2025年6月18日水曜日

また起こってしまったタカタのエアバッグの死亡事故

 


 マルヌ県ランスでシトロエンC3のタカタ製のエアバッグが爆発し、37歳の母親が死亡、同乗していた13歳の少女が負傷しました。

 タカタのエアバッグについては、もうここ数年、その欠陥が指摘され、リコール対象となっており、シトロエンだけでなく、多くの自動車メーカーは車種により、エアバッグ交換や運転停止などの通知をしてきたはずでしたが、このシトロエンに関しては、ただちに運転を中止するように勧告されていたのは、2008年から2013年に登録された旧型車までで、今回のエアバッグの死亡事故が起こったのは、2014年の車であったそうで、2014年から2019年の間の対象車両所有者には、一応の連絡はしていたと言われていますが、運転中止義務とはされていなかったそうで、しかも、今回の犠牲者には、この通知(シトロエンC3のエアバッグを交換するよう通知する手紙)でさえも届いていなかったそうで、不運が重なった感じもあります。

 この女性は、ランスの高速道路を運転中、大型貨物車に追突され、車はコンクリートの壁に衝突し、道路の反対側で停止。その際にエアバッグが作動し、女性は車の外に放り出され、道路上で発見されたといいます。

 彼女は病院に搬送されましたが、その後、死亡。被害者の咽頭部から金属片が見つかり、原因はエアバッグであったことが確定したと発表されています。

 これまでのこのエアバッグの事故から、このエアバッグは、時間の経過、湿度、熱によって劣化するガスによって、爆発することがわかっていましたが、これまでは、そのとおりに高温多湿の地域での事故の発生がほとんどで、今回のようにフランス北部での事故というのは、初めてのことなのだそうです。

 とはいえ、最近は、南部・北部関係なしに温暖化の影響で、今月もパリでさえも、まだ6月だというのに30℃超えの日が続いており、北部でさえも気温が低いとは限らなくなっています。

 しかし、フランスでの、このタカタのエアバッグの欠陥問題、リコールについては、もう数年にわたり、騒動になっているというのに、まだ知らない人がいたのかと思うと、シトロエンは、とりあえず、この危険の通知が充分に出来ていなかったという面においては、罪深いことです。

 今回の事故を受けて、運輸相は、該当車であるシトロエンC3とDS3の稼働停止を求めています。また、これまの2008年から2013年に登録された旧型車という限定であったものをシトロエンC3とDS3の全車両に拡大しています。

 しかし、当のタカタ社に関しては、すでに倒産してしまっているので、もうこれ以上、タカタに責任追及はできないことと思いますが、もうすでにこのエアバッグに問題があることは、確定しているので、それを搭載している車を販売している自動車メーカーは、少なくとも徹底して該当車を所有しているユーザーに通知する義務があります。

 車の追突事故などの際の衝撃から運転手を守るはずのエアバッグが衝撃により、爆発して運転手が車から放り出されて死亡してしまうとは、恐ろしいばかり。

 そもそも大型車に追突された時点で不運としかいいようがありませんが、それに加えてエアバッグが爆発するとは、もう目も当てられない事態。同乗していた娘の命は助かったとはいえ、この事故により、自分の目の前で母親を失ってしまったのですから、大変にショッキングなことであったに違いありません。

 

タカタ エアバッグ死亡事故


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2025年6月17日火曜日

コマーシャルセンター内の公衆トイレで・・

  


 パリのトイレ事情は、日本に比べると恵まれているとはいえない状態なので、できるだけ外でトイレに行かなくても済むようにしているのですが、時折、やむを得ない状況に追い込まれた時には、仕方なく公衆トイレに駆け込むこともあります。

 日本では信じられないことかもしれませんが、公衆トイレの場合などは、便座がついていないトイレもけっこうあるので、潔癖症の方には(そうでなくても)、かなり厳しいかもしれないので、覚悟が必用かもしれません。

 とはいえ、外出中のトイレ問題は差し迫った状況下になれば、もうそんなことも言っていられず、もう頭が真っ白の状態になって、トイレを探し回ることになります。あの緊迫感たるや、ちょっと、なかなか他にはない独特な瞬間です。

 よく出かける場所ならば、このあたりなら、ここのトイレ・・と、だいたいのトイレの場所はチェックしてあります。

 その点、コマーシャルセンターなどは、まあまあ、センター内にトイレは数ヶ所あることが多いので、そんなに心配はありません。

 先日、あるコマーシャルセンターに買物に行った際、そこのトイレは、まあまあ許容範囲内に入る程度のトイレなのは知っていたので、あまり躊躇なしにトイレに行ったのですが、そこで繰り広げられていた光景には、ちょっとショックを受けました。

 なんだか、荷物の多い小さな子ども2人を連れたオリエンタルな容貌の女性がいたのですが、いくつかトイレが並ぶ中の車椅子が入れる少し大きめのトイレを占領していて、ドアは開け放ったままなのですが、その中に全裸の少女(3~4歳くらい)が二人。暑いので、薄着とかいうレベルではなく、一糸まとわぬ姿・・扉も閉めない状態で真っ裸の子どもとおかあさん。

 さすがにトイレとはいえ、真っ裸の子どもがいたら、ちょっとギョッとします。どうやら、おかあさんは、子どもに行水?させていたというか?子どもの身体を洗っていたみたいなのですが、なかなか衝撃的な光景。しかも、その子どもたちの表情がなんとも言えない顔つきをしていて、とても複雑な気持ちになりました。

 なんというか、悲しそうでもあり、無表情でもあるような・・独特の顔つきでした。

 子どもを連れたホームレスなのか?難民なのか?わかりませんが、あまり、そういう人々がいる地域でもなく、ここには、時々、行くことがありますが、こんな光景に遭遇したのは初めてでした。

 平日の午後の時間で、その年ごろの子どもはふつうなら学校に行っている時間。こんな生活をしている子どもは、どんな人に育つのだろうか?と、ものすごくモヤモヤした気持ちになりました。

 蛇足になりますが、パリでトイレを探す場合、比較的大きな良いホテルのラウンジに近いトイレなら間違いないし、カフェや飲食店などにあるトイレは、まあまあ大丈夫なことが多いです。

 先日、サンラザール駅にある有料トイレに入ったら、カードでピッと払えて(1ユーロ)便利で、わりかしきれいでした。


パリの公衆トイレ


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2025年6月16日月曜日

ナイフに関する恐るべき数字 ナイフ襲撃事件は年間1万回以上も起こっている

  


 先週にオート・マルヌ県ノジャンの中学校で起こった中学生のナイフによる学校監督職員刺殺という衝撃的なニュース以来、ナイフに関する報道が散見されます。

 私は、まず、なぜナイフなんか持ってるの?しかも中学生が学校に行くのに・・と思ったのですが、これはなにも中学校に限ったことではないらしく、中には、小学校でさえも、ナイフによる事件は起こっているようで、本当に驚愕させられます。

 ということは、これが子どもに限ったことでなければ、もっともっと多いわけで、なんと2024年には、フランス国内ではナイフによる襲撃事件が10,397件も起こっていたそうで、これは1日あたり、28件のナイフ襲撃事件が起こっている計算になります。

 2024年、パリだけで学校内でのナイフによる襲撃事件が130件も起こっており、うちわけは、中学校で74件、高校で38件、小学校で18件となっています。

 中学校での事件が高校での事件の倍以上であることや、小学校でさえも事件は起こっているということには、本当に驚くばかりです。なんだかこのような狂暴な事件は、年齢が上がるとともに増加していくようなイメージがあったので、高校よりも中学校の方が事件が多いということは、このような犯罪が低年齢化しているということなのでしょうか?

 これらの事件は、今回のノジャンのケースのように極端に残忍だったりする場合を除き、ほとんど報道されてはいませんが、1日あたり28件もナイフ襲撃事件が起こっていれば、もういちいち報道してもいられないのかもしれません。

 特に学校内に持ち込むケースに関しては、今回のノジャンのように荷物検査を行い、憲兵または、警察によって荷物がチェックされているようですが(不定期抜き打ち検査)、ナイフを所持していた生徒は全員、規則に従って懲戒聴聞会の対象となることになっています。

 しかし、これは、あまり抑止力にはなっていないようです。

 一般社会においては、それ以上に荷物検査などということは不可能に近いので、ナイフ所持の数などは、計れないのが現実ですが、これだけ事件が起こっているとなると、相当数の人がナイフを持っているのではないか?と思ってしまいます。

 よく護身用などと聞くこともありますが、たとえ護身用ナイフを持っていたとしても、私のようなへなちょこでは、早々にナイフを取りあげられて、逆に敵に武器を与えることにもなりかねないし、人にナイフを向ける勇気もないので、そんなものは持っていない方がマシかも・・と思っています。

 しかし、思い出してみれば、亡き夫もそういえば、なんだか、いかついナイフを得意そうに買ってきたことがありました。「何に使うの?」と聞いたら、「コレクションみたいなもの、かっこいいでしょ・・」という答えが返ってきました。

 コレクションと言ったわりには、扱いはぞんざいで、その後、ずっと道具箱のようなものの中に放置されたままで、今でも道具箱を覗いたら、まだあるんじゃないかと思います。

 私は、「こういうもの、男の人って好きなんだな・・」と、なんとなくぼんやりとその時は思っていましたが、あれは、なんだったんだろうか?と今になって思います。

 しかし、事はもっと深刻で、それを持ち歩いて人を刺してしまうという事態が年間1万件以上も起こっているなんて、武器を持ち歩く勇気もない私は、もういかに、狙われないようにするか?くらいしか、対処方法はありません。


ナイフ襲撃事件


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2025年6月15日日曜日

アンチファストファッション法 ファストファッションと超ファストファッション

  


 今年の4月の段階ですでに発表されていたSHEIN,  TEMU,  Ali Express などの中国からの小包に課税するという話は、「アンチ・ファストファッション法」として、より広範囲に具体的に、また強力なカタチになりつつあります。

 4月の段階では、年間8億個以上の中国からのこれらのネットショッピングによる小包が到着しており、これが少額のために関税がかからずにフランスに入ってきており、この少額だが莫大な数のネットショッピングがフランスの繊維業界・服職業界を脅かしているというもので、これは、航空便という輸送に関してのみならず、低価格のために、結局はすぐに廃棄されてしまう、いわば使い捨てファッションという面からも環境問題にそぐわない見過ごせない状況であるとしています。

 今回、フランス上院に提出され、可決した「アンチファストファッション法」は、単なるアンチファストファッションというよりも、ターゲットを中国のネットショッピングプラットフォームであるSHEIN,  TEMUに絞ったものになっているのが現状で、ファストファッションとして知られているZaraやH&MやKiabiなどのブランドは、超ファストファッションブランドではないとし、すでにフランスで長く価値を見出しているとして、このアンチファストファッションのリストからは除外されています。

 フランスの中規模程度、小規模の服飾業界が不振でここ数年で倒産した企業が相次いでいます。多くの人々が特にパンデミックを境に大きくネットショッピングに傾き、需要の構図が一気に変わり、これに早く対応できなかったフランスに根付いていたはずの服飾ブランドがあっという間に本当に見事なほどにバタバタと倒れています。

 そもそもはファッション業界というものは、流行というものがあり、時代に乗っていなければ、また、それを牽引していくくらいでないと、生き残れない業界でもあります。

 昨今の若者たちは、偽ブランドも隠さず、それで構わないと堂々と偽物をいとわず持って歩く(身に着けて歩く)人が増えたそうで、そこそこ可愛ければ、品質は二の次でも、とにかく低価格のものに手がのびる世代が登場してきています。

 半面、シャネルやディオール、ルイヴィトンなどのハイブランドの価格は天井知らずという値段をつけても、やはりそれを買いたい人は後をたたず、超ハイブランドか超低価格のものが人気で、その中間に位置するこれまでの、そこそこ手が届く範囲の中途半端な位置にあったブランドは、一番生き残りが難しいのです。

 その中間あたりで、大成功しているユニクロは、本当にスゴイと思います。フランスでのユニクロは、日本のユニクロのイメージよりももう少し高級感があり、また、絶対的な品質の良さには定評があり、ネットショッピングはもちろんのこと、パリの大きなコマーシャルセンターには、たいていユニクロの店舗が入っているようになったくらいです。

 本当は、資本主義の社会では、仕方のない話で、これらの中堅どころのブランドもそのどちらにも該当しないながらも、何等かの押しを開発して、生き残らなければならないところ、フランスは、これを環境問題という大義名分を用いて、法律で超ファストファッションの勢いを止める手立てを打とうとしているのです。

 フランス環境庁によれば、フランスでは毎秒35着の衣類が廃棄されているといいます。たしかに環境問題的には、よいことではないとはいえ、本音を言えば、欧州企業やフランスの企業を保護するための法律といっても過言ではありません。

 この法案は、排出量、資源利用、リサイクルの可能性などファストファッション企業が販売する製品の環境への影響を評価するエコスコアシステムを導入し、最も低いスコアを獲得したブランドには、2025年から商品1点あたり最大5ユーロの税金が課せられ、2030年には、10ユーロに増額される可能性があります。ただし、税金は商品の小売価格の50%を超えることはないことになっています。

 また、この法には、超ファストファッションの広告禁止やオンラインで宣伝するインフルエンサーへの制裁も含まれているそうです。

 しかし、この法がターゲットにしているのは、主に2つのブランド(SHEIN,  TEMU)であり、フランス国内で生産・販売されている、衣料品の少なくとも90%を占めるブランドは除外されています。

 この法案はまだ上院で可決しただけで、まだ完全に施行されることが決定されたわけではありませんが、なんらかのかたちでこの中国のファストファッションに制裁を加えることはほぼ確実です。


アンチファストファッション法


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2025年6月14日土曜日

フランスでも報道し始めた日本の米騒動について

  


 日本で、お米の価格が上昇したり、スーパーマーケットの棚から消えている・・などという米騒動はネット等の報道で見ていました。

 海外生活を送っていると日本のお米というものは、本当に貴重なもので、日本に一時帰国した際には、日本のお米を必ず買ってきています。パリでもお米は買えますが、本当の日本米というものは、ないことはないのですが、高価で、日本米といっても日本の品種のイタリア産のお米・・とかいう場合が多いのです。

 ふつう、国民の主食となる食品については、あまり価格が高騰しすぎないようにある程度政府が介入して調整したりするものだと思っていましたが、そのあたりが上手く機能していないのだと思っていました。

 今回、こちら(フランス)の報道で見かけたのは、「日本は米の価格が高騰しているため、そして、選挙が近付いているために、3兆円もの費用を費やして全国民に140ユーロを支給する」というものでした。

 「4月に日本の店舗で売られる米は前年比で2倍に値上がりしたが、政府はここ数ヶ月、国の備蓄米を放出することで、この高騰を食い止めようとしていた」。「過去1年間の価格の上昇については、複数の要因が挙げられており、1つ目は記録的な猛暑のために供給量が減少したこと、2つ目は、2024年8月に巨大地震警報が発せられたためのパニック買いが起こったこと、そして記録的な観光客の流入が消費のさらなる増加につながったこと・・などとしています」

 しかし、そのどれもが要因の一端を担っていたとしても、それくらいで、お米が日常の供給に事欠くようになるのは、おかしな話です。

 ましてや、国民の税金で蓄えていたお米をまた国民に売りつけて、恩着せがましい感じのことを言っているし、さらには選挙前だからといって、ここぞとばかりに、その高騰しているお米のためにといって、国民にお金をばらまくというのはみえみえなやり口。

 そもそもは減反政策が度が過ぎていたのだろうと思いますが、なぜ、日本の美味しいお米の生産を減らすようなことをするのか?本当に疑問です。

 海外では、空前の日本食ブームを迎えて久しく、今やパリでもお寿司やおにぎりを売っていないスーパーを探す方が難しいくらいにお米は海外でも食べられています。

 おそらく、スーパーマーケットで売っているお寿司やおにぎりに使われているお米が日本製のお米とは思いませんが、日本のお米でもないおにぎり1個がいくらで売られているかご存知でしょうか?だいたい、安くて3ユーロ・・高いと5ユーロ近い(約500円~800円)のです。

 たいして美味しくもない外米のおにぎりでこの値段なのです。

 フランス人は、欧州の中でもかなり日本贔屓の人が多い国のような気がしていますが、同時に「ホンモノ」などへのこだわりを追求するというか、ウンチクを語る人が多いのです。

 これだけフランスでも浸透したおにぎりの元祖は日本、そして、本来使われるべき日本のお米で作られているおにぎりとなったら、多少、高くても彼らは喜んで買うのです。

 減反政策などせずに、日本の美味しいお米をたくさん作って海外にもっと売ればよいのに・・と本当に思います。海外では高くても売れるのですよ・・。

 農協の仕組みについては、よく知らないのですが、お米の生産・出荷を取り仕切っているのが農協ならば、農協は海外への輸出をもっと模索するべきだと思います。


日本の米騒動


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2025年6月13日金曜日

ロダン美術館が大好き

  


 パリには数多くの美術館があるけれど、いつでも行けるところにいながら、美術館というものは、そんなに頻繁に行くわけではありません。

 しかし、行ってみると、全然、気軽に行けるもので、行くたびに、「もっと、ちょくちょく来るべきだ・・うん!また、近いうちに来よう!」と思いながら、なんとなく、心が満たされた気分になって帰るのです。

 美術館に行くということが習慣になったら、よいな・・と思いつつ、結局、そこまでは行けていません。

 今回は、久しぶりにロダン美術館に行ってみたのですが、そういえば、前に来たのはいつだったかな?パンデミックの前かもしれない・・(最近、過去のことを思い出すときに、パンデミックは私の中でなにか一区切りになっていて、パンデミックの前か後?どっち?と考えるようになっています)と思いながら、たぶん5年ぶりくらいで5回目くらいです。

 ロダン美術館は個人的にはパリの美術館の中でももっとも好きな美術館のひとつで、そもそもず~っと昔にまだ私が日本に住んでいた頃に最初にパリに旅行で来た際に、まず、一番行きたかったのがロダン美術館でした。

 それは、私が彫刻が好きとか、ロダンが好き・・というよりも私の大好きな作家の井上靖氏の小説にパリが度々、登場し、その中で主人公がロダン美術館を訪れるシーンがあって、その小説の中の描写がとても素敵だったからです。

 小説の中にはロダンの「パンセ」、つまり日本語でいうところの「考える人」などが出てくるのですが、最初は、その本物のパンセが見たいと思ったのでした。当時は、私は、フランス語は全くできなくて、会社の上司の人でフランスに留学経験があって、フランスが大好きという人に「ロダン美術館はどこですか?」というフランス語を教わって行きました。

 その時の美術館のことは、あまりよく覚えていないのですが、その「ロダン美術館はどこですか?」と街行く人に尋ねてみたら、ちゃんと言葉が通じたことに感激しつつ、当然のことながら、フランス語で尋ねたので、フランス語で答えが返ってきて、何を言っているのかわからないことに初めて気が付いて、友人と大笑いした記憶があります。



 話が脱線しましたが、パリに来てからも、何回かロダン美術館には行っていますが、私の中では「ロダン美術館=お庭のバラがきれい」という頭があって、今回、行ったのも、バラの季節だし、さぞかし、お庭のバラがきれいだろうと思ったのですが、残念ながら、バラはところどころにはあったものの、盛りの頃はもう過ぎていました。



 入口を入るとすぐに荷物チェックの場所で少しだけ並びますが、これも数分のみ、比較的あっさり通れます。美術館の中に入るとチケット売り場とオーディオレンタルがあって、過ぎると現在は子どもが美術に触れて楽しむことのできるキッズスペースができています。

 私も入りたいんですけど・・と言ったら、子どものスペースなので大人はダメだと言われました。


 美術館の中には、ロダンの彫刻を中心とした作品(絵画等もあります)が約7,000点あるそうで、中には、ゴッホの絵(私が知っていたのはタンギー爺さんというもの)などもありますが、なんといっても力強いロダンの彫刻の数、大きさには、圧倒されます。




 彫刻のほとんどがケースなどには入っておらず、ほんとうに近くまで寄ってみることができます。ロダンの彫刻はもちろん小さなものもありますが、大きなものがけっこう多くて、これは、ロダンが世に出る頃にあまりの出来栄えにかたどりをしたものではないかと疑われたために、人間の実物大よりも大きな作品を作ってその作品がかたどりではないことを証明したため、それ以来の彼の作風になったという説があるそうです。




 とにかく、これだけの数の彫刻を作り出すパワーは並大抵のものではないと思われ、その作品の表情や身体、筋肉の動きなど、ひとつひとつを創りあげるのには、正気を保つのは厳しいのではないかと感じられます。



 私は美術に関して、詳しいわけではないので、なんとなく、好き・・すごい・・素敵・・きれい・・カッコいい・・とか、まるで幼稚園の子どものような感想しかないのですが、これがやはり数百年前にたしかにここにいたロダンという人が自分の手で造り上げたものがそのまま残っていると思うと、唸りたくなります。






 美術館内の広さはほどほどで、非常に見やすくて快適、しかし、私がこの美術館が好きなのは庭園です。庭園内には、カフェもあって、簡単な食事もできるようになっています。この庭園は、これまた、そこまで広すぎず、しかし、屋外だけど木陰になっているスペースに彫刻が点々と置かれていて、ベンチがたくさん置かれています。(ゴミ箱がやたらと多い)



 非常にゆったりとした空間で、友だちとおしゃべりしたりするのにもちょうどいいな・・とも思います。屋外に置かれた彫刻の数々には、ひとつひとつ説明書きがついています。



 今回は、その中のひとつの頭を抱えた大きな彫刻がやけに気に入って、しばらく側にいたい・・と思いました。頭を抱えて、なにか考え事をしている様子の彫刻ですが、頭を抱えて下を向いているのに、大きな目は見開かれているのです。

 今は、時期的なこともあるのでしょうが、幼稚園だか小学生だか小さい子どもたちが学校の遠足かなにかで来ている感じも、とても微笑ましいです。余談ですが、こちらの子どもたちは、美術館内などでも非常にお行儀が良いです。




 最後の出口の近くには、ブティックがあり、多くの美術館にあるように本や小さな彫刻、お土産類が売っていますが、なんといっても「考える人」は一番人気のようで、考える人消しゴムから、考える人鉛筆、考える人カレンダー、考える人パズルなど、考える人に埋め尽くされているのには、苦笑してしまいますが、ついつい欲しくなる気持ちもわからないではありません。

 この美術館は、大変よいロケーションでもあり、入口を入ってわりとすぐのところに有名なパンセ(考える人)があり、その向こうには、エッフェル塔、アンヴァリッドなどが見えます。また、同じ通りは、首相官邸をはじめ、多くの省庁が並んでいる通りなので、やたらと警察官が多く、治安の良さは抜群です。

 この美術館は晩年にロダンがアトリエとして使用していた場所だそうですが、こんなところにアトリエがあったなんて、すごいな・・などとも思うのです。

 現在、行列ができているという大阪万博のフランスパビリオンには、ロダンの彫刻が言っているようですが、パリのロダン美術館はほぼほぼ行列なしに入れ、山ほどのロダンの彫刻が惜しみなく置いてあります。

 子どもがけっこういたり、作品との距離も近いので、ゆったりと自由に見ることができて、堅苦しい感じは微塵もありませんので気軽に芸術に触れる(触るということではない)ことができるので、とってもおススメです。


パリ・ロダン美術館

🌟Musée Rodin  77 rue de Varenne 75007 Paris  


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2025年6月12日木曜日

15歳未満へのナイフ販売禁止とソーシャルメディア禁止

   


 先日のオート・マルヌ県ノージャン(グラン・テスト地域圏)での14歳の少年が学校職員(サーヴェイヤント=監督員?)をナイフで襲って殺してしまった事件以来、「15歳未満へのナイフ販売禁止とソーシャルメディア禁止」についての論争が起こっています。

 この事件の直後にマクロン大統領は、「15歳未満のユーザーによるソーシャルネットワークの利用禁止を急ぎたい」と発信。

 また、フランソワ・バイルー首相は、「未成年者へのナイフの販売禁止は15日以内に法令が交付される」と発表しています。

 この事件の被告となっている少年が犯行に使ったナイフは自分で購入したものではなく、家から持ち出した20㎝ほどのキッチン用ナイフだったと言われていますが、暴力行為へ魅せられていたと語っているようで、SNSの影響があったかもしれません。

 とはいえ、法律上、すでに、未成年には、あらゆる種類の軍事?攻撃用物資、弾薬、武器、ナイフなどを購入する権利はないのですが、未成年に対して販売することも禁止されています。

 また、購入だけでなく、ナイフを所持したり、持ち運んだりすることも禁止されており、未成年者であっても成人であっても、刃物と見なされるナイフを持って外出することは、禁止されているのです。

 これらのナイフ等を携帯していた場合には、正当な理由が提示できなければなりません。ピクニックに行くとか、狩猟に行くなどは、正当な理由として認められるということですが、この取り締まりをし始めたら、大変なことになります。

 なので、実際に禁止されているとはいっても、それはまったく遵守されていないということです。考えてみれば、このような禁止事項というものは、けっこうあるものかもしれません。

 つまり、これらは、非常にはっきりと鮮明な法的な禁止事項でありながら、実状は、ぼやけた法令としてしか機能していないのが現実で、それこそネットなどでの販売・購入に際しては、年齢確認等のステップがあるものの、これらは、いくらでも偽認証できてしまうわけで、これをどのように取り締まっていくのか?荷物を受け取る際に、保護者のサインが必用になるようにするとか、色々、提案はされているようですが、そもそも偽の年齢で認証を受けている場合には、該当しそうにありません。

 また、ソーシャルメディアの利用に関しても、禁止となると、色々と複雑な問題もあり、効果的に利用している場合も多いので、あながちその全てを禁止するということもまた、容易ではありません。

 フランスでは、すでに2023年の段階で、危険因子の高いメディアとして、15歳未満の子どもがTikTok、Snapchat、Instagramなどのソーシャルネットワークにアクセスすることを禁止する法律が可決されています。

 しかし、これはフランスですでに可決していながら、デジタルプラットフォームを規制する欧州法の遵守が欠如しているために、フランス国内でも施行できずにいました。

 ここのところが、マクロン大統領が「欧州全体の決定をいつまでも待てないので、2ヶ月以内にこの欧州法が前進しなければ、フランスだけでも、この禁止を施行する」と言っている所以です。

 どちらにしても、ソーシャルネットワークを全て否定はしませんが、これが、まず、なぜ?15歳未満・・と15歳なのか?なんなら、責任をとれない未成年全体に拡大してもよいのでは?と思わないでもありません。

 最近、フランスで起こっている犯罪を見ていると、大人が未成年の子どもを募って、犯罪の手先に利用したりするケースも多々あり、SNSが今まで無かった犯罪を生んでいることはたしかです。

 今回、フランス中を騒がせているこの14歳の少年は、全く反省の色も後悔もなく、また、被害者に対しての同情や謝罪の感情もないと伝えられています。人の命を奪うということに関しての重みや、それに関わる人々の痛みを感じられないというのは、どういうことなのだろうか?と思います。

 まだ14年しか生きていないのに、どうしたら、こんなになっちゃうんだろうか?と空恐ろしい気がします。やっぱり子育てって怖いし、責任重大なことです。

 このような問題を解決するのに、刃物の販売禁止とか、ソーシャルネットワークの禁止とかも必要なことなのかもしれませんが、根本的なことは、なにか別のことにあるのではないかという気がしています。


15歳未満 ナイフ販売禁止 ソーシャルメディア禁止


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2025年6月11日水曜日

学校の入り口での手荷物検査で14歳の少年がまさかのナイフで監督教員を殺傷

   


 事件は朝8時15分頃、オート・マルヌ県ノージャン(グラン・テスト地域圏)の中学校登校前の手荷物検査中に起こりました。陰惨な事件を回避するために行われていた検査の場でこのような衝撃的な事件が起こるとは、まさに、為す術がないかのようにも思えます。

 この事件の被害者となった女性は、この中学校の教員助手というか生徒を監督するサーヴェイヤントという職にありました。この学校でのサーヴェイヤントという職務、娘が学校に行っていた時に時々、耳にすることがあって、そのサーヴェイヤントってなに?と娘に聞いたことがありましたが、教師ではなく、キャンティーンや休み時間の校内などでの見回り係というか監督員のような立場の人とのことでした。

 教師ではなく、別にこのような職務というものがあることに、フランスらしいな・・と思った記憶があります。

 この女性は、元美容師さんで、クローン病を患い、健康上の理由から転職をしたばかりで、新しい人生(仕事)に大変、満足していたそうで・・まだ若干31歳の4歳の子どものママでした。

 一方、加害者の少年については、あまり、まだ詳しい情報は流れていませんが、特別に問題が見られる子どもではなく、全くのノーマークの生徒だったようで、むしろ、校内では、「いじめ対策チーム」のリーダーを務めていた少年だったということで、余計に闇深い気がします。

 とにかく、この14歳の少年は、この31歳の女性をナイフで数ヶ所刺して、結果的には殺してしまったわけで、すぐに逮捕されたものの、その衝撃は非常に大きく、大統領をはじめ、首相、教育相などが、すぐにマスコミの前に立ち、鎮痛な思いと今後の対策について、話しています。

 マクロン大統領は、この事件を受けて、「15歳以下のソーシャルメディアの使用を禁止する必要がある」と発表し、「欧州レベルでの実現を可能にするために数ヶ月間の猶予を設けるが、欧州レベルでの実現が2ヶ月以内にできなければ、フランスだけでもまず開始する」と述べています。

 このソーシャルメディアの禁止となると非常に大きなことになるとは思いますが、バイルー首相は、特に「ナイフなどの凶器の購入規制の厳格化」、「15歳以下の子どものオンラインでのナイフ購入を禁止する」ことなどを発表しています。

 これには、「すでに、子どもがこれらの凶器の購入は禁止になっているはず・・」とのことではありますが、現実にはそれが可能なままになっているのです。

 この未成年者の傷害事件についての報道を見ていると、ほぼほぼ皆、あたりまえのようにナイフを持っていることに驚かされます。それが、放課後や夜中に街にウロウロでかける少年たちだけでなく、ごくごくふつうの学校生活の中にも浸透しつつあるということが、異様なことです。

 そもそも今回のように、学校前で手荷物検査を行わなければならない事態・・その検査中にこのような陰惨な事件が起こってしまうということは、本当に悲惨な状態です。

 私は、フランスの学校については、娘が通っていた学校についてしか知らないので、このような事件を見るにつけ、あまり一般的なことは、知らなかったのだな・・と思いますが、とにかく、娘が通っていた学校(小学校から高校まで)は、大変、厳しい学校で、問題がある生徒は容赦なく、転校を促され、授業はもちろんのこと、日常生活での規律や礼儀などについても大変、厳しく、ポイント制?のようなものがあって、✖が3つ以上つくと、追い出されかねない・・それが、教師に対して、口答えしたり、怒られて、教師を睨み返しただけでも減点・・というのを聞いて、驚いたことがありました。

 特に中学校からは、授業の速度も大変速く、とにかく点取り虫の子が多かったので、そんな日常生活の些細なことで学校を追い出されるなどということは生徒たち自身にとっても考えられない感じだったと思います。

 初めて、その学校を見学に行った時は、もう学校内の空気が全く違って、凛とした感じがあり、ここなら大丈夫・・と思ったことを覚えています。

 このような様々な少年事件を見ていると、かなり厳しくしないとダメな年頃もあるのではないか?とも思うのです。

 子育ては、それぞれの子どもにとって、それぞれ違うので、何が正解かはわかりませんが、やっぱり、安全な環境に子どもをおいておきたいと思うじゃないですか・・。


荷物検査での14歳の刺殺事件


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2025年6月10日火曜日

人道支援船「マドリーン」拿捕に抗議する人々がレピュブリック広場に溢れている!

  


 私はこのガザへの人道支援船が出航したことまでは知っていたのですが、その後、この船がイスラエルによって拿捕されていたことは知りませんでした。

 昨夕、パリ・レピュブリック広場に人が溢れている・・というニュースを見て、「なんでなんで?何があったの?」と、最初はわかりませんでした。

 なにしろ、人の集まり方が尋常ではなく、パリでは度々、デモがあったりすると、その集合場所になって、レピュブリック広場に大勢の人が集まることは、決して珍しいことではないのですが、これだけの人が集まるということは、そうそうあることではありません。しかも、週明けの月曜日に・・。

 これは、この医療支援と食糧を届けるためにガザへ向かっていた船で、この船には、環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏、パレスチナ人自由連盟の欧州議会議員リマ・ハッサン氏、フランス人ジャーナリストを含めた12名が乗船していました。


 

 このうちの6名はフランス人であったことから、フランスでは特に大騒ぎになっているようで、もともと人道的な案件については、ことのほか、強い反応を示すフランス人・・これだけの人が集結しているのもうなずける気がします。今回のこのデモは、人道支援船の救助に加えて、そもそものガザでの大量虐殺に抗議しているものです。

 これには、早々にマクロン大統領もイスラエルに対し、「人道支援の封鎖は恥ずべき行為である」と強い非難の意を表明し、「フランス人6名の解放」を求めています。

 これに対し、イスラエル外務省は、「帆船はイスラエル沿岸に向けて安全に航行している。乗客は安全に帰国する予定である」と声明を発表しています。

 また、同省は、「この人道支援船はグレタ氏らが宣伝目的のみで、トラック1台分にも満たない支援物資でメディア挑発行為を企てた。過去2週間で1,200台以上の支援物資を積んだトラックがイスラエルからガザ地区に入り、ガザ人道財団が約1,100万食の食事をガザ地区の民間人に直接、配布している」、「船に積まれていた援助物資は、正当な人道的ルートを通じて、ガザに移送する」とも付け加えています。

 このイスラエル側の言い分が真実かどうかは、別としても、少なくとも人道支援船を拿捕し、乗組員を拉致するという控え目にいって、強引で暴力的なやり方には、疑問を感じずにはいられないところです。

 拿捕されたマドリーン号は、イスラエル海軍の船艇2隻に護衛され、その日の夕方イスラエルのアシュドッド港に入港しています。

 WHO(世界保健機構)は、先週末土曜日に発表した声明で「ガザ地区の保健医療はすでに崩壊しており、同地区(特に北部)にはすでに機能している病院はない」と発表しています。

 この人道支援船がマスコミへの広告目的であったとしても、それを拿捕したことで、一層、この騒ぎは広まった気がします。


人道支援船「マドリーン」拿捕


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2025年6月9日月曜日

娘への誕生日プレゼントに思うこと

  


 6月は娘のお誕生日の月なのですが、最近は日本とフランスと離れて生活しているために、お誕生日を共にお祝いすることもなくなりました。

 一応、当日には、お誕生日おめでとうのメッセージは送るものの、プレゼントは、ここ数年は、次回、娘がフランスに来たときか、私が日本に行ったときに、二人で一緒に旅行するのがプレゼントがわりになっています。

 小さい頃は、6月というのは、フランスの学校では学年度末ということもあって、学校の行事だったり、バレエの発表会だったり(リハーサルも含めると数日つぶれる)、お友だちのお誕生日会もやたら多い月(6月だけでなく、7月、8月生まれの子までみんな6月にお誕生日会をやる)で、とても忙しい月でした。

 その他、夏のバカンスのコロニー合宿に行くための準備(必要なものを買い揃えたり・・)などもあり、学校とお稽古事と自分の仕事だけでも、もうあっぷあっぷ状態なのに、これだけ行事が重なると、今から考えると目が回るような感じの月でした。

 それで、小さい頃のお誕生日プレゼントというものは、あんまり記憶がないのですが、とりあえず、娘の好きなコーヒー味のエクレアを歳の数だけ買ってくるというのを習慣にしていました。

 エクレアにろうそくをたててうれしそうに運んでいる娘の写真が印象的でした。

 ふだんは、あまりケーキやお菓子が大好きというわけでもないのに、なぜかこのコーヒーのエクレアだけは、なぜか我が家ではいつのまにか、娘のお誕生日ケーキとして、君臨していました。

 娘はあまり物を欲しがらない子で、大きくなってからは、それなりにあの靴が欲しいとか、たまに、そういうことはありましたが、贅沢に物を買い与えるということはなく、娘にお金を使うのは、お稽古事とか、スポーツとか、留学とか、なにかを経験させることに使うように心がけてきました。

 そんなわけで、特に夫が他界してからは、あまりに多いフランスの学校のバカンス時期は、娘はほぼほぼ、いつも、なにかスポーツをするコロニー合宿に参加し、その歳ごろに可能なあらゆるスポーツをひととおり経験し、一年のうちに何度も旅行・・という、傍からなんとなく聞けば、どんだけ優雅な生活?とカン違いされそうなスケジュールを過ごしていました。

 物はあまり買い与えてこなかったので、目に見えて残っているものはあまりありませんが、彼女自身が身に着けた目に見えないものは、ずっと彼女の中に生きている糧になっていると信じています。

 20歳になったときは、さすがに、成人の記念として、なにか一生使えるものをプレゼントしたいと思い、少し良い時計を買ってあげようか?とエルメスの時計でもどう?と提案したのですが、娘には、「エルメスあんまり好きじゃない」と却下され、なんだかよく覚えていないブランドの、しかし、彼女の好みにあった時計を買ったと記憶しています。

 今では、彼女自身も自分でしっかりと稼いでいるので、自分でもなんでも好きなものは買える生活を送っていますが、彼女は相変わらず、しまり屋で、高価なものはあまり買わずに、もっぱら、旅行したり、スポーツをすることにお金は使っているようです。

 彼女の生活の仕方を見ていると、基本的には、自分が体験することにお金を使うという小さい頃からの育ち方をそのまま続けているのだな・・と、なんだか私がしてきたことは、間違ってなかった・・健全なお金の使い方だったな・・と思うのです。

 それでも、一応は、誕生日が近付くと、「なんかほしいものある?」と聞いてみるのですが、結局、いつも、「いつもと同じ旅行がいいよ!」という答えが返ってきます。


お誕生日プレゼント


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2025年6月8日日曜日

空港職員もぐるだった! フランス・ブラジル間の大規模なコカイン密売組織

  


 今回の摘発のきっかけとなったのは、昨年末に当局が、ブラジルからのフランスへの飛行機によるコカインの輸送を特定し、特定された便がシャルルドゴール空港に到着後、貨物パレットの検査が行われ、コカインの塊45個(計50㎏)が入った箱が発見されたことが始まりでした。

 その後、1月22日にこのブラジルからのコカイン密売の大規模組織摘発に向けて、約100名の国家憲兵隊と様々な専門部隊が動員された特別チームが設けられ、着々と捜査が進められてきました。

 捜査により、セーヌ・サン・ドニを中心として活発に活動するコカイン密売ネットワークを特定、この密売組織は、空港会社の従業員や幹部数名を雇って、毎月20㎏から50㎏のコカインを輸送していたことが判明しました。

 つまりは、空港の検査員を買収して抱き込んでいたのですから、空港の通過も難なく通ってしまっていたわけです。少し前に、漁師を巻き込んで密輸の手伝いをさせていた海路でのコカイン密輸が摘発されていましたが、今回の空路の場合は空港職員を抱き込んでいました。

 いつも私が日本に帰国した際に、スーツケースいっぱいの食糧品を重量が超過しないかとドキドキしながら、荷物を持って帰ってきているのが、ホントにバカみたいです。

 今回の摘発では、当局は、フランス・ブラジル間のコカイン密売組織を壊滅させたといっていますが、これで本当に壊滅したかどうかは、別としても、この大きな摘発が彼らコカイン密売業者にとっては、重大な回路が奪われたことには、違いありません。

 この事件では、オワーズ県、パ・ド・カレー県、セーヌ・エ・マルヌ県、ヴァル・ド・マルヌ県、ヴァル・ドワーズ県、セーヌ・サン・ドニ県などイル・ド・フランス地域圏を中心に8名を逮捕しています。

 今回の逮捕劇で逮捕されているのは、8名だけですが、実際にこれに関わっている人数は、相当数にのぼるものと見られています。

 6月3日の摘発において、当局は、約50万ユーロの資産と10万ユーロを超える現金を回収。加えて当局は、拳銃と弾薬、防弾チョッキ、現金10万1,605ユーロ、高級衣料品や香水、宝石類、車5台、家屋、銀行口座を含む48万6,000ユーロ以上の犯罪資産が押収されています。

 しかし、考えてみれば、毎月、20㎏から50㎏密輸されていたというコカインは、それだけ、需要があったというわけで、しかも、これにより、彼らは莫大な資産を築き、そのうえ、拳銃や防弾チョッキまで備えているとは、恐ろしい組織です。


フランス・ブラジル間   大規模コカイン密売組織


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2025年6月7日土曜日

ヌイイ・シュル・セーヌのカフェでラビ襲撃

  


 パリ、およびパリ近郊は、全般的に治安は良いとは言えないものの、その地域によって、いかにも危険な場所とそうでない場所があります。

 その意味では、今回、事件が起こったヌイイ・シュル・セーヌは、どちらかといえば、良い地域、パリ16区のすぐ隣で、比較的富裕層が住んでいたり、名だたる有名な企業が本社を構えていたりする場所でもあるので、ちょっとこんな事件がヌイイで起こるの?と驚いたのも事実です。

 ただ、今回の襲撃事件は、単に金銭目的の強盗とか、そういうものではなく、宗教的、人種的な攻撃行為なので、場所は関係なかったのかもしれません。

 これは、ヌイイ・シュル・セーヌの広場にあるカフェに座ってふつうに会話していたラビ(ユダヤ教における宗教的指導者)が突然、襲われたもので、座っていたラビの背後から、椅子で頭を殴りつけたという暴力事件です。

 ところが、このラビは、1週間のうちに襲われたのが2度目であったということで、一度目は、ドーヴィル(パリから2時間ほどで行ける比較的近いバカンス地(海))の路上で、明らかに酔った3人に襲われ、腹部を殴られ軽傷を負っていました。この1度目の事件の犯人は、未だ追跡中とのことです。

 2回目の襲撃は、白昼堂々、カフェで・・ということだったので、この犯人はただちに身柄を拘束されています。身柄拘束された容疑者は、パレスチナ出身のOQTF(フランス領土退去命令)対象者で、ドイツへの渡航を許可する文書を持っているものの、人道的な理由から、追放が不可能な国から来ているということで、追放ができない状態にあったと言われています。

 しかし、OQTF(フランス領土退去命令)対象になっていながら、追放できない者が街に紛れているということは、おかしな話だとも思います。

 しかし、1週間に2度も襲撃にあい、おまけにいきなり頭を椅子で殴りつけられるという凶行に遭いながら、このラビは、当初は、「頭に煙突が落ちてきたかと思った・・少しトラウマが残るかもしれない・・」と言っていたものの、その後は、極めて落ち着いていて、「外傷はなく、少し頭が腫れているだけ・・神様に感謝です」といいつつも、「もし、相手が私ではなく、子どもやもっと弱い人だったら、どうなっていたかは私には想像もつかない」とも語っています。

 この事件に関して、内務大臣は即、反応し、「ユダヤ人の同胞に対して、我々は彼らとともにあると伝えたい」、「信仰を理由に人を攻撃するのは恥ずべき行為だ!」、「反ユダヤ主義はあらゆる憎悪と同様に私たちの社会にとっての致命的な毒です」と発信しています。

 また、このような事件が起こる背景として、イスラエルへの憎悪がユダヤ人に汚名を着せてしまっている一般的な状況において、今回の攻撃は、フランスのユダヤ人を有害とする風潮を示しているとも付け加えています。

 しかし、このラビは、なかなか強靭は人で、「私はこのことで、これまでの習慣を変えるつもりはなく、キッパー(ユダヤ教の民族衣装の一種の男性がかぶる帽子のようなもの)をかぶり、あごひげをはやしてパリの街を歩き続ける」と語っています。


ヌイイ ラビ襲撃


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2025年6月6日金曜日

現金決済の終わり? ATMに関する複数のデマとほんの少しの真実

  


 「2025年末までにATMがなくなる!」・・この現金決済、ATMに関する複数のデマがSNS上でまことしやかに出回り、一部の人々の間に混乱を巻き起こしているようです。

 特に、目立っているTikTokの動画では、「2025年末までにATMがなくなることが確定しました!代替となるのはこれです!この大規模な交換作業は全国で進行中です!」というもので、また、X上では、「ATMから現金を引き出すには、今後は身分証明書が必用になる!」と主張しているものも散見されるそうです。

 フェイクニュースにはよくあることですが、これらのデマには、多くの嘘と少しの真実が混ざっています。

 実際に、フランスでは、現金決済をする人の数は急激に減少しているため、各銀行はコスト削減のために、ATMの数を減らしているのは事実で、2018年から2023年の間には、8,000ヶ所のATMを閉鎖したと言われています。

 私自身もここ数年、もうフランスで現金をおろすということは、およそなく、せいぜい一年に一度、あるかないかのことで、ごくごくたまに支払いが低額のために現金しか受け付けないというお店がないこともない(しかし、最近は、お目にかからないけど・・)ので、そんな時のために一応、お財布には20~30ユーロくらいは入れていますが、それは滅多に使うことはありません。

 どうせ、同じ銀行から落ちるお金・・いちいち現金をおろす必要はなく、そもそも高額の現金を持ち歩くのは物騒です。そうそう・・今、思い出しました!最近、現金を使ったのは、日本大使館でのパスポート更新の料金の支払いでした。(未だに現金しか受け付けない日本大使館)

 しかし、フランス銀行連盟によれば、2025年末までにATMが消滅することは絶対にないそうです。

 日本に一時帰国する度に驚くのは、日本は未だ現金を使用する人がすごく多いことと、銀行のATMがいつもすごく混雑していることです。

 フランスでは、買い物の際に現金を使用している人は極端に減っていますし、銀行自体もATMを減らしているうえ、ATMが混雑しているという光景は最近、見かけたことがありません。

 フランス政府は、多くの犯罪を防止する観点からも現金は廃止の方向に進みたい意向を持っていることは事実で、ジェラール・ダルマナン法務相は、「日常的な犯罪詐欺、麻薬取引の大部分は、犯罪組織内にあっても現金であり、これ(現金取引)を廃止することは、犯罪を削減させるのに単純だが、極めて有効な手段である」と語っています。

 北欧ではすでにかなり現金を利用する人が減少しており、スウェーデンでは現金が使われているのはわずか28%、ノルウェーでは35%という調査結果(べリングポイント調査)が出ているそうで、それに比べれば、フランスは、51%となっており、ちょうど半々くらいの割合になっています。

 しかし、現金だけだった?時代から考えれば、この変化はあっという間の出来事だったので、今後は、やはり、現金はますます減少していく傾向にあることには、代わりはありません。

 個人的には、おつりの計算が苦手なフランス人でも間違えることなくあっという間に電子決済をしてくれるのは、安心だし、なぜ?現金?と思ってしまいます。

 しいて言うならば、カードなどの電子決済の場合は、ついつい使いすぎるというくらいでしょうか・・。

 一般的に現金を使っている人には、比較的、高齢の方々が多いような気もするので、世代交代とともに、やはりこの割合は、どんどん減っていくのだろうな・・と思います。

 しかし、同時に、このようなデマがあっという間に広まるということも、やっぱり恐ろしいことだと思うのです。


ATM消滅


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2025年6月5日木曜日

グレヴァン美術館から盗まれたマクロン大統領の蝋人形が・・

 


  週初めの月曜日、パリ9区にあるグレヴァン美術館(蝋人形館)からマクロン大統領の蝋人形が盗まれるという事件が起こっていました。

 そんなもの?どうやって盗めるの?と思いますが、これは、NGOグリーンピースが抗議活動に利用するために借りた・・と言っているらしいのです。


 このマクロン大統領の蝋人形は4万ユーロ相当のものだそうなのですが、盗まれた後、最初は、ロシア大使館前に設置され、側に活動家の一人が「プーチンとマクロン 放射能同盟」と書かれたプラカードを掲げていました。



 後日、このマクロン大統領の蝋人形は、EDF(フランス電力)の本部前に移動された模様で、グリーンピース・フランスのジャン・フランソワ・ジュリアール事務局長は、「当初、約束したとおり、エマニュエル・マクロン大統領の蝋人形は借り物なので返却に来た」とEDF本部近くで声明を発表しました。

 「グレヴァン美術館と警察には通報したので、回収に来るのは彼らの責任です」と彼は言っており、盗み出しておいて、借りたといいつつ、返却したので、取りに来い!というあたり、なかなか横柄な感じがすごいな・・と思うのです。

 とはいえ、一応、この盗難事件に関して2人が逮捕されているそうです。

 このマクロン大統領の蝋人形盗難の様子やパリを移動する様子が、SNS上で拡散されているのですが、妙にリアルな蝋人形が布もかけられないままに、抱えられて移動させられる様子はとてもシュールです。

 なんだか、グレヴァン美術館の存在は知っていたし、時々、前を通ることもあるのですが、今まで、まったく興味がなかったのですが、今回の騒ぎのおかげで、なんだか見に行きたくなりました。

 これはもしかして、グレヴァン蝋人形館の凄いコマーシャルになったかもしれません。


グレヴァン美術館 グレヴァン蝋人形館 マクロン大統領の蠟人形


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2025年6月4日水曜日

M&S マークス&スペンサーが消えた!

  


 私は、しばらくロンドンにいたこともあって、なんとなく懐かしさもあって、イギリスのスーパーマーケットM&S マークス&スペンサーが好きで、時々、思い出したころに行ってみては、マフィンとかパンとかクッキーとか、スナック類とか紅茶とかをに買いに行っていました。

 ブレグジット前までは、パリ市内にはいくつもあったこのお店、ブレグジット後には、がっくり店舗数も減って、残った店舗内でも品数がグッと減ってしまいました。

 それでも、私の欲しいものは、ギリギリ存在していたので、生き残ったM&Sは、もうずっと、存在し続けるのだと思っていました。

 「そういえば、最近、M&Sに行ってなかったな・・パンと紅茶、買いに行こう!」と急に思い立って、買い物に出かけたモンパルナス駅。これまでも、MONOPRIX(モノプリ)(パリのスーパーマーケットチェーン)の一部のスペースにM&Sの商品がおかれていたのですが、このコーナーがすっぽり消失して、ただのモノプリになっており、大ショック!

 俄かに信じ難い光景に、こんなことってあるのかしら?とないものはないのに、一応、店員さんに、「もうM&Sの商品おいてないんですか?」と聞いたら、「もう全て、撤廃しました・・」と。

 大げさではありますが、フランスのパンとも違い、最近、少しブームみたいになった日本の高級食パンや菓子パンなどとも違い、イギリスのパン、マフィン、スコーン、クッキーなどは、それなりに独特なもので、たまに食べるのを実はとても楽しみにしていたので、これがなくなってしまったのは、大変ショックでした。

 たかがスーパーのパンごときに大げさなのですが、私の中では大変にショッキングなことでした。

 モンパルナス駅には、このM&Sの他に、ボルドーのカヌレ屋さんなどもあって、ついでにいくつかの食料品等の調達ができるので、便利に利用していました。

 まさかのM&S消滅に、未練がましく、店員さんの元に戻って、「パリで他にM&Sのお店はどこにありますか?」と聞いてみたら、「La Defense ラ・デファンス」に一店舗だけ残っているはず・・でも、そこも、あんまり商品ないかもしれないわよ・・とのことで、こうなったら、ラ・デファンスでもなんでも行ってやろう!と、そのまま手ぶらで帰るのも忍びなく、ラ・デファンスへ行きました。

 ところが、ラ・デファンスのM&Sも実はもう消滅していました。サイト上には、まだ、存在しているように出ていますが、実際にはありません。

 あとは、たしか、空港にあったはず・・と思いましたが、さすがに空港まで行くのは、億劫で、しかも、クチコミの中で「空港のモノプリの中にあったはずのM&Sがない!!サイトには、載ってるのに・・」というものがあり、こりゃ、全部、消えちゃったのかも・・と思っています。

 それにしても、ほんのちょっとでしたが、少しはイギリスを感じられる身近な空間だったM&S(マークス&スペンサー)がなくなっちゃったなんて、ほんのちょっとのことなんですが、想像以上にショックを受けております。

 あたりまえのようにずっと存在し続けるものはなく、ある日突然、あるはずのものがなくなることってあるのです。

 


M&S(マークス&スペンサー)パリ撤退


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2025年6月3日火曜日

私がたまにラファイエットグルメに行ってみる理由

 


 私はお散歩というものが、あんまり得意ではなくて、できるだけ健康のためには、歩いた方がいいことはわかっているけど、そうそう何もなしに歩くということが苦手です。

 ことに、若い頃は、本当に歩かない人間で、「歩くくらいだったら、泳ぐ方がラク・・」とか、「あまり歩くと足が太くなる・・」とか、適当な言い訳をしつつ、およそ、歩くということをしてきませんでした。

 それでも、ジムには行っていたし(泳ぎに・・)、そこそこ運動はしていたし、何より若さゆえ、健康でした。

 ここ最近は、歩くことを心掛けているものの、犬でもいれば、お散歩に行くのでしょうが、私はネコ派で、健康にさえ問題なければ、猫のような生活が私の理想ではあります。

 そういうときは、お買物か美術館などが定番ではあるのですが、そのお買物スポットの中には、ギャラリーラファイエットグルメが入っています。なんといっても、ふつうのお店の1割から2割方、値段が高いので、もっぱら、美術館へ行くのと大して変わらず、どんな美味しいものがあるのかを見に行く程度です。

 さすがに品質の高い、美味しいもの・・しかも、新製品などがいち早く並んでいるので、ラファイエットグルメの中の店舗はだいたいいつも同じでも(とはいえ、けっこう入れ替わりもあります)季節によって、また、新製品が美しく並んでいます。



 食べることが何より好きで、食品を見て歩くのが楽しいので、効率よく美味しいものを探すには、絶好の場所で、なんなら、今まで見かけなかったお店が入っていたりして、これは、良さそうと思ったお店には、後日、本店を探して行ってみます。

 ということは、私にとっては、見本市のようなもので、せこいですが、ラファイエットグルメではあまり買い物はしません。とはいえ、今日は、今まで見たことがなかったPHILLIPE CONTITINIで今まで見たことのなかったパン・オ・ショコラ(生地がカカオ味になっていて、チョコレートが3本?入っています)を一つだけ買いました。




 あとは、ピエール・エルメの新作スイーツが出ていたり、他に新しくロールケーキのお店(PATISSELIER)が出店していました。




 ロールケーキは最近、時々、パリでも見かけるようになりましたが、食べてみてもいないのに、何ですが・・正直、ロールケーキの美味しいものは、日本の方がクォリティが高いのでは・・?などと勝手に思いました。

 地下の食料品売り場には、野菜、魚、肉、加工品等やお土産ものに使えそうな長期保存が可能なものがあり、1階(日本で言う2階)には、ストリートフードコートとワインのカーブを美しく展示している場所があります。




 これは、数年前にワインやシャンパンのカーブが大部分を占めていた場所をストリートフードコートに改造したスペースですが、早くもこのストリートフードコートに出店しているお店には、変動があるようで、スペースの一部は改装中でした。



 こうして、美しく、美味しそうな食べ物を見て歩いていると、いつのまにか、けっこう歩いているものです。


ギャラリーラファイエットグルメ


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2025年6月2日月曜日

昨日のパリはヨーロッパの首都だった!

  


 「昨日のパリはヨーロッパの首都だった!」と文化大臣が語ったそうで、それほど、サッカーの欧州チャンピオンリーグでのPSG(パリ・サンジェルマン)の優勝は、フランスを熱狂の渦に沸きに沸いていました。

 このサッカーへの熱狂に全くついていけない私には、それがどんなにスゴイことなのかは、あんまりピンと来ていなかったし、どちらかというと、「ちょっと騒ぎすぎじゃない?」くらいに思っていました。

 しかも、パリでやっていた試合でもないのに、優勝が決まった後は、パリでは花火が禁止されていたというのに、あちこちで花火があがり、街中の車がクラクションを鳴らしているような感じで、夜、遅くまで、サポーターが集まっているシャンゼリゼやパークからも遠い我が家のアパートの中にいても、その歓喜の渦から逃れられない感じでした。

 この騒ぎは翌日まで続いていて、選手たちはドイツから1時間半のフライトを経て、凱旋帰国して、シャンゼリゼでパレード。この日はシャンゼリゼには、25,000人が集まったとかで、もう街が唸っているような感じでした。

 今回のシャンゼリゼでのPSGチームの凱旋パレードは、同じくシャンゼリゼに人が集まるパリ祭のパレードなどと違って、サポーターたちは、歓喜に溢れ、興奮して、力の限りを尽くして歓声をあげているのですから、これは大変な騒ぎです。

 亡き夫はあまりサッカーに興味がある人ではありませんでしたが、そういえば、このチャンピオンリーグだけは見るといって、テレビの前でですが、アパート中に轟き渡るような大声を出して応援していたことを思い出しました。

 このサッカーに対する盛り上がり方、異様なテンションには、私は一生、ついていけないと思うし、もうこれはフランス人のDNAに組み込まれているのではないかと思う熱狂ぶりです。

 シャンゼリゼでのパレードの後は、選手たちは、マクロン大統領にエリゼ宮に招待され、祝福を受け、午後9時からは、パーク・デ・プランス(PSGの本拠地・ホームグラウンド)で、祝賀パーティーが大々的に行われます。

 マクロン大統領とて、これだけ国民が熱狂しているものを捨て置けないのだとも思いますし、マクロン大統領自身もサッカーの大ファンであると思われます。

 もともと熱狂的に歓喜したり、パーティーで騒いだりということは、めっぽう苦手な私は問題外なのですが、たいていの日本人はこれは、ちょっと引くだろうと思うほどの熱狂には、私は、一生ついていけない気がしています。

 皆が熱狂しているところ、水を差すような話ではありますが、優勝が決まった日、フランスでは優勝当日の夜の祝賀行事?中には2名の死亡者、192名の負傷者が出て、559名が逮捕されたそうです。

 まさに、熱狂するのも命がけです。

 そういえば、昔、ロンドンにいた頃、一時、障がい者の施設でボランティアをしていたことがあったのですが、その中にいたけっこうハンサムな若い男の子が半身不随で、原因はサッカーの試合に応援に行った際に負った怪我だと聞いて、「サッカーって怖い・・」と思ったことを思い出しました。


PSG パリサンジェルマン 優勝  


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2025年6月1日日曜日

パリはサッカーUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦に厳重警戒

 


 サッカーはフランス人にとって、何なんだ?と最近、思うようになりました。

 一昨日、シャンゼリゼの近くを通ったら、なんだか、色々なお店がバリケードを張っていて、「えっ?なんで?」と思いました。どうやら、土曜日に行われるサッカーUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦が行われるとかで、それに備えているとのこと。

 しかし、決勝戦が行われるのは、ドイツのミュンヘンです。

 しかし、決勝戦に進出しているのがPSG(パリ・サンジェルマン)とインテル(イタリア)なのだそうで、勝っても負けても、フランス人は大騒ぎなのです。

 これが暴動とかいうことではないだけ、まだマシなのかもしれませんが、サッカーの欧州チャンピオンズリーグの決勝戦のために、ここまでしなければならないことも、正直、ちょっとおかしなことではないか?とも思うのです。

 サッカーは数あるスポーツの中でも、おそらく最もサポーターの多い、フランス人がもっとも騒ぐスポーツで、前回のチャンピオンズリーグの際も多くのサポーターがコンコルド広場やシャンゼリゼに集まり、大フィーバーになりました。

 今回は、この騒ぎに無防備でいるわけにはいかないと考えた、なにかと言えば、お祭り騒ぎに集まるシャンゼリゼの商店は、銀行、バー、高級ブティックなどが、ショーウィンドーをはじめ、店舗に板やバリケードを張って備えています。ソシエテ・ジェネラル(銀行)などは、巨大な木製パネルで完全に密閉しています。また、ブルガリ、ディオール、ラコステなどは、グリッドシステムと呼ばれる鉄格子のようなシステムを導入しています。

こんなバリケードを張るにもおしゃれな感じにしているところは、さすがだなとも思います。(そうではないところもあるにはあるが・・)

 


 それでも、パリ市は、このお祭り騒ぎを全面的に抑え込むことはしない姿勢を見せ、このエリアを封鎖したりするつもりはなく、「一定の条件下で一般公開する」と発表しています。

 とはいえ、安全のため、当日は午後7時からホテルを除くシャンゼリゼ周辺の広い地域にある一般の公開施設は閉鎖を命じられています。また、通常路上にパーキングされている車は撤去するように通知されています。

 お祭り騒ぎ→興奮して騒ぐ→車を燃やす・・のはよくあるパターンなので、言われなくとも、車は避難させるのがふつうではあります。

 このような騒ぎに乗じて、暴動のようなことを起こすブラックブロックのような集団がいることも事実ではありますが、いくらサッカーで勝っても負けても、嬉しくても悔しくても、物を破壊してまで騒ぐのがあたりまえのようになっているのは、いかがなものだろうか?と思うのです。

 このようなことが起こらないように防護しているのはわかりますが、騒ぎが起こることがもう前提のようになってしまっているのも、おかしなことではないかと思うのです。

 この日はパリには警察官が5,400人が配置されるそうで、このおよそ半数以上がシャンゼリゼ周辺に配置される人員なのだそうです。

 しかも、驚きなのは、この試合がパリで行われるものでもないのに・・というところです。

 家にいても、とにかく外が騒がしく、結局、PSGが勝ったからか?クラクションが鳴り響き、花火が打ちあがる音があちこちから聞こえてきます。

 しかし、やっぱり燃えてます・・・。これはPSGのホームグラウンドの近くらしいです。 



 こういう騒ぎを見ていると、人はなにか熱狂するものを常に求めているのかなと思います。


サッカー欧州チャンピオンズリーグ決勝戦 シャンゼリゼ


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