、年齢を重ねてきたからこそ、日頃のお肌のお手入れはこれまで以上に大切だと思いつつ、そこまでこだわりのあるケアをしているわけではなく、最低限、肌が乾燥しないようにしたり、夜用のクリームは、ちょっとだけ良いものを選ぶように心がけ、あんまりケチらずに、たっぷり使うくらいのことしかしていません。

 なので、エステとか、そういう類のものも、これまで、あまり積極的に行くこともありませんでした。

 それでも、SPAとか、マッサージなどは好きなので、機会があれば・・とは思っていました。昨年、お誕生日に娘がSPAのチケットをプレゼントしてくれたので、初めて、SPAとボディートリートメントをしてもらいに行ったのが、初めてでした。

 昨年、行ったところは、パリ郊外の広いスペースで、プールやジャグジーなどの開放的なスペースもあるアクアトニックというだけあって、エステよりもプールなどの施設が前面に出た感じの場所でした。

 そして、今年も娘がお誕生日にエステとボディートリートメントのチケットをくれたので、また、新しいエステ・ボディートリートメントに行ってきました。

 こちらは、NUXEという化粧品メーカーがやっているSPAで、パリの中心部にあり、しかも、私もけっこうよく行くモントルグイユ通りにあるので、家からそんなに遠くもなく、なんか行き易い場所でもあります。



 モントルグイユ通りは、美味しいもののお店がたくさんある通りとして有名なのですが、そんな中にNUXEの店舗は、間口は小さく、ひっそり・・と言いたいところですが、なんだか、季節のキャンペーンなのか、入口はピンク!(いつもは、マッドな感じのゴールドが基調の店構えです)おばさんとしては、ちょっと入りづらい感じでもあります。

 店舗の間口としては狭いのですが、パリのお店あるあるで、一歩、中に入ると、実は奥行があり、また、地下には、階段があって、どこまで下りていくの?という感じでシックな石造りの内装が広がっています。


 まず、入るとアンケート用紙?のようなものを渡されて、マッサージやエステに使うオイルの種類を選び、マッサージの強さや特にこんなところを重点的にしてほしいとか、こんなところに注意してほしいなどの質問用紙に記入します。



 さすがにきっちり時間で予約が詰まっているだけあって、時間どおりに個室に案内してくれます。

 NUXEのオイルやボディケアーのローションなどは、いくつか使ったことがあるので、なんとなく安心感はあります。

 個室に入ると使い捨ての紙の下着1枚だけをつけて、タオルにくるまって横たわります。個室の中は、薄暗い柔らかい照明と静かなBGMが流されています。



 なんとなく、日本のマッサージなどと違って、こちらのマッサージは、良く言えば優しい感じというか、撫でる程度のイメージがあって、私はアンケートに「強め」のマッサージを希望すると記入していました。

 それでも、なんとなく物足りない感じのマッサージであろうと思っていたのは、間違いで、NUXEのローションを使った優しく丁寧なマッサージではあるのですが、本当に足のつま先から頭のてっぺんまで、丁寧に時間をかけて、全身を充分にほぐしてくれるような、満足感たっぷりのマッサージでした。

 そのまま眠ってしまってもいいくらいな感じでもあり、この際、色々、聞いておきたいという気持ちもあって、前半は、思わずよだれを流して眠りに落ちそうでしたが、途中から、このオイルはなに?とか、これは、なんのためにやっているケアなの?とか、色々と質問もしました。

 こういう時のエステティシャン?というのか、こういうサービスをしてくれる人、そういう教育をされているのかもしれませんが、わりと物静かな感じの人で、自分の側からは話しかけてきません。私の担当をしてくれたのは、恐らく20代後半から30代前半あたりの女性でしたが、落ち着いた雰囲気の感じのよい人でした。

 きっと、お客さんによっては、話しすぎてもダメ、ずっと喋っていたい人も恐らくいるだろうし(フランス人ならばとくに・・)、1対1の対応、しかも、あまりに無防備な体制になっているお客さんに対して、身体に接触するサービス・・なかなか、センシティブでもある感じです。

 ボディートリートメントがひととおり終わったところで、ボディはタオルで蒸された状態で、フェイストリートメントに入ります。

 こちらは、ゴマージュから入り、マッサージ、軽く保湿してから、パック、そして、さらに仕上げのトリートメント・・そういえば、一時、ゴマージュには、凝っていたことがあって、自分でできるスキンケアで、もっとも効果、前後の違いがもっともわかりやすく、すべすべになるのがうれしくて、一時ハマったことがありましたが、最近、すっかり忘れていました。

 今回は、プロにやってもらったゴマージュとフェイスパック・・すべすべ、しかもしっとりで、顔を見ずとも、自分で手で触れただけで、柔らかいお餅のような感じになって、思わずニッコリしてしまいました。

 考えてみれば、このようなケア、定期的にやってもいいはずなもの・・でも、そのお値段も、サービスもよくわからないうえに、やっぱり無防備に相手に身体を預ける(大げさですが・・)ので、ちょっと躊躇してしまうところもありました。

 今回、初めて、本格的なエステを体験して、個人的には、大満足。パリならではの地下もぐった石造りの空間に照明に・・そのあたりの雰囲気の演出の仕方はさすがフランス、おしゃれでとってもセンスが良いです。本当に至極の時を過ごすことができました。

 比較するのもおかしな話かもしれませんが、ディズニーランドなどに行くよりもずっと満足感があり、パリらしい体験型アクティビティかもしれません。

 色々なコースがあり、顔だけ・・とか、ボディだけ・・とか、その種類も色々あるようですが、今回、私が行ったのは、ボディ45分、フェイシャル45分の合計90分。時間いっぱいいっぱいまで、しっかりやってくれました。

 中には、水の中でやってくれるマッサージなどもあるようです。



 とっても、満足で、でも、担当してくれる人によってもずいぶん違うかもしれないな・・と思って、「あなたは、とても上手で感じもよかったから、次回もあなたを指名できますか?」と言ったら、「喜んで!」とお名前を教えてくれました。

 パリに来て、美術館とか、色々、巡りたい観光地もあるでしょうが、エステもちょっと楽しい体験かもしれません。

 とりあえず、「NUXE」のエステ・マッサージは、安心してご利用できるものでした。


NUXE SPA Montorgueil  32-34 rue Montorgueil 75001 Paris


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